仮想世界に立つ冬空の死神   作:マイケルみつお

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あけましておめでとうございます。炎の二次サッカー、マイケルみつおです。

お、久しぶりの更新やんけ!ていう事は一挙公開か!?と思われた方すみません。まだある程度までのストックは貯まっていません。

実はアンケートをこの間から設置していたのですが、やはり更新の谷間だったからか、そもそも気づいてもらえず回答数も伸び悩んでいました。(ステルスアンケートになってた)

何で皆答えてくれないのかな?もしかしたら嫌われているのかな?と悶々とした日々を送っておりましたが「そうか!更新をしていないからか!」と2ヶ月以上経ったある日ようやく気づき、今回更新に至った次第です。

アンケートの詳細は後書きに設置しております。


18話 そういうお年頃

アスナが血盟騎士団からの脱退を撤回した時より少し前、その鍵となった吹兎を血盟騎士団本部に呼んだのは──やはりヒースクリフだった。

彼はアスナが「ギルド辞めようかしら」という言葉を溢した事を偶然管理者権限で受け取ると即座に行動に移した。通常のプレイヤーと同様に親指と人差し指を空中で振り下げメニュー画面を開き、メッセージを書いていく。

 

『やあ、フキト君。先日のボス戦ぶりだね。突然のメッセージ申し訳ない。ヒースクリフだ。

いきなりで済まないが血盟騎士団本部に来てくれないだろうか。どうにもアスナ君に最近元気がないようでね。彼女を励まして欲しいんだ。アスナ君は攻略の実質的トップだからね。彼女が本調子でない事は攻略全体にとっての痛手なんだ。

無論、本来なら我々の手で何とかしたいところだが、生憎私達は彼女と上司や部下の関係に当たる。ギルドメンバーではなく彼女と親しい君に頼みたいんだ。頼まれてくれないだろうか。

 

PS. もしアスナ君が何を血迷ってかギルドを抜けたがっていたら適当に宥めてくれると助かる』

 

そうしてまんまとやって来た吹兎にヒースクリフはアスナを押しつけた。策略が成功してアスナが吹兎と共に外に出ていくと、ヒースクリフは誰もいない執務室の中、大きく息を吐いた。

 

「すまないねアスナ君」

 

ヒースクリフはアスナを利用した。彼はアスナが吹兎に向ける感情の正体を正しく理解した上でけしかけた。──この世界で唯一、吹兎が人間ではない事を知りながら。

 

「(おそらく、彼はこの騒動が終われば尸魂界とやらに帰るのだろう)」

 

尸魂界とは死後の世界だ。現世の住人たるアスナはその天寿を全うしない限り彼に会いに行く事はできない。文字通り住む世界が違うのだ。

そしてもし仮にその事を知ってしまったとして、彼女が自ら死を選ぶ事など──

 

「(容易に想像できてしまった......)」

 

ヒースクリフの脳裏に過った映像は──

 

「まだフキト君勧誘できていないんですよね?」

 

先ほどヒースクリフが単独でアスナを宥めようとした時に向けられた言葉。結局あの時、ヒースクリフはアスナのあまりの剣幕に黙り込む事しかできなかった。

一応ヒースクリフの名誉のために、あの時は吹兎が来る事が分かっていたためヒースクリフがアスナを説得する必要はなかったという弁明をする事もできるが──目の前のアスナが怖かったという理由が──かなりの大きな割合を占めていた、という事も否定できない。

 

「......ああいう手合いの人間は、愛のためなら自分の命を容赦なく賭ける。......私のような、目的のために自分の命を賭ける、と比べるとどうにもロマンチックに映るものだが」

 

そう言いながら彼は自嘲的に笑う。ともかく彼、彼女らのためにも彼の正体が露見しない事を祈るばかりだ。......尤も、その時までアスナが生きていられればの話ではあるが。

 

「もし仮に私がアスナ君の命を奪ったとしても──逆に感謝されそう......だな......」

 

適当に言った冗談のつもりだったが言い終わるにつれてその予想は彼の脳内で現実味を帯び始め、終いには彼の言葉を振るわす始末だった。

ヒースクリフにも想い人は存在し、彼女は現在も現実世界の彼の隣に眠っているとは思うが、彼女もアスナのように重い感情を抱いていればと思うと──

 

「フキト君。尸魂界まで逃げきれるといいね)」

 

思わず合掌してしまうほどに彼に対して同情した。

 

 

 

 

「さて、そろそろ私は戻るとするか」

 

