遊戯王GX―厄災の魔女―(更新停止)   作:黒蒼嵐華

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どうしてかわからないけど書くたびに文字数が増えていく……
区切っていくべきなのか……


筆記試験! 実技試験!

よし、明日はいよいよテストだ。翔くんは慌ててテスト勉強してたけど、こういうのは慌てても得はしないんだよね。毎日コツコツとやってこそ意味があるのになぁ。それでもやらないよりはマシなんだけどね。わたしはもうできることはやった。筆記は特に心配ないけど、実技試験もあるからデッキの調整をして寝ようかな。明日の実技で誰と当たるかわからないけどね…… なんだか最近はわたしがシンクロ使いって言われてるから、そのイメージを払拭しよう。わたしが使うのはシンクロだけじゃないって……

 万花はデッキの調整を終え、床についた。そして、十代とのデュエルで得たものを思い出していた。それは、デッキを信じ、相手に全力でぶつかって挑む最高のデュエルをする。そして何より、デュエルそのものを楽しむこと。初心忘れるべからず…… 万花はその言葉を胸に刻みつけていた。

「もう絶対に負けない……」

 小さく、とても小さく呟いたその声は万花の部屋の闇に吸い込まれて消えていった。その誓いはデュエルに負けないということか、それとも……

 

「んっ、うーん。朝……よし!」

 万花は目覚しに起こされるよりもはやく目が覚めた。どこか清々しさを感じる朝だった。万花は顔を洗いに洗面所へ向かった。顔を洗うとエプロンをつけ、調理場に立った。ちなみに、エプロンはクリーム色で、万花の母からのお下がりである。このエプロンをもらった理由は母の誕生日に万花の父が新しくエプロンを買ってきたから、というものである。万花に渡す時もその理由をそのまま言ったら万花が軽く落ち込んだのは秘密である。だから、そのエプロンは少し古いデザインで、可愛らしいというよりも落ち着いているというデザインだった。しかし、万花はこのエプロンが気に入っていた。なぜなら、憧れての母親のエプロンがもらえたからである。

 よし、今日は早く起きちゃったし、少し多めに作っちゃおうかな。んーっと、今日は……メニューは決まったからサクっと作っちゃお。

 万花はメニューを決め、慣れた手つきで冷蔵庫から卵を取り出し、ボウルに落とした。そして、出汁を少々加え、桜えびを準備しておく。卵焼き用のフライパンを取り出し、油を垂らしてしばらく熱する。その間に冷蔵庫から野菜を取り出す。

その後、熱されたフライパンに卵を流し込む。一気に流し込むのではなく、少しずつ何回にも分けて流し込む。

ここで重要なのが、卵がある程度固まってから、また卵を流し込む。固まっていない時に流すと、一気に流し込むのと変わらなくなってしまう。逆に、固まってからまた流し込むとバラバラになりやすくなってしまう。ある程度固まったと思ったタイミングで卵の端を少し持ち上げ、ゆっくりとひっくり返す。卵をフライパンの端に寄せ、流し込む。それもまた少しずつである。

料理は慌ててはいけないのだ。今度は固まる前に桜えびを散らす。こうすると卵焼きを食べた時に、桜えびの風味が広がり、さらに食感もよくなる。万花が好きなメニューのうちの一つだ。そしてその作業を繰り返し卵焼きが完成した。それを冷ましている間に、先程取り出した野菜を切る。キャベツを千切りにして皿に盛る。それには何もかけず、それで一品完成である。他にも何か付け合せを作ろうと思ったが、万花はそんなに食べる方ではないので作らない。

後はトースターに食パンを一枚放っておく。そして、冷め切ってはいないが、手で触れる程度の温度になった、だし巻き玉子を切り分ける。これは弁当にも使うものであるので、形が綺麗に見える真ん中の部分を弁当用に取っておいた。そうしている間にトースターがチンッ、と音を立てた。トーストになった食パンを取り出し、丸皿に移すと、マーガリンを冷蔵庫から取り出して塗る。塗り終わったら冷蔵庫に戻し、トーストを囓る。

 

「あー、やっぱりトーストって美味しいなぁ。お米ももちろん好きなんだけどねー」

 

 うん、やっぱりトーストはこのカリッとした触感と口の中で味わう時のこのモチモチ感がたまらないんだよねー。あ、卵焼き美味しい。お母さん直伝の料理だから失敗なんてしたくないもんね。キャベツをそのまま食べるって言ったら、中学の友達は畑で採れた状態のキャベツを丸かじりすると思って止めたみたいなこともあったっけ、懐かしいなー。

