五等分の料理人   作:マスターM

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解決

「おはようシスイ」

早朝に三玖が紫水の家を訪ねてきた。

 

「おはよう三玖。二乃は居間にいる。コーヒー、紅茶、緑茶があるがどれがいい?」

「じゃあ緑茶で」

「分かった。先に居間に向かってくれ」

「うん」

三玖は二乃のいる居間に向かった。

 

 

 

 

「三玖!?また来たの?なに言われようと帰らないから!」

紫水の淹れた紅茶に二本目のスティックシュガーを入れつつ頑なに言う二乃。

 

「ほい。緑茶だ」

「ありがとうシスイ。そんなに入れると病気になる」

紫水から緑茶を受け取った三玖は二乃の紅茶を見て言う。

 

「アタシの勝手でしょう。おばあちゃんみたいなお茶飲んでるアンタにはわからないわよ」

「この渋みがわからないなんて、お子様」

売り言葉に買い言葉を言う2人。

 

「二乃はウチに戻りたくないの?」

「なんで戻らないといけないの?バラバラのアタシ達が、そこまで一緒にいる意味って何よ?」

「・・・家族だから」

三玖は照れくさそうに言う。

 

「二乃は私達が変わったと思ってるけど、私から見たら二乃も十分変わってる」

「変わったって何がよ・・・」

「昔は紅茶飲まなかった」

三玖は飲みかけの紅茶を指す。

 

「それだけ!?」

「私達は1人20点の、五分の一人前だから」

三玖がそう言い、二乃の横に置いているプリントを手に取る。

 

「この問三間違い。正解は『長篠の戦』」

「なに?自分は勉強しましたって言いたいの?」

ムッとする二乃に、三玖は小さく首を横に振って微笑んだ。

 

「元々好きだから、戦国武将」

「戦国武将って、あんなおじさんが?」

二乃の頭には髭面の武田信玄が浮かんだ。

 

「うん。これが私の20点。そして・・・」

三玖は二乃のティーカップを手に取り、残りの紅茶を飲み干す。

 

「・・・甘すぎる」

あまりに甘すぎた為顔をしかめる三玖。

 

「何やってんのよ・・・」

「でも、この味・・・二乃がいなければ知らなかった。確かに昔は五人そっくりで、いさかいもなく、平穏だった。でもそれじゃあ、20点のままだよ。笑ったり、怒ったり、悲しんだり・・・一人一人違う経験をして、足りないところを補い合い、私達は一人前になろう。だから、違ってていいんだよ」

真摯な三玖の眼差しに、二乃の心のわだかまりが溶けていく。

 

「それと二乃がいないからウチの食事はもう滅茶苦茶。出前ばっかりでボロボロ。シスイの料理を毎日、毎日食べていた二乃が羨ましい」

「自分達でなんとかしなさいよ!それに紫水におんぶにだっこだけじゃないわよ。アタシも作ってたから、毎日紫水の料理じゃないわよ」

そう言い二乃は三玖の緑茶をグイッと飲む。

 

「苦っ」

と舌を出す。

 

「こんなの飲もうと思わなかったわ。やっぱり紅茶のほうが勝ってる」

「紅茶だってもとは苦い」

たちまちバチバチと火花が散る。

 

「こっちは気品のある苦みなのよ!きっと高級な茶葉から抽出されてるに違いないわ!」

「緑茶は深みのある苦み。こっちのほうが良い葉を使ってる」

「いや、紅茶も緑茶も同じ葉だ。発酵の度合いが違うだけだぞ」

「「え?」」

お互いにいい茶葉だと言うが紫水の一言に2人は呆けた声を出した。

 

「調べてみろ」

紫水に言われ二乃がスマホで検索する。

 

「・・・本当だ」

「うん・・・」

二乃と三玖が顔を見合わせると、同時に噴き出す。

 

「ハハハハッ、何それ!今度皆に教えてあげ・・・」

二乃はハッとして口をつぐみ。小さくため息を漏らす。

 

「過去は忘れて今を受け入れるべき・・・。いい加減覚悟を決めるべきなのかもね」

二乃が立ち上がる。

 

「紫水ハサミはあるかしら?」

「ああ、そこの引き出しにある」

「借りるわよ。それと三玖、アンタも覚悟しなさい」

「え?」

紫水にハサミの場所を聞き、ハサミを持った二乃が振り返って三玖に言う。

そして風呂場に行く。

 

プルプルプルプル

 

「ん?電話。上杉からか」

紫水のスマホが鳴り、画面を見ると上杉からだった。

 

「上杉かどうした?」

『東雲!三玖が何処にいるか知らないか!?』

「三玖なら今家にいるが?」

『なら駅前に急いで来てくれ!そろそろ陸上部が合宿に出発する!』

「分かった直ぐ向かう」

『到着する前にまた連絡をくれ』

「わかった」

『じゃあな』

電話が切れたタイミングで2人が戻って来た。

 

「電話誰からだったの?」

「二乃、その髪」

振り返った紫水の目には、四葉位に短く髪を切った二乃がいた。

 

「ええ過去を断ち切ったのよ」

そう言い短くなった髪をいじる二乃。

 

「それで電話は誰からだったのよ?」

「上杉からだ。陸上部が出発するから三玖を連れて来て欲しいと言ってきた」

「三玖を?・・・変装ね」

「恐らくな。三玖が四葉の変装をして、断るつもりだろう」

「でも私今変装道具持ってない」

再度電話の相手を聞き上杉と答え、陸上部が出発する事と、三玖を連れて来て欲しいと言うと、四葉に変装して断るつもりだと言うが、三玖は変装道具を持っていないと言う。

 

「ならアタシが四葉の変装をするわ。紫水ジャージを貸して」

「ああわかった」

少しサイズは大きいがジャージを着て、リボンをうさ耳にした二乃は言われないと四葉に似ていた。

 

「よし行くぞ」

「ええ」

「うん」

3人は駅前に急いで向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「上杉もう直ぐ駅前に着く」

『ナイスタイミングだ!俺の合図で三玖を向かわしてくれ』

「わかった。それと向かうのは・・・」

『じゃあ頼むぞ!』

紫水の言葉を最後まで聞かず電話を切る上杉。

 

「人の話は最後まで聞けよ・・・。二乃。上杉の合図で行ってくれ」

「それはいいけど合図って?」

「さあ?」

『痴漢だ!痴漢がでたぞ!!』

合図がなにかわからず、考えていたが遠くから上杉の声が聞こえてきた。

遠目から上杉が階段を駆け上がって逃げていくのが見える。さらにはそれを追いかける四葉も。

 

「あれが合図か・・・?」

「アイツ馬鹿じゃない」

「フータロー・・・」

合図とは思えない合図に3人は呆れた。

呆れた3人の目には髪の長さが違う四葉が江場と話していた。

 

「あれは五月だな」

「あ、四葉じゃないってバレたみたい」

「五月も上杉も馬鹿じゃない」

3人揃って五月に四葉の格好をされた上杉にも呆れた。

 

「二乃頼む」

「ええ。行ってくるわ」

二乃が陸上部のいる所の方に行く。

 

 

 

 

 

「お待たせしました~!」

四葉に扮した二乃がタハハ・・・と頭をかきながら、陸上部員達のもとに行く。

 

「皆さん、ご迷惑をおかけしました~」

「中野さん」

ボブカットにうさ耳リボンを見て四葉だと思った江場が笑顔になる。

 

「あははっ、ちょっとしたドッキリです。五つ子ジョーク」

「四葉・・・」

五月は二乃だと知らず、暗い顔をする。

 

「なんだ冗談だったんだね。笑えないからやめてよ」

「まあ・・・私がやめたいのは本当ですけどね」

機嫌の良くなった江場に、笑顔で爆弾を投下する二乃。

 

「えっ・・・な、中野さん・・・なんで・・・」

「なんでって・・・そもそも、試験前に突然合宿を始めるなんてありえませんよ」

江場が後ずさる。

 

