紫水は三玖と共に五つ子の住むマンションに向かっていた。
「シスイ話って重要な事?」
「ああ、とても重要な事な」
このやり取りをしていると後ろから四葉が走って来た。
「三玖~一緒に帰りましょうよ。あ、紫水さん三玖と一緒って事はデートですか?」
四葉のとんでも発言に三玖の顔は赤くなった。
「ち、違うよ///シスイが私達に話があるから、一緒に家に向かってるだけ」
「そうだぞ四葉」
「そうだったんですね!それで私達に話って何ですか?」
「揃ってから言うよ。揃って話した方が楽だからな」
三玖がデートを否定すると、紫水も同意し四葉は話の内容を聞こうとしたが、揃って話す方が楽と言われたので、マンションまで3人で雑談しながら向かった。
「で、話って何よ紫水」
中野家のリビングに五つ子と紫水が集まり、集められた紫水にニ乃が聞いた。
「実は今朝お前達の父親から連絡が来て、俺もお前達の家庭教師をする事になった」
「はあ!?それって本当なの!!?それに仕事はどうするのよ!?」
「ああ。まあ向こうも俺の仕事の事を知っていたから、都合のいい時だけでいいと言っていた。それに勉強をみる約束をしたからな。その延長線上だ」
紫水も家庭教師をする事に全員が驚き二乃が仕事はどうするのかと聞くと、都合のいい日だけ来ると言った。
「昨日の事は悪かったと思うけど、何もそこまでしてもらわなくっても・・・」
「そうですよ。家庭教師までしていただくと、紫水君の体が心配です」
「シスイ無茶は駄目だよ?」
「っと言うか紫水さん休みあるんですか?」
「平日は学校、土、日はお店でそこにアタシ達の家庭教師って何時休むのよ」
五つ子達は自分達の家庭教師を引き受けて紫水の休みが無くなり体を壊すのではないのかと心配そうに言った。
「心配ない。ちゃんと休みの日は確保した。ただ家庭教師が出来るのは週に1回。多くても2回だな」
紫水は働くに当たってちゃんと休みを確保していた。正確には川島を含む班長達が休む気配のない紫水にちゃんと休んでもらう為に休日を確保したのだ。
「まあそう言う事でよろしく。ああ、そうだこれを」
紫水が取り出したのは上杉に渡したのと同じ招待チケットだった。
「プレオープンの招待チケットだ。明後日からプレオープンが始まる。チケットごとに指定の曜日があり、そのチケットは土曜日限定だから土曜日に来てくれ。コース料理になるから苦手や嫌いな物、アレルギーなどあれば教えてほしい」
「プレオープンに私達が行ってもいいの?」
「ああ」
紫水が招待状を渡すと一花が行っていいのか聞いて来て、紫水は大丈夫だと頷いた。
「皆ここはシスイ君の好意に甘えようか」
「賛成。一度紫水の料理を食べてみたかったのよ」
「うんうん」
「楽しみです」
「期待大です」
全員行く事に賛成し当日が楽しみにとなった。
この2日後図書室では上杉、四葉の勉強会に三玖も加わったとここに記しておこう。
上杉達が勉強会をