教室で翔くんが立たされて笑われている。確かに問題自体はそんなに難しいものではなかったけど、そこまで笑うことかなぁ。単純にあがり症だと思うんだけど……それに完璧に答えた明日香ちゃんの次だから緊張しちゃうのもわかる気がするけど。というか十代くん説明しろって言われたらわかんないって言いそうなのに……
万花が恥をかかされた翔に同情していると、見かねたクロノスが翔を座らせた。その言葉には嘲りが含まれていた。
「もういいノーネ。引っ込むーニョ。オシリスレッドには難しすぎたかもしれまセン。フィールド魔法とは…………」
なんか今更って感じのする内容だなぁ。でも、授業はちゃんと受けないと! 先生のどんな一言がテストに出るかわからないんだしね! でも、昨日のせいでちょっと眠いなぁ。授業が終わるまであと少しだし頑張ろう。
「では、シニョーラ千維。最近新しく出たシンクロモンスターとエクシーズモンスターの召喚方法とメリット、デメリットを説明してくだサーイ」
「はい。まず、シンクロモンスターとエクシーズモンスターは単体での召喚はできません。次に、シンクロモンスターはチューナーモンスターとそれ以外のモンスターのレベルを足し、その合計のレベルをもったモンスターをエクストラデッキから特殊召喚することができます。この時、シンクロ素材となったモンスターは墓地へ送ります。また、エクシーズモンスターはシンクロモンスターと違いレベルの合計ではなく、同じレベルのモンスターをエクシーズ素材としてエクストラデッキから特殊召喚することができます。エクシーズ素材となったモンスターは墓地へは送らず、エクシーズモンスターの下に重ねます。そして、エクシーズモンスターはその素材を取り除いて効果を発動するものや、素材を持っている時に発動するものもあります。メリットは弱小とされているモンスターや通常モンスターを活かすことができる点や、エクストラデッキから特殊召喚するので、手札に加える必要がないという点にあると思います。デメリットはフィールド場に揃えなければいけないので、少々時間がかかる点です」
わたしが軽く説明したら、周りの人が驚いてくれた。なんか嬉しいかも。
「よろしいノーネ。では、そのデメリットを打ち消すためにはどういうことをすれば良いのかを説明していくノーネ。それは…………」
クロノス先生ってブルーの生徒を贔屓しているように感じるけど……どうしてだろう。絶対にいい先生のはずなのに。
そしてチャイムが鳴るまでクロノスの講義は続いた。
今日一日の授業が終わり、寮の自室に戻った万花は、すぐにお風呂を沸かし入っていた。
「あー、疲れたー」
体育が集団行動でよかったー。それにしても錬金術なんて何に使うんだろう。必要ないような気がするけど……大徳寺先生って不思議な人だったな。それに、ファラオっていうあの猫ちゃん可愛かったなぁ。ちょっとデブ猫さんだけどね。
万花がお風呂を上がって冷蔵庫に入れてあった牛乳を飲んでいると、部屋のチャイムが鳴った。
誰だろう? こんな時間って言ってもまだ6時半だけど……お風呂入るの早すぎたかな。昨日のデュエルのあとはシャワーしか浴びてなかったから、早めに入りたかったんだよね。
万花が牛乳を冷蔵庫に戻したところでもう一度チャイムが鳴らされた。はいはーい、今出ますよー、と言ってドアを開けた。そこにいたのは、明日香だった。
「明日香ちゃんどうしたの? というかなんでわたしの部屋番知ってるの?」
「万花、一緒にご飯食べない? シンクロモンスターとエクシーズモンスターについて聞きたいのよ。その後一緒にお風呂でもどう……って誘おうと思ったけど、もう入っちゃったのね。なら仕方ないわ」
「ご飯? うーん、わたしはここの料理苦手だからいつも自分で作ってるんだけど……せっかくだしご一緒させてもらってもいいかな?」
「ええ、というかこっちが誘ってるんだからそう言われると困るわ。じゃあ後でね」
「うん、後でねー」
明日香と別れたあと、とりあえず黒の水玉模様をあしらったルームウェア(上下セット)に着替えて、ご飯の時間まで自分のデッキを見直していた。
デュエルだから負けないなんてことはないけど、昨日みたいな大事なデュエルで実力を発揮できないのはダメだ。十代くんはどうしてあんなにデッキが回るのかな。なんていうか、デッキを操るっていうよりも、デッキを……信頼している。わたしも今のデッキを信頼している。信頼しているけど、カードたちが応えてくれていない。どうしてだろう…………わかっているけど、まだ怖い。あの子達を出したら皆がデュエルしてくれなくなるんじゃないかって思うと怖い。でも、ここの人たちなら……きっと。
万花が物思いに耽っているといつの間にか明日香に指定された時刻になっていた。万花はカードとデュエルディスクを持つと、慌てて部屋を飛び出した。歩いても間に合う時間ではあるが……
本当は10分前には部屋を出て5分前には着いておきたかったのに! 時間にルーズな人とは思われたくないもんね! っふぅ、セーフ。なんとか間に合った。明日香ちゃんは……あ、取り巻きの人に囲まれてる。そう考えると万丈目さんと同じなのかも。人気者だなぁ。あの輪に飛び込みたくないけど、行くしかないよね。
「あ、明日香ちゃん! えーっと、もしかしてわたしおじゃまだった?」
「そんなことないわ、待ってたのよ。席だけでも確保しておかないとすぐ埋まっちゃうから。待ち合わせ場所に行けなくてごめんなさい」
万花と明日香が喋っていると、周りの二人は、なるほど、といった表情で万花を見る。そして、黒髪でおしとやかな女子が万花に話しかけた。
「明日香さんが誘った方って千維さんでしたのね。わたくしは浜口ももえと申します。よろしくお願い致しますわ」
「あたしは枕田ジュンコ。よろしくね」
「千維万花です。よろしくお願いします」
「かたいなー、ジュンコでいいよ。あたしも万花って呼ぶけどいいわよね?」
「わたくしも、ももえで結構ですわ。万花さんとお呼びしてもよろしいでしょうか?」
「うん、全然オーケーだよ。よろしくね、ジュンコちゃん、ももえちゃん」
自己紹介を終え、四人でご飯を食べながら、談笑していた。三人はよく一緒にいるので、話題は当然万花のことになる。
「万花さんはどうして眼鏡をかけているんですの? お洒落ですか?」
「それは私も気になるわね。クロノス先生との入学試験で距離があったのに、どうして見えたの?目がいいなんて話じゃないわ」
「あー、これは曇りガラスなんだ。見えすぎるの、いろんなものがね。小学校の頃は眼鏡かけるだけで、いじめられる原因になるから、ってお父さんがかけさせてくれなかったんだけどね。その時は毎日疲れ目になっちゃって大変だったよ。家に帰って、眼鏡をかけると幸せーってなってたんだー」
「へぇ、そうなんだ。あたしは昔からももえと一緒でねー…………」
家族構成やら、小中学校はどうしていたか、どんな色が好きか、いろいろなことを話していた。そして、明日香が万花に質問を始めた。
「万花はシンクロモンスターどうやってゲットしたの? かなりのレアカードよね?」
「わたしはパックで当てたよ。レアカードだけど、わたしが通っていたカードショップだと結構シンクロモンスターが出やすかったみたい。友達も持ってたし……」
「そうなんですの!? ぜひそのお店を教えてくださいな!」
「あたしにも教えて!」
「あなたたちね、でも気になるわ……。後で教えてちょうだいね?」
「どうせならわたしが案内するよ。家の近くだし、友達連れて行けば、お父さんもお母さんも喜ぶと思うし……」
それからまた少し喋り、4人は明日香たちがお風呂に入るからというので解散した。万花は部屋に戻ると、今日の授業の復習を始めた。
「ふぅ、これくらいでいいかな。基礎とは言っても、錬金術は初めてだし。ちゃんと復習しないとね」
