「紫水さーん!二乃!」
二乃を迎えに行った紫水が店内に入ると、四葉が気が付き手を振る。
二乃は紫水の後ろで、少し赤い顔をしている。
「さて、全員揃ったところで・・・」
そう言いながら、アイスティーが入ったグラスを二乃に渡し、自分はアイスコーヒーが入ったグラスを持つ。
それを見た上杉達も飲み物の入ったグラスを持つ。
「乾杯!」
「「「「「「乾杯!」」」」」」
全員で乾杯をする。
「期末試験突破、お疲れ様!」
「本当に赤点回避できるとは思わなかった」
一花と三玖が言う。
「うんうん!答案用紙を額縁に入れて飾りたいよ!」
「それはもうちょっと、いい点を取ってからにしようか・・・」
誇らしげに自分の解答用紙を見つめる四葉に、一花が控えめに忠告する。
「東雲さん、少しよろしいでしょうか?」
「あ、はい今行きます。少し行ってくるな」
隣の試食スペースに呼ばれ、返事をし、上杉達に断りをいれて隣の試食スペースに向かった。
「お前達ちょっといいか?」
少しすると紫水が戻って来て、上杉達を隣の試食スペースに呼んだ。
上杉達が試食スペースに入るとテーブルの上には様々な種類のスイーツが並んでいた。
それを見た五月の目が輝く。
「試食で意見が別れてな、最終的にどれかいいのか、お前達の意見も聞きたいんだ」
「そういうことか」
「上杉はなんでもいいって言いそうだから、アタシ達5人で決めましょう」
「フータローには悪いけど賛成」
「どれも美味しそうです」
「幸せです」
紫水の話を聞き納得する五つ子達、ダメ出しを受けた上杉は反論しようとするが、言ってる事は正しいので黙ったままだ。
「残った候補はタルトだ」
紫水が五つ子達をタルトのスペースに案内する。
「オーソドックスなイチゴ、アーモンドチョコ、抹茶、焼きティラミス風、レモンチーズ、ナッツのカラメルだ」
紫水は販売サイズの3分の1サイズに切り分け、五つ子達と上杉に渡す。
「俺もいいのか?正直二乃が言った通りだと思うが」
「そんな事は無い。味覚は人それぞれ。それに試食だから多くの意見が欲しいんだ」
「悪いな」
上杉が被虐的な事を言うが、紫水の厚意を受けいれた。
最初に一花が焼きティラミス風、二乃がアーモンドチョコ、三玖が抹茶、四葉がイチゴ、五月がレモンチーズ、上杉がナッツカラメルにフォークを刺す。
「「「「「「美味しい/美味い!!」」」」」」
1つ目を食べ終わると、次々に違う味を食べる一花達。
「さて、じゃあどれが良かったか渡した紙に書いてくれ」
紫水は一花達に紙を渡し、良かった物を書くように言う。
一花達は悩んだ末に紙に、自分が良かった物を書く。
「私はナッツカラメル」
「アタシはレモンチーズ」
「抹茶」
「焼きティラミス風です」
「・・・イチゴです」
「見事にばらけたな」
五つ子の解答をみて、被らなかった事にやっぱりなという気持ちが浮かんだ紫水。
「因みに上杉はどれが良かった?」
最後に上杉にも聞いてみる。
「俺か。俺はどれも美味いと思うぞ色んな種類が食えてよかった」
「・・・色んな種類・・・それだ!」
上杉の一言に閃いた紫水。
「タルトのサイズをミニにして、好きなのを選んでもらう事にすればいいと思うのですが」
「成程!他にも種類を増やしますか?」
「そうですね・・・10種類程にして、4個入り、6個入り、8個入り、10個入りでいきましょうか」
「はい。では残り4種類の試作に入ります」
「それでは自分も」
「いえ東雲さんは祝賀会に戻って下さい」
「それではお言葉に甘えて、ああ協力してくれた礼にお前達好きなスイーツ1つ取ってきていいぞ」
ミニタルトを数種類用意する事を決め、試作に入ろうとするとスタッフは紫水に祝賀会に戻るように言う。
紫水はその言葉に甘え、祝賀会スペースに向かう前に一花達に試作のスイーツから好きな物を1つ取ってきていいと言うと、一花達はそれぞれ目当ての物を手に取り祝賀会スペースに戻った。
「さて。二乃返事を聞かせてくれ」
「へ、返事って、な、なんのことよ・・・」
紫水に告白した事もあり、返事を聞かせてほしいと言われ動揺する二乃。
「前に言ったろ?期末試験で全教科赤点回避したら
「あ」
紫水に言われ二乃は思い出した。
「待遇としては副班長クラスでのむかえの準備ができている」
「副班長、クラス・・・」
副班長クラスの待遇と聞き、二乃は唖然とした。
「ねえシスイ君その副班長クラスって?」
気になって一花が聞くと、三玖達もうんうんと頷く。
「ああ、それはな・・・」
紫水は前に二乃のした説明を、一花たちにも話した。
「「「「お店の3番手!?」」」」
自分達の次女が紫水の店の3番手クラスと聞き驚愕する一花達。
「いや何時そんな準備したんだ?」
聞いていた上杉がツッコんだ。
「あの日から川島さん達に話してな、全従業員から許可はもらっていた。そして今日二乃が赤点回避したから、あとはこの書類にサインすれば何時でも働くことが出来る」
上杉の問いかけに答えながら、書類を取り出す。
「二乃どうだ?」
紫水が書類を二乃の前に置きながら聞く。
「・・・ねえ紫水。本当にアタシが副班長クラスの待遇でいいの?」
「ああ」
二乃が真剣な顔で紫水に聞く。
「決めたわ紫水!よろしくお願い!!」
そういいサインする二乃。
「あ、言い忘れたが働く時は一時間勉強な」
「後だしなんて卑怯よ!!」
紫水の後だし勉強宣言に猛抗議する二乃は書類を取り戻そうとするが、あしらわれる。
「今回赤点回避しただけだ。ここで勉強をやめると、今までの努力が無駄ではないがなくなることになるからな。それは嫌だろ?」
「そうだけど・・・」
「なら決まりだな」
「・・・仕方ないわね」
紫水の説得に、渋々渋々納得する二乃。
「あの紫水君・・・」
小さく挙手した五月。
「なんだ五月」
「あの私も紫水君のお店で働きたいのですが・・・」
「五月アンタ何言ってるのよ!?」
紫水が聞くと、五月も働きたいと言い、それを聞いた二乃が五月につっかかる。
「五月お前は教師を目指すのだろ?何故飲食の仕事をするんだ?」
「紫水君の疑問ももっともです。私は教師を目指す為に下田さんの塾で働くつもりです」
「ああ、教師を目指すなら塾講師はいい選択だが」
「不特定多数の人と接するのは、塾も飲食店のホールも同じじゃないのでしょうか?」
「つまり五月は対応力も身に着ける為にホールで働きたいと?」
「はい」
紫水が理由を聞くと五月はその理由を答えた。
「学生、塾講師、ホールの3重の生活はお前が思っているより、辛く過酷だぞ」
「覚悟の上です」
紫水の言葉に五月はしっかりと頷いた。
「そこまでの覚悟があるならいい。但し五月は一般クラスで尚且つ二乃と一緒で一時間勉強だからな」
「はい!精一杯頑張ります!!」
五月の覚悟を認め働くことを許した紫水。
その後五月にも書類にサインをもらい契約は成立した。
五月をLe lienで働かせるか
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塾講師のみ
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塾講師と両立