吹兎に対する同情が一通り終わると、彼は人差し指と中指を宙で縦に切った。そして現れたメニュー画面から──あるはずのない「ログアウト」を選択する。

ヒースクリフには──現実世界でやらなければならない事があった。

 

「一応契約を結んだとはいえ安心できない相手のようだからな」

 

彼はそう言うと、仮想世界から消えていった。

 

「全く油断のできない男だよ。......浦原喜助は」

 

──────

「ねえねえフキト君。今ってお腹空いてたりする?」

 

団長室にノックもせずに入っていったアスナは程なくして戻ってくるなりそう言った。どうやら先に言った通り、これから街を歩くようだ。

 

「(まあ、あっさりさん(ヒースクリフ)にアスナを何とかして欲しいって言われていたから僕としても丁度良かったけど)」

 

吹兎はヒースクリフからメッセージを受け取った時、一瞬アレ(死神スキル教えろ)が脳裏を過り──「あ、ヒースクリフもやっぱり他のプレイヤー(全身真っ黒な人)と変わらないのかな」と思っていただけあって驚愕した。メッセージには徹頭徹尾アスナの事だけが書かれており、死神スキルの事も、ギルド勧誘の事も書かれていなかったからだ。他のプレイヤー(天然タラシ盾なし片手剣プレイヤー)を見てきたからこそ、「これは興味があっても僕が嫌がっていたから遠慮してくれたのか......」と吹兎は好意的に解釈した。今やこの世界でヒースクリフ──否、あっさりさんは吹兎の中でトップクラスの信頼を勝ち取っていた(人を見る目なし)。しかし隣を歩くのは黒い人と同様にスキルの詮索をしてきたアスナ。あっさりさんではない。今のところその兆候は見えないが......気を引き締めあっさりしなければならない。

 

「まだお腹は空いてないかな。今日は朝ごはんがちょっと遅かったし」

 

「(なら私も誘ってくれれば良かったのに。私も今日の朝は暇だったのに)」

 

「......何か言った?」

 

「ううん! 何にもないよ! じゃ、じゃあさ! 街歩きデートでもしよっか!」

 

「え? う、うん。分かったけど......」

 

「(やったぁ!)」

 

表情を一つ変える事なく、動揺を悟られないよう自然な会話の中でアスナは切り出した。本当は吹兎の照れた顔を見たかったアスナだが......まず断られなかった事に一点、そして「デート」という言質を取れた事に一点、アスナは内心ほくそ笑んだ。

 

「(少しも動揺しないで受け入れてくれたって事は......もしかして脈あり!? ここ数日会えない日が続いてフキト君の泥棒猫が現れたと思っていたけどそんな素振りはないし......そもそもそんな相手がいたらフキト君もデートを許してはくれないだろうし......。もしかして、フキト君もきっぱりと泥棒猫の誘惑を振り切ってくれた!?)」

 

そもそもそんな者は最初からいない。

 

一方、「デート」という言質を取られてしまった吹兎といえば......

 

「(でぇとってなに?)」

 

そもそも言葉の意味を知らなかった。

 

 

 

 

「ねえねえフキト君。とっても綺麗だね!」

 

二人が立ち並んで歩いていたのは第11層の「タフト」。レンガと石で作られた街並みは日の入りと共にライトアップされ幻想的な景観を作り出している。AOの人気拠点となりそうな街なのになぜかあまり他のプレイヤーの姿はないが。

よって偶然にもこの絶景を吹兎とアスナはほぼ独占できていた。別にこの層のモンスターが特別強かったり薄気味悪いという事でもないのに。

まるでデートには最適のシチュエーション。よくもまあこんな偶然を引き当てたものである。

 

──まあ、全部アスナの計算なのだが......。

 

アスナはいつ何時何があっても対処できるように常に時間場所別複数のデートプランを脳内でセッティングしている。その数あるプランの中、今日、この時間帯でアスナが導き出した最適解こそ──この第11層『タフト』だ。

幻想的で美しい街並みだが──この時間帯はまだフィールドで狩りをしているプレイヤーがほとんどだ。それも第10層以上の第11層なら尚更の事。

現在、アインクラッドは第11層から最前線の一歩手前、第23層が過疎化の一途を辿っている。その理由は至極単純で、第10層の「ソウルソサエティ」が、それ以外の層を全て足しても尚上回るほどの広大な敷地を誇っており、また上層よりも経験値効率の高いモンスターがたくさん配置されているからである。アスナのような、お化けが怖いなどの理由がない限り、レベリングには第10層を選択するプレイヤーがほとんどだ。

現在プレイヤーは大きく三種類の傾向に分かれている。上位攻略組は最前列を攻略し、それ以外の攻略組、中間層のプレイヤーは第10層の自分の身の丈に合う地区でレベリング。そして第10層の1地区のモンスターにも勝てないような下層プレイヤーはそれより下の層で活動するといった事が現在のアインクラッドで見られている。

 

それら事情を全て把握した上で、アスナはこの「タフト」をデートコースに選択したのだが......

