仮面ライダーディケイド対ジャグラスジャグラーwithゼットさん 作:裕ーKI
ジャグラーとディケイドの戦いが続く中、傍らではゼットがボガールモンスを相手に奮闘していた。
「ゼットスラッガー! デルタギガリッパー!」
ボガールモンスが首の角から伸ばした2本の触手を、頭部から射出した3本の光刃で切断し、続けざまに両腕から放った金色の斬撃でボガールモンスにダメージを与える。
さらに追い打ちを仕掛けようと、接近を試みるゼットだが。
するとその時、突然背後から1発の光弾が飛んできた。
ボガールモンスに気を取られていたゼットは、後方からの謎の攻撃を認識できず、背中への直撃を許してしまった。
「ぐわっ!? いってぇ……。なんだいきなり……」
ゼットが足を止め、驚きながら振り返ると、そこにいたのは両手に鯛と釣り竿を携えた強大な木彫りのような物体だった。
「なんだあれ!? でっかいおじいちゃん!?」
「いや、おじいちゃんっていうか……。あれは恵比寿様ですよ、ゼットさん」
堂々と佇んでいる木彫りの姿に吃驚しているゼットに、ハルキは冷静に説明した。
「恵比寿様?」
「地球に言い伝えられている商売繁盛の神様っす」
「神様? あれが?」
「でも見たところ、あれ自体は怪獣と変わらないみたいですね」
「なんであんなのがいるのかは知らないが、敵ならぶっ倒すまでだ!」
ゼットの背後に出現したのは、恵比寿像がそのまま巨大化したかのような外見の怪獣(?)――コダイゴンジアザーだった。
挟み撃ちに追い込まれたゼットは、ボガールモンスに警戒しつつ、コダイゴンジアザーを睥睨し身構えた。
しかし、新たな敵はコダイゴンジアザーだけではなかった。
いつの間にか、上空には数えきれないほどの敵勢力が姿を見せて犇めいていた。
それらは全て、姿形も種族も、本来なら生まれた世界や時間すらも異なる存在たち。
先陣を切って飛行しているのは、全身をワインレッドに染めた翼竜のような怪獣、彗星怪獣パワードドラコ。
そしてその後ろには、東洋の龍のような姿をした上級インベス、セイリュウインベス強化体や、イマジンのイメージの暴走から生まれたギガンデスヘブン。
他にも、ファンガイアの儀式から誕生したシャンデリアのような怪物サバト。夥しい数で群れを成すトンボ型ミラーモンスター、ハイドラグーン。オニ一族の切り札である時を走る船、鬼の戦艦。
何の前触れもなく忽然として現れたそれらの勢力に、ゼットもハルキも思わず目を丸くした。
「なんだこりゃあ……。なんでこんなに……」
「ゼットさん、これって一体……」
「何が何だか訳がわかりませんが……、とにかくやるっきゃねぇ! ウルトラ気合い入れろよ! ハルキィ!」
「押忍!」
闘志を燃やし、改めて互いの心を同調させたゼットとハルキは、不屈の精神で怪物軍団に立ち向かう。
前後から同時に迫るのは、ボガールモンスとコダイゴンジアザー。
ゼットはボガールモンスの爪の一振りをいなすと同時に、その脇腹に強力なキックを叩き込み、ボガールモンスをひるませた。
続けざまに腰を捻り、今度は背後のコダイゴンジアザーに連続回し蹴りをお見舞いする。
ところがコダイゴンジアザーはビクともせず、お返しと言わんばかりに釣り竿を勢いよく振り下ろした。
ゼットは身を低くして潜り抜けるように釣り竿を回避すると、一旦後退して距離を取った。
「なんだこいつの体……。ウルトラ硬いぞ……」
コダイゴンジアザーの奇抜な外見に反した驚異的な頑丈さに、思わずたじろぐゼット。
するとそんなゼットを目掛けて、上空から嵐のような攻撃が次々と降り注いだ。
ハイドラグーンの群れが突撃を仕掛け、ギガンデスヘブンが尾の先端からミサイルのように針を連射する。
セイリュウインベス強化体が高熱の炎を吐き、サバトが光弾の雨を放つ。
巨大怪獣と比較すれば随分と小柄なそれらの攻撃自体は、巨人姿のゼットにとっては大したダメージではない。とはいえ、数が多いうえに絶え間なく続く攻撃の嵐は、やはりゼットには十分過ぎるほどの障害だった。
「キィ……キィェェ……」
ゼットは両腕を顔の前でクロスして防御に徹するが、そんなゼットを押し切ろうと、空中で待機していた鬼の戦艦とパワードドラコが追撃に加わった。
