テニスの王子様の言うとおりっ   作:ヘビとマングース

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45 長い一日の終わり

「うあ~……疲れたー」

「いやーほんま疲れたな~」

「お前はそこまで疲れてないやろ」

 

 風呂に入ってさっぱりした後、布団の上に寝そべった悠介が気の抜けた声を出す。

 なぜかその上に乗っている金太郎まで脱力しており、呆れる財前の冷たい声が飛んだ。

 

 残念ながら越前家には全員を寝かせてやれるほどの布団がない。雑魚寝を強いられたわけだがなんとか掛け布団は確保できたようで、財前は準備の真っ最中だ。

 大会に出て疲れているだろう悠介やリョーマが休んでいるのは構わないものの、彼らに乗じて初めから働く気のない金太郎には冷たい視線を突き刺し、同じく早々に寝っ転がっている小春とユウジは初めから相手にしようとしていない。

 

「財前……一人で寝れる? 添い寝したろか?」

「おぉい財前! 言うとくけど小春は優しいから母性出してきただけやからなぁ! お前を男として認めたわけやないからなぁ!」

「マジでうるさいっすわ、両方。他人(ひと)()来た時くらい黙ってられません?」

「黙ってられません。しゃべりだけがアタシのいいところだから!」

「そんなことないで小春ぅ! 顔とか頭脳とかスタイルとかもっといっぱいあるんやでぇ!」

「性格は⁉」

「あっ、当たり前やないかそんなもん! 言わんでもわかるでしょってやつや!」

「ユウ君、まさかアタシの体だけが目当てで……! いやぁああああっ⁉」

「誤解やぁ⁉ そんなことない! 俺は小春の全てが好きなんやぁ!」

「あ~うざっ……こういう時に嫌になるんやなぁ」

 

 辟易していると言いたげに財前が深く息を吐き出した。怒りと苛立ちを一緒に捨て去ろうとしているようで中々空気を吸おうとしない。

 結果的に東京まで来たことは後悔していないが、彼らと一緒であることは後悔している。しかしそれもいつものことですぐに忘れ去ろうとした。

 適当に布団を投げつけてやり、抗議が来るが一切無視する。財前は悠介の近くに座った。

 

「宮瀬君、学校交換しません? 面白い先輩がたくさん居てるんです」

「えーっと……ちょっと遠慮しておこうかな。深い意味はないんだけど」

「なんでぇ⁉ 悠介ちゃん歓迎するのにぃ!」

「おぉい宮瀬! 歓迎する言うてもそれは部員であり先輩としてという意味で決して小春がお前を男として認めたわけちゃうからなぁ! 間違えんなよ!」

「ほら」

「いやぁ……」

 

 絶好調だとでも主張するような小春とユウジの姿に言葉が出なくなってしまう。

 はははと苦笑して笑い声を発していた時、ふと悠介は、彼らも日が変わって昨日の大会に出場していたことを思い出す。

 それでこの元気か。尊敬より先に呆れを覚えてしまった。

 

「そういえば、大会ってどうなったの? 財前君全部見た?」

「見ましたよ。宮瀬君、倒れてたから見てないんすね」

「うん。結果とか……あー、ちょっと怖いけど、やっぱり気になるなーって」

「覚えてますんで教えられますよ。優勝だけ聞きます?」

「んー、や、気になるとこだけ教えてもらいたいな」

 

 仰向けになった悠介の腹の上に頭を置いている金太郎がすでに寝入ろうとしていた。普段は元気な彼も慣れない夜更かしで限界を迎えているらしい。

 自身の上に居ることを叱ろうともせず、むしろ甘えてくる後輩など、生意気ですぐ睨んでくる後輩に比べてなんて可愛いのだろうと好意的に思っている。深く考えることもなく金太郎の頭を撫でながら、近くに居る財前へ質問を始めた。

 