万花が復習を終え一息ついたところで、またチャイムが鳴った。万花がドアを開けるとそこには明日香とももえとジュンコとなぜか翔がいた。翔は両手を縛られ、犬みたいに扱われている。
「万花、ごめんなさい。少し部屋を借りるわ。さあ、はやく十代に連絡しなさい」
「明日香ちゃん? 何がどうなってるのかまったくわかんないんだけど……」
「それはあたしたちが説明するわ」
ジュンコちゃんとももえちゃんが言うには翔くんは明日香ちゃんからラブレターをもらったと勘違いしてやってきたらしい。ラブレターは偽物で、更に宛名は十代くんになっていたらしい。それで、明日香ちゃんは十代くんとデュエルをして負けたら翔くんのことを不問にして、勝ったら翔くんを学校側に突き出すらしい。でも、これでデュエルするべきなのって翔くんだよね。
「ねえ、明日香ちゃん。それって単純に明日香ちゃんが十代くんとデュエルしたいだけだよね?」
「んなっ! ち、違うわよ! ちゃんとした理由で……」
「でも、それだったら翔くんがデュエルすれば済む話だよ」
「そうなんどけど……はぁ、認めるわ。私が十代とデュエルしたかったのよ」
「ふふっ、やっぱりー」
「もうっ! いいでしょ、はやく十代に連絡して」
「あ、それならわたしがやっておいたよ」
万花は昨日十代から送られてきたメールから十代のアドレスがわかっていたので、翔が打つよりもはやく、十代にメールを送っていたのだった。
そして、明日香ちゃんと十代くんがデュエルをした。わざわざ湖の上でボートに乗りながら……なんでわざわざ。結果は十代くんの勝利だった。サンダージャイアントの効果で明日香ちゃんのサイバー・ブレイダーを破壊して、ダイレクトアタックを決め手デュエルが終わった。というかクロノス先生が十代くんを陥れようとした犯人だったんだ。湖に浮いてたから何かと思っちゃったよ。皆は暗いから気づいていなかったけど……黙っておこう。どうしてもクロノス先生を嫌いになれないしね……
「約束通り翔は返してもらうぜ」
「ええ、約束は守るわ。今回のことは黙っておいてあげる」
「ふんっ! まぐれで勝ったからっていい気にならないでよね!」
「ジュンコ、それは違うわ。彼は強いし、負けは負けよ」
「明日香さーん……」
十代が翔をつれて帰ろうと船を漕ぎ出した時、ふと思い出したように明日香たちの方へ戻ってくる途中でこちらに呼びかける。
「万花―! せっかくだからさー! デュエルしようぜー!」
十代くん、そんなに声出したらバレちゃうよ……でも! 十代くんとデュエルかぁ。もちろんやるに決まってるよ!
「十代くーん! わたしはオーケーだよー!」
十代が戻ってきて、デュエルディスクを構えた。それに合わせ、万花もデュエルディスクを構えた。そして……
「「デュエル!!」」
「先攻は俺だ。俺は手札からE・HEROクレイマンを守備表示で召喚! カードを一枚伏せてターンエンド」
十代は堅実に1ターン目を終了させた。
「わたしのターン、ドロー! わたしは終末の騎士を召喚! 終末の騎士の効果発動! ゾンビキャリアを墓地へ。そしてデーモンの宣告を発動。ゾンビキャリアの効果発動、手札のカードを一枚デッキの一番上に戻して墓地から特殊召喚する! そして500ライフポイント払い、デーモンの宣告の効果! 宣言するカードは炎舞‐玉衝! 宣言カードは外れない。そして、炎舞‐玉衝を発動、このカードは相手のリバースカード一枚を選択して発動する。このカードがフィールド場に存在する限り選択されたカードは使うことはできない!」
万花のフィールドに炎の輪が現れると十代のリバースカードを覆い隠した。発動すればそれが燃えるぞ、と言っているかのようだった。
「何ぃ!? そんなカードありかよ!」
やっぱり、驚くよね。この効果を初めて見たときはわたしも驚いちゃったもんね。
「更に私はレベル4終末の騎士にレベル2ゾンビキャリアをチューニング!
鎖に縛られし禁じられた龍よ、今ここにその力を示せ!
シンクロ召喚! 現れろ! C(チェーン)・ドラゴン!」
体を鎖で縛られた巨龍が現れるとその風圧でボートが揺れる。万花はそんなこと気にせずに攻撃宣言をする。
「C・ドラゴンでクレイマンにアタック!」
「クレイマン! やるな、万花」
クレイマンはC・ドラゴンに鎖で引きちぎられた。かなり残酷な攻撃だった。それよりも明日香たちが注目していたのは万花のシンクロ召喚までの流れだ。
「万花、上手いわね。終末の騎士でチューナモンスターを墓地へ送り、それ自体の蘇生効果でいとも簡単にシンクロ素材を揃えた。そして、手札をデッキに戻すというゾンビキャリアのデメリットをデーモンの宣告で打ち消している」
「本当ですわ、1ターンで攻撃力2500のモンスターを召喚してしまわれるなんて……」
「想像以上に万花って強いのね、明日香さんとどっちが強いのかな」
「凄すぎッス。しかも、アニキの伏せカードを封じてから攻撃しているッス。あれじゃあアニキが伏せた意味がないッス」
よし、ここまでは完璧。しっかり動けてる。手札情報を公開してないし、大丈夫。
「わたしはカードを一枚伏せてターンエンド」
十代 フィールド 伏せ1
手札3 LP/4000
万花 フィールド C・ドラゴン デーモンの宣告 炎舞‐玉衝 伏せ1
手札2 LP/3500
E・HEROクレイマン
通常モンスター
星4/地属性/戦士族/攻 800/守2000
粘土でできた頑丈な体を持つE・HERO。
体をはって、仲間のE・HEROを守り抜く。
ゾンビキャリア
チューナー(効果モンスター)
星2/闇属性/アンデット族/攻 400/守 200
手札を1枚デッキの一番上に戻して発動できる。
このカードを墓地から特殊召喚する。
この効果で特殊召喚したこのカードは、
フィールド上から離れた場合ゲームから除外される。
炎舞‐玉衝
永続魔法
このカードの発動時に、
相手フィールド上にセットされた魔法・罠カード1枚を選択する。
このカードの発動に対して相手は選択されたカードを発動できない。
このカードがフィールド上に存在する限り、
選択されたカードは発動できない。
また、このカードがフィールド上に存在する限り、
自分フィールド上の獣戦士族モンスターの攻撃力は100ポイントアップする。
C・ドラゴン
シンクロ・効果モンスター
星6/地属性/ドラゴン族/攻2500/守1300
チューナー+チューナー以外のモンスター1体以上
自分のメインフェイズ時に発動できる。
自分の墓地の「C(チェーン)」と名のついたモンスターを全てゲームから除外する。
このカードの攻撃力はエンドフェイズ時まで、
この効果で除外したモンスターの数×200ポイントアップする。
また、このカードが相手ライフに戦闘ダメージを与えた時、
相手のデッキの上からカードを3枚墓地へ送る。
さあ、十代くん。ここからどうするの? デッキを100%信じているあなたに教えてほしい。ううん、思い出せてほしい。デュエルの楽しさを。どんなカードを使っても楽しくデュエルができていたあの頃の気持ちを!
「いくぜ! 俺のターン! ドロー! よし、俺は手札から魔法カード融合を発動! 手札のバーストレディとフェザーマンを融合! 現れろ、マイフェイバリットモンスター! E・HEROフレイム・ウィングマン!」
「でも、わたしのC・ドラゴンには届かない!」
「慌てるなよ、ヒーローにはヒーローの闘う舞台ってやつがあるんだ。フィールド魔法、摩天楼‐スカイスクレイパー‐発動! いくぜ! フレイム・ウィングマンでC・ドラゴンに攻撃!フレイムシュート!」
「甘いよ、十代くん。この瞬間ッ! 速攻魔法発動! 禁じられた聖槍! このカードはフィールド場のモンスターの攻撃力を800ポイント下げる」
「何ッ! それじゃあフレイム・ウィングマンの攻撃力は! 2300になるってことか!?」
「それだけじゃないよ、禁じれらた聖槍は対象となったモンスターはこのターン他の魔法・罠カードの効果を受けない。つまり、フレイムウィングマンはスカイスクレイパーの効果を受けないよ! よって攻撃力は1300! 返り討ちだよ!」
「フレイム・ウィングマン! うわああああああああ、クソォ!」
「更に、C・ドラゴンの効果発動! このカードが戦闘ダメージを相手に与えた時、相手のデッキから3枚墓地へ送る! 十代くん、墓地へ送ってもらうよ」
十代の攻撃を躱すだけでなく、ダメージを与え、更にデッキを減らされた十代を見て翔は思わず叫んでいた。
「ズルいッスよ! そんなカードばかり使って!」
翔の言葉は万花を傷つけるには鋭すぎた。万花の心臓がドクッと跳ねた。胸に手を当て、鼓動が早まるのを感じ、ひたすらそれを落ち着けようと努めていた。
「翔! そんなこと言うなよ。アレは何も考えずに突っ込んだ俺のミスだぜ。俺はターンエンドだ」
その言葉が万花の耳に届き、万花は薄く笑った。そして同じボートに乗っている明日香たち三人に気づかれないように呟く、ありがとう、と。
十代 フィールド 伏せ1 フィールド魔法 摩天楼‐スカイスクレイパー‐
手札0 LP/2800
万花 フィールド C・ドラゴン デーモンの宣告 炎舞‐玉衝
手札2 LP/3500
E・HEROフェザーマン
通常モンスター
星3/風属性/戦士族/攻1000/守1000
風を操り空を舞う翼をもったE・HERO。
天空からの一撃、フェザーブレイクで悪を裁く。
E・HEROバーストレディ
通常モンスター
星3/炎属性/戦士族/攻1200/守 800
炎を操るE・HEROの紅一点。
紅蓮の炎、バーストファイヤーが悪を焼き尽くす。
E・HEROフレイム・ウィングマン
融合・効果モンスター
星6/風属性/戦士族/攻2100/守1200
「E・HERO フェザーマン」+「E・HERO バーストレディ」
このカードは融合召喚でしか特殊召喚できない。
このカードが戦闘によってモンスターを破壊し墓地へ送った時、
破壊したモンスターの攻撃力分のダメージを相手ライフに与える。
「わたしのターン、ドロー。 わたしは手札から深海のディーヴァを通常召喚、そしてデッキからリチュア・ディバイナーを特殊召喚。リチュア・ディバイナーの効果発動! 宣言するカードは禁止令。デッキトップを確認、禁止令ではなかったよ。でも! デーモンの宣告の効果! 500ライフポイント払い宣言するカードはお家おとりつぶし! 当然当たるよ。そしてレベル3リチュア・ディバイナーにレベル2深海のディーヴァをチューニング!
心の深淵に燃え上がる我が憎しみの炎よ、黒き怒濤となりてこの世界を蹂躙せよ!
