五等分の料理人   作:マスターM

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タブレット ID 47748359


五つ子ゲーム

上杉が林間学校で風邪を引いて悪化して五つ子達の父親の病院に入院した。

金曜に退院し、次の日の土曜日は久しぶりに家庭教師の日を迎えた。

 

「お邪魔しまーす・・・うっ!」

家庭教師にやって来た上杉は、リビングに入った途端、頭と体にバスタオルを巻いた格好の五つ子の誰かを見て、ギョッとして立ちすくんだ。

 

「変態っ!!」

「ピンポン押しただろ!」

手に持った紙袋を上杉に投げつける。紙袋は上杉に当たり床に落ち、中から小テストの答案用紙が滑り出た。その間に五つ子の誰かは階段を駆け上がって行く。

 

「こ、これは・・・!」

国・英・数・理・社、五枚の解答用紙で右上に赤ペンで0の数字が書かれていた。

 

「・・・が経緯だ」

同じヘアスタイルをした五つ子達の前で上杉が紫水に説明した。

 

「成程な。それで誰か判別する為に同じ髪型にしたんだな。それで今並んでるのは?」

紫水が聞くと上杉の目がギラつかせ、右側から指さしていく。

 

「五月!三玖!四葉!二乃!一花!」

「いや、一花、四葉、五月、三玖、二乃だろ」

「紫水正解!上杉はダメダメね!」

上杉が言った後、紫水が言うと二乃が紫水は正解と言い、上杉に一花に間違えられた為ジト目でダメ出しをした。

上杉に対して三玖はムクれ、五月は呆れ顔、プンスカ四葉に、タハハ笑いだ。

 

「感情が出ると、多少は判別できるが・・・ってか東雲はどうして分かったんだ?」

感情が出ている時は分かるが、その時以外は分からない上杉は正解した紫水に聞いた。

 

「それはお姉さんも気になるね」

そこに一花が同意してきた。

 

「まず一花は髪が一番短いし、逆に二乃が一番髪が長い。四葉は服に428ってあって四葉って言っているようなものだしな。五月は左右の髪のボリューム。そして三玖は前髪が元々右目にかかっていたからな。まあ四葉の服に気付かない上杉も上杉だけどな」

 

「うっ!そう言われると痛いな・・・逆になんでお前等は顔だけで判別つくんだ?」

「なんでって・・・」

痛いところを突かれた上杉は、五つ子達がなんで判別できるか聞くと、二乃と三玖が互いの顔を指さして言う。

 

「こんな薄い顔、三玖しかいないわ」

「こんなうるさい顔、二乃しかいない」

ハァ?と睨み合う二乃と三玖。

 

「薄いってなに?」

「うるさいこそなによ!」

「うるさいはうるさいだよ」

「アンタだって薄いから薄いのよ!」

不毛な争いに上杉がうんざりしていると、四葉がニコニコしながら近づいてきた。

 

「上杉さん、いい事を教えてあげます。私達の見分け方は、お母さんが昔言ってました」

胸の前で腕をクロスさせ、恍惚とした表情になる四葉。

 

「『愛』!さえあれば、自然とわかるって」

「どうりでわからないはずだ」

サラッと辛辣な上杉である。

 

「もう戻していいかなー?」

一花が髪を結んでいたヘアゴムを外し始めると、五月はゆるいウェーブの髪をほどいて、四葉はうさ耳リボンのボブカット、ツーサイドアップの二乃は左右に黒い蝶々のリボンをつけた。三玖も横分けのセミロングの髪を下ろし、ヘッドフォンを首にかけてリセット完了。

 

「・・・ん?シャンプーの匂い・・・」

鼻をヒクつかせた上杉は、スンスンと匂いを嗅ぎながら、三玖と二乃に近づく。

 

「なんかキモ!」

二乃が悪態をついた瞬間上杉はピンと閃いた。

 

「お前達に頼みがある、俺を『変態っ!!』と罵ってくれ!」

五つ子に超絶爽やかスマイルを向けて言う。

 

「「「「「「うわ~・・・」」」」」」

五つ子と紫水が上杉の発言にドン引きした。

 

