「このたびはご迷惑をおかけしまして、大変申し訳なく・・・陸上部の皆さんとはちゃんとお話して、大会だけ協力して、お別れすることになりました・・・」
帰宅した四葉が玄関に入るなり床に手をついて土下座した。
「あ?いつまでそんなこと気にしてんだ。早く入れ」
「いや、アンタの家じゃないでしょう」
自分の家みたいに言う上杉に二乃がツッコミをいれる。
破顔した四葉が家に入ると一花と三玖も笑顔で玄関を振り返る。
「それから二人とも。おかえり」
三和土に立ってもじもじしていた二乃と五月は、照れくさそうに顔を見合わせてから、仲良く口を揃えて言った。
「「ただいま・・・」」
久しぶりに五つ子がリビングに集合した。
テーブルには上杉の手作りの問題集が五人分置いてある。
「とりあえず問題集は全員終わらせてるみたいだけど」
「私達ちゃんとレベルアップしてるのかな?」
三玖が言うと一花が不安そうに言う。
「大丈夫だ、秘策がある・・・カンニングペーパーだ!」
上杉は手のひらサイズに丸めたメモ用紙を五つ子達の前に掲げた。
「あ、あなたはそんなことしないと思ってたのに・・・」
「そんなことして点数取っても意味ないですよぉ・・・」
ショックを受けたように五月と四葉が言う。
「じゃあもっと勉強するんだな!こんなもの使わなくてもいいように、最後の二日間でみっちり叩き込む!覚悟しろ!」
鬼教師になって宣言する上杉。
上杉の宣言通りに何時間もぶっ通しで勉強するが、流石に昼になると全員お腹を空かし集中が切れてくる。
「空腹のまま勉強しても非効率よ。アンタ達は休んでなさい。お昼ご飯作って来るわ」
そう言いキッチンに向かった二乃。
(さて何を作ろうかしら?まずはある物の確認ね)
二乃は自分が不在の間の在庫を確認する。
「ナス、タマネギ、ニンニク、大根、水菜、白菜、玉子、ベーコン、お米、パスタ・・・それにトマト缶ね。他は期限切ればかり・・・よし今日のお昼はパスタね」
二乃はナスとベーコン、パスタ、トマト缶を手に取り調理に取り掛かる。
まず鍋に水を入れ火をつける。
ナスを5㎜の輪切りにし、水の入ったボウルに入れ5分水にさらす。
ニンニクはみじん切り、玉ねぎは5mm幅に切る。
ベーコンは5mm角の棒状に切る。
フライパンを中火にかけて、オリーブオイル、鷹の爪の輪切り、ニンニクを入れ
ニンニクの香りが強くなったらタマネギを加え、柔らかくなったら水気を切ったナスを加え炒める。
ナスが柔らかくなってきたらトマト缶とコンソメ顆粒を入れ、中火のまま加熱し、煮立ったら塩コショウで味を調え一旦火を止める。
鍋のお湯が沸騰したら塩を入れ濃度を確認してからパスタを入れる。
茹でた後にソースと絡める工程があるので、芯を残すようにする。
フライパンにパスタを加えて再び中火にかる。全体に味がなじんだら火から下ろす。
皿に盛りつけミジンパセリを振りかけ、粉チーズを用意する。
「お待たせナスとベーコンのトマトパスタよ」
二乃がパスタをリビングに持って行くと五月を中心に机の上を片付け待っていた。
「久しぶりに二乃の料理が食べられるよ」
「うん。ずっと出前ばっかだったからね」
「やっとちゃんとしたものが食べられます!」
二乃の久しぶりの料理を見て一花、三玖、四葉が言う。
「私も久しぶりの二乃の料理が嬉しいです!」
上杉のところにいた五月はずっとらいはの料理だったので、二乃の料理は嬉しかった。
「さあ冷めないうちに食べよ」
「「「「「いただきます!!」」」」」
「はい召し上がれ」
一花が言うと二乃以外が合掌し言うと二乃が答えた。
「う~ん!美味しい!」
「ホッとする」
「やっと何時もの感じに戻れます」
「ですがこの味付け・・・紫水君のに似ています」
一花達が一口食べて感想を言う中、五月が言った事にもう一口食べた一花達が反応した。
「確かにシスイ君の味付けに似ているね」
「それはそうよ。これは紫水の料理のレシピを再現したものだもの」
一花が言うと二乃は紫水のレシピと言った。
「この1週間あれだけ紫水の動きを間近で見ていたのよ?影響されるに決まってるじゃない」
「うう~家で紫水君の料理が食べれるなんて幸せです」
「いや紫水じゃなくアタシの料理なんだけど」
二乃が紫水の動きを見ていると言うと、家でも紫水の料理が食べれると感激している五月に二乃が突っ込んだ。
二乃の料理で英気を養って午後の勉強にも集中して取り込むことが出来、また夕食は二乃の覇気があがったハンバーグで二乃なりのアレンジを加えた物も姉妹と上杉に好評だった。