 万花が自分の朝食に舌鼓を打り、食べ終えると食器の片付けをし、洗い物を始めた。シャワーの水が流れる音が部屋を満たす。その音に混じって万花は鼻歌を歌っていた。

 洗い物ってどうしてこんなにストレス解消できるんだろ。掃除もそうだけど、綺麗になるって気持ちがいいなぁ。結婚するならガサツな人がいいなぁ。だって掃除する楽しみがあるんだもんね。まあ、あまりガサツ過ぎても困るんだけど……

 洗い物を終えた万花は着替え始めた。すっかり着慣れたアカデミアの制服に身を包み、何時ものようにデッキとデュエルディスクをつけ、そして筆記用具を準備し学校へ向かった。道中で明日香やももえ、ジュンコと遭遇したので、一緒に向かった。学校へ向かう途中で、ジュンコがうなだれていた。

 

「明日香さーん、どの問題が出そうか教えてくださいよー。あたし、昨日頑張ったんですけど、どうにも覚えられなくて……」

「ジュンコ、勉強は付け焼刃でどうにかなるものじゃないのよ。毎日頑張りなさい」

「そんなぁー、明日香さーん。じゃあ万花はどこが出ると思う?」

 

 ジュンコは明日香が教える気がないとわかったらしく万花に助けを求めてきた。

「うーんと、わたしはやっぱり応用でシンクロやエクシーズが出ると思うな。それと基礎問題では代表的な魔法・罠の種類や効果とかかなー」

「なるほど」

「ジュンコさん、上手く煙に巻かれましたわね」

「ももえの言うとおりね。万花、あなた結構ひどいのね」

 

 ええ!? わたしがひどいって……確かにクロノス先生が言ってたことをそのまま使っただけだけど……

 ジュンコには聞こえないように、万花は明日香とももえに抗議する

 

「うう、二人ともひどいよ……でも、ジュンコちゃんが勉強してないからいけないんだよ」

「それもそうね」

「全くもってその通りでしたわ」

 

その抗議に二人はあっさりと納得した。そんな他愛もない話をしながら教室についた。教室に着くと、やはり教科書は見たくなるもので、万花以外の三人が教科書を開き、範囲のページを確認し始めた。万花はノートを取り出し、それを眺め始めた。それに気づいたらしい明日香が疑問符を浮かべて万花に質問した。

 

「ねえ万花、そのノートは?」

「え? ああ、これはクロノス教諭や他の先生方の話をまとめたものだよ。アカデミアは講義形式の授業だから、とりあえず全部書き出して後でまとめたの。」

「へぇー、よくやるわ。ちょっと見せてくれないかしら」

「うん、いいよ。どうぞ」

「ありがとう」

 

 明日香は万花のノートを見て綺麗にまとまってるわね、と呟いた。その呟きに反応したジュンコがバッと明日香の方を見て、捨てられた子犬のような目をしていた。

 ジュンコちゃん……言ってくれれば貸すのになぁ。

 

「明日香ちゃん、貸してあげて。なんか、こう見てて辛いよ」

「奇遇ね、私もそう思っていたところよ。ジュンコ、そんな顔するなら最初から勉強しなさいよ……」

 

 ジュンコにノートを貸した万花は明日香と共に問題の予想をしているうちに時間がきた。時間通りにクロノスが教室に入ってきた。

 「では、今からテストを始めるノーネ。余計なものはしまいなサーイ。出していいのは書くものと、消すものと、替えの書くものだけナノーネ。……では、テスト問題を配布するノーネ。今回のテストは初めてなので、簡単に作ってはありまスーガ、勉強していないと、できないノーネ。では始めるノーネ。まずは寮、番号、名前を記入しなサーイ」

 

 よし、テストだ。どんな問題なんだろうなー、楽しみ!

 

一. 次の効果を持つカード2枚を答えよ。

問1. 貫通効果を持つモンスターカード

問2. 破壊された時にモンスターをデッキから特殊召喚することのできるモンスターカード

問3. ダメージステップ時に使うことのできる魔法カード

問4. 手札誘発の効果を持つモンスターカード

問5. モンスターを除外することのできる罠カード

 

普通に授業聞いていればできるレベルの問題だね。これなら満点取れるかも!

万花が全ての問題を解き終わった頃、ようやく十代が入ってきた。そして寝ていた翔を一回は起こしたものの、すぐに翔と一緒に寝てしまった。

十代くんも翔くんも大丈夫かなぁ……翔くんはきっと徹夜でもしちゃったのかな。十代くんは実技試験でどうとでもなるから心配はいらないかな。

全ての筆記試験が終わり、全ての生徒が昼に入荷されるというパックを求めて、購買部へ走っていった。十代たちも例外ではなかったらしく、少し出遅れたが急いで購買部に走り去った。万花は一人残り、自作してきた弁当を頬張っていた。

 