シンクロ召喚! 現れろ、マジカル・アンドロイド!」
いくよ! マジカル・アンドロイドでダイレクトアタック!」
「うわあああああああ、まだまだ!」
「これで止め! C・ドラゴンでダイレクトアタック!」
「この瞬間! 俺は墓地からモンスター効果発動!」
「そんなっ!この状況で墓地からモンスター効果!?」
「ネクロ・ガードナーの効果により相手モンスターの攻撃を一度だけ無効にする!」
「いつの間に……そっか、C・ドラゴンの効果で……」
「へへっ、そういうこと。さあどうするんだ」
「わたしはカードを一枚伏せてターンエンド。そしてマジカル・アンドロイドの効果発動。わたしのライフポイントを600ポイント回復する」
まさか凌がれるなんて思ってなかった。凄い……でも、手札はない、使えるカードはスカイスクレイパーだけなのに、なんであんなに笑っていられるの……
「いくぜ、俺のターン! よし! 俺は手札から魔法カード、強欲な壺を発動! デッキからカードを2枚ドローする! そして、魔法カード大嵐を発動! これで邪魔な罠カードはなくなったぜ。俺は手札からバブルマンを特殊召喚! 俺はバブルマンの効果で2枚ドローする!」
万花たちは十代のドロー力に驚かされていた。ドローで強欲な壺を引き当て、大嵐で自分の魔法・罠カードを全て破壊、フィールドを空にして更にバブルマンで2枚ドロー。ここまででも驚異的である。
十代くん、その顔はまだ何かあるってこと……?
「いくぜ! 万花! 俺は手札からE・HEROプリズマーを召喚! そしてプリズマーの効果発動! エクストラデッキにある融合モンスター1体を見せることでその素材となっているカード一枚を墓地に送り、このカードを墓地に送ったカードとして扱う! 俺が見せるのはサンダージャイアント! スパークマンを墓地に送るぜ。そして、手札からミラクル・フュージョン発動! 墓地のフェザーマン、スパークマンフィールドのバブルマンを除外して融合召喚する! 現れろ! E・HEROテンペスター!」
十代の墓地のヒーローとフィールドのヒーローが消え、そこから現れたのは翼をもったヒーローだった。
「まだまだいくぜ! テンペスターの効果発動! 自分フィールド場のカードを一枚墓地に送ることで自分フィールド場のモンスター1体を戦闘で破壊できなくする! バトルだ! テンペスターでマジカル・アンドロイドをアタック! カオス・テンペスト!」
「うぅ……すごいよ、十代くん。たった手札が0の状況からここまでやるなんて思ってなかったよ」
「どうだ! これで俺はターンエンドだぜ!」
十代くんには驚かされてばかりだなぁ。こんなに楽しいデュエル久しぶりだよ。絶対に勝つ!
万花は十代とのデュエルに夢中になっており、翔の叫んだ言葉はすっかり忘れていた。全力でデュエルを楽しむことしか万花の頭にはなかった。
十代 フィールド E・HEROテンペスター
手札0 LP/400
万花 フィールド C・ドラゴン
手札2 LP/3200
ネクロ・ガードナー
効果モンスター
星3/闇属性/戦士族/攻 600/守1300
相手のターン中に、墓地のこのカードをゲームから除外して発動できる。
このターン、相手モンスターの攻撃を1度だけ無効にする。
強欲な壺
通常魔法
自分のデッキからカードを2枚ドローする。
大嵐
通常魔法
フィールド上の魔法・罠カードを全て破壊する。
E・HEROバブルマン
効果モンスター
星4/水属性/戦士族/攻 800/守1200
(1):手札がこのカード1枚のみの場合、
このカードは手札から特殊召喚できる。
(2):このカードが召喚・反転召喚・特殊召喚に成功した時に発動できる。
自分はデッキから2枚ドローする。
この効果は自分の手札・フィールドに他のカードが無い場合に発動と処理ができる。
E・HEROプリズマー
効果モンスター
星4/光属性/戦士族/攻1700/守1100
1ターンに1度、エクストラデッキの融合モンスター1体を相手に見せ、
そのモンスターにカード名が記されている融合素材モンスター1体を
デッキから墓地へ送って発動できる。
エンドフェイズ時まで、このカードは墓地へ送ったモンスターと同名カードとして扱う。
ミラクル・フュージョン
通常魔法
(1):自分のフィールド・墓地から、
「E・HERO」融合モンスターカードによって決められた
融合素材モンスターを除外し、その融合モンスター1体を
エクストラデッキから融合召喚する。
E・HEROテンペスター
融合・効果モンスター
星8/風属性/戦士族/攻2800/守2800
「E・HERO フェザーマン」+「E・HERO スパークマン」
+「E・HERO バブルマン」
このモンスターは融合召喚でしか特殊召喚できない。
このカード以外の自分フィールド上のカード1枚を墓地に送り、
自分フィールド上のモンスター1体を選択する。
このカードがフィールド上に表側表示で存在する限り、
選択したモンスターは戦闘によっては破壊されない。(ダメージ計算は適用する)
「絶対に負けない! わたしのターン、ドロー! わたしは天変地異を発動! お互いのプレイヤーはデッキを裏返した状態でデュエルする! そしてわたしは手札からリチュア・ディバイナーを通常召喚! リチュア・ディバイナーの効果発動! 宣言カードは外れない! わたしが宣言するカードはA・ジェネクス・バードマン! 更に手札からバードマンの効果発動! リチュア・ディバイナーを手札に戻し、このカードを特殊召喚する! そして、レベル6C・ドラゴンにレベル3A・ジェネクスバードマンをチューニング!