ゼットに標準を合わせた鬼の戦艦のいくつもの砲門が一斉に火を噴き、パワードドラコの振袖状の両腕から鋭利な鎌が投擲された。
ハイドラグーンやギガンデスヘブンらの猛攻に混ざって撃ち出された鬼の戦艦の砲撃とパワードドラコの鎌は、他の攻撃と比べても一際強力な破壊力を持っていた。
それはゼットが思わず体勢を崩し、膝をついてしまうほど。
鬼の戦艦の集中砲火が巨体を大きくぐらつかせ、パワードドラコの鎌が強靭な皮膚を斬り裂いた。
ゼットが受けた痛みは、同化しているハルキにもダイレクトに伝わる。
インナースペースの中でウルトラゼットライザーを構えるハルキの表情が苦痛に歪んだ。
「ぐっ……うぅ……」
「ハルキ! 大丈夫か!」
「大丈夫……! これぐらい全然平気っす……! それよりゼットさん、こっちも負けずに反撃しましょう!」
「ああ! 勿論ですとも! まずはあの鬱陶しい空の敵をなんとかするぞ!」
「了解! 変幻自在! 神秘の光!」
『Ultraman Z Gamma Future.』
ハルキが3枚のウルトラメダル――ウルトラマンティガ、ウルトラマンダイナ、ウルトラマンガイアの力を解き放ち、ゼットは超能力と光線技の豊富さに特化した形態、ガンマフューチャーへと姿を変えた。
反撃を妨害しようと歩み寄ってくる、ボガールモンスとコダイゴンジアザーに目を向けたゼットは、トランプを捌くような手つきで出現させた無数の光のカードの束を掌から放った。
放出された光のカードは鎖のように一列に繋がって巻きつき、ボガールモンスとコダイゴンジアザーの動きを拘束した。一時的だが、これで妨害を受けずに済む。
今のうちにと、空を見上げたゼットは右手でウルトラゼットライザーを構えた。
「ライトニング……ジェネレード!」
力強く叫ぶと同時に、ウルトラゼットライザーを天に掲げた瞬間、上空から落雷のような無数の光線が降り注ぎ、空を舞っていたハイドラグーンの群れをあっという間に一掃した。
その様子に激昂するように、パワードドラコが急降下し体当たりを仕掛けてきた。
横跳びでそれを回避したゼットは、すかさず両手を頭に添える。
「ゼスティウムドライブ!」
両手に赤と青の光の鞭を生成し、地面に着地したばかりのパワードドラコ目掛けて連続で振り下ろす。
右手の青い鞭と左手の赤い鞭、それぞれを交互に繰り出し、パワードドラコの胴体に叩きつける。
しかしコダイゴンジアザーと同様、パワードドラコへの攻撃には手ごたえが感じられなかった。
「こいつも恵比寿様と同じで、あまり攻撃が効いてない! どんだけ硬いんだ……」
「気をつけて、ゼットさん! 空からもまた来ます!」
ハルキからの警告を受けて、ゼットは慌てて空に視線を戻す。
すると視界に飛び込んできたのは、不意打ちを狙うセイリュウインベス強化体とギガンデスヘブン、そしてサバトの姿だった。
次の瞬間、ゼットはマジシャンのようにパチンと指を鳴らした。
「ガンマイリュージョン!」
ゼットのフィンガースナップを合図に出現したのは、ティガ、ダイナ、ガイアの幻影。
実体化した3人の光の巨人は、迫りくる上空の怪物たちに狙いを定め、両腕を合わせてエネルギーを集中させた。
ティガ・マルチタイプのゼペリオン光線がセイリュウインベス強化体に。
ダイナ・フラッシュタイプのソルジェント光線がギガンデスヘブンに。
そしてガイア・スプリームヴァージョンのフォトンストリームがサバトに。
それぞれの光線が一斉に放たれ、標的の怪物たちに命中した。
光のシャワーを浴びた3体の怪物たちは一瞬にして爆発四散。直後に大きな黒煙が空を覆った。
ティガ、ダイナ、ガイアの幻影がゼットの元へと還る中、上空に唯一残った鬼の戦艦が黒煙の中からヌッと姿を現した。
まるで海上を走るように空中に航跡波を残しながら、地上に立つゼットに向かって砲撃を仕掛ける。
すかさず前転して砲弾の雨を掻い潜るゼットだが、すると間髪を容れずにパワードドラコが襲い掛かってきた。
振袖状の両腕から突き出した黒い鎌の攻撃を避けながら、ゼットが拳を連続で打ち込むが、やはりパワードドラコの堅固な皮膚にはダメージは通らない。
しかもそうしている間に、動きを封じられていたボガールモンスとコダイゴンジアザーが、光のカードの拘束を振り解き、活動を再開してしまった。