「マジありえないから」

「は、はいぃ~~~・・・」

静かにキレる二乃に、すくみ上った江場が涙目になり尻もちをつく。

その様子を高架から見ていた上杉と四葉の元に、三玖を探しに行っていた一花に紫水と後ろから三玖が合流した。

 

「助かった東雲。三玖を連れて来てくれて」

「私じゃないよ」

「え?」

上杉が三玖だと思い紫水に礼を言うが、三玖が自分じゃないと言うと上杉が固まる。

再起動した上杉が五本の指を五つ子に見立てて数え始めた。

 

「五・・・四・・・三・・・一・・・?」

小指の五月、薬指の四葉、中指の三玖、親指の一花。残るのは二番目の人差し指だ。

 

「まさか・・・」

愕然としている上杉のもとに、うさ耳リボンを外して、いつもの蝶々のリボンをつけた二乃が合流した。

 

「四葉。これでいいの?本音で話し合えばきっとわかってくれるわ。アンタも変わりなさい。つらいけど、いい事もきっとあるわ」

「うん!行ってくる!」

「ついていこうか?」

「ありがとう。でも、一人で大丈夫だよ!」

スースーするうなじに手を当て、大人びた表情で四葉。に微笑みかける二乃。そんな二乃の変化に、四葉の心も動いた。

気遣う一花の言葉に笑顔で言う四葉はしっかりとした足取りで江場達のもとへ駆け出した。

 

喧嘩別れをしてから初めて顔を合わせた二乃と五月は気まずい雰囲気のまま互いに目をそらしていた。

 

「二乃、先日は・・・」

先に五月が口を開く。

 

「待って、謝らないで。アンタは間違ってない。悪いのはアタシ・・・ごめん」

チラッと五月を横目で見て、小声で謝罪する二乃。

 

「二乃・・・」

「アンタが間違ってるとすれば力加減だわ。凄く痛かった・・・」

「うううう~・・・二乃ぉ・・・・」

五月の目にみるみる涙があふれる。

 

 

 

 

「あ、紫水君今お店に行っても大丈夫ですか?」

「ん?ああ大丈夫だが?どうしてだ?」

「昨日のあの言葉は許せませんから」

泣き止んだ五月が紫水に店に行ってもいいかと聞くと、紫水は大丈夫と言い、理由を聞くと、五月は怒気を纏いながら言う。

 

 

 

 

 

 

 

 

オープン間にのLe lien(ル・リヤン)に紫水、上杉、五つ子達に、江場達陸上部達がきていた。

 

「で?そろそろ話してくれてもいいだろう五月」

「そうですね。単刀直入に言いますが、江場さんに紫水君の料理を食べてほしいんですよ。勿論お代は私が払います」

「料理を作るのはいいが何故だ?」

「昨日の江場さんの『料理なんて』という言葉が許せないので」

((五月まだその事根に持ってたんだ・・・))

Le lien(ル・リヤン)についた紫水が五月に聞くと、五月は怒気を纏い言うと、上杉と四葉が昨日の事と察した。

 

「もうすぐ開店だからな・・・。よしアレを出すか。多めに仕込んでいてよかったな。お前達は個室の手前とその横の部屋で待っててくれ」

そう言う紫水はキッチンに入って行く。

 

 

 

 

 

「唐揚げ定食だ。従業員の分もあるから1人3個だが、代わりに出汁巻きを作って来た」

盆には唐揚げと出汁巻き、ご飯、味噌汁、お新香が乗っていた。

 

「ありがとうございます紫水君」

なお部屋は五月を除く五つ子と上杉と陸上部と五月に分かれていた。

 

「では」

『『『いただきます!!』』』

ほぼ同時に全員が合掌して言った。

 

「なにこの唐揚げ!?今までで食べた中で一番美味しい!!?」

初めて紫水の料理を食べた江場は驚愕した。

 

「これが貴方が、料理なんてと言った紫水君の料理です」

「っ!?」

五月の言葉に江場が崩れ落ちた。

そんな江場をよそに五月は唐揚げ定食を堪能する。




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