「アンタ、手の施しようのない変態だわ・・・」

ゴミ以下の汚物を見る様な目で上杉に圧をかける二乃。

 

「違う・・・そういう心に来る言い方じゃなくて・・・」

顔が駄目なら、喋り方で犯人を特定しようとしたが、特殊趣味の持ち主であるかのような誤解を与えたしまっただけだった。

 

「最終手段だ!この問題集は、さっきの小テストの問題を集めてある。一番解けなかった奴が犯人だ!」

上杉はリュックに隠し持っていた伝家の宝刀を取り出した。

 

「なんでこんなことになるのよ・・・」

文句を言いつつも、珍しく素直に従う二乃。その隣の四葉は目を渦巻き模様にして「うぅ~~~」とうめき声をあげている。

 

「納得できません!」

「今日のフータロー、ちょっと強引・・・」

五月と三玖も不安顔だ。

 

「なあ上杉、その誰かは風呂上りだったんだな?」

「ああそうだが・・・」

「そうか(って事は)」

紫水が上杉に確認すると、上杉は頷き紫水は特にシャンプーの匂いが強い人物に目を向けると、その人物はビクッと肩を震わせた。

 

「はーい、一番乗り」

手を挙げ、上杉にプリントを差しだす一花。

 

「ふむ・・・」

目を通した上杉は、おもむろに立ち上がって一花に向き直ると、プリントで一花の頭をパシッと叩いた。

 

「お前が犯人か」

「あれっ!?なんで・・・筆跡だって変えたのに・・・」

うっかり自白した一花に、上杉は数学の解答欄を指す。

 

「『b』の書き方、一人だけ筆記体なのは覚えていた。俺はお前達の顔を見分けられるほど知らないが、お前達の文字は嫌というほど見てるからな」

「・・・や・・・やられた~」

ガックリと膝を突く。アルファベットまでは、一花も気が回らなかった。

 

「フハハハハ!」

悪役顔で高笑いする上杉に、五月達がプリントを持って来た。

 

「あのー一応私達も終わりました」

「ご苦労!ひとまず採点を・・・ん?」

五月のプリントの解答に、ハタと上杉の目が止まる

 

「五月の『そ』に二乃の門構え、三玖の『4』。四葉の送り仮名・・・皆犯人と同じ・・・。お前等・・・一人ずつ0点の犯人じゃねーか!!」

上杉の怒りが爆発した。

 

「・・・バレた」

「なにしてんのよ一花!コイツが来る前に隠す約束だったでしょう」

「ごめーん」

三玖がぼそりと言い、二乃が一花を責めている。

 

「シスイは多分お風呂上りは一花って気づいていたと思う」

「三玖何故わかるのですか?」

三玖が確信をもって言うと五月が聞いてきた。

 

「シスイは鼻がいい。抹茶ソーダを飲むことなく使っている物を当てた」

「そういえば超味覚と超嗅覚を持っているって記事に書いてたわね」

「フータロー君に聞いた後見られて思わず反応しちゃった」

「紫水さんはなるべくして料理人となったんですね」

「味覚と嗅覚。食には大切な器官ですね」

三玖の言葉に五つ子達は紫水の話で盛り上がる。

 

「なあこの中で昔、俺にあった事があるって人ー?」

突如上杉が手を挙げて問いかける。

 

「・・・なによ急に」

「どういうこと?」

二乃と三玖が不審そうな目で見てくる。

 

「そうだよな・・・お前等みたいな馬鹿が、あの子は筈ねーわ」

「ば、馬鹿はなんですかっ!」

馬鹿と言われ五月が真っ赤になって怒る。

 

「間違ってねーだろ。よくも0点のテストを隠してたな。今日はみっちり復習だ・・・五月」

「・・・もしかして、わざと間違えてる?」

冷ややかに言うと、近づいて肩をポンと叩き言うが、その人物は五月ではなかった。

 

「フータローのことなんて、もう知らない」

三玖が拗ねてそっぽを向く。

 

「あ、や、す、すまん!」

「あははっ、まずは上杉さんが勉強しないといけませんね!」

必死に謝る上杉を見て、四葉が言う。

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