深夜に駆ける男性と女性のカップル。ハァハァと息を枯らしながらも必死に走る。その後ろからは白い無印の仮面を被ったスーツ姿の人が大鎌を持って追いかけていた。
「ぎゃあ!!」
「イリア!」
幅が長い大鎌が女性の背中を貫通し、股まで切り裂かれる。女性はピクピクとしながら、息絶えて逝った。
男性はビクビクとしながらも、「なぜ俺らを襲う」と、無印仮面に問う。
「……理由などいるのか。」
「!? ぎゃああああ!!」
無印仮面は無慈悲なく、男性を頭から大鎌で裂いて行った。
それから夜が明けて、夜桜邸のテレビの電源が付く。
『皆さん、お早うございます!朝6時をお知らせします!』
「太陽兄さんおはよ~」
「魔八おはよ。」
朝イチ早く起きるのは大体、太陽兄さんだ。それから凶一郎兄さんといった感じに起きてくる。
テレビでは天気予報の次に、ニュースが始まる。ここでは、表社会のニュースを観れるからスパイ活動のために情報収集がしやすいから好きだ。
《次のニュースです。昨日未明、20代の男性と女性が刃物により、殺害されました。遺体は──》
「物騒だね。」
「そうだな・・・」
深刻な顔になりながらも、ニュースを見続ける。
朝からそんな鬱になりそうなニュースを耳にするのは、少しキツいが、これも耐えなれば。
《遺体は─頭から股まで半分に両断されていたとの事。警察は─ 》
「「ッ!!?」」
有り得ない事件が起こり、困惑する僕と太陽兄さん。
事件じゃ済まない。これは、快楽殺人だ。だからこそ無差別で行われている可能性が高い。
警察に任せるのは無理だろう。それなら、僕たちの出番だ。
「よし調査するか。」
「駄目だ。」
「あっ凶一郎兄さん、おはようございます。」
凶一郎兄さんが僕の肩を掴みながら、太陽兄さんにコクリと挨拶する。。
「今回のは、我々の任務ではない。任務外で危険だ。」
「でもさ、無差別なんでしょ?」
「ニュースでは一言もそんなことは伝えていない。」
「それでもさ!」
「駄目だ。」
凶一郎兄さんはいつも眼を閉じている。それでも判る。絶対に行くなと肌で伝わる。
このまま払って行くのもいいかもしれないが、流石に凶一郎兄さんもブチ切れる。ここは、本当に待機した方が良いのかもしれない。
だけど、そんなことも考える暇など無くなっていく事件が起きた。
このニュースから一週間後、辛三お兄ちゃんが血だらけで負けて帰ってきた。
家族のみんなが、辛三お兄ちゃんの所に集まる。七悪お兄ちゃんが、自室に辛三お兄ちゃんの怪我を治すために連れ込んだ。
あの辛三お兄ちゃんが…血だらけ…?不自然すぎる。そういや、今回の辛三お兄ちゃんの任務は何だ?
辛三お兄ちゃんの自室に向かって、書類の山から色々と探す。詳しい書類は六美姉ちゃんが管理しているし、もっと詳しい任務を知っているのは、凶一郎兄さんだ。それならまずは、凶一郎兄さんに聞いてみた方が良いのかも。
「辛三の任務、か…確か
「ありがとう。それじゃあちょっと任務に行ってくるよ。」
そう言って、四怨姉ちゃんに企業プログラムのことを聞くために、四怨お姉ちゃんの部屋に向かう。
「四怨姉ちゃん、聞きたいことが…」
「おおー?どしたどした。」
肩を半本以上出したダルダルのピンクの服を着て出てきた。後ろテレビには、『GAME CLEAR』の画面が光っている。
「○○○業者の企業プログラムって四怨お姉ちゃんが解除したんだよね。どんなプログラムだったの?」
「あー、あれは
「それって、凶一郎兄さんが死んでたアレ?」
「そっそっ、それそれ。」
お姉ちゃんでも困難なプログラム…相当厳重だったという訳か。
「ありがとね、それじゃあ。」
◆
「……! よし、場所も分かった…あとは乗り込むだけ…!」
深夜に一人で今日集めた資料や情報を確認しまくって、居場所を突き止めた。みんなにはごめんだけど、今回のは僕一人で解決したいと思った。
調べ終わったのでパソコンを閉じると、ドアが開く音がした。後ろを振り向くと、そこには二刃姉ちゃんがいた。
「二刃姉ちゃん…どうしたの?こんな夜中に。」
「白々しいね…魔八、今日は兄妹の所に辛三が行った任務のことを調べまくったらしいじゃないか。まさか、兄妹に秘密で乗り込もうとしてたんじゃないのかい?」
「…姉ちゃんは鋭いね…そうだよ。」
「はぁ」と一つ溜め息を付くと、僕の方に歩いて背伸びして、僕をギュッと抱きしめた。
突然の事で混乱していた僕だけど、姉ちゃんはゆっくりとした口調で口を開いた。
「一人で抱え込むんじゃないよ、魔八。」
「…!」
「お兄ちゃんが負けて悔しかったのだろう。それは私も他の兄妹も同じだよ。だからこそ、一人で解決しようと思わないこと。」
「僕は…いや、分かったよ。」
姉ちゃんの腕の中で安心したように急な眠気に襲われる。僕一人じゃないんだ…。独りでは出来ないことも家族でやれば解決できるんだ…。
明日の朝10時に決行だ。
次回、潜入します。
辛三ファンの皆様、すみませんでした。