五等分の料理人   作:マスターM

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年末年始

12月31日

 

「紫水手伝わなくていいの?」

「そうですよ師匠」

「蕎麦ぐらい大丈夫だ。それに2人にはおせちの仕込み手伝ってもらったしな」

紫水の提案で中野姉妹に上杉兄妹は紫水の家で年越しを迎える事になった。

今は年越し蕎麦の準備をしており、二乃とらいはが手伝わなくてもいいのかと聞くと、紫水はおせちの仕込みを手伝ってもらったから大丈夫といい、作業を進める。

 

「それに、あとは海老天を揚げるだけだから。海老天だけで食べたいやつは?」

『『『はーーい!!』』』

「O.K多めに揚げておく。そのまま食べるなり、塩やつゆにつけたり好きにしな」

紫水が海老天を食べるかと聞くと全員が手を挙げた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おまちどうさま。出汁から拘った蕎麦だ」

「出汁が透き通ってます」

紫水が持ってきた器を見て五月が言った。

 

「それじゃあ・・・」

『『『いただきます!!』』』

一花が途中まで言うと、全員が合掌して言う。

 

「美味い!」

「もうお兄ちゃんってば」

海老天にかぶりつき、麺をすすりまた海老天にかぶりつくを繰り返し言う上杉にらいはは呆れた。

 

「しっかりとした出汁です」

「一切の雑味がないのは流石よね」

五月と二乃は蕎麦を味わいながら言う。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「そろそろだな・・・」

紫水が時計をみると23:58分になっていた。

 

「あと2分で新年ですね」

「うん」

「思い返せば色々あったね」

「そうね」

「大変だった」

姉妹が話していると日付変更まで10秒となっていた。

 

「カウントダウン」

「10」

「9」

「8」

「7」

「6」

「5」

「4」

『『『3.2.1!ハッピーニューイヤー!!!』』』

新年になり全員で言う。

 

「皆今年もよろしく!」

『『『よろしく!!』』』

「さて初日の出まで約7時間と言ったところか。見るか?」

『『『勿論!!』』』

「なら早く寝ろよ。最低でも1時までには寝ておけ」

紫水が新年の挨拶をすると、他の皆もかえし初日の出を見るために早く寝ろと言う。

因みに中野姉妹は広めの和室に、上杉兄妹は小さい和室に案内された。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ん?6時15分か・・・」

紫水は中野姉妹、上杉兄妹を部屋に案内した後直ぐに眠りにつき、いましたがたおきた。

 

「バルコニーに温かい茶を用意しておくか」

紫水の家は屋上がバルコニーになっているため紫水は温かいお茶を用意する為に動く。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

7時前にもなるとアラームをかけていたのか中野姉妹が起きてきた。

 

「あれ四葉は?」

「四葉なら上杉達を起こしに行ったわよ」

四葉がいない事を聞けば、二乃が上杉達を起こしに行ったと言う。

 

「そうか先にバルコニーに行ってろ。テーブルに温かい茶を用意してある」

「ありがとうシスイ」

紫水が先にバルコニーに行けと言い、テーブルに温かい茶があると言うと三玖が代表で礼を言う。

 

 

 

あの後四葉にたたき起こされた上杉とらいはもバルコニーに集まり、日の出を待っていた。

 

「来た!」

そしてその時はやってきた。

東の地平線が段々と明るくなってきて、遂に太陽が姿を現した。

 

「綺麗・・・」

「幻想的です」

女性陣はうっとりと初日の出を見ていた。上杉も偶には悪くないなと思いながら見ていた。それを紫水は微笑ましく見ていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さてお待ちかねのおせちだ。本来なら御重へ詰めるんだが、人数が多いからオードブル形式にした」

机にはオードブルの器が3つ並んでいた。

 

「まず祝い肴の‶黒豆〟は『まめに働けるように』、『元気で働けるように』といった健康や精励を意味している。黒色は邪気を払う色で、黒く日に焼けるまで朗らかに働くという意味もある」

「なら女優が上手くように食べないとね」

紫水の説明を聞き一花がそう言う。

 

「‶数の子〟は多くの卵が並んでいる様子から『子だくさん』、『子孫繁栄』を意味している。長寿も祈願されている」

「子孫繁栄・・・フータローとの子・・・」

三玖がトリップしながら呟く。

 

「‶たたきごぼう〟ごぼうは土に根を張る食材ということから『家族や家業が地に根付いて繁栄する』という意味が込められている」

「地に足着くとはこの事ですね」

今度は五月が納得するように頷く。

 

「まずこの三種類が祝い肴だ」

「祝い肴ですか?」

「祝い肴とは、その名の通り祝い場で酒の肴として用意され、『祝い肴三種』として一品一品に願いが込められている物だ。五段重では一の重に入れられる」

紫水が言うと四葉が聞いてきた為答えた。

 

「次に口取りは、口取り肴の略称で、酒の肴を意味している。見た目や色が華やかで甘みのあるものが多い。祝い事では最初に提供さる。‶かまぼこ〟は、あっさりした味わいで箸休めにもぴったりだ。半月の形が先の初日の出のようだとされ、新年の祝いにうってつけの料理だ。紅白の紅は『慶び』、『魔除け』、白は『神聖』、『清浄』を表してる」

「確かに日の出ね」

先程の日の出を思い出すように二乃が言う。

 

「‶伊達巻〟は、卵で作られた柔らかく甘い食べ物だ。発祥とされる長崎県では、『カステラかまぼこ』と呼ばれ、見た目が『伊達もの』の着物のようだということから、伊達巻と名付けられた。巻物を連想させることから、学業成就の意味が込められている。今のお前達には丁度いい物だ」

紫水が言うと姉妹達は頷いた。

 

「‶栗きんとん〟は、栗を甘く味付けした料理で栗は山の幸を代表し、『勝ち栗』と呼ばれ、豊かさを表す食べ物だ。その輝く黄金色から、金運上昇の願いが込められている」

「金運上昇か!沢山食べないとな」

金運上昇と聞き上杉は今にでも栗きんとんに手を伸ばしそうだ。

 

「‶昆布巻き〟は、魚などを昆布で巻いた料理だ。『よろこぶ』、『子生』と縁起の良い字が当てられ、不老長寿や数の子と同じ子孫繁栄の願いが込められている」

「これも子孫繫栄・・・」

また三玖がトリップする。

 

「‶錦卵〟は、ゆでた卵を黄身・白身に分けて裏ごしし、蒸した料理だ。黄身は『金』、白身は『銀』と、その2色で鮮やかな模様を作る絹織物(錦)を表し、金運上昇の願いが込められている」

「お兄ちゃんこれも食べないとね。因みにこれは師匠に教えてもらって私が作ったんだよ」

「そうか。なら食べないとな」

金運上昇と聞きらいはが自分が作ったと言うと、上杉は絶対に食べると決意する。

 

「酢の物はおせち料理の定番として食べられる。‶紅白なます〟は人参と大根で作られる酢の物で、両方根菜であることから、『根を張るように』という願いも込められている」

「ごぼうと同じですね」

先のごぼうを思い出し五月が言う。

 

「‶酢れんこん〟は調味料で和えてさっぱり食べられる料理で、れんこんは穴が空いており先を見通せることから、新年の初めに食べることで見通しの良い未来という願いが込められいる。‶菊花かぶ〟は菊の形に切られたかぶを甘酢に付けた料理で紅く染め紅白を表すこともあり、祝い事に使われる菊の花から、めでたさや繁栄、健康を表している」

「酢の物でさっぱりとさせるのね」

「ああ。五段重のニの重には口取り、酢の物が入る。次に焼き物はおせち料理の定番として食べられる焼き物には幾つかあるが今回は‶鯛〟と‶海老〟だ。‶鯛〟は恵比寿様が持っている魚ということから七福神信仰とも繋がっており、『めでたい』と縁起の良い魚だ。赤色で姿形も美しいことから、祝い事に使われている。‶海老〟は、長い髭や腰が曲がっている様子から『腰が曲がるほど長生きをする』という長寿祈願が込められている。目が出ている様子が『めでたい』、脱皮を繰り返すことが『生まれ変わり』を表している」

「両方にめでたいが入ってるね」

鯛と海老に共通している事に一花が言う。

 

「五段重の三の重にはこの焼き物が入れられる次の与の重には煮しめ(煮物)が入る。‶筑前煮〟はたくさんの根菜と鶏肉を煮込んだ料理で、一つの鍋でたくさんの具材を一緒に煮込むことから、家族が仲良く暮らすことを表している。その筑前煮には‶手綱こんにゃく〟に‶里芋〟、‶たけのこ〟も入っている」

家族と聞きそれぞれが思う事があるのか少し顔に影をさす。

 

「‶くわい〟は、突き出た芽から、芽出たい(めでたい)、と縁起の良いことを表し、くわいの芽が空に向かって伸びることから、立身出世の願いが込められている。角形や八角形にすることで万年生きるとされる亀を表し、長寿も祈願されてる」

「形を変えられるね」

「ああ。五の重は(から)で神様からの福を詰めるため、空にしている。以上が料理と本来の御重の用途だ。まあ長々と説明したが、新年一発目の準備はいいか?」

紫水が聞くと全員が合掌して紫水を見る。

 

「それじゃあ・・・いただきます!」

『『『いただきます!!』』』

言い終わるやいなや皆目的の物に箸を伸ばし、新年最初の紫水の料理を堪能する。

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