さらに多くの方に読んでいただけるようになりました。
ありがとうございます皆さん! これからもがんばるます
それはそうと三話で誤字報告を結構いただきました。修正しときます。
〜前回のあらすじ〜
古田「デスナイト使えるようになったお」
じる「アインズに会おうか」
元骨「」
「あの、師匠? 今なんと・・・・・・?」
「む? 聞いておらんかったのか?」
「いえ、聞いてはいたんですけど、仰られたことがよくわからなくてですね・・・・・・」
帝国魔法省にて。
アンデットを用いた労働力の実験の手伝いを行った後、アインズは師の魔法談義に付き合わされていた。
やっと終わりそうだと思っていた折に、信じられないことを耳にした気がした。
「皇帝陛下がお主と会って話がしたいそうだ」
アインズ・ウールゴウンは、人生最大の危機を迎えようとしていたーー!
「それで、皇帝陛下とお会いすることになったんですか?」
「まぁ、そりゃ、ねぇ・・・・・・」
アインズは、学院の講師室で項垂れていた。
誰だって偉い人と話すとなれば緊張というか、気が重く成るのではないだろうかとアインズは今でも思っている。
前世では仕事として他企業の偉い人にプレゼンをする機会もあったが、今回は会社の社長とかそんなレベルではない。
相手は皇帝。一つの国の、国家元首だ。
そんな相手からの面会の希望など断れないし、自分じゃなくても気が引けるだろう。
無礼を働こうものなら、その場で首が物理的に飛んでもおかしくはない。
まして「鮮血帝」という、物騒な異名を持つ相手ならば尚のこと。
(しかし、皇帝がただの講師である俺に何の用なんだ?)
これがとんと分からない。
まさか魔法の講義をしてくれとは言わないだろう。彼の側にはフールーダという大魔法使いがいるのだから、そっちに聞いたほうが早いし確実の筈。
実際に教えていたとも聞いたことがある。
皇帝とは面識もない。
確かに彼の皇帝に仕える四騎士のうちに顔見知りはいるし、自分の師匠は最も近い人物と言っていい。
だとしても。
「それでいきなり会うことにはならないと思うんだけどなー普通」
「いつ会いに行かれるんですか?」
「それなんだよなぁ・・・・・・」
話を持ってきた師匠曰く、「お前の希望の日時を伝える」とのことだったが、あまり待たせるわけにはいかない。
目上の相手の提案をあまり先延ばしし続けるのは失礼と思われるだろう。
ただでさえ最近は何かと忙しいというのに。
しかしもしそうなればさっきとは違う意味でクビが飛んで、路頭に迷うことになる可能性すらある。
(おっかない二つ名の上に、メチャクチャ頭いいって聞くしなぁ。しかも俺より若くてイケメンって)
自分とは違う世界の人間すぎて、ほんとに会えるのかすら疑問になってきた。
正直礼儀作法についてもあまり自信がない。目の前にいる元貴族の弟子に教えて貰うべきだろうか。
会えませんとも言えない。
Noと言える人間になり・・・・・・いや今回は例外だろう。
(とりあえず失礼のないように当たり障りのない対応をして、クビにだけはならないようにしよう。)
日付に関しても、先方のご都合に合わせますとでも言っておけばいいだろうか。
厄介ごとを一度頭の中から追い出し、アインズは明日の講義に備えることにした。
「こちらに合わせると?」
「はい。パラダイン様よりそう伺っております、陛下」
自らの執政室で、ジルクニフは秘書官から面会予定の者からの返答を耳にしていた。
(具体的な日付ではなく、あくまでこちらに委ねるか・・・・・・)
どこか含みを持つような返答だ。
ジルクニフとしては、単に功労者を見ておきたいという軽い興味本位から提案した面会だったが、ここにきて考えを改めた。
今回の面会、もとい招喚は、件の魔法講師の皇帝に対するスタンスを測る目的もあった。
すなわち早く応じればそれだけ皇帝を尊重していることになり、逆に遅ければ軽視しているという風に。
しかし向こうはどちらとも取れない、或いはどちらとも取れるような答えを返してきた。
(こちらの狙いに気づいている・・・・・・? 気づいた上で、あえてこの反応なのか? そうだとして何の意味が・・・・・・軽んじているとしても・・・・・・いや、爺の話では講師として一流故に多忙だと聞いている。自分でもいつ会えると確約できないから、皇帝である私の望む通りにしようと? 皇帝が望むならこちらを優先し、いつでも予定を空けると? 多忙な中であってもいつでもいいという、己の優秀さを示そうともしているのか?)
