テニスの王子様の言うとおりっ   作:ヘビとマングース

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25 兆し

 言わばそれは注目度の高い大会の一回戦でしかない。しかし観客には様々な思惑がある。

 一回戦はまだ大したことがないと高を括る人も居る一方、掘り出し物はないかと目を光らせる人も少なくはなくて、集まる人間が多ければあらゆる態度があった。

 そうした中では注目してよかったと思う人間が多い試合展開だっただろう。

 

 とにかく小柄な一年生だ。彼が凄い。

 他の選手も異様に動きが良いのだが華々しい活躍を見せるのは彼である。

 素早いスピード、卓越したテクニック、非常に高度な決定力。間違いなくスターの逸材。

 

 試合開始からほんの少しして越前リョーマの名と姿は瞬く間に広まっていった。華麗なプレーは観客を無条件に惹きつけ、注目せずにはいられない。

 サウスポーだが時折右手に持ち替える二刀流で敵を翻弄する変わり者で、何よりもイケメンだ。小柄ではあるがきれいな顔をしていてクールな様子は遠目にも伝わる。

 早くも新星発見。彼がボールに触れればわっと歓声が響く。

 

「くそっ! しつっこいだーね!」

「やるなー」

 

 柳沢は思い通りに進まない試合展開に苛立ちを見せ、淳はまるで正反対に楽しげで、時折笑みをこぼしながら嬉々としてプレーしている。

 悠介とリョーマは試合開始直後から攻めていた。最短で点を取ることを目的とし、相手が冷静になる前に取れるだけ取ってやろうという気迫を感じた。そうした態度により事実柳沢は冷静さを欠いているらしく、プレーが短絡的になっている。

 

 まだ点を取れる。攻め続ける以外は考えない。

 柳沢が打ち返したボールを正面で迎えて、悠介はぐるりと目を動かし、相手の動作をつぶさに観察しながらラケットを振るう。

 

「センター!」

 

 叫びながら悠介がボールを打ち返す。

 何を言っているのかはわからないが柳沢は聞き入れずにボールへ飛びつき、その一瞬、淳は訝しむ顔で悠介を見ていた。

 ネットを越えて、向かってくる打球をバックスイングで打つ。

 叫びの意味を理解したのはその直後だ。

 

「早っ……!」

「ドライブA」

 

 中央へ飛び込んできたリョーマが、ダッシュする勢いを利用してボレーを打った。狙っていた通りにセンター。ボールが来る場所を予想していたようだ。

 右腕でラケットを持ち、素早いスイング。リョーマの打球は素早く柳沢の顔面へ向かった。強烈なスピンがかかるそれがやけにはっきりと見える。

 咄嗟に悲鳴を上げながら柳沢はラケットを上げて、自身の顔を守ってガットに当たった。

 

 ぽーんと軽い様子で高くボールが上がる。

 すかさず追おうとしたリョーマだが、落下地点を目視すると足を止めた。

 駆け込んできた悠介が前へ高く飛ぶと同時、勢いを利用したスイングで捉えて、持てる力を全て注いだ強烈なダンクスマッシュを決める。

 

 予想だにしないスピード展開に落ち着く暇さえない。

 得点を決めるとリョーマと悠介は軽くハイタッチをする。

 気分は上々。体がよく動く。二人は共に良い状態を理解していた。

 

「40-30!」

「くっそー……! なんか上手いこといかないだーね」

「上手いなぁあの子。でも今の、あっちの子が指示してたね」

「え? そうだった?」

「そうだったよ。焦り過ぎだからもっと落ち着いて。ほら深呼吸」

 

 すーはーと何度か深呼吸を繰り返して、柳沢はころっと表情を変えた。彼は熱くなりやすい一方で気持ちの切り替えも早い。少々の苦境でも素早く対応することができる。きっかけ一つで本来の力量を発揮することが可能なのだ。

 そして俯瞰的に状況を見やり、冷静に彼を落ち着かせた淳は、リョーマはもちろん悠介に対しても注意を向けている。

 

「すまなかっただーね。ちょっと張り切り過ぎた。もう大丈夫だーね」

「うん。でも楽しい。もっとやりたいな」

 

 淳はいつになく嬉々として楽しそうだった。

 以前から彼は勝敗よりも試合の過程に拘る癖がある。勝つ喜びよりもゲームを楽しむことが彼の何よりの喜びであり、どうしても無視できない事柄だ。

 今日の相手は良い。初戦から思わずにやけてしまうほどの喜びがあった。

 この後もきっと楽しめる。そうした期待でさらに心が躍っている。

 

 彼と視線を交わした悠介は警戒していた。

 どちらも上手い。鍛え上げたテクニックで決して油断できないペアだが特に淳だ。

 攻撃と守備の起点になる、一方で感情の振れ幅が大きい柳沢とは異なり、観察するようにじっと眺めてくる彼がこのまま落ち着いているとは思えない。

 

 おそらくタイプとしては自分側。しかも勘が良い感覚派。

 柳沢を落ち着かせたのを見て警戒はさらに強まる。

 避けるように視線を逸らした悠介はリョーマに目を向けた。

 

「あの人、なんか、不二先輩っぽい感じがする」

「ハチマキ?」

「うん。何考えてるのか読めないのに、俺の考えてること読んでそうな」

 

 ふうんと気のない返事をしてリョーマも彼を見てみる。視線に気付いた淳はにこりと笑いかけ、柳沢も冷静さを取り戻せば笑みを浮かべて楽しげだった。

 厄介であることは間違いない。勢いに乗っている今は自分たちが優位に立っているものの、逆に勢いに乗られるのはまずい気がする。

 そう思う理由はやはり彼らの地力だ。基本通りの地味なものだがだからこそ突き崩しにくくて、精神的な優位がなくなった今からが危うい。

 

「こういう時こそ使いどころっスよね」

「そうだな。頼んだ」

 

 ボールを持ったリョーマがサービスラインに立つ。

 またしてもラケットを持つ手を変え、右手で握って左手でボールを扱う。ポンと地面に何度か弾ませて準備をしているようだ。

 見覚えのある仕草に観客の一部がおっと反応を見せる。

 ようやく見せる決め球。彼と言えばのサーブを初めて披露する瞬間だった。

 

「よーし来ーい!」

 

 雄々しく吠えて待ち構える柳沢へ向けて、サーブが打たれた。

 地面にバウンドし、強烈なスピンで沈み込むように一秒にも満たない一瞬の静寂。そして猛烈に跳ね上がって顔面を狙う。

 慌てた柳沢は思わず避けてしまい、尻もちをついてしまった。

 

「おわぁっ⁉」

「ゲーム宮瀬・越前! 3-1!」

「な、なんだーね今のは……! っていうかまた顔面かよ!」

「ツイストかな? へぇ~いいなぁ。俺にも打ってほしかったなぁ」

 

 驚愕する柳沢は立ち上がる前に憤る。二度も顔を狙われてはトラウマになりかねない。

 そんなパートナーは一切気にせず、淳は子供が玩具をねだるように、リョーマのツイストサーブで目をキラキラさせて好奇心を表していた。

 残念ながらゲームは奪取され、リョーマのサーブは終了してしまった。再び見るにはまた一巡する時を待つしかないだろう。

 

 一打ごと、相手が強いと伝わる度にテンションが上がっていく。

 柳沢も冷静になった。これからは同じ状態になるだろう。

 生き生きとして、見た目よりもずっと幼い表情になり、淳は悠々と足を運ぶ。

 

「今日は指示されてないから、できるだけ長くやりたいな」

「また淳の悪いとこ出てるだーね。でも珍しいか」

 