 

「ねえねえあれ見てよフキト君! 本当に綺麗だよね!」

 

「え? あ、うん。そうだね」

 

あまり吹兎は楽しそうな感じではなかった。少なくともアスナからはそう見てとれた。全身から楽しさが溢れ出していたアスナと比較すると余計にその差は感じられる。

 

「(もしかしてフキト君はこうやって外を歩く街歩きデートは好みじゃなかった? ......もしかして......?)」

 

アスナはその理由について、自らの頬を染めながらも辿り着く事ができた。

 

「ねえねえフキト君。......ウチ、来る?」

 

「何で?」

 

「(何で!?!?)」

 

顔を赤らめて誘ったものの、思わぬ返事をされた事で一瞬たじろいでしまったアスナだが──すぐに調子を取り戻す。今日のアスナはこれくらいでへこたれる程度の準備をしてきていない。

ともあれ、吹兎があまり楽しそうにしていない問題については早急に何とかしなければならない。

 

「(フキト君、あまりこういう探索系統のゲームは好きじゃないのかな? 毎朝外を歩いてたからそうだと思ってたけど......)」

 

このSAOというゲームに囚われている事から吹兎もかなりのゲーマーなのだろう。やはりアプローチはそういう方面から進めるのが効果的なはずだ、とアスナは考えていた。

ともあれ、一言にゲームと言ってもその範囲は広い。同じゲームの中でもプレイヤーの好みというものは存在するもので、例えば戦闘が好きなプレイヤー、採集が好きなプレイヤー、生産職が好きなプレイヤー、マップを広げる事が好きなプレイヤーなどetc......

それを見誤ってしまっては、ツボを外しまくる下手なマッサージ師のようにアプローチがむしろ逆効果となりかねない。

ゲームの中でリアルの事を聞く事がマナー違反だと知りながらも──アスナは聞かざるを得なかった。

 

「......そういえばフキト君って、このゲームの前はどんなゲームしてたの?」

 

自分は吹兎の事をあまりに知らない。そう切り出したアスナが次に見たのは......

 

「............」

 

まるでどう答えればいいのか分からず、口をへの字に曲げる滑稽な吹兎の姿だった。

 

「(え、かわいい)」

 

「......アスナは?」

 

「かわいい......」

 

「え?」

 

「あっ、ごめんなさい。ええっと......何だったっけ?」

 

「アスナはどんなゲームしてるの? って話」

 

「あ、そうだったね! ええっと......人に聞いてて何なんだって話かもしれないんだけど私、あまりゲームとかしないんだよね......。SAOもお兄ちゃんのナーヴギアをたまたま使ってこんな事になった感じで......」

 

アスナ──結城明日菜は、現実では社長令嬢という恵まれた地位にあり品行方正、文武両道を地でいく優等生であった。あまりゲームというものもした事がなかった。

だからこそ、このデスゲームに囚われてしまった事で、自分がこれまで積み上げてきたキャリアというものを放棄せざるを得なくなった事で荒れていた時期もあった。

そんな時に吹兎と出会って、精神的にも戦闘的にも揺るがない「強さ」というものを目の当たりにして、「強さがあれば全てを解決する」という脳き──揺るがない自分、というものを手に入れる事ができるようになった、

アスナは、不謹慎であると分かりながらも、このゲームに囚われて、吹兎という存在と出会えた事を良かったと思っていた。

 

「僕もアスナと同じかな。ゲームはSAOが初めてだよ」

 

どう答えればいいのか分からなかった吹兎は、しかしアスナも同類だという事を知り安心して本当の事を話す。吹兎の中でちょこっとだけアスナに対する親近感が上がった。

 

「きっかけは......きっかけは......」

 

「フキト君?」

 

きっかけは当然「浦原喜助に押し付けられたから」であるが、そのまま素直に言葉にする事ができず、吹兎は言葉を詰まらせてしまう。

 

「(おかしい......)」

 

思考の袋小路に迷い込んでしまったからだ。

 

「(浦原さんは僕がこうなっている事を知っているはず。なのにもうSAOに囚われて数ヶ月が経っている)」

 