 昼休憩が終わり、デュエル場へと移動した生徒達はクロノスに自分の番号が呼ばれるまで、待機していた。当然万花も例外ではなく、明日香やももえたちと一緒に座っていた。そして、十代の名前が呼ばれ、相手はあの万丈目準だった。VWXYZに苦しめられる十代だったが、ハネクリボーが進化した姿であるハネクリボーLV.10の効果により勝利を納め、見事イエロー寮に昇格した。

 

「さすがね、十代は」

「本当に強いなぁ。あの時のわたしの全力でも勝てなかったし、すごく強い。天変地異が発動していても、2枚のドローでひっくり返されちゃうんだもん……楽しかったなぁ。あのデュエル、もう一回やりたいな」

「あら、万花さんは随分あの殿方にご執心ですわね。もしかして好きなんですの?」

「うーん、恋とは違うかなぁ。でも、これからどうなるかはわからないけどね……それに、十代くんのことが好きなのは明日香ちゃんだと思うけど」

「ば、万花!? そんなわけ無いでしょ! 別に十代の事なんて……」

「明日香さん!? 本当なんですか!? あんなオシリスレッドのやつのどこが……」

「だから、違うって言ってるでしょ! もう!」

「あはは、ごめんごめん」

 

 明日香ちゃんって意外とこの手の話題に弱いんだ。ふふ、機会があったらまた弄ろう。あんまりやりすぎるのはいけないけどね。

 四人が盛り上げっているとスピーカーを通して、クロノスの声が聞こえた。

 

「あー、あー、では次からはブルー女子寮の実技試験を行うノーネ。まず最初は、シニョーラ天上院、そしてシニョーラ千維。出てくるノーネ」

 

 わたしの相手は明日香ちゃん……か。明日香ちゃんこっち見てそんなに睨まないでよー。でも、勝つのはわたし!

 

「万花、手加減なんて許さないわよ。いいデュエルにしましょう」

「うん、手加減なんてするつもりないよ。全力戦って、わたしが勝つ!」

 

 万花と明日香が同時にデュエル場に立ち、クロノスはその闘気をひしひしと感じていた。そして、自分のアイディアにほくそ笑んでいた。

 

「(やはり、この二人をデュエルさせることは正解だったようでスーネ。オベリスクブルーの女子でも最高レベルの実力を持つシニョーラ天上院とシンクロモンスターを使いこなすシニョーラ千維。どちらが勝つか楽しみナノーネ。ただ、私が見たデュエルの中では、シニョーラ千維はエクシーズモンスターを使っていないノーネ。引き出してほしいノーネ)では、実技試験を開始するノーネ。準備は良いデスカ?」

「「はい!」」

「よろしいノーネ、では開始ナノーネ」

「「デュエル!!」」

 

「先行はわたし! わたしは手札から増援を発動し、終末の騎士を手札に加えるよ。そして、終末の騎士を召喚。トリック・デーモンを墓地に送り、トリック・デーモンの効果発動! デーモンの宣告を手札に加えるよ。そして、デーモンの宣告を発動! そしてデーモンの宣告の効果発動! 500ライフポイント払い、宣言するカードは天変地異!」

 

万花LP4000→3500

 

万花のプレイングを見て明日香は驚愕した。なぜなら開始時でデッキは35枚、トリック・デーモンを墓地に送り、34枚。そしてデーモンの宣告をサーチして33枚。これで一枚のカード(天変地異は3枚入っているが)を当てるということは運に頼るしかないからだ。

 

「なっ!? ここで天変地異を宣言するですって!? 当たるはずがないわ!」

「(アンビリバボー、今までのデュエルでは安全策でしかデーモンの宣告の効果を使っていまセンでしたが、賭けに出たというのデスーカ?)」

「マジかよ。万花のやつ、ワクワクすることするじゃねえか!」

「アニキ! そんなこと言ってる場合じゃ……アレじゃあすぐにライフが尽きちゃうッス! そりゃもちろん、明日香さんも応援はしてるッスけど……」

「大丈夫だぜ、翔。万花の顔見てみろよ。あいつだって何も考えなしに効果を使ったわけじゃないんだろ」

「うう……でもぉ」

 

 万花がデッキトップのカードをめくる。そしてそのカードはゾンビキャリア。

 

「わたしのデッキトップはゾンビキャリア! 宣言したカードではないのでゾンビキャリアは墓地へ送るよ。カードを一枚伏せてターンエンド!」

 

 よし、ゾンビキャリアならまずまずの結果だね。

 万花の考えとは別にほとんど観客はデーモンの宣告を無駄に使ったようにしか見えていなかった。500ライフポイント払ってまで失敗するという愚行を犯したようにしか映らないのだ。万花にとっては意味のある失敗ということに気づいているのは対戦者の明日香、十代、翔、ももえ、ジュンコくらいだろう。チューナーモンスターであるゾンビキャリアはあまり広く知られていない。何かあると睨んでいるのは丸藤亮やクロノス、万丈目といったアカデミアでもトップクラスのデュエリストだけだった。