 サーブ権が移って再び柳沢がボールを持つ。

 その際、相手に伝わらないようサインを出して次のプレーを決めた。

 普段は柳沢が作戦をリードすることが多い。しかし今回は淳が気になることがあるらしい。珍しく乗り気で標的を定め、何より自分が主導すると決意した。

 

「行くだーね!」

 

 鋭く力強いスピードサーブ。柳沢がボールを打ち、悠介が迎える。

 今回は即座に動いてきた。

 悠介がボールに触れるよりも先に淳がポーチに出てネットに張り付いた。これまでとはまるで違う行動に悠介の表情が動いて反応し、それでも脇を抜こうと強気に打ち返す。

 

 コートに入るだろうギリギリの位置を狙った返球。驚かずに反応した淳は、得点のためコート内の空いたスペースを狙おうとはせず、敢えて悠介の正面へ打ち返した。

 再び悠介が返球すれば、やはり淳は彼の正面へボールを返した。

 

 これまでとは何かが違う。意図的にプレーを変えているのは明らかだった。

 明らかではあるのだがその一方で、なぜか淳は悠介にボールを拾わせようとしていて、ただ単にリョーマを警戒するならばわかるが何か違う気がする。

 嫌な予感がした。自分に対する強い執着を感じる。

 実力を見極めようとしているのか。彼の笑顔が少し恐ろしくも思える。

 

(この人多分、俺を知ってる。ルドルフのマネージャーも裕太君も居るし……)

 

 楽しみながらも観察するような目つき。見るからに関心を持たれている。

 ラリーを行う最中、悠介は己を奮い立たせた。

 ここまでは当初の予定通り。対応してきたのも想定の範囲内。変わるためには今、この局面で動かなければならない。

 

(ここで退いたら今までのままだ。変わるためには、攻めろ!)

 

 自分に言い聞かせて思い切りラケットを振るう。

 ユラ~っとした予備動作から素早いスイング。攻撃の意思が鮮明になる。

 獲物に飛び掛かる蛇のように急激に曲がる打球が繰り出され、淳の目つきが変わった。キリキリと緊迫感が増して獲物を狙う梟の如く。そのスイングを見た途端に数歩後ずさって迷わず対応し、驚く前に思考が消し飛んで体が勝手に動いていた。

 

 数歩下がったことで背後を通ろうとした打球を頭上に捉え、差し出したラケットに当たり、お世辞にも美しいとは言えなかったが倒れそうになりながらもボールを返す。

 すかさずリョーマが飛び込んできた。鋭い打球が体勢を崩した淳の足元を抜く。

 

「あ~っ! 惜しいだーね!」

「ふう。想像よりずっとすごいや」

 

 観客がざわついている。悠介が海堂と同じく“スネイク”を使ったことに驚いているのだ。およそ中学生にできる技ではないと動揺が広がっていて、流石は青学と語る声も少なくない。

 それに対して対戦相手の二人は、興奮こそしているが驚いていない。

 知っていたからだ。あらかじめ悠介について知っていたから心構えがあった。

 今のは偶然にも見える動作だったが、おそらく次は合わせてくるだろう。次の攻撃を読んでいたかのような行動だったのが妙に頭に残った。

 

「あの人たち、俺のこと知ってるな」

「へぇ」

 

 プレーが止まったタイミングで悠介は隠さずにパートナーへ告げた。

 リョーマは気のない返事であまり興味を見せなかった。

 

「背中抜けると思って結構大きめに振ったのに、一回で合わせてきた。多分警戒されてたんだ」

「まあね。でも今のへろへろだったよ」

「そうだけど、なんか嫌な感じだな」

 

 反射的にもしやと考える。

 数多の技を持つ悠介は攻撃の起点にスネイクを据えることが多い。好きなタイミングで自ら仕掛けられる利点があり、見た目が派手で相手を驚かせることもできる。海堂のそれに比べればキレとスピードは落ちて拾われる可能性も少なくないが、その際の備えもすでにあった。