巨大な鬼が作りし巨城よ、九十九宿りてその猛威を今見せん!
シンクロ召喚! 現れよ! 鬼岩城!」
「デケエ……マジかよ。でも、ワクワクしてきたぜ!」
「ふふっ、さすがだね十代くん! 鬼岩城の効果はシンクロ召喚に使用したチューナー以外の数×200ポイント攻撃力をアップさせるよ。さあ、バトル! 鬼岩城でテンペスターをアタック!」
「うわあああ! だが、テンペスターは戦闘では破壊されないぜ」
「でもダメージは通る」
「わたしはターンエンド」
「いくぜ、俺のターン! ドロー! 俺は手札からテイク・オーバー5を発動! デッキからカードを5枚墓地へ送る。そして、テンペスターを守備表示に変更。ターンエンドだ」
さすがの十代くんも動けない、か。でも、わたしが攻めきれないのも事実。ジリ貧だなぁ。でもやるしかない!
十代 フィールド E・HEROテンペスター
手札0 LP/100
万花 フィールド 鬼岩城 天変地異
手札3 LP/3200
A・ジェネクス・バードマン
チューナー(効果モンスター)
星3/闇属性/機械族/攻1400/守 400
自分フィールド上に表側表示で存在するモンスター1体を手札に戻して発動できる。
このカードを手札から特殊召喚する。
この効果を発動するために手札に戻したモンスターが風属性モンスターだった場合、
このカードの攻撃力は500ポイントアップする。
この効果で特殊召喚したこのカードは、
フィールド上から離れた場合ゲームから除外される。
鬼岩城
シンクロ・効果モンスター
星9/地属性/岩石族/攻2900/守2800
チューナー+チューナー以外のモンスター1体以上
このカードの攻撃力・守備力は、
このカードのシンクロ素材とした
チューナー以外のモンスターの数×200ポイントアップする。
テイク・オーバー5
通常魔法
自分のデッキの上からカードを5枚墓地に送る。
次の自分のスタンバイフェイズ時に墓地のこのカードが存在する場合、
手札・デッキ・墓地のこのカードと同名のカードをゲームから除外する事で、
デッキからカードを1枚ドローする事ができる。
また、このカードが墓地に存在する限り、
自分のカードの効果でデッキからカードを墓地に送る効果を無効にする。
十代と万花のデュエルを見て、明日香、翔、ももえ、ジュンコの4人は興奮していた。しのぎを削るデュエル。こんなデュエルはなかなか見ることができない。4人は会話を忘れ、ただただ見入っていた。
「わたしのターン! ドロー!」
ダメだ、テンペスターを破壊するカードがない。このターンで決めないと次が危ないかもしれないよね……
「わたしは手札から2枚のデーモンの宣告を発動! そして効果! 500ライフポイント払って宣言! 宣言するカードは異次元の指名者、宣言カードは外れない。更に500ライフポイント払って宣言! 宣言するカードはマインドクラッシュ、宣言カードは外れない」
ダメだ、ブラックホールさえデッキトップにあれば使ったあとに勝てたのに……ここでディバイナーを召喚して更に手札を増やしても無駄。むしろ的になるだけだよね。なら仕方ない、かな。
「リバースカードを2枚伏せてターンエンド」
「俺のターン! ドロー!」
あのカードを起点にされるとまずいかも……だったらここで!
