引っ越し in モンハン   作:蟹男

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アツゥイ!

他のを書こうと言う気持ちは有るけれどついつい楽なのやっちゃうな……。


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砂に塗れた服を洗い中の掃除を完了し、受け取った時と変わらない程綺麗に片付いた用具を整理しながら一人呟く。

 

「このテントとももうお別れか……かなり暑かったけど楽しかったな」

 

極寒の地ポッケ村から移り住んで早い物で二週間、人の住む環境など何も無かったこの場所。生きて行く住処さえゼロから作らなくてはいけないと知った時は絶望に打ちひしがれた物だ。ようやくこの地獄から解放されると言うのに、どうして悲しい気持ちが私の中に生まれているのだろう?やはり苦労は有ったがそれでも彼らとの生活は楽しかったと――

 

「うへえ、暑いですねコスタさん……うわっ!?」

 

「ニャ!一体何者だニャ!?部外者は入れニャい――」

 

「ああ、良いんだ良いんだ。彼は私の知り合いでね、わざわざ手伝いにやって来てくれたんだよ」

 

「ニャ?それは失礼、ゆっくりしていくと良いニャ!」

 

突き付けていた刀を下ろしたアイルーは謝罪の言葉を述べ、丁寧にお辞儀しその場を離れて行く。少々先走ってしまいがちな所は有るが、引越しの手伝いの為にわざわざ残ってくれている優しいオトモだ。私なんかには勿体無い仲間である。

 

「驚かせてしまったね、ハラッド君。わざわざ来てくれたのに申し訳無い、君が来ると分かったのが急だったから知らせるのを忘れてしまったみたいだ。仕事も大変な中駆けつけてくれたのに……」

 

「いえいえ、むしろ嬉しい位ですよ。そりゃちょっと驚きましたけど、相変わらず部下に好かれている姿を見られたんですから。あなたは本当に昔から人の心を掴むのが上手でした、今でもコスタさんを尊敬している人は沢山いますよ……勿論、僕を含めてです」

 

「そうかい?それは嬉しいよ。でも私は大した事なんかしていないよ、ただ皆と真摯に向き合っているだけさ。私なんか迷惑掛けっ放しだからね」

 

「何を仰いますか!今回の偉業はコスタさん抜きでは語れませんよ!まさかあの片角のマオウと戦って、しかも撃退するだなんて……」

 

マオウの折れた片方の角を探すと言う無茶な任務、どうすれば達成できるのか見当も付かなかった。だが私はそれ程器用じゃない、どんな無理難題が課されようと真正面から取り組む事しか出来ない。来る日も来る日も目の前に広がる砂漠を歩き回り続けた。

 

――そして、運命の日は訪れる。

 

「考えてみれば当然なんだよね、マオウが無くした角を探すっていう事は生息する場所をウロウロするっていう事。おまけに辺りには動く物なんて何も無いないから私達が見つかるのは当たり前だったんだ」

 

「でもあの広い砂漠でバッタリ出会うなんて考えられませんよ、普通。それに結果的に仕留められなくても戦いには勝てたんだから良かったじゃないですか!残っていたもう一本を折って任務も達成出来た訳ですし」

 

「運が良かっただけさ。偶然音爆弾を持ち歩いていた事と、そして何より……赤い毛並の彼の特攻が私達を救ったんだ。私は一生あの勇姿を忘れないよ」

 

岩に突き刺さった角を引き抜こうともがくマオウ、満身創痍で力が入らない私達。早く仕掛けなければ、反撃を受けたらもうお終いだ――!誰もがそう思った時、彼は雄叫びを上げ走り出したのだ……頭上に大タル爆弾を掲げたまま。そして煌めく閃光、遅れて届く爆音と熱風。私は即座に何が起きたのか理解した、理解してしまった。

 

「私が弱かったばかりに、あんな決断をさせてしまった。結果的に角を手に入れたとはいえその栄誉を受け取るべきなのは私じゃない、隊員の皆だよ」

 

「コスタさん……」

 

自然と、手は敬礼の動作を取っていた。もう二度とこんな事は起きない様強く有らねば。ふと隣を見るとハラッド君も同じ様に敬礼してくれている。名も顔も知らぬアイルーへと敬意を示してくれる彼の優しさが嬉しく、そして誇らしい。

 

 

 

 

 

 

 

尚、別に誰か死んだり怪我をしたりしたという事は無い。彼もさっさと地面に潜って回復したらしく五分もしたらいつの間にか隊列に戻っていた。今頃はどこかでバカンスでもしている事だろう。

 

「そ、そうだ!結局息子さんと仲直りは出来たの?確かギルドマスターが子供とケンカしてご機嫌を取る為に必要だったんだよね」

 

「ああ、それは大丈夫です。好きな物食べに連れて行ったらすぐにケンカは終わったらしくて」

 

「……え?じゃあ何の為に頑張ったの?」

 

「いや、まあ……プレゼントもしたらしいですよ?でも普通のと違いが良く分からなくてそんなに喜ばなかったみたいです」

 

そりゃそうだ、マオウとはいえ実際はただ強いだけの個体である。大きさが違うとはいえ元々が巨大だから一緒に見えるだろう。……もっと早く連絡してくれれば死ぬ思いなんかしなくて済んだのに。

 

「ま、まあいいや。砂漠の危険が少なくなったのは事実だし。さ、気を取り直して片づけを進めちゃおうか!三回目だけどいざ処分するとなるとどれを処分していいか分からなくてさ……」

 