 

 知られた状態で待たれていたのなら初見で返されたのも納得できる。となれば自身が想像したよりも詳細まで知られているのかもしれない。

 それでも、自身は相手に合わせてプレーを変えられるスタイル。全ての技やプレーが通用しないとは思わない。先輩から譲り受けたそれらに対する自信と信頼は大きかった。

 深く息を吐いて、思考は彼らに対抗する未来を描き出そうとする。

 

「まあでも、俺のこと知ってても流石に越前のことまでは知らないみたいだし、ここまではその差が出たって感じかな」

「実力でしょ。俺の」

「俺は?」

「さあ……」

「チームワークって知ってる? むしろ知れ」

 

 はいはいとでも言いたげに離れていくリョーマの姿に嘆息し、しかし怒っている場合ではないとすぐさま気持ちを入れ替えた。

 彼はいつも通りだ。生意気だがやはり頼りになる。

 重要なのは良くも悪くも自分だ。

 

 越前リョーマはダブルスが苦手である。

 彼を知る上では避けては通れないその認識は、最近になって改められつつある。

 宮瀬悠介と組んだ時だけはダブルスが可能。好き勝手に動いてパートナーとの呼吸が合わずに、シングルスとは打って変わって凡ミスを連発する彼が現状唯一のパートナーを見つけた。

 彼らのそれは、その二人だからこそ作られるコンビネーションだった。

 

 これまでと変わらず好き勝手に動くリョーマを悠介がサポートする形で、彼が動くことで開けられる穴に素早く駆け込んで相手を牽制し、決められた動きとは違った自由な戦法を主としている。

 リョーマはネット際での攻撃的なプレーで確実な決定力を見せ、悠介は抜群のコントロールで彼にボールを拾わせるために対戦相手を動かす。

 自由気まま、気分次第で動くリョーマがコート上を支配しているように見える一方、悠介の動きは時にリョーマをコントロールしていて、互いが互いにプレーで命令を与えて、支配し合う関係。当人は敢えて言語化しようとしなかったが周囲で見ている人間はそれを信頼と呼んだ。

 

 手応えはあった。

 コート全体を俯瞰的に見る悠介がリョーマを武器として使う。余計な躊躇いを全て取っ払って持ち前の攻撃力を発揮する彼はどんな技よりも強烈だった。

 

(俺に注目してくれたのは有難いけど、それでも俺が潰されなければ、越前の決定力でいくらでも引っ張っていける)

「多分、二年生の子が上手いよ。打ってほしいところに打たされてる感じ」

「結構やな奴だーね。んじゃ警戒しとくだーね」

(だからむしろ、俺が注目されてるこの局面で暴れれば)

 

 柳沢がサーブする。

 リョーマが打ち返すと同時に悠介が動いた。

 ポーチに出て柳沢の打球を受け止め、ぽんと軽く浮くような返球をする。驚いた淳は咄嗟に前へ出て打つのだが、異様な光景を見た。

 

 後ろから前へ、スライディングしてきたリョーマが跳ぶ。

 素早く前へ出てきてさらに跳んだ勢いを全て利用し、ボールを打った。

 あまりにも強烈だったインパクトにより、ボールは明らかにアウトになる軌道で空を飛ぶ。

 

 柳沢と淳がこれはアウトだと気を抜いた直後、スピンにより急激に落下したボールがラインに触れてから外へ出ていく。タタンと二度の軽い着地音。凄まじい勢いだった割には呆気ないほど静かな得点だった。

 急激に落下して二度地面に触れる軌道が、まるでアルファベットのBのように見えた。

 呆然とする二人を見て、にやりと笑うリョーマは小さく呟いた。

 

「ドライブB……最後まで追わないから」

 