 

「やるわね、万花。それが狙いかしら?」

「狙ってなんかないよ。天変地異が来ればそれでもよかったし、何が落ちてもわたしのデッキは再利用できるカードが多いからね」

「なるほどね。いくわ! 私のターン! ドロー! 私はブレード・スケーターを召喚し、ミスト・ボディを装備! そして終末の騎士にアタックよ! アクセル・スライサー!」

 

明日香のプリマの一体が華麗に終末の騎士に回転しながら近づき、スケートシューズで切り裂いた。毎回やられる終末の騎士……あはれなり。

 

「うう……まだまだだよ!」

 

「私はカードを二枚伏せてターンエンドよ」

 

万花 フィールド デーモンの宣告 伏せ1

手札2 LP3500

 

明日香 フィールド ブレード・スケーター ミスト・ボディ 伏せ2

手札2 LP4000

 

ブレード・スケーター

通常モンスター

星4/地属性/戦士族/攻1400/守1500

氷上の舞姫は、華麗なる戦士。

必殺アクセル・スライサーで華麗に敵モンスターを切り裂く。

 

ミスト・ボディ

装備魔法

装備モンスターは戦闘では破壊されない。

 

 

「わたしのターン、ドロー! わたしは手札からモンスターをセットし、ターンエンド」

「どうしたの、防戦一方かしら。私のターン! ドロー! 私は手札から融合を発動! 手札のエトワール・サイバーとフィールドのブレード・スケーターを融合! 来なさい! サイバー・ブレイダー!」

 

 二体のプリマが渦に消え、光とともに一体のプリマとなって現れる。エトワール・サイバーの身体。ブレード・スケーターの頭、足など。特徴的な部分は残しつつ、美しいプリマだった。

 

「(わざわざセットしたということは守備力がものすごく高いか、リバース効果を持つモンスター。万花のことだから恐らく後者ね。どんな効果はわからないけど、やるしかないわ)戦闘よ! サイバー・ブレイダーで裏側モンスターにアタック! グリッサード・スラッシュ!」

 

フィールドにセットされていたモンスターが表側になると、杖を持った可愛らしい少女がいた。そして表になった瞬間に杖が光り、万花のデッキを照らし出した。

 

「この瞬間、リチュア・エリアルのリバース効果発動! デッキからリチュアと名のついたカードを一枚手札に加えることができる! わたしはリチュア・ビーストを手札に加えるよ」

「ふふ、やっぱりリバース効果だったのね。でも、破壊効果じゃなくて安心したわ。わたしはターンを終了するわ」

 

 さすが明日香ちゃん。リバースモンスターってことを理解した上で攻撃してきた。大体の人は何も考えずに突っ込んでくると思うんだけどなぁ。でも、ここからが勝負!

 

万花 フィールド デーモンの宣告 伏せ1

手札3 LP3400

 

明日香 フィールド サイバー・ブレイダー 伏せ2

手札1 LP4000

 

エトワール・サイバー

効果モンスター

星4/地属性/戦士族/攻1200/守1600

このカードは相手プレイヤーを直接攻撃する場合、

ダメージステップの間攻撃力が500ポイントアップする。

 

サイバー・ブレイダー

融合・効果モンスター

星7/地属性/戦士族/攻2100/守 800

「エトワール・サイバー」+「ブレード・スケーター」

このモンスターの融合召喚は上記のカードでしか行えない。

相手のコントロールするモンスターが1体のみの場合、

このカードは戦闘によっては破壊されない。

相手のコントロールするモンスターが2体のみの場合、

このカードの攻撃力は倍になる。

相手のコントロールするモンスターが3体のみの場合、

このカードは相手の魔法・罠・効果モンスターの効果を無効にする。

 

リチュア・エリアル

効果モンスター

星4/水属性/魔法使い族/攻1000/守1800

リバース:デッキから「リチュア」と名のついたモンスター1体を手札に加える事ができる。

 

「わたしのターン、ドロー! わたしはリチュア・ビーストを通常召喚! リチュア・ビーストの効果により、墓地のレベル4以下のリチュアと名のついたモンスターを一体特殊召喚するよ! 甦れ! リチュア・エリアル!」

「万花、甘いわね。私のサイバー・ブレイダーは相手フィールド場に存在するモンスターが2体の場合攻撃力を2倍にする! パ・ド・トロワ!」

 

サイバー・ブレイダーATK2100→4200

 

 明日香のサイバー・ブレイダーの効果が上昇したことで観客たちが目をまん丸にして見ていた。曰く、攻撃力4200!? ウソだろ!? あんなモンスターどうやって倒すんだよ! である。

 

クロノスもその攻撃力に驚きはしたが、万花のフィールドを見てすぐに理解した。

 

「(レベル4のモンスターが二体……ということはエクシーズ召喚の可能性が高いノーネ。見せてもらいまショウ、シニョーラ千維。あなたの力を)」

 

「明日香ちゃん、残念だけどその効果はあんまり意味ないよ! わたしはレベル4リチュア・ビーストとレベル4リチュア・エリアルでオーバーレイネットワークを構築!