「不動峰の二人ってどうなったんだろ。確か伊武君と神尾君」

「あぁ、二回戦でうちの先輩らと戦った人らっすわ。そこで負けてますね」

「アタシらが勝ちました! えっへん!」

「ちょっとアドバイスなんかもかましてやりました! えっへん!」

「はぁ、そうですか」

 

 すでに悠介も彼らに慣れているようだ。深く追求はせずにさらりと流す。

 もっと構ってほしいと不平不満を訴え始める二人は無視して、続けて財前へ質問する。

 

「確か、千葉の六角の人が来てなかった? 一年の子と天根君」

「三回戦で沖縄の比嘉中の二人に負けてますね」

「じゃあ比嘉中の人は? 田仁志さんと知念さん」

「その次で跡部・樺地ペアに負けてますね」

 

 財前はトーナメント表などを出すこともなく答えている。事前にデータを得ていた悠介は参加者の出身校と顔と名前くらいは憶えていたが組み合わせまでは憶えていない。

 比べてみるとかなり記憶力がいいのだろうと知って、頼りになると思ってさらに聞く。

 

「あーなるほど。金色さんと一氏さんは?」

「立海の幸村・浦山ペアに負けてます。まあ、実質“神の子”一人にっすけどね」

「強過ぎるんですあんちきしょう! チート反対!」

「あまりにもでか過ぎる象はなぁ、ちっちゃい蟻んこ本気で踏んづけてきよんねん……」

 

 何やら嫌なことがあったらしい。小春は手持ちのタオルを歯で噛んで悔しがり、ユウジは遠い目をしてどこかを見ている。

 本来なら驚くような光景だろうが、出された名前があまりに有名だ。何があったかを想像するのは難しくなくて、悠介には気遣って苦笑することしかできなかった。

 

「えーっと、じゃあ、優勝ってどうなったの?」

「大体予想はついてるでしょうけど、対戦したんは跡部・樺地ペアと幸村・浦山ペア。一応確認ですけど詳しく聞きたいっすか?」

 

 うっ、と声を詰まらせた悠介は決断に迷う。

 知っておいた方がいい情報であるのは間違いないが、聞けば間違いなく疲れるだろう。ダブルスとはいえその二人が戦って何事もなく終わるはずがない。

 聞くのが怖かったとはいえ、参加した以上は知らないままではまずいだろう。頷いて財前に意思を伝えると続きを頼む。

 

「まあ、多分予想通りの展開ですよ――」

 

 

 

 決勝戦は始まる前から異様な雰囲気が漂っていて、始まってみればやはり観客の想像を軽く超える展開が続いた。

 これまで同様1セットマッチ方式で行われ、3-3となった時点ですでに二時間が経過している。

 異様なまでにラリーが長引き、どちらも負けじと打球に食らいつくため得点が決まらない。互いの実力があまりに高過ぎると1ゲームを取ることさえ苦行となった。

 

 3-3の時点で真っ先に音を上げたのが唯一の一年生、浦山しい太だった。

 強者が放つ特有のプレッシャーに圧倒されるばかりか、部長に誘われたという喜びでなんとなく受けてしまったものの、自分の意思など無関係で決勝という大舞台に連れてこられて、大注目を浴びた状態で戦わされている。こんな展開は予想していない。

 

 もはや体力と精神の限界だった。

 蹲って動けなくなった汗だくの彼はおえおえと嘔吐が止められなくなり、緊張で朝から何も食べられなかったために胃液ばかりを吐いていた。

 

「うぉおおおええええっ……!」

「大丈夫かい? すまない浦山君。想像以上に無理をさせてしまったね」

「い、いいえ……オイラこそ、部長のお役に立てなくて、ううっ⁉ ぼぇええええっ……!」

「そんなことないよ。君とペアが組めて楽しかった。ありがとう」

 

 ぐったりしてしまったしい太はもう動けそうにない。

 ここまでか、と思った時、跡部がパチンと指を鳴らした。

 

「樺地、運んでやれ」

「ウス」

 

