五等分の料理人   作:マスターM

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お礼

おせちを食べた後紫水達は晴彦が経営している店からレンタルした振袖・袴に着替えた。

一花は黄色。二乃が紫。三玖がブルー。四葉がグリーン。五月が赤。らいはがピンクを基調にした、色鮮やかな花柄の晴れ着で装ってる。

紫水はシルバー、上杉はベージュの袴を着ている。

 

「似合ってるぞお前達」

ナチュラルに褒める紫水。一方上杉は・・・

 

「似合ってるぞらいは!」

携帯で振袖姿のらいはを激写していた。

 

「シスイ君も似合ってるよ」

「上杉の方は、馬子にも衣裳ね」

一花と二乃が紫水と上杉を見てそう言う。

 

「そろそろ神社に行くぞ」

紫水の号令で一行は神社に向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「大吉だ!やった!お兄ちゃんは?」

ひいたおみくじを見てらいはが騒ぐ。

 

「(今年の運勢なんて、引かずともわかる。あいつらと出会ってからずっと・・・)大凶だ」

「お兄ちゃんどんまい」

「一番下って事は、これ以上下がる事は無い。上がっていくと考えていた方が気が楽だぞ」

「ああ。そうだな(東雲と出会った事は幸運なんだがな・・・)」

らいはと紫水に励まされ、上杉はそう思った。

 

「師匠はなんだったんですか?」

「俺は末吉だった」

「微妙ですね。皆さんは?」

らいはが紫水に聞くと紫水は末吉と答えた。らいはは微妙と言い、五つ子達に聞いた。

 

「中吉だったよ」

「吉だったわ」

「・・・大吉」

「大凶・・・」

「凶です」

一花が中吉、二乃が吉、三玖が大吉、四葉が大凶、五月が凶と答えた。

それぞれのおみくじを枝に結ぶと帰路につく。

 

 

 

 

 

『僕も君が好きだ!』

想いが通じて、どちらからもなく唇を重ねる2人。

 

「わぁ~~っ!!キスしました・・・」

「ロマンチックだわ・・・」

真っ赤になって口に手を当てる五月とうっとりする二乃。

一花と三玖と四葉もこたつに入り、イケメン俳優が主演の恋愛ドラマを一緒に見ている。

上杉もらいはとこたつに入って並んでいる。紫水はお茶を入れにいっている。

 

「お待たせ。手造り紅白羊羹と前茶だ」

「師匠!いつ作ってたんですか?」

「朝起きて直ぐにな」

らいはがいつ羊羹を作ったのかと聞くと紫水は朝に作ったと言う。

 

プルプルプルプル

 

「ん?電話か。先に食べてていいぞ」

電話が鳴り紫水はそう言って居間から出て行った。

 

「よし食うか」

「言う前から食べてるじゃん!」

上杉が言う前に一口食べていたので、らいはがツッコんだ。

 

「・・・くどくない甘さ。抹茶ソーダに合いそう」

「紅茶の方が合うわよ」

「私はむしろこの前茶がいいです」

三玖と二乃と五月がそれぞれ合う飲み物を言いあう。

 

「そうだフータロー君、マッサージしてあげるよ。お疲れでしょう?」

「え・・・いや・・・別に疲れてないが・・・」

突如一花がそう言い、強引にマッサージを始めた。

 

「一花だけズルい!」

「早い者勝ちだよ~」

抗議の声をあげる三玖に、そう返す一花。

 

「じゃあ腕取った!」

「しかたないわね」

「私は足を揉ませていただきます」

四葉、二乃、五月も参戦した。

 

(いったいなんなんだ、この羞恥プレイは・・・)

(お兄ちゃんがモテだした!)

五つ子達に全身をモミモミされてゲッソリする上杉に、その光景をポカーンと見ていたらいはが、ハッと我に返りそう思った。

 

「お母さん、お兄ちゃんに一足早い春が来ました」

兄には未来永劫来ないと思われていたモテ期が、天国の母に手を合わせて報告するらいは。しかし、今まで誰よりも五つ子を知る上杉は、そうやすやすと騙されない。

 

「おまえら、なんのつもりだ・・・?」

「ドキッ!な、なんだもないですよー」

「日頃の感謝だけだよ」

四葉も三玖も、あきらかに何かを誤魔化そうとしている。

 

「嘘つけ!」

「いつもお疲れさま!」

(怪しすぎる・・・)

うさんくさい笑顔でねぎらう二乃を怪しむ上杉。

 

「私のですが、よければ食べてください」

(怪しすぎる!)

神社の帰りに、コンビニで買ったエクレアを葛藤しながらさしだす五月。

 

「お正月らしく福笑いでもどうですか?五つ子バージョンを作ってきました!」

こたつの上に、四葉が用意した五つ子福笑いが置かれる。

(難しすぎる!)