  生まれし時よりかしづきし深窓の令嬢よ、枷を外してその力を我に見せん!

         エクシーズ召喚! 現れろ! No.103 神葬零嬢ラグナ・ゼロ!」

「エクシーズ召喚ですって!? あなたはシンクロ以外にも使いこなせるってわけね。さすがだわ、万花」

「わたしの全力はこんなもんじゃないよ! バトル!ラグナ・ゼロでサイバー・ブレイダーにアタック! ゼロ・トゥ・インフィニティ!」

「ああっ! まだまだよ!」

 

明日香LP4000→3700

 

「そっか……サイバー・ブレイダーは……」

「ええ、そういうことよ。サイバー・ブレイダーは相手のモンスターが1体の場合、戦闘では破壊されないわ! パ・ド・トゥ!」

「わたしはカードを一枚伏せてターンエンド」

 

 エクシーズ召喚の流れにも観客たちは驚いていたが、それ以上に明日香の巧みな戦術に驚いていた。複雑な効果を持つ、サイバー・ブレイダーを手足のように操って、デュエルをしているそのタクティクス見惚れているのだ。

 

「万花のエンドフェイズ時にリバースカードオープン! リビングデッドの呼び声を発動! 私はエトワール・サイバーを蘇生する! そして、私のターン! ドロー!私は手札からシエンの間者を発動相手に自分のモンスターをエンドフェイズまでコントロールを渡すわ。私が渡すのはエトワール・サイバー。そして相手フィールド場のモンスターが2体なのでサイバー・ブレイダーの攻撃力は上昇するわ! パ・ド・トロワ!」

「この瞬間ラグナ・ゼロの効果発動!」

「相手のターンに効果ですって!? そんなカードが……」

「ラグナ・ゼロの効果によりエクシーズ素材を一つ取り除いて、相手フィールド場に表側攻撃表示で存在する元々の攻撃力ではないモンスターを1体破壊し、更にドローする!」

「なっ!? だったらリバースカードオープン! 亜空間物質転送装置発動! このターンのエンドフェイズまでサイバー・ブレイダーは次元世界へ飛ぶわ」

「さすが明日香ちゃん。上手く躱すね」

「当然よ、私を舐めないでちょうだい。私はカードを1枚伏せて、ターンエンドよ。エンドフェイズ時にサイバー・ブレイダーは次元世界から、エトワール・サイバーはあなたのフィールドからそれぞれ帰ってくるわ」

 

 まさかラグナ・ゼロの効果を躱されるなんて思ってなかった……うーんここは次のターンにモンスターを引けば……いける!

 

万花 フィールド ラグナ・ゼロ デーモンの宣告 伏せ1

手札2 LP3400

 

明日香 フィールド サイバー・ブレイダー エトワール・サイバー 伏せ1

手札0 LP3700

 

リチュア・ビースト

効果モンスター

星4/水属性/獣族/攻1500/守1300

このカードが召喚に成功した時、

自分の墓地のレベル4以下の「リチュア」と名のついた

モンスター1体を選択して表側守備表示で特殊召喚できる。

 

No.103 神葬零嬢ラグナ・ゼロ

エクシーズ・効果モンスター

ランク4/水属性/天使族/攻2400/守1200

レベル4モンスター×2

1ターンに1度、このカードのエクシーズ素材を1つ取り除き、

相手フィールド上に表側攻撃表示で存在する、

元々の攻撃力と異なる攻撃力を持つモンスター1体を選択して発動できる。

選択したモンスターを破壊し、デッキからカードを1枚ドローする。

この効果は相手ターンでも発動できる。

 

リビングデッドの呼び声

永続罠

(1):自分の墓地のモンスター1体を対象としてこのカードを発動できる。

そのモンスターを攻撃表示で特殊召喚する。

このカードがフィールドから離れた時にそのモンスターは破壊される。

そのモンスターが破壊された時にこのカードは破壊される。

 

シエンの間者

通常魔法

自分フィールド上に表側表示で存在するモンスター1体を選択して発動する。

このターンのエンドフェイズ時まで、選択したカードのコントロールを相手に移す。

 

亜空間物質転送装置

通常罠

自分フィールド上に表側表示で存在するモンスター1体を選択し、

このターンのエンドフェイズ時までゲームから除外する。

 

