「チキン南蛮ライス多めで」
「あいよ」
紫水は食堂で昼食を注文し、目的の人物を探していると、すぐ見つかり近づく。
「三玖ここいいか?」
「いいよ」
目的の人物・三玖を見つけて三玖の目の前の席に座っていいか聞くと、三玖は許可をくれたので紫水は三玖の前に座った。
「三玖なんだその飲み物?」
「抹茶ソーダ」
「美味いのか?」
三玖が飲んでいる物に聞くと、抹茶ソーダと返し、味の想像が出来ず顔を引き攣ってしまった。
「匂いからして抹茶は京都の宇治抹茶を使用しているのか?」
「っ!飲んでないのに分かるの?」
「ああ、俺の鼻と舌は特別製でな」
紫水は微かに香る匂いだけで使っている抹茶を言い当てた。三玖は驚き、なぜ分かるのかと聞くと紫水は自慢げに己の仕事道具を明かした。
「凄い能力持ってるね。・・・羨ましい」
「よう三玖。はは今昼ご飯か?」
三玖の後半の言葉は今来た上杉に遮られた。
「あ、えと、三百五十円のサンドイッチに・・・なんだ、その飲み物・・・?」
「抹茶ソーダ」
「抹茶?へ、へえ・・・逆に味が気になるな・・・」
「いじわるするフータローには飲ませてあげない。シスイ飲む?」
三玖は紫水に抹茶ソーダを向けた。
「そう言えば三玖、今朝の問題なんだが」
上杉が言うと三玖はあきらかに動揺した。
「う~えす~ぎさんっ!」
更に突っ込もうとした時、突然背後から上杉の肩をがしっと掴む四葉。
三玖に今朝の事を聞こうとするたびに四葉に邪魔されるが、一花が四葉を宥めながらある一言を放った。
「高校生活勉強だけってどうなの?もっと青春をエンジョイしようよ。恋とか!」
「・・・恋?アレは学業から最もかけ離れた愚かな行為だ。したい奴はすればいい。だが、そいつの人生のピークは学生時代となるだろう」
恋と言うワードを聞き、死んだ魚のような目で、ドス黒い負のオーラを撒き散らす上杉。
「このこじらせ方、手遅れだわ」
一花がドン引きする。
「恋をそんな悪く捉えなくてもいいと思うぞ?」
「・・・どうしてだ?」
紫水の言葉に上杉は睨みながら聞いた。
「料理人であるおじいちゃんが言っていた。『いい料理人になるコツは、自分の料理のすべてを捧げたいと思えるようなそんな女と出会うことだ』とな。未だ俺にはそんな出会いはないがな」
紫水のその言葉は恋を否定した上杉も口を噤まずには要られない言葉だった。
「恋愛したくても、相手がいないんですけどね・・・。三玖はどう?好きな男子とか出来た?」
四葉が軽い調子で聞いた。
「い、いないよ・・・!」
途端に顔がかぁっと赤くなって、そそくさ去っていく。
「急にどうしたんだ?」
「あの表情・・・姉妹の私達には分かります!間違いない!」
「「三玖は恋してます/るね!」」
四葉と一花の鼻息が荒くなる。
その後少し雑談して紫水は教室に戻っていると、ポケットに紙が入っており、三玖から放課後屋上に来るよう書かれていた。
放課後・屋上
紫水が屋上に着くと、何故か上杉が腕を組み敵を迎え討つかのように仁王立ちしていた。
「上杉、何してるんだ?」
「東雲こそどうして屋上に?」
互いに屋上にいる事を疑問に思った。
「俺は三玖に呼ばれた」
「俺もだ」
「・・・告白じゃないな・・・」
互いに三玖に呼ばれたと知り、上杉はボソッと言った。
その時ドアが開いた。
「よかった、手紙見てくれたんだ」
三玖がヘッドフォンを外して首にかけ、2人の方に歩いてくる。
「食堂で言えたら良かったんだけど・・・誰にも聞かれたくなかったから・・・シスイ、フータロー・・・あのね・・・」
三玖は頬を赤らめ、手の前で揃えてもじもじしている。
「ずっと、言いたかったの・・・す・・・す・・・陶晴賢!!」
「・・・陶、晴賢・・・?」
(今朝の問題の答えか。もしかして三玖武将好きでそれを知られたくなくてこんな回りくどい事を?)