 

「えっと・・・フータローに相談したいことが・・・」

「それはまだ早いよ!」

「皆、隣の部屋行こっか」

三玖がもじもじしながら口を開くが、四葉に止められ、空気を読んだ一花が四人を促し隣の部屋に移動した。

 

「何を企んでやがる・・・」

疑惑の目で五つ子を見送ると、上杉はエクレアをパクッとほおばった。

 

 

 

隣の部屋のすみっこに集まって、五つ子達は顔を寄せ合いヒソヒソと相談を始めた。

 

「どうする?アイツ、気にしてなさそうだったけど・・・」

「でも、このままじゃ悪いよ・・・仕事でもないのに、上杉さんに家庭教師を続けてもらうんだもん」

「なにかしてあげたい・・・」

「それに紫水君に関しては、上杉君より長く無償で家庭教師をしてもらっているうえ、昨日今日みたいに食事をご馳走してくれていますし・・・」

そう五つ子達は無償で家庭教師を引き受けてくれている、紫水と上杉になにかお返しできないか悩んでいた。

 

「お父さんには、できるだけ頼りたくないしね」

姉妹の大黒柱の一花が、長女らしい顔をのぞかせる。

結局いい考えが浮かばず、正直に事情を話す事で、話がついた。

 

「一花。動くな」

一花がドアを開けると、上杉が立っており鼻と鼻がふれんばかりに顔を近づけ、まじまじと一花の顔を見つめる。

その理由は五つ子福笑いの口の一花を確認するためだった。

もはや福笑いではなく、モンタージュ写真作成になっており、作成者の四葉が上杉の隣に膝立ちになって、福笑いを覗き込む。

 

「あっ、上杉さん。クリームついてますよ」

大体において考えるより先に行動してしまう四葉が、上杉の頬についていたエクレアのクリームを唇を押し当ててペロッと舐め取った。

姉妹達に驚愕が走ったのは言うまでもない。

 

「お、お兄ちゃん!?四葉さん!?」

小六のらいはには少々刺激が強すぎる光景である。

図らずも上杉に濃厚接触してしまった四葉は、真っ赤になって自分の唇にふれた。一方の上杉は四葉の唇の感触が残る頬に手を当て、思考停止状態に陥ってる。

 

「今のほっぺにチューが家庭教師のお礼ということで・・・」

苦しい言い訳をする四葉。

 

「お・・・お礼?」

頭の中が疑問符だらけのウエストの前に、姉妹の中から五月進み出て言う。

 

「その件ですが、今の私達では十分な報酬を差し上げられない状況でして・・・」

「なんだよ、そう言う事は早く言え。俺がやりたくてやってるんだ。給料の事なら気にするな・・・出世払いで結構だ」

感激しそうだった五つ子に上杉は爽やかに言い放った。

 

「その代わりちゃんと書いとけよ!一人一日五千円!一円たりともまけねぇからな!」

清々しいまでの守銭奴ぶりである。五つ子はしらーっとなった。

 

「こういう奴だったわね・・・」

と二乃は納得顔である。

 

「そう言えば紫水君まだ戻って来ませんね」

「・・・仕事の電話かな?」

「でも伯父からは3日までは休めって言われてたぞ」

未だ電話から戻ってこない紫水を心配する五つ子と上杉兄妹。

 

「悪い。戻った」

「いえ大丈夫ですが・・・なんの電話だったんですか?」

「晴彦さんからで、明日店を開けてほしいって・・・」

「ん?その伯父さんが3日まで休めって言ってなかったか?」

「なんでも相手は特に贔屓な取引相手で、俺の料理を食べたいって言ってるらしく、時間の都合上明日しか時間がないそうだから、明日開けてくれないかと言う電話で、恩もあるから引き受けたんだ。その後打ち合わせで長くなったんだ」

戻った紫水に何の電話か五月が聞くと、紫水は伯父の晴彦から店を開けてほしいと言われ、恩がある紫水は了承して、打ち合わせをしていたため長くなったと言った。

 

「食材の用意はしてくれるみたいで、今日の晩には食材が届くから、悪いが俺は今から店の掃除と器具類の洗浄をするから、今日はお開きにって事になる。悪いな俺が言い出したのに・・・」

「シスイは悪くないよ」

「そうですよ!」

紫水が言いだした年末年始会が紫水の都合でお開きになることを謝罪するが、三玖が紫水は悪くないと言い、四葉も同意した。

 

「そうだ!皆私達も手伝おうよ!それがシスイ君へのお礼!!」

「いいわね」

「うん」

「はい」

「賛成です」

「はい?」

一花がお礼に手伝うと言うと、二乃達も賛成し、状況が読めない紫水は首を傾げた。

 

「ええっとですね・・・」

首を傾げた紫水に五月が上杉にもした説明をする。

 

「なんだそんな事か。気にしないでいいのにお前達は律儀だな」

「やっぱりフータロー君とは違い大人だね~」

「だから余計に気にするのよね」

「器が大きい・・・」

「ですね」

「はい」

五つ子の言葉の矢が上杉を貫く。

 

「お、俺も東雲には世話になってるから、手伝う」

「私も!私も!」

胸を押さえながら上杉が言うと、らいはも手を挙げる。

 

「ふっ。なら手伝ってもらおうかな」

笑みを浮べ、紫水は7人をつれ店の掃除に向かった。

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