 樺地に指示してしい太を運ばせる。彼はきっとどこかで介抱されるだろう。

 コート内で改めて跡部と幸村が対峙する。

 ダブルスではなくなってしまったがこのままでは終われない。大事な決勝戦、決着をつけないまま終了するのは観客のためにもならないのだ。

 

「ここで逃げたりしねぇよなぁ?」

「まさか」

 

 当然の如く試合を続行しようとする二人を落ち着かせて、大会の運営者が慌てて止める。

 あくまでもダブルスの大会であり、不測の事態でシングルスしかできそうにない。しかしここで終了させては観客が満足しないことは明白。

 試合は盛り上がっている最中であって、何時間続こうとも見続けるという熱気が存在していた。

 対策を考えるため大人たちが集まる状況下、彼らは言葉を交わした。

 

「ねぇ、前から気になってたんだけど」

「あん?」

「君のその実力なら“無我の境地”に到達していてもおかしくない。存在は知っているはずだ。それなのにいまだに目覚めていない原因はよほど頑固なのか高いプライドのせいかな? ここまで打ち合って五感を奪えないのも初めての経験だよ」

「必要ねぇんだよ。そんなものなくても、俺様にかかりゃ大抵の技は再現できる。何より他人と同じ力なんて興味がねぇな」

「惜しいね。今より強くなれる方法があるのに選り好みして自分の限界を決めつけている」

 

 跡部の態度は自信満々だ。迷いなど微塵もなく、自らの判断に間違いはないと断じている。そう決め込めるだけの実力があるのは周知の事実だった。

 一方で慢心しているわけではなく、自分の上が居ることは理解している。それでもなお己の決めた道で挑もうと決心しているのだ。

 幸村はくすりと笑って、そんな彼を否定したがる。

 

「似てはいないけど俺たちには近い部分がある。負けず嫌いで、幼い頃はひたすら負け続けた経験があって、今では対戦相手を蹂躙する瞬間を楽しんでいる。だけど大きな違いはそのちっぽけなプライドがあるか否かだ」

「ハッ、言ってくれるじゃねぇか」

「俺に言わせればテニスに必殺技なんて必要ない。さらに言うと、“無我の境地”は他人の技を使う以上の有用性がある」

 

 言って幸村の体からオーラが発せられた。

 神々しいとも言えるその姿はまさに“神の子”の異名に相応しい。

 力強くも美しい姿に魅了され、試合続行が宣告されるより前に、観客の大勢が息を呑んだ。

 

「俺はこれでもテニスを楽しんでいるんだ。君はどうだい? 意固地になって自分の力をその場に縛り付けて、更なる飛躍の可能性を潰している。もう初心は忘れたかな?」

「いらぬ世話だ。俺のやり方は俺が決める。お前に指図される筋合いはねぇよ」

「ふふ、指図するつもりじゃなかったんだけど。ならせめて、この敗北を覚えておくといい」

 

 幸村が発するオーラがさらに強くなった。

 会場全体の空気を我が物とする、まさしく支配者である。

 

「関東か全国か、いずれ次の舞台で会おう。その時には君がもっと必死になって強くなっていることを願うよ。俺を倒せるくらいまで」

 

 この後、試合は続行されたのだが、ダブルス続行が不可能であることを謝罪した上、残った二人によるシングルスが行われることになった。

 試合は本来ならあり得ないほど長時間続けられ、死力を尽くす戦いになる。

 その日の内に伝説だと語られるようになった戦いは、中学テニス界のみならずテニス界全域へ轟く逸話となるまでそう時間はかからなかった。

 

 

 

 話を聞き終えて、悠介は疲れた顔で息を吐き出した。

 

「なんか、別世界って感じがする……」

「そうですか? 俺からすると宮瀬君もそっちの人っすけどね」

「え? マジで?」

 