考えてみれば吹兎が未だこうして囚われ続けている事は不自然でしかない。いくら茅場晶彦が身を隠していたとしても護廷十三隊なら彼の潜伏先を割り出す事など造作もないだろう。そして居場所が分かればそれこそこのデスゲームを終わらせる事など赤子の手をひねるほど簡単なはずだ。

尤も、基本的に護廷十三隊は人間同士のいざこざに首を突っ込む事はしないが。過去の歴史の中で、人類同士の戦争に死神が加担した事はない。

だとしても囚われているのが護廷十三隊の隊長と分かれば話は別のはずだ。冬空吹兎とは、傲慢も謙遜もなく護廷十三隊の隊長なのだから。

 

「(フキト君もSAOが初めてのゲームだったんだね。私達一緒だね!)」

 

吹兎の内心の葛藤を知らぬまま、しかしアスナも同様に思考の迷路へと進んでいた。

 

「(フキト君ももしかしたら結構いいところのお家の人なのかな? もしそうならお父さん達も納得してくれるし──仮に納得して貰えなくても別にいいんだけど)」

 

SAOを始める前であれば、親の言う事を守り、その期待に応えようと頑張ってきた彼女の事だ。交際、ひいては結婚の話が出てきて親が反対してきた場合、何とか親を説得しようとするのだろうが──今のアスナは違う。

 

──お父さんとお母さんが反対してる? でも私が賛成してるんだから別にいいじゃない──

 

鬼の副長と呼ばれるようになった今のアスナは親の反対如きで止まらない。

 

「(そういえばフキト君、ゲームの事だけじゃなくてそれ以外の事もあまり知らなかったよね? メッセージの事も最初はよく分かってなかったし......)」

 

第一層がクリアされた後、パーティを組んでいたキリトが逃げたせいで吹兎に現代知識等の用語を一から教えたのはアスナだった。あの時のアスナはまだ吹兎に対して好意も何も持っていなかったからただの苦行でしかなかっ──

「(そういえばフキト君と初めて長くお話しした時もあの時だったよね。凄く楽しかったなぁ)」

 

アスナの脳裏に浮かぶのは、2人仲良く並んでSAOの未来を語り合ったあの時間。夜も更けてか若干吹兎の頰も赤くなっているように見える。

 

──そんな、存在しない記憶を作り出していたアスナはふと吹兎の方へと視線を戻す。まだ何かを考え込んでいるようだった。白銀の髪色と透き通った碧眼は、手を口元にあてて何かを考え込んでいるだけで絵になっていた。

 

「(......そういえば、初めて会った時からフキト君、髪白かったよね?)」

 

この仮想世界に現実感を感じさせるために、茅場晶彦によって配られた手鏡によってプレイヤーのアバターは現実世界と何ら変わらない見た目に設定された。例外として髪色はアイテムによって変更する事ができるが。アスナの友人の、鍛治職を志している少女も髪色を変えていた。

しかし、アスナが初めて吹兎と出会った時、まだ彼がこの世界に順応しているとはとても言えない状態で彼は髪色を変える事などできただろうか? 

 

「(......もしかして、地毛?)」

 

SAOのファンタジーな世界観に慣れきっていたからか、アスナは今まで無意識にあの吹兎の姿を虚構(フィクション)と考えていた。しかし論理(ロジック)を辿ればそれは間違いであると悟る。アスナの脳裏に浮かんだのはある単語だった。

 

──アルビノ?──

 

アルビノ。それは先天的なメラニン色素の不足によって起こる現象で吹兎のように髪が白くなるものだ。無論吹兎の髪色はアルビノによるものではなく、ただの茶番もいいところなのだがそれでもアスナの存在しない記憶は続く。

 

「大丈夫だよフキト君。私は君の事、ちゃんと見てるから」

 

「アスナ......」

 

アルビノはその外見的特徴から、やはり周囲から奇異の目で見られる事がある。特に単民族国家で、尚且つ黒髪が大半の日本では尚更吹兎は注目の恰好の的となっていた。

「目は口ほどに物を言う」という言葉がある通り、向けられる視線は次第に吹兎の精神を蝕んでいった。学校を欠席する頻度も増え、自宅から出ない日も増えていった。幸いだった事は彼の家には余裕があり、また彼の両親のアルビノに対する理解が十分であった事であろうか。家の中では彼は正しく己であれた。(尚、実際の吹兎はスラム出身)

そんなある日、彼は偶然にもナーヴギアとSAOを手にする。それまでゲームなどしてこなかった彼は、しかし意を決してプレイしてみる事にした。自分の中の世界を広げるために。