鬼の戦艦と3体の巨大怪獣に取り囲まれ、逃げ道を失ったゼット。
しかし、彼は決して諦めなかった。
「ガンマスルー!」
ゼットは咄嗟に別空間に繋がる魔方陣を出現させ、その中に飛び込んで怪獣たちの前から姿を消した。
出口となるもう1つの魔方陣が浮かび上がったのは、上空に控える鬼の戦艦の遥か真上。そこから姿を現したゼットは、胸の前で構えた両腕を斜めに開いて十字を組んだ。
「ゼスティウム光線!」
次の瞬間、ゼットの腕から放出された青白い光線が、鬼の戦艦の装甲を一直線に貫いた。
内部にまで光線を流し込まれたことで、動力部が爆発。連鎖するように船体が次々と崩壊を始め、やがて鬼の戦艦は空中で大爆発した。
まるで流星群のように無数の残骸が地面に向かって降り注ぐ中、それに紛れてゼットも急降下する。
「真っ赤に燃える、勇気の証!」
『Ultraman Z Beta Smash.』
頭を地面に向けて猛スピードで落下しながら、その姿を筋骨隆々の真っ赤な形態――ベータスマッシュへと変化したゼットは、即座に空中で身体を反転させ、落下の勢いを乗せた強烈なドロップキックを放った。
「ベェエエエエダァアアアアア!!!」
ウルトラマンゼット・ベータスマッシュの渾身の一撃を諸に喰らったのは、3体のうち一番防御力が低そうに見えるボガールモンスだった。
顔面を豪快に蹴り飛ばされたボガールモンスは、悲鳴のような咆哮を上げながら地面に倒れ込んだ。
すかさずとどめを刺そうと、ゼットは再び胸の前で両腕を構える。
しかしそうはさせまいと、コダイゴンジアザーが脇に抱えていた鯛をゼットに向かって放り投げた。
「ショーバイハンジョー! ショーバイハンジョー!」
まるで個別の意思を持っているかのように、空中を飛行し始めたコダイゴンジアザーの鯛――通称“鯛砲”は、ふざけた奇声を上げながらゼットに突進を仕掛けた。
慌てて振り向いた時には既に遅く、ゼットは鯛砲の一撃に突き飛ばされた。
しかし怯むことなく体勢を立て直すと、Uターンして戻ってきた鯛砲に向かって三日月状の光刃を発射した。
「ベータクレセントスラッシュ!」
真っ直ぐと飛ぶ光り輝く斬撃が、空中を泳ぐ鯛砲に命中した。
だがやはり本体と同じでやたら頑丈なのか、鯛砲の勢いは止まらず、猛スピードで押し寄せてくる。
ならばと右手の拳に力を集中させたゼットは、身を低くして鯛砲を待ち構えた。
そして鯛砲が間合いに入った次の瞬間、
「ゼスティウム……アッパァアアアー!!!」
ゼットは全力で拳を振り上げ、凄まじくパワフルなアッパーカットで鯛砲を上空に向けて殴り飛ばした。
打ち上げられた鯛砲は瞬く間に大空の彼方に消え去り、そして2度と戻ってくることはなかった。
大事な得物が紛失し、コダイゴンジアザーは怒り心頭で釣り竿をブンブンと振り回す。
「あと3体……。もう一息っすよ、ゼットさん!」
「ああ! しかし体力がそろそろやばい……。ウルトラ速攻! 決着を急ぐぜ!」
周囲に留まる残りの怪獣たちに対して、ハルキとゼットは警戒を強める。しかし、ゼットの胸に光り輝くランプ――Z字型のカラータイマーは、いつの間にか赤色に点滅を始めていた。
ウルトラマンたちにとって、カラータイマーの光は活動エネルギーの象徴。力を消耗することによって、ランプの光は青から赤へと点滅し、やがてランプが光を失えばウルトラマンたちは姿を維持できなくなり、戦闘が続行できなくなってしまう。
既にゼットは、ダメージの蓄積や形態変化と技の連続使用により、かなりのエネルギーを消費していた。
「こいつらと同時に戦うには、ベータスマッシュは不利か……。ハルキ、ここはスピードで勝負だ!」
「了解っす! キレのいい奴、いきましょう!」
一刻も早く決着をつけるため、ハルキとゼットは素早さを重視した戦法に切り替えた。
「宇宙拳法! 秘伝の神業!」
『Ultraman Z Alpha Edge.』
3枚の師匠のウルトラメダルを使い、ゼットは洗礼された空手や拳法を得意とする形態――アルファエッジへと姿を変えた。
頭部から射出した2枚の光刃を光の鎖で連結させたヌンチャク型の武器――アルファチェインブレードを手に、ゼットはボガールモンスとコダイゴンジアザー、そしてパワードドラコを迎え撃つ。