仮想世界に立つ冬空の死神   作:マイケルみつお

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SAO編
1話 剣の世界へ


 十番隊隊長、冬空吹兎は現世の浦原喜助の拠点へと来ていた。

 

「いや〜ようこそっス、冬空サン」

 

下駄と帽子をつけたいかにも怪しい風貌のこの男は浦原喜助。いつもの死覇装ではなく人間、義骸の姿である。

 

「それで、いきなり呼び出してどうしたんですか?」

 

ややワーカーホリックぎみの吹兎は既に数ヶ月先までの仕事を終わらせており、部下達に心配され強引に長期休暇を取らされたのだ。そんな折、元十二番隊隊長の浦原から現世に誘われ...呼び出されたのだ。

 

「いや〜現世じゃすごい技術が誕生したようでしてね〜。何でも人間が作った世界、仮想世界に人間の意識を連れて行くというものらしいっス。なんかおもしろそうじゃありません?」

 

「で、そのゲーム? とやらと僕が呼び出された事はどう繋がるんですか?」

 

「いやだな〜実際にプレイしてみてクソゲーだったら嫌じゃないですか〜。ですから冬空サンに実験だ...先にプレイしてもらえないかな〜と思いまして」

 

「(今思いっきり実験台って言おうとしたよね...)」

 

「それに...休暇の間、どうやって時間を潰せばいいのか分かんないっスよね。ゲームは時間を潰すのにはもってこいの手段っスよ」

 

そう言われてしまえば吹兎は反対する事ができない。吹兎にとって時間を潰す手段というのは現在喉から手が出るほど欲しいものであったからである。吹兎は義骸に入り、浦原から受け取ったナーヴギアを頭につける。機械から全身を触るよう指示される。

 

「あ、面白かったらすぐに帰ってきてくださいね〜」

 

そんな浦原の言葉に返答もせず吹兎は寝台に横になる。

 

「リンクスタート」

 

こうして一人の死神の隊長が剣の世界のアインクラッドへ、そして後世とんでもない話題になるデスゲームにへと旅立った。

 

──────

 「(ここは...?)」

 

リンクスタートと叫んだ後、辺りが真っ白に光った後に自分が石畳みの世界に立っている事を自覚した。

 

「(今、僕は浦原さんのところで横になってるはず。これが仮想世界か)」

 

意外にも吹兎の順応は早かった。死神の斬魄刀には相手を自らの世界にへと引き摺り込む能力も特に珍しいものではない。しかしこれが人間の手によるものだと考えれば吹兎は深い感銘を覚えた。彼はひとまず尸魂界でも現世でも見られない街を歩き始めた。

 

 

 

 

 「......」

 

しかしただ街を歩くだけ。仮想世界に入る事自体にそこまでの新鮮さを感じない吹兎は次第に退屈感を覚え始めていた。

 

「(これが浦原さんが言ってたクソゲーってやつなのかな?)」

 

そう考えて元の世界への帰還、ログアウトを考えていた時だった。

 

「その迷いのない動きっぷり。あんた元ベータテスト経験者だろ? 俺、今日が初めてでさ、少しレクチャーしてくれよ」

 

吹兎が進んでいた裏路地を振り返ると黒い髪をした青年と赤い髪をした男が何やら話していた。

 

「(レクチャー...確か教えるって意味だったよね?)」

 

それならば吹兎も色々と教えてもらいたいと思い、あの赤い青年に発案に乗ろうと考えた。

 

「僕も教えてもらっていい?」

 

吹兎が彼らに話しかけると黒髪と赤髪の青年は快く応え、そして吹兎の姿を見てジト目を向けた。

 

「なんか胡散臭いな...」

 

「いや、顔の造形はいいんだがどこか胡散臭さを感じるよな」

 

これまで言われた事のない反応に吹兎は自分の姿が気になり、すぐ側を流れてる小川の反射を利用して自分の姿を確かめる。

 

「......」

 

そこに写っていたのは見慣れた自分の姿ではなく...

 

「浦原さんだ...」

 

誰がみても胡散臭さを感じさせる浦原喜助の姿であった。




読んでくれた一部の方には伝わったかもしれませんがこの冬空吹兎、拙著『桜と雪に埋もれて溺れる』(https://syosetu.org/novel/282086/)の主人公です。
元作(原作と分けて表現)とはパラレルワールドのような世界線で一部異なる点もあります。例えば吹兎の実力は十番隊隊長就任時で卍解までしか使う事ができません。

と、ここまで長々と描いてきましたが、元作を読んでいない方でも楽しめるように描いていきたいなと思っています。これからも読んで頂けると嬉しいです。
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