「わたしのターン! ドロー! よし、わたしは天変地異を発動! 天変地異の効果により、デッキを裏返した状態でデュエルをするよ! そして500ライフポイント払いデーモンの宣告の効果を発動! 宣言するカードは魔界発現世行きデスガイド! 宣言カードは外れない。そして、デスガイドを通常召喚!」

 

万花LP3500→3000

 

デスガイドを召喚した瞬間に翔がニマニマしていた。それだけでなく、一部の男子生徒から歓声が上がった。

 

「アニキー、あの子可愛いッスよー。さっきのリバース効果のモンスターも可愛かったッス! あ! 今僕に投げキッスしたッス! 絶対にしたッス!」

「翔、お前どうしたんだよ。それにブラマジガール一筋だって言ってなかったか?」

「アニキ、それはそれ、これはこれッス」

「意味分かんねぇ……」

 

そんな会話が行われていることなど露知らず万花は再びエクシーズ召喚の準備を始める。

 

「デスガイドの効果によりデッキか悪魔族・レベル3のモンスターを1体特殊召喚するよ! わたしが特殊召喚するモンスターは!トリック・デーモン! レベル3魔界発現世行きデスガイドとレベル3トリック・デーモンでオーバーレイネットワークを構築!

  幸運を運びし青い鳥よ、我が命に安らぎと癒しを与えたまえ!

         エクシーズ召喚! 現れよ! No.49 秘鳥フォーチュンチュン!」

 

 今度は女生徒から歓声が上がった。ももえやジュンコも例外ではなかったようで、フォーチュンチュンの姿を見て、キャーキャーと興奮していた。

 

「見てくださいまし! ジュンコさん! あの小鳥ちゃん! 青くてとっても可愛いですわ!」

「わかってるわよ、ももえ! それにあの動き超可愛いー! 万花あんなカード持ってたのね! 後で見せてもらいましょうよ!」

「ええ! そうしましょう! それがいいですわ!」

 

 親友同士が固く手を結んでいることなど知らない万花はデュエルを続行する。

 

「これで、サイバー・ブレイダーの攻撃力は二倍になる」

「くっ、その通りよ……」

「そして、ラグナ・ゼロの効果が使える! エクシーズ素材を一つ取り除き、ラグナ・ゼロの効果発動するよ! ガイダンス・トゥ・フューネラル!」

「サイバー・ブレイダー! まだ終わっていないわ!」

「わたしは攻撃力の変動したモンスターを破壊したことにより、カードを1枚ドローする。そして、バトル! ラグナ・ゼロでエトワール・サイバーを攻撃! ゼロ・トゥ・インフィニティ!」

「この瞬間、罠カードオープン! 炸裂装甲! 攻撃モンスターを破壊するわ」

「ラグナ・ゼロが……! わたしはカードを1枚伏せてターン終了」

「私のターン! ドロー!」

 

 今明日香ちゃんがドローしたカードは強欲な壺、悔しいけど、今私に止める術はない。

 

「私は手札から強欲な壺を発動! デッキからカードを2枚ドローする! まだ終わらないわ! 魔法カード天使の施しを発動! デッキからカードを三枚ドローし、2枚捨てる。更に私は手札から融合回収を発動! 墓地の融合素材となったモンスター、ブレード・スケーターと融合を手札に加えるわ。そして融合を発動! プリマスターは一度落ちたくらいじゃ落としきれないのよ! 手札のブレード・スケーターとフィールドのエトワール・サイバーを融合! 再び舞台に現れなさい! サイバー・ブレイダー! そしてバトル! フォーチュンチュンにアタックよ! グリッサード・スラッシュ!」

「ふふ、フォーチュンチュンのモンスター効果このカードのエクシーズ素材を一つ取り除くことで破壊を免れるよ! 更に、エクシーズ素材として墓地に送ったトリック・デーモンの効果により、デーモンの宣告を手札に加えるよ!」

「そんな効果まであるのね。面白くなってきたわ。さあ、これからどうするのかしら!」

 

 明日香ちゃんとのデュエルも楽しい。すごく楽しい。これが終わらなければいいのにって思っちゃう。でも、デュエルは終わりがあるからまたいいんだ。楽しいんだ、勝ったら嬉しいし、負けたら悔しい。だからこそ楽しいんだ。次に引くカードはわたしのエースへの布石、エースは既に手札にいる。絶対に勝つ!

 

万花 フィールド フォーチュンチュン デーモンの宣告 天変地異 伏せ1

手札 3 LP3000

 

明日香 フィールド サイバー・ブレイダー 伏せなし

手札1 LP3600

 

魔界発現世行きデスガイド

効果モンスター

星3/闇属性/悪魔族/攻1000/守 600

このカードが召喚に成功した時、

手札・デッキから悪魔族・レベル3モンスター1体を特殊召喚できる。

この効果で特殊召喚したモンスターの効果は無効化され、シンクロ素材にもできない。

 

No.49 秘鳥フォーチュンチュン

エクシーズ・効果モンスター

ランク3/光属性/鳥獣族/攻 400/守 900

レベル3モンスター×2

自分のスタンバイフェイズ毎に自分は500ライフポイント回復する。

フィールド上のこのカードはカードの効果の対象にならない。

このカードが破壊される場合、

代わりにこのカードのエクシーズ素材を1つ取り除く事ができる。

また、このカードがフィールド上から墓地へ送られた時、

自分の墓地のレベル3モンスター2体を選択して発動する。

選択した2体をデッキに戻し、墓地のこのカードをエクストラデッキに戻す。

「No.49 秘鳥フォーチュンチュン」のこの効果は1ターンに1度しか使用できない。

 

炸裂装甲

通常罠

(1):相手モンスターの攻撃宣言時、攻撃モンスター1体を対象として発動できる。

その攻撃モンスターを破壊する。

 

天使の施し

通常魔法

自分のデッキからカードを3枚ドローし、その後手札を2枚選択して捨てる。

 

 

融合回収

通常魔法

自分の墓地に存在する「融合」魔法カード1枚と、

融合に使用した融合素材モンスター1体を手札に加える。

 

「わたしのターン! ドロー! スタンバイフェイズ時、わたしはフォーチュンチュンの効果で500ライフポイント回復する。そして、わたしはデーモンの宣告の効果を発動! 宣言するカードはリチュア・ディバイナー!」

「これで更なるドローができるってわけね」

 

万花LP3000→3500→3000

 

「残念だけど今回は違うよ。見せてあげる。わたしのエースを!」

「万花のエース……? 臨機応変に対応してくるのが万花の戦術だと思っていたけど……」

「いくよ! わたしは手札の瀑征竜‐タイダルの効果発動! 手札からこのカードと水属性モンスターを墓地に送ることで、デッキからモンスター1体を墓地へ送ることができる! わたしが墓地へ送るのはBF‐精鋭のゼピュロス! 仕込みは終わり。まずは最上級のシンクロモンスターを召喚する! リバースカードオープン! リビングデッドの呼び声、蘇らせるカードは終末の騎士! 終末の騎士の効果により、ゾンビキャリアを墓地へ送るよ! ゾンビキャリアの効果発動! 手札を1枚デッキトップに戻し、このカードを蘇生する! そしてBF‐精鋭のゼピュロスの効果発動! 終末の騎士を手札に戻して墓地から蘇生! このカードがこの方法で召喚に成功した場合、自分は400ポイントのダメージを受けるよ」

 

万花3000→2600

 

「そこまでして一体何をしようというの!?」

 

 やっぱり、わたしの全力は1ターンが長い上に最低なことをするから嫌なのかもしれない。でも、わたしは全力で戦い抜きたい!

 

「いくよ! 明日香ちゃん! わたしは手札から終末の騎士を召喚! 効果発動、墓地へ送るのは3枚目のトリック・デーモン! 効果発動! デーモンの宣告を手札に加えるよ。レベル4終末の騎士とレベル4精鋭のゼピュロスにレベル2ゾンビキャリアをチューニング! 古の森を守りし聖なる獣よ、神樹となりし我の盾となせ! 

                 シンクロ召喚! 現れよ! 神樹の守護獣‐牙王!」

「レベル10のシンクロモンスター……さらに攻撃力が3100だなんて」

「まだまだぁ! わたしは墓地の水属性が5体の時のみ特殊召喚する事のできるモンスターがいる! わたしのエースモンスターのうちの1体! わたしの墓地の水属性モンスターは、リチュア・エリアル、リチュア・ビースト、ラグナ・ゼロ、瀑征竜‐タイダル、リチュア・ディバイナーの5体のみ! よって特殊召喚できるよ!

鍵は開かれた。氷河より放たれし災厄は世界を氷で包み込み、すべてを凍てつかせ絶望に染めるだろう! 現れよ! 氷霊神ムーラングレイス! ムーラングレイスの効果発動! このカードが特殊召喚に成功した時相手の手札をランダムに2枚捨てる! 明日香ちゃんの手札は2枚! だから2枚とも捨てさせてもらうよ! これがわたしのエースの1体!」

 

身体中を鎧のようなもので覆い尽くし、所々に氷で出来た刺が見える。そして覆われた鎧から覗く光る目が不気味な雰囲気を醸し出し、解放された喜びからか、暴れさせろと言っているようであった。

 

「攻撃力2800のモンスターに更にハンデスまで備えているなんてね……まだ私は負けていないわ!」

 

 知ってる、さっきの天使の施しでネクロ・ガードナーが墓地に送られたってこと。でも、関係ない!もう1体上級モンスターを出せばいい話だから。

 