重視か軽視か。
無論前者である方が望ましいが、仮に後者だとしても簡単に手放すには惜しい人材だ。
近年の帝国の若い魔法詠唱者の目覚ましい成長の立役者とされ、先日のフールーダの位階上昇に関しても彼が影響を及ぼしたという。
強さはともかく、知識に関してはあのフールーダに負けずとも劣らぬとか。
今は第三位階までしか扱えずとも、ゆくゆくはより上位の魔法を使えるようになる可能性は高いと見ていいだろう。
そんな人材がもし他国に流れようものなら、その損失は長い目で見るほど恐ろしいものになるだろう。
このまま帝国に貢献し続けてもらう必要がある。
(もし帝国を見限り王国にでも行こうとするならーー)
帝国魔法学院という国家の抱える組織に属している以上、ある程度はどうとでもなるが、最悪は考慮しておくべきだろう。
よりによってあの魔法蔑視の国に行くとも思えないが、それ以外の要因で出ていかないとも限らない。
その時はーー
「あー、難しい顔しているところ悪いんですがね陛下。心配しすぎだと思いますよ」
眉間に皺が寄り始めたジルクニフに臣下らしからぬ声をかけたのは、その日彼の警護をしている大柄の騎士。
四騎士の筆頭である「雷光」のバジウッド・ペシュメルだった。
「意外だな。お前と面識があったとは」
「いやぁ、昔ちょいと知り合いましてね」
何故知っていたならもっと早く言わなかったのか、という皮肉もこめて視線を寄越したつもりだったが、意に介さなかったらしい。
「それで? アインズ・ウールゴウンとはどのような人間なんだ?」
俺の私見でよければ、というバジウッドに続きを促す。
「まぁ基本的に誰にでも丁寧な対応をしますね。ゴロツキから騎士見習いになったばっかの頃の俺にも、初対面で敬語を使ってたぐらいですから」
「たまに魔法使いにいるような、一癖あるような者ではないと?」
「少なくとも俺はそういうとこは見ませんでしたね」
なるほど、とジルクニフは再び思考に耽る。
信頼のおける部下の言うことを疑うわけではないが、仮にバジウッドの語る彼の為人が本当ならば、期待できそうだ。
自分と最も付き合いの長い老人もそうだが、魔法詠唱者の中には時折信じられないような変わり者もいる。
特に魔法に対しては熱狂的でも、それ以外には関心が薄いといった歪な者。
今回の件、表向きはアインズの帝国への貢献を労うものということになっている。
そして目的のもう一つは、アインズ・ウールゴウンを見極めること。
これまでいくつもの無能を切り捨ててきたジルクニフには、己以上に人材の目利きと政治的手腕に長けたものはこの国にいないという自負がある。
皇帝である己が見極める必要がある。他人任せにはできない。
この国の、次代の主席宮廷魔術師になり得るやもしれない人間を。
帝国は、これまでフールーダという偉大な魔法使いの世話になり続けてきた。
卓越した個人の存在自体は望ましいが、いくら偉大でもあくまで一個人でしかない。しかも歳が歳だ。
これから先も一人の人物に多くを任せ続け、依存するようであっては、国として健全とは言えない。
特に帝国情報局などがいい例だろう。あそこはフールーダの存在のせいか経験に乏しい。
だが、その後継者は必要だろう。
あの逸脱者の、後を継げるような存在が。
偉人とていつかは死ぬ。その時に国が致命的な損失を被ろうと、それを最低限補える人材が必要だ。複数人いれば尚良い。
そうやって国を、皇帝を支える人間を輩出し続けることが出来れば、バハルス帝国の繁栄は続く。
その為にも、その候補者には是非とも皇族寄りであって欲しいものだ。
加えて政治的駆け引きに長け、知略に富んでいれば最早言う事は無いがーー
(流石にそれは高望みが過ぎる、か)
まぁ、一度なってしまえば最初はともかく後は上手くいくかもしれない。
あのフールーダも、初代皇帝とはあまり仲が良くなかったそうだ。
(いかんな。まだそうと決まったわけでもあるまいし)
つい先日も使えるカードが一枚増えたせいか、どこか楽天的になっている気がする。
気を緩めるのは、色々なものが追いついていない現在の政治体制を盤石のものにした後にしなければ。
「ロウネ、フールーダに伝えろ。例の面会はーー」
皇帝の命を受け、秘書官が部屋を出る。
今回の面会が、帝国の未来にどれだけの利益をもたらすことになるのか。
それはジルクニフにとっても未知数。
支配者は、傲慢に笑う。
ーーアインズ・ウールゴウンの腹、見せて貰おうか。
「へっくしっ」
「師匠、風邪ですか?」
「いや、何だろ。今誰かに狙われたような・・・・・・」
「?」
以下四話ダイジェスト
古田「皇帝が会いたいって」
アイ「どうして??」
じる「期待してます☆」
ジカイヨコクー
皇帝にお呼ばれしてついに直接対面することになったアインズ
しかしソッコーで帰りたくなる! 偉い人とお喋りなんて耐えられない!
お願い、負けないでアインズ! あなたが負けたら・・・・・・どうなるんじゃ?
次回! アインズ(の胃が)死す!
「もう、帰ってもいいかなぁ・・・・・・?(負け)」