 まさにしてやったりという顔だった。

 ぞくりとしたのは対戦相手や観客だけではない。パートナーとしてその結果をあらかじめ予想できていた悠介まで表情を変え、ただし彼だけは他とは違い武者震いしていた。

 

 テニスは精神面が大きく影響する。弱気になればプレーは簡単に崩れ、強気になり過ぎても本来の自分のペースが失われることがある。

 常に強気で、かつクール。強いのも納得のメンタルを彼はすでに持っている。さらに相手を揺さぶる挑発的な態度と柔軟なプレー、必殺技まで披露していた。

 それでいていまだ発展途上。今よりもっと強くなる可能性を秘めている。

 

 とんでもないものを手に入れたという実感を強く得ていた。

 一瞬、頭の中にふっと浮かぶものがある。

 半信半疑。勘違いか、暴走した期待か、或いは予言か。躊躇いはあったが、ふらりと歩き出した悠介がリョーマへ歩み寄り、彼の目を見て訴えかける。

 

「6-3」

「何? それ」

「俺たちが勝つ時のカウント」

 

 冗談を言っているようには聞こえなかった。

 真剣とも気が抜けているともとれる表情で呆然としながら、淡々とした声で伝えられる。どう受け取ればいいかもわかったものではないが、リョーマは小さく鼻を鳴らした。

 馬鹿にしたいわけではない。何かが変だと気付いていた。

 

「珍しく強気じゃん。未来でも見たの?」

「いや、そういうわけじゃないけど……なんとなく」

「別にいいけど。俺はもっと早く終わらせたいけどね」

「でもあの二人もしぶといから。一気に攻めてこのゲームは取るぞ」

 

 そう伝えてからゲームに戻る。

 練習の時や普段とはまるで顔つきが違った。先に四天宝寺の試合を見て触発された影響が大きいのだろう。かといってそれだけではない。

 明らかに“入った”顔をしていた。

 

 柳沢のサーブを受ける際、彼は宣言通り早速攻め始めた。

 正面で待ち受け、前へステップすると同時に強烈なインパクトで真正面に打ち返す。

 フレームにボールを引っ掛けるフルスイング。両手による“(おとこ)(だま)”で早速の奇襲だ。

 

 淳は触れる前から驚いていたが、河村ほどのパワーはなく、ラケットを弾き飛ばすなどという芸当はできない。多少手元が狂いはしたものの問題なく返された。

 咄嗟に悠介が前へ出て再びボールに触れる。

 ラケットのフレームを地面に引きずって印象的なカラカラという音を聞かせ、掬い上げるような素早いスイング。放たれたムーンボレーはライン上を目掛けて、高く飛んでから大きな弧を描いて落下してくる。

 

 ベースライン付近に居た柳沢が慌てて駆け付け、走る勢いそのままに打ち返す。

 二人がぎょっとするのは同時だった。

 スライディングでネットまで移動してくる小柄な影。勢いをつけて跳び上がり、振り上げるようなスイングでボールを打って、やはりコートの外へ飛んでいく軌道。そこから急降下してコートの端を叩き、その上で確実に入ったと思わせる位置を正確に触れている。

 

 冷静になる暇すら与えないスピード展開と数々の技。

 あまりに鮮烈な存在だった。

 確実に観客の目は変わっている。越前リョーマだけかと思いきや、もう一人の選手までどうやら普通ではないようで、流石は青学と声が揃う。

 

「くすくす……ねぇ柳沢。やっぱり参加してよかったね」

「おおう、珍しい顔。燃えてるだーね」

「うん。楽しいよ」

 

 相手はさらに勢いに乗ろうとしていたが、それで折れる二人ではなかった。むしろ面白いとばかりに闘志が燃え上がり、見るからに生き生きした顔をしている。

 相手が強ければ強いほど熱くなり強くなる。柳沢・木更津ペアの最たる特徴であった。

 心が折れるどころか、好敵手を見つけたとでも言いたげに笑みを浮かべていた。

 

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