 頷く財前に悠介はなんとも微妙な顔をする。

 幸村と跡部は中学テニス界においては上から数えた方が早いくらいの実力者。わざわざランキングなど作る人は居ないが間違いなくトップクラスの選手である。彼らの試合を見れば自分がどれほど矮小な存在なのだろうと思うことは間違いない。悠介のみならず多くの中学生が彼らを見て心を折られてきたはずだ。

 

 そこに加わっているのではないかと聞かされて悠介はその言葉を受け止められない。喜びよりもまさかという気持ちが強く、そう言われた事実に落胆さえ覚える。

 そんなわけがない、と彼自身は心から否定していた。

 彼の気持ちを知ってか知らずか、複雑そうな表情を見ても財前は意見を改めない。

 

「あんなオーラまで出しといて、ほんまに違うって言い切れます?」

「あー……おー……」

「でも悪いことやないっすよ。ああいう人らと戦えるようになったってことちゃいます?」

「それはそれで、ううん」

 

 すでにその時を考えているのか、悠介は早くもわずかに怯えている。コートに出れば多少は強気な面が出るようになったかもしれないが普段はあまり変化がないのかもしれない。或いは想像する相手が強過ぎて、対面せずとも心を折られている可能性がある。

 寝転んだままうんうん唸り出した悠介を見やり、わざとらしくリョーマがため息をついた。

 

「結局何も変わってないじゃん。弱虫」

「あ、辛辣な言葉。今日くらいはさぁ、もうちょっと褒めてくれていいんじゃない? 普段から鞭が強過ぎるんだよ……」

「“俺が全国優勝させてやる”くらい言えばいいのに」

「や、それはさ、団体戦なんだし相手が……」

「ヘタレ」

「なんなのこの躊躇いの無さ? 金ちゃんがより優しい後輩に思える」

「こいつもこいつですよ。うるさいしめんどくさいっすわ」

 

 二年生の二人が顔を見合わせ、お互いの苦労を労ってわかり合っていた。

 何をやっているのだとは思うのだが止めるのもめんどくさい。

 リョーマは黙って眺めることにした。

 

 落ち着こうとしている二人を見て小春が口を挟む。

 寝る前のトークと洒落込みたいところだが彼らのノリではおそらく入ってきそうにない。そこで多少の気を使って合わせにいったようだ。

 ユウジが丁寧に掛け布団をかけている最中、小春は悠介を見て尋ねる。

 

「名付けの件やねんけど。なんかええの考えた?」

「あぁ、オーラのやつですか」

「名前は重要やで。誰かに知ってもらう最初の名刺になるわけやから。特に二つ名的なやつなんて聞いただけで心躍る方がええやんか。だから慎重に考えんと」

「名前かぁー……そういうの苦手だな。そもそも自分で決めるもんなんですかね?」

「なんならアタシが――!」

「あかん! それはあかんぞ小春ぅ! 付けるのは俺のオーラか技か子供かであってほしい!」

 

 またしてもユウジが声を潜めたまま主張して、流石に今は夜でここは越前家だ。気遣っているのだろうが抑えることはできなかったようで器用に抗議を始める。

 小春とユウジが再び二人で会話し始めたのを機に、悠介はまたかと思いながら苦笑し、狙ったわけではないだろうがその隙に財前が呟く。

 

「“調和”」

 

 その一言に反応して悠介が視線を投げかけ、財前と目を合わせた。

 

「ポンと出てきたんはそれっすわ」

「調和?」

「宮瀬君は多分、誰とでも上手く付き合えるんでしょう。うちの連中のことも嫌がらんし、ダブルスには特別秀でてる。君のすごいところは、俺から見たらテニスが上手いとかオーラが使えるとかいうことよりそこっすわ。上手いんも確かやけど」

「そ、そうかな。ありがとう」

「思い付きなんで、使っても使わんでもええけど」

 

 ツンとした顔でそっぽを向き、表情が見えないように視線を逸らされてしまう。

 タイミング的にひょっとしたら照れているのかもしれない。

 くすりと笑った悠介はその言葉について考え、納得して頷いた。

 

「“調和のオーラ”か……うん、いいと思う」

「ほんまに? 自分から言い出しといてなんやけど、なんか恥ずいっす」

「そう? 本当にいいと思うけどな。俺じゃ思いつかないし、俺一人じゃダメだから、誰かと力を合わせて強くなるっていうのはきっと俺っぽい」

 

 改めて彼に対してお礼を言うと戸惑っていた財前もこくりと頷く。

 

「ありがとう」

「いや……こちらこそ。今日、君に会って色々勉強になったんで」

「そう? 役に立てたかわからないけどそれならよかった」

 

 悠介の表情は柔らかく、安堵している。

 不思議と彼と一緒に居るのは落ち着いた。同級生と言えば無理やりにでもぐいぐい引っ張ろうとする桃城や海堂、荒井などが代表されるわけで、先輩に対する多少の口の悪さはあれどもここまでクールで大人びている人は珍しい。

 こちらこそ、出会えてよかったと思っているわけで、人の腹を枕にして豪快に寝ている金太郎も合わせて、彼らと過ごす時間も明日になれば終わるのだと思うと名残惜しい。

 

「それでなんでお前はそんな顔してんの?」

「別に」

 

 ふと視界に入ったリョーマがひどい顔をしていた。明らかに眉間に皺が寄っている。

 声をかけてみると明らかに素っ気なく、元々そんな性格だが、なぜか睨んでいるのと変わらない目つきでハラハラする。

 

「なんかアイデアあった?」

「ヘタレのオーラ」

「おいやめろっ。全然、いやかっこよさは別にあってもなくてもいいんだけど、そんなの広められたら一生の恥じゃん。絶対無理だから思っても言うな」

「他力本願のオーラ」

「いや間違いじゃないかもだけどっ。一応俺も役に立ってるだろ。お前も感じただろ? ……え、感じてない?」

「さあね。でも調和って、いい風に言い過ぎてる気がする。軟弱とかにしときなよ」

「お前俺のこと嫌い? ほぼ敬語使ってないぞ」

「好きですよ。それなりには」

 

 不満はあるがあいにく金太郎が乗っているために攻撃できない。

 仕方なく諦めた悠介は脱力し、目を閉じて明日にしようと胸の内で決める。

 ここが自宅であり、自室があるはずのリョーマもその部屋を出ようとはせず一緒に寝るようだ。誰が言うわけでもなくそろそろお開きという空気が流れていた。

 

 いつの間にか静かになっていた小春は彼らのやり取りを聞いてにんまりしている。横になった状態で頬杖をついて何やら大人びた雰囲気だ。

 その隣に居るユウジはそんな小春にうっとりしていた。

 

「青春やねぇ。アオハルやねぇ。お姉さんきゅんきゅんしてまうわぁ」

「そんな小春に俺まできゅんきゅんしてまうわ~」

「ユウジ……」

「小春……」

「あれ? 先輩らまだ帰ってなかったんすか?」

「なんでぇ⁉ なんでアタシらだけ帰らされる前提⁉ 泊まっていくわよ! 朝までおるわよ!」

「お前こそ俺らのこと嫌いなんか⁉ 前からずっと扱いがひどいぞ! どうやねん財前!」

「はあ。好きか嫌いかで言うと、嫌いですね」

「辛辣ぅ⁉ そしてはっきりィ!」

「よぉ~しはっきり言うたなぁお前は! ほんなら好きになってください! お願いしますぅ!」

「嫌なんで断りますわ」

 

 一応周囲に気遣って小声で騒ぐ四天宝寺の面々の声を聞きながら、うつらうつらしていた悠介は意識を手放して眠りにつこうとしていた。

 とにかく今日は色々なことがあった。ようやく長い一日を終えて力を抜ける。

 自分の家で眠る時は嫌になるほど静かだからか。

 誰かの声を聞きながら眠るのは安心できて、悠介はすぐに穏やかな顔で寝息を立て始めた。

 

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