五等分の料理人   作:マスターM

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対峙

一花の撮影を見届け店長と少し話した後、夕食の食材を買いに駅ビルに入っているショッピングモールに行くと、二乃と四葉それに先に帰った筈の上杉と遭遇した。

 

「うっ!?重っ・・・!」

米袋を抱えた上杉はあまりの重量に膝が屈しそうになった。

 

「落ち着け・・・っ!力学的に・・・っ!一番効率的・・・っ!なのは・・・っ!駄目だ!!」

肩に担ごうとするも、慣れない肉体労働に筋肉がプルプル震え出し、最終的にがっくりと米袋を下ろす。

 

「私が持ちますよ」

四葉が片手でひょいと持ち上げる。

 

「荷物持ちの2人早くしなさい」

ショッピングカートを押して先を歩いていた二乃が振り返って言う。

 

「あ、そうだ。三玖から頼まれてたんだわ」

お菓子コーナーで足を止め、カゴの中にドサドサと板チョコを入れる。

 

「そんなに食うのかよ・・・」

「アンタ、頭いいくせに察しが悪すぎ」

「まだ1月なのに気が早いんだからー」

察しの悪い上杉に呆れる二乃。気の早さで笑う四葉。

 

「さっ、行きましょう」

「あ、二乃。ちょっといい?」

歩き出した二乃に四葉が二乃の返事を待たず米袋をドサッと手渡し、ほどけていた靴ヒモを直しはじめた。

 

「ちょっ・・・!・・・と!お、重っ!」

ヒールの足元がフラつき、二乃が米袋ごと前のめりに倒れそうになったところへ、鮮魚コーナーから戻って来た紫水が手を伸ばして米袋をキャッチした。

 

「大丈夫か?」

「え、ええ。ありがとう///」

紫水が声をかけると、二乃は顔を赤らめながら礼を言った。

 

「四葉預けるのはいいが、ちゃんと返事を聞いてから預けろよ。俺がキャッチしなかったら二乃が怪我してたぞ」

「すいません紫水さん!二乃もごめん・・・」

「次からは気をつけなさいよ」

紫水が四葉に注意をすると四葉は紫水に謝った後に二乃にも謝り、二乃は注意した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「二乃、あれって・・・」

買い物を終えて駅のコンコースを歩いていると、四葉がカフェを指さした。

そこには五月とマルオが向かい合って座っていた。

 

 

 

「すみません。サンドイッチを全種類ください」

マルオが店員を呼び止めてオーダーした。もちろん五月のためだ。

 

「ああっ、お気遣いなくっ!」

「いらないのかい?」

「・・・い、いただきます」

一瞬言葉に詰まったあと、上目遣いで答える五月。

 

「いい子だ。五月君は素直で物分かりがいい。賢さというのは、そのようなところを指すのだと僕はそう思うよ」

五月は面映ゆそうに、生クリームたっぷりのキャラメルマキアートをズズッとすする。

 

「やっぱりパパだわ・・・」

「なんで五月が・・・」

二乃と四葉、紫水と上杉は看板の陰に隠れて中の様子を窺っていた。

 

サンドイッチを三皿たいらげ、ドリンクも飲み干し、五月が満足げにナプキンで口を拭っていると、マルオがおもむろに口を開いた。

 

「さて五月君・・・君達のしでかしたことには目をつぶろう。すぐさま全員で帰りなさい。姉妹全員に伝えておいてくれ」

有無を言わせぬ威圧的ね眼差しを向ける。

 

「それは、彼も含まれてるのでしょうか?」

「上杉君のことかい?これは僕達家族の話だ。彼はあくまで外部の人間・・・。それに、はっきり言って・・・僕は彼が嫌いだ」

(お、大人げない!!)

マルオの言葉を聞き五月の顔が引きつった。

こっそり店に入った紫水達は五月達の席の近くのカウンター席に陣取って聞き耳を立てていた。

 

「アンタ、パパに何したのよ・・・」

「さ、さぁ・・・心当たりがありませんな・・・」

五月同様に大人げないと思いつつ、二乃が上杉に小声で聞き、上杉は心当たりがありすぎて動揺する。

テーブルの五月は俯きがちに、膝の上に置いた手をギュッと握りしめた。

 

「まだ帰れません・・・彼は部外者と呼ぶにはもう深く関わりすぎています・・・」

「ではこうしょう。上杉君の立ち入り禁止を解除し、家庭教師を続けてもらう」

カウンター席の上杉がハッとして肩越しにマルオを見る。

 

「ただしプロの家庭教師との2人体勢・・・上杉君には彼女のサポートに回ってもらう」

「でも、皆この状況で頑張って・・・」

「そもそも、現状のまま上杉君に家庭教師を任せたとして・・・四葉君は赤点を回避できると思うかい?」

カウンター席のうさ耳リボンがかすかに揺れる。

五月は何も言い返せず、下を向いてしまった。

 

「できますよ」

「やれます」

毅然とした声が周囲に響く。

五月のすぐ斜め後ろに、紫水と四葉が立っている。

 

「お久しぶりです中野さん。突然すみませんね、話は聞かせていただきました。大丈夫ですよ。五つ子達には自分と上杉がついています」

「私達と上杉さん、紫水さんならやれます!7人で成し遂げたいんです。だから信じて下さい。もう同じ失敗は繰り返しません」

「やあ久しぶりだね東雲君。では、失敗したらどうするつもりだい?」

「中野さんに従いますよ。転校しろと言うなら転校します。料理人をやめろと言うなら辞めます」

「「紫水さん/君!!?」」

紫水が赤点を回避できるという事に対してマルオは失敗したらどうするかを聞くと、紫水はマルオに従うと言うと、四葉と五月が驚きの声を上げた。

カウンター席の上杉と二乃も反応した。

 

「・・・君の覚悟はわかった。全ては試験の結果が出た時に決めさせてもらうよ。いいかな?」

「ええ。ありがとうございます」

「なに、子供の我儘を聞くのが親の仕事だ。そして子供の我儘を叱るのも親の仕事」

マルオはそのまま席を立ち。

 

「次はないよ」

と、肩越しに冷たく言い去って行った。

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