そして彼はSAOに入ったっきり戻れなくなってしまった。唯一の彼が彼自身でいられた場所が奪われてしまったのだ。彼は誰よりも居場所の暖かさを知っていた。知っていたからこそそれを諦める事などできなかった。

 

──だから剣を取った──

 

震える心を鞘に隠して彼は進んだ。

 

──彼は剣を振るった──

 

振り続ける事によってあの暖かな居場所を取り戻せると信じて。

しかし心優しい彼の事だ。剣を振るうたびに彼の心が磨耗していった事もまた事実だった。周囲は彼の事を「強い人間」だと評するがそれは違う。彼はただただ臆病で、己を出す事を恐れていただけだった。彼の心はもう限界を迎えていた。そんな時だ。

 

彼が──運命の女神と出会ったのは。

 

可憐で麗しい少女だった。鈴のような声は彼の心に安心感を与え、凛とした中に秘める確かな強さは彼の居場所となってくれた。

少女は──とにかく強かった。彼は少女の隣にいる中で次第に彼女に対する想いも変わっていた。しかしその変化を恐れた。ここがあまりに心地良いせいでかつての居場所を忘れてしまいそうになったから。

今まで振るってきた剣が無駄になってしまいそうだったから。

それはあまりに少女の側が安心感を覚える場所だっただけに──仕方のない事だった。

 

だから彼は目を背けた。

 

自らの少女への想いに必死で蓋をし、自分自身にさえ嘘をついた。

少女に声をかけられるだけで、何の下心もない少女の手相占いでちょっと手と手が触れ合ってしまっただけで、あまりの心地よさに顔が赤くなりかけたがそれでも蓋をした。だってここがあまりに心地よかったから。そう、仕方のない事だったから──

 

「(......あ、でもこの設定はないかな。フキト君が赤面しなかった理由が自分自身に蓋をしたからって......それ、蓋できるほどの感情って事だし。それにフキト君が臆病って設定もちょっと解釈違うよね)」

 

アスナは解釈違い(宗教戦争)によって我に戻った。いきすぎる妄想を自覚した際、人は大抵何らかのダメージを受けるものだが──アスナにそのような兆しはない。今のアスナはその程度で傷つくような柔なメンタルをしていない。

 

「(そもそもアルビノっていうのも多分違うよね......)」

 

アルビノというものはかなりの確率で弱視を併発する。そして何よりメラニン色素が薄い事から紫外線というものを避けなければならない。

 

しかし吹兎が目が悪いような素振りを見せた事はアスナの記憶の限りなかったし、平然と太陽が照らすようなフィールドも何の躊躇いなく歩いていた。

 

「(アルビノじゃないとしたら......実は外国人だった、とか?)」

 

それもないと切り捨てる。確かに髪の色や目の色は日本人離れしているとはいえその造形は日本人に近いもの。それに流暢な日本語を話していた。吹兎を外国人として、アスナが存在しない記憶を展開するには流石に無理がある。

だとすれば、残る可能性は一つしかない。

 

「(フキト君......ヤンキーだったのかな......?)」

 

だとしても何も変わらない。

結城明日菜15歳、ちょっぴりヤンキーの男の子に憧れるお年頃。




回答フォームはアンケートのところに設置してあると思いますが、文字数の関係上、質問文は活動報告に載せてあります→(https://syosetu.org/?mode=kappo_view&kid=303232&uid=385679

以下抜粋

Q, 書き直してもいいですか?また書き直して良ければどういう方法で行うべきなのかも教えて下さい。

1, 書き直してもいいよ!前書き等で事情を説明して「書き直しました」って表記するならこの作品を修正して上書きしてもいいよ!

2, 書き直してもいいよ!ただ、未熟の未熟とはいえ一度投稿した物を大幅に変更するのはどうかと思うから新しく新規小説を作って作品名に「改訂版」とか書くなりして、つまるところリメイク作品みたいにするならやってもいいよ!

3, そういうのは曲がりなりにも完結まで走り切った作者が言うセリフだ。貴様のような完結というゴールテープを切る事もなく右往左往する人間には百年早いわ!

4, 興味ないorどうでもいいor作者に任せる

5, 結果閲覧用(解答しないとどこに何票入ったかわっかんないから)

6, その他(活動報告のコメント欄に書いてね!)

回答、よろしくお願いします〜

生存報告を兼ねたアンケート(文字数の関係から詳細は活動報告を見てね!)

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  • 百年早いわこの未熟者!
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