「罠カードマインドクラッシュ! 宣言するカードはエアーマン!」
「そんなこともできるのか!? クッソォ、でもここからだぜ、テイク・オーバー5の効果発動! このカードを除外することで更にデッキからカードを一枚ドローする!」
「テイク・オーバー5はただの墓地肥やしじゃなかったの!? ドロー効果まであったなんて……ということは手札に加わったのって……」
「やっぱり、見えてるんだな。こんなに暗くても見えるんだもんな。俺がすることわかるよな? いくぜ! 手札から魔法カードホープ・オブ・フィフスを発動! 墓地のE・HEROを5体デッキに戻し、カードを2枚ドローする! 俺が戻すのは、フレイムウィングマン、バーストレディ、プリズマー、エアーマン、エッジマンの5体! 2枚ドロー!
「そんな!? 今ドローしたカードって……ッ!」
「よし! 俺は手札から二枚目のスカイスクレイパーを発動! そして、手札からE・HEROワイルドマンを召喚! テンペスターを攻撃表示に変更! バトルだ! 俺はテンペスターで鬼岩城にアタック! カオス・テンペストォ! ワイルドマンで万花にダイレクトアタック!」
「きゃあああああああああああ!! うう……あそこから逆転されるなんて……予想外だよ」
「ガッチャ! 楽しいデュエルだったぜ」
ホープ・オブ・フィフス
通常魔法
自分の墓地の「E・HERO」と名のついたカードを5枚選択し、
デッキに加えてシャッフルする。
その後、デッキからカードを2枚ドローする。
このカードの発動時に自分の手札・フィールド上に他のカードが存在しない場合は
カードを3枚ドローする。
E・HEROワイルドマン
効果モンスター
星4/地属性/戦士族/攻1500/守1600
(1):このカードはモンスターゾーンに存在する限り、
罠カードの効果を受けない。
「アニキ! すごいッス! やっぱりアニキは最強ッスね!」
翔は十代が勝ったことに喜んで十代に飛びついた
「うわっ! あぶなっ! そうだ、翔、お前なぁ、ちゃんと万花に謝っとけよ。確かに万花の使うカードは強力なやつが多いけどさ。それで文句言っちゃいけないぜ」
「あっ、そっか。僕……。あ、あの! 万花さん、ごめんなさいッス。ズルいなんて言っちゃって……」
「え? あ、うん。今はもう気にしてないから……大丈夫だよ」
万花はふぅ、と息を吐くと夜空を見上げた。そして、カードを、デッキを信じるということがどういうことなのかを思い出していた。
「万花さん、落ち込んでますの? わたくしはシンクロモンスターを操る万花さんをみて惚れ惚れしてしまいましたわ。どうして女の子なんですか、と思ったほどでしたわ」
「ももえ、あんた急に何言ってんのよ。でも確かにかっこよかったわよ」
「やっぱり、十代は強いわね。帰ったら一緒に反省会でもどうかしら?」
万花は視線を夜空から明日香たちに移すと笑って言った。
「うん、皆ありがとね。でも、もう遅いから帰ったら寝たいな。それに、思い出したんだ。デュエルは全力でやらないと面白くない、ってこと。大丈夫、エースを使っても、もう怖くない」
「万花?どうしたのよ、急に」
「わたしは結局自分のデッキを信じてあげられていなかったんだ、って気づいたの。だから……」
使うかもしれないじゃない、わたしのエースを喚ぶ。
感想お待ちしています!
ちなみに最後のライフ計算ですが、テンペスターの攻撃で700ダメージ、ワイルドマンで1500ダメージです。その前にデーモンの宣告を二回使っちゃったのでちょうど負けちゃった形ですね