『いるもの』『いらないもの』とそれぞれ書かれた二つの箱を前に並べる。どこに行くにしても、本当の必需品はコレなのだろう。これからも世話になるのだから大事に使っていきたい。……勿論使わなくなるのが一番だがその日が来るのはまだまだ先の様な気がする。

 

「ええっと……まずはギルドカード!これは要るよね?」

 

「ここにも持って来ていたんですか……?それは要りません。なぜならあなたは、これからは隊長では無く漁師になるんですから」

 

「ハァ!?漁師!?私ハンターだよ!?」

 

もはや意味が分からない。無駄足だったとはいえ、今回の件は相手がモンスターなのだからまだ分かる。だが漁師となると明らかに畑違いだ。そりゃ偶に魚を釣る事も有るが、本職には遠く及ばない。とはいえ所詮私は下っ端、上の言う事に逆らう気力は持っていない。

 

「ウチのギルド色んな事手を出しているんだね……まあ休暇だと思ってゆっくりさせて貰おうかな。あ、じゃあこれはどう?双眼鏡。漁師って事は魚を探さなきゃいけないからさ、これで遠くまで――」

 

「これも要りません。コスタさんが狙う相手はこんな物無くたって簡単に見つかります」

 

「あ、そうなの?じゃ結構沢山居るんだ」

 

「いえ、数はそんなには多くないです。多分沢山取って貰うとは思いますけど」

 

数は多くないのに見つけるのに苦労しない?どう聞いても矛盾している様に思えるが、今までハラッド君の言う事に嘘は無かった。言い様のない不安を覚えつつそれらを箱に放り込み質問を続ける。

 

「じゃあ服!水辺だと日差しも強くて暑そうだから、お土産で買ったこのアロハなんてどうかな?」

 

「それではちょっと……こちらで用意した服が有りますからそれを使って下さい」

 

「あ、やっぱりまずかった?そうだよね、仕事だからリゾート気分じゃ――何コレ?」

 

妙にぴっちりした黒の上下の服を手渡される。恐らく来たら体にフィットするように出来ているし、水に濡れても平気な様だ。確かに適している気はするが何か違和感が……?

 

「そうそう、これは必要だと思うんだ。虫取り網と釣り餌。こっちでする事無いからさ、しょっちゅう虫捕りしていたんだ。ほら釣りミミズとかも沢山――」

 

「それも要りません。網は必要だし餌も欲しいんですが……ちょっと大きさが足りないですね、コレをどうぞ」

 

「おおっ!?す、すごいデカい網だね。それと餌は……!?」

 

一抱えも有る巨大な網と共に手渡された餌を見る。ケースの中には元気そうに飛び回るカエルが入っていた。

 

「何となく分かって来たよ、ターゲットがさ!……でもわざわざ漁に出なくても良いんじゃない?ハンターでも漁師でも誰かに頼めばすぐでしょ、この位。何だったら私をギルドに戻してくれれば幾らでもやるよ?ほら、手紙をくれた皆にも会いたいしさ」

 

「その手紙、お読みになりましたか?」

 

「勿論だよ!なんか今忙しいらしいけど、元気そうで何よりだね。ほら見てよ、こんなイラストまで描いてくれてさ」

 

「コスタさん、それです」

 

それ……?このイラストだろうか。デフォルメされたガノトトスのイラストには体中にハートマークの紋様があしらわれ、とても可愛く仕上がっている。だからどうした、という話だが。

 

「実はですね、今度ギルドの建物を新しく建て直す事が決まったんです」

 

「あ、そうなの?確かに大分古くなって来たもんね」

 

「ええ。そのついでに色々内装を豪華にしてイメージを変えて行こう!っていう話になりまして……」

 

「……うん」

 

今の所、特におかしい点は見当たらない。そして私が漁師になる理由も。

 

「そうして決まったのがそのイラストのキャラ、ハートフル・トトス君です。可愛いでしょう?」

 

「そうだね、これは人気が出そう――」

 

「捕まえて下さい」

 

「は?」

 

「コスタさん。ウロコがハート模様になっているガノトトス、それを探して捕まえるのがあなたの仕事です。水中でカエルを持って上手く網に誘き寄せて下さい」

 

「バカじゃねえの!?」

 

思わず口から本音が零れ落ちる。前回も大概だったが、今回はそれ以上だ。そんな居るかどうかも分からない相手を、どうしてただ飾る為だけに探さなければいけないのか。

 

「私も必要無いんじゃないかって反対したんですけど、受付嬢達が絶対に見たいって聞かなくて……。素潜りして誘き寄せるのも彼女達の提案です、傷付いていたら嫌だとか」

 

「ウチのギルド随分女子に優しいんだね!そんなの私一人じゃ無理だよ、せめて誰かサポートを付けられないの!?一杯居るでしょギルドにハンターが!」

 

「他の人達は……皆新築祝いパーティーの準備が忙しいんですよ!」

 

「がんばれぇ~!負けんな~!力の~限り、生きて……やれ……」

 

明らかに皆パーティーだけを楽しみにしているじゃないか?なぜ私一人がそんなどうでも良い苦行をしなければいけないんだ……

 

「あなたが!あなたが報告書に『転勤のマオウより』なんて書くからいけないんだ!」

 

「アレかぁ~!ちょっとしたギャグで、ほんの出来心だったんだよぉ~……!」

 

水を求めてさ迷い歩いた炎天下、冷たい海や川で泳ぎ回りたいと思った事は一度や二度では済まない。ああ神様……願い、叶え過ぎです。

 




このコントとのクロスはモンハン以外でも簡単に出来そうな気がする。自分ではやる気は無いけど。

誰かやってくれないかなー……。
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