宵闇夜桜魔   作:紅鎌 神邪

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平和に行こう。平和に…。


会場には、お忘れ物はしないように・・・

「『まじかる☆ぴょん』?」

 

「そう、魔八知ってる?」

 

 居間に一人で八重の手入れをしていたら、七悪兄ちゃんが謎の単語を教えてもらった。

 なんでも、正義のヒーローアニメの話のようだ。

 

「知らないな~」

 

「それならちょうど良いよ。今日、駅前広場でまじかる☆ぴょんのショーがあるから一緒に観に行こうよ!」

 

 

 

 

 ──ということがあって、今、駅前広場まで夜桜マイカーの『すもも』で移動中だ。運転手は辛三お兄ちゃん。

 

「ありがとう、辛三お兄ちゃん。で、なんで四怨姉ちゃんまで居るの?」

 

 後部座席に僕とバケツを外して学校モードの七悪兄ちゃん。そして助手席には四怨姉ちゃんが座っていた。

 

「フッ、弟たちの趣味にお姉ちゃんも観させてもらおうかなと思ってね。」

 

「何でって、お姉ちゃんは僕と同じまじかる☆ぴょんファンだよ。」

 

「え?」

 

「ちょっ…おま、七悪…っ──///」

 

 赤面しながら、どんどん声が小さくなっていく。

 なるほど、薄々気づいていたけどやっぱりそうだったか。

 そのまま数十分、四怨姉ちゃんと七悪兄ちゃんのまじかる☆ぴょんの語り合いが広場に着くまで続いた。僕はボーッと聞いていたけど、バックミラーをチラリと見てみると、辛三お兄ちゃんはニヤニヤと笑っていた。

 

 

 

 

「着いた…!」

 

「うん。なんか物淋しい気もするが、何はともあれショーが開かれただけでも有難い。」

 

 七悪兄ちゃんが、先に車内から出て感激していた。四怨姉ちゃんは出た瞬間、会場に感動しているが、あまり表情に出していない。

 

(あっ、ニヤついた。)

 

 近くでグッズも売っていた。まじかる☆ぴょんの人形やバッチなど、色々とある。

 その中に、赤と青、緑と黄色の変な果物を売っている店もあった。

 何だか分からないけども、多分まじかる☆ぴょん関係だと思ったのでスルーした。

 

「まだ30分も時間あるな…自由行動にしよう。」

 

「「「了解」」」

 

 辛三お兄ちゃんの提案で自由行動になったけど、正直まだまじかるぴょん☆については分からない。

 

「辛三お兄ちゃんと一緒に行動しよ…」

 

 それにしても結構ファンもいるもんだ。見ただけで百人は確実にいる。

 お兄ちゃん達を探していると、視線の右側にまたあの果物を売っている店が目に入った。

 

「…探す前に休憩するかな。」

 

「らっしゃーい……」

 

 やる気のない声で少しイラッとしたが、深呼吸して果物を頼んだ。

 

「果物一つ、くーださい。」

 

「…4800円です。」

 

 やっぱり果物は高いなと感心しつつ、財布からびた一文払う。

 

「どぞ。」

 

「まぁいど有り~……」

 

 その異質な果物を手渡された瞬間、違和感を感じた。煙臭い異臭にサイズが大きい割りに、とてつもなく軽い。明らかに果物じゃないと察した。

 

「お兄さん。」

 

「…何?」

 

「これ果物じゃないよね?」

 

 ギクッとした顔になるお兄さん。 さすがに顔に出ているから図星だろう。

 僕が察するに、これは爆弾だと考える。でもこれが爆弾か何かを解析できる人を僕は知っている。

 

「僕…?勘違いしていないかい…?」

 

「していないよ。」

 

「そうだ、何か奢ってあげるよ。だから、ね?」

 

「知らない人に奢ってもらうのは駄目だって、小学生の頃に教えてもらった。」

 

「今は何歳だい?」

 

「もう諦めなよ。」

 

「ッ…!うるさい……!!お前のせいだ…!この場で全部、爆破させてやる!」

 

 店員が果物型爆弾を一つ掴むのとついでに胸ポケットから起動装置を取り出そうとしていた。

 そこに感づいた魔八は思考を加速させる。

 

(接客の時と全然性格違うじゃん!?ツッコミを色々と言いたくなるが、冷静になろう。まず、僕一人でこの場の全員を守ることができるのか。兄弟を待っている時間はない。ならばどうする…?)

 

 魔八の若い脳を超フル回転させる。そこで一つ思いついた方法が、八重の電撃で店員丸ごと感電させる方法だ。

 すぐに行動に移そうとしたが、八重を所持していなかった。

 

(しまったー!手入れして出掛けていく際に机の上に置いたんだったんだー!!)

 

 今の思考から行動まで約2秒。もう間に合わないと諦めていると、店員の方から焦りの声が、聞こえた。

 

「あ、あれ?何で爆発しないんだ!?」

 

「残念だけど、もうその爆弾は爆発しないよ。」

 

「──え?」

 

 声がした方向には、辛三お兄ちゃんと四怨姉ちゃん、そして七悪兄ちゃんが立っていた。

 

「その爆弾には、私が既にハッキングしている。まぁ、私がミスることは無いとは思うが、念の為、七悪のガスをこの周りに充満させている。」

 

「ハーブの代わり付きでね♪」

 

 流石は兄ちゃん達だ…!僕一人では何にも出来なかった…。

 

「クソっ!捕まってたまるか!」

 

「あっ、そっちは──!」

 

「え──ぎゃああああー!!!」

 

 走って逃げようとしていた店員は、自分の爆弾を踏んづけて、自爆した。

 四怨姉ちゃんはやれやれとしていて、七悪兄ちゃんが直ぐに鎮火してこの場は解決した。

 

「よく耐えてくれたね、魔八。」

 

 僕の頭をよしよしと撫でてくれる辛三お兄ちゃん。でも僕は失敗した。八重を持ってくるのを忘れたからだ。スパイとして一番やってはいけないことをしたのだ。

 本当のことを話さないと気が済まない。

 

「でも、辛三お兄ちゃん…僕、武器を忘れて──」

 

「関係ないよ。事を最小に抑えてくれたんだ。魔八はよくやってくれたよ。ありがとね。」

 

「そんな…ありがとっ…!」

 

 『何にも役に立たなかった』とネガティブなことはもう辞めようと思う。

 小さな事でも兄弟のために役に立ったのだから。でも、武器を忘れたのは絶対にダメだ。肝に銘じておこう。

 まじかる☆ぴょんのショーは、何事もなく開始された。四怨お姉ちゃんが、ダンサーの人に合わせてキレキレのステップを踏むから驚いた。七悪兄ちゃんも急だったから驚いてはいたけど、直ぐにステップを踏み始めた。

 二人が熱狂なファンってことを理解しました。




さて、夜桜 魔八くんの説明を少し…

夜桜 魔八(男)
14歳(中学3年生)
夜桜家の5男にして末っ子
一人称は、「僕」
軽い性格にして真面目 少しおっちょこちょいでもすぐに冷静になれる
家族内で1番気が合うのは、朝野 太陽。
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