「わたしは手札よりの死者蘇生発動! 瀑征竜-タイダルを墓地から蘇生する! バトル! 牙王でサイバー・ブレイダーを破壊!」

「あああああっ!」

 

明日香LP3600→2600

 

「更に瀑征竜‐タイダルでダイレクトアタック!」

「まだよ!私は墓地のネクロ・ガードナーの効果発動! 攻撃を無効にするわ」

「これで最後! 氷霊神ムーラングレイスでダイレクトアタック! サラウンド・グレイシア」

「ああああああああッ!」

 

 もしかしたら嫌われるかもしれない。明日香ちゃんはもうわたしとデュエルしてくれないかもしれない。不安で、不安で、仕方ないけど明日香ちゃんの側に行ってもいいのかな。

「あ、明日香ちゃん」

「いいデュエルだったわ、万花。アレがあなたのエースね。最後のターンにアレだけ上級モンスターを並べられるなんて思ってなかったわ。完敗よ。でも、次は私が勝つわ!」

「あ、えと……うん! でも次もわたしが勝つよ!」

 

 よかったー、嬉しいなぁ。ありがとう、明日香ちゃん。全力でデュエルしてもいいんだね……卑怯かもしれないけど、わたしのエースが認められたんだ。すごく嬉しいなぁ。部屋で泣いちゃいそうだよ……

 

「では、このデュエルはシニョーラ千維の勝利とするノーネ!」

「「ありがとうございました!」」

「(しかし、アレほどまでにエクシーズ召喚も操ることができるトーハ、予想外でしターノ。将来安泰デスーネ。今日は良いものが見れてよかったノーネ。その前に残念なものも見てしまいましターガ。十分帳消しになったノーネ)」

 

瀑征竜‐タイダル

効果モンスター

星7/水属性/ドラゴン族/攻2600/守2000

自分の手札・墓地からこのカード以外のドラゴン族

または水属性のモンスターを合計2体除外して発動できる。

このカードを手札・墓地から特殊召喚する。

特殊召喚したこのカードは相手のエンドフェイズ時に持ち主の手札に戻る。

また、このカードと水属性モンスター1体を手札から墓地へ捨てる事で、

デッキからモンスター1体を墓地へ送る。

このカードが除外された場合、

デッキからドラゴン族・水属性モンスター1体を手札に加える事ができる。

「瀑征竜-タイダル」の効果は1ターンに1度しか使用できない。

 

BF‐精鋭のゼピュロス

効果モンスター

星4/闇属性/鳥獣族/攻1600/守1000

このカードが墓地に存在する場合、

自分フィールド上に表側表示で存在するカード1枚を手札に戻して発動できる。

このカードを墓地から特殊召喚し、自分は400ポイントダメージを受ける。

「BF-精鋭のゼピュロス」の効果はデュエル中に1度しか使用できない。

 

神樹の守護獣‐牙王

シンクロ・効果モンスター

星10/地属性/獣族/攻3100/守1900

チューナー+チューナー以外のモンスター1体以上

このカードは、自分のメインフェイズ2以外では相手のカードの効果の対象にならない。

 

氷霊神ムーラングレイス

効果モンスター

星8/水属性/海竜族/攻2800/守2200

このカードは通常召喚できない。

自分の墓地の水属性モンスターが5体の場合のみ特殊召喚できる。

このカードが特殊召喚に成功した時、

相手の手札をランダムに2枚選んで捨てる。

「氷霊神ムーラングレイス」のこの効果は1ターンに1度しか使用できない。

このカードがフィールド上から離れた場合、

次の自分のターンのバトルフェイズをスキップする。

 

 

 万花は自室に戻ると制服も脱がずにただ泣いた。悔しくて、悲しくて泣いたのではない。嬉しかったのだ。初めて自分のデュエルを受け止めてくれた人がいた。中学時代の友達相手では全力を出し切れなかった。万花が強すぎたからである。アカデミアでようやく出会えたデュエリストたち。自分よりも強い相手。まだ見ぬカードにまだ見ぬ強敵たち。気づけば、万花の涙は止まり、これからの学園生活の想像に胸を躍らせていた。

 ああ、ここでは自分を出していいんだ。自分のデュエルをしても何も咎められることはないんだ。それに、クロノス先生もわたしと明日香ちゃんのデュエルを本気で見守っててくれる。先生たちもいい人ばかり。わたしここに来て良かったよ。

 




今回は万花のエースの1体が登場しました。タイダルの方が災厄って感じしますけどね(笑)
というか征竜がOCGの災厄みたいなものですけどね(笑)

ナンバーズは特殊なカードという扱いではなくそういうモンスター群だという風に扱いたいと思います。世界繋がってないし大丈夫ですよね?

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