素晴らしい世界へ鬼島津   作:syunin

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 短いです。


九話:如何に

 

 平原の下、生者と死者の軍勢がぶつかる。

 先駆けは言うまでもなく豊久だった。

 骨の軍勢を前に豊久は(はし)りながら抜刀する。

 

 一太刀、左一文字。

 するりと横を抜けながら骨を斬り裂く、違和感を覚える。

 

 二刀、真向(まっこう)

 飛びながら切り捨てる、違和感が確信に変わる。

 

 三度、振るわれるのは袈裟

 立ち止まり斜めに振るわれた刀は、まるで抵抗を見せずに腐りはてた兵士の肉を斬った。

 

 四度目は振るわれなかった。

 そのまま立ち止まる豊久、槍を引き絞り迫る死者の兵士。

 しかし、その槍は豊久に当たらず。

 そのままするりと横を通り抜けていった。

 他の冒険者等も気付く、矛先が自分に向けられてないことに。

 歯牙にもかけられてない、訳ではない。

 まるで、憎き怨敵(・・・・)がその先に居るかの様に____

 

 そして、後方では。

 

 「……待って、なにこれ嘘でしょなんなのよぉぉぉぉぉぉぉ!?」

 

 ____アクア(女神)が、その矛先を一身に受けていた!

 

 「……ぇぇえええええ!?何をやっている!何故そいつに固執するのだ我が軍勢よ!!」

 

 「なんじゃ、これ」

 

 戦さの方向は、開幕から既に制御不能になっていた____

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

⊕⊕⊕⊕⊕

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「で、どうするんだ大将。つーかどーなってんのコレ」

 

 「(おい)にもわからん」

 

 ____戦場、最後方。

 

 カズマと豊久が俯瞰する。

 依然、死者の軍勢はアクアを追っていた。

 共廻りの兵をも釣られたベルディアの狼狽する声がこちらにも聞こえてくる。

 しかし、単騎と言えどもベルディアは魔王軍幹部。

 手を出せば並みの冒険者など歯牙にもかけず、切り捨てられるのだろう。

 目の前の光景の異質さに気が付き、冒険者たちの頭が冷えた結果、誰も手出しできずにいるのである。

 

 「アンデッド達がアクアを追うのには心当たりがある」

 

 「ほいで、如何に?」

 

 「策がある」

 

 カズマが豊久に言った。

 

 「ほう、策があっと」

 

 「島津の兵法、それに手を貸したい」

 

 「よかじゃろ。かずま、お前(わい)ん手札はないじゃ」

 

 豊久の言葉に、カズマは豊久に耳打ちをする。

 それを聞いた時、豊久は思わず破顔した。

 

 「かずまよ、お(まん)はおもしてか奴じゃ、軍師向きじゃな」

 

 「それまで、島津さんは」

 

 「応」

 

 豊久は歩きながらカズマに応える。

 

 

 「大将首、とってくっ(とってくる)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

⊕⊕⊕⊕⊕

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「ええい、わが軍勢よ、何故そこな女ばかり狙う!」

 

 一方、ベルディアはいまだ自身の軍勢の指揮を掌握できずにいた。

 それもそのはず、ベルディアには女プリースト(女神アクア)の正体が分からずじまいである。

 ____もし、ベルディアが自分の本来の目的(・・・・・)に準じていれば、この現象の答えにたどり着けたかも知れない。

 もし、これが普通の日本人との闘いならば、戦の中で冷静さを取り戻せたのかも知れない。

 そして、もしも。

 

 「……フッ、貴様ほどの勇士が、この絶好機を逃すはずはない、か」

 

 「おうとも、その首級(くび)(おい)がもらうど」

 

 鬼島津(グイシーマンヅ)が目の前まで迫っていなければ、事態の収拾に努めることができたのかもしれない。

 

 「首など等の昔に落ちてるがなぁ!」

 

 ベルディアが咆え、豊久が抜刀する。

 

 勝敗を表す天秤が、傾き始めた____

 





 次はすぐ上げられそう。
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