急に戦国武将の名前を言われ上杉は困惑し、紫水はその理由を推測した。
「言えた、スッキリ」
ヘッドフォンをつけ踵を返す。
「ま、待てって!それを今、何故このタイミングで!?」
上杉が三玖の肩を掴んだ拍子に、スマホが三玖の手から滑り落ちて地面に転がった。
「あっ、す、すまん!」
「・・・武田菱?」
スマホを拾おうとすると、女子高校生らしからぬ待ち受け画面が見えた。
「それは武田信玄の・・・」
「旗印?」
「・・・見た?」
三玖がホラー映画に出てくる怨霊さながらの目で2人を見る。
「だ、誰にも言わないで・・・」
スマホをカーディガンのポケットにしまい、両手で覆った顔はみるみる赤くなりそう言った。
「好きなのか?戦国武将が?」
「・・・うん・・・」
「・・・は?」
紫水の言葉に三玖は頷き、上杉は困惑した。
「きっかけは四葉から借りたゲーム。野心溢れる武将達に惹かれて、沢山本も読んだ。でも、クラスの皆が好きな人は、イケメン俳優やアイドルばかりで・・・私は髭のおじさん・・・変だよ」
三玖が恥ずかしそうに言う。
「別に変ではないと思うがな?」
「そうだ。自分が好きになったものを信じろよ」
本心から言う紫水と、目がずる賢そうに光った上杉が言う。三玖は戸惑った表情になる。
「そう言えば俺前回の日本史は満点だったな」
「そうなの!?」
上杉の一言に三玖が食いついた。
「これが学年一位の力だ!俺の授業を受ければ三玖の知らない武将の話もしてやれるぜ?」
「それって・・・私より詳しいってこと?」
三玖は怒ってるような口調で言った。
「じゃあ問題ね!信長が秀吉を『猿』って呼んでいたのは有名な話だけど、この逸話は間違いなの。本当のあだ名は?」
「ああ、それなら・・・」
「シスイは答えないで。フータローに聞いてるから」
三玖の問題に紫水が答えようとすると、三玖が遮り上杉に答えを求めた。
「・・・ハゲ、ネズミ・・・?」
「・・・正解」
不安半分で言うと、正解だった為三玖が悔しそうにそっぽを向いて言う。
その後目をキラキラと輝かせて武将の逸話を語る。片や上杉は苦笑いで相槌をうつ。
「あーそろそろ帰らないと。そうだ!次の家庭教師の日の内容は日本史中心にしよう。三玖、受けてくれるか?」
「・・・そこまで言うなら・・・いいよ・・・」
上杉は上手く勉強する事に誘導できた。
「待って」
意気揚々と帰ろうとすると三玖がとめた。
「これ、友好の印。飲んでみて」
屋上の出入り口に設置してある自販機で買った缶ジュースを差し出す。
それを見た上杉は「ぐっ!」と妙な声を出した。
「気になるって言ってたじゃん。大丈夫だって。鼻水なんて入ってないよ・・・なんちゃって」
慣れないジョークを口にして、照れ笑いを浮かべる。
「・・・あれ?もしかしてこの逸話知らないの?・・・そっか」
汗ダラダラで固まった上杉を見て三玖は察したらしく、さっきまでの友好ムードが一変し、躊躇なく抹茶ソーダを引っ込めると、心底見下したような目になった。
「頭いいって言ってたけど、こんなもんなんだ。やっぱり教わる事なさそう。バイバーイ。シスイ帰ろ」
「ああ」
上杉に冷たく言い放ち、紫水に声をかけて一緒に屋上を去った。
「シスイはさっきの逸話分かる?」
校門前で三玖が唐突に紫水に聞いてきた。
「石田三成が、大谷吉継の鼻水が入った茶を飲んだ話だろ?」
「うん。やっぱシスイは知ってるんだ」
「三玖みたいに沢山は知ってないけどな。三玖の好きな感じがヒシヒシ伝わって来たぞ」
「・・・恥ずかしい」
逸話があっていた事に三玖は驚きはせず、寧ろ余裕だと思っていた。
「そうだ五人に話す事があるから、今から家に行っても良いか?」
「いいけど・・・話って?」
「集まったら言うよ」
「むう・・・」
紫水が話したいことがあり、家に行っても良いかと聞くと、今聞きたいのに答えてくれない紫水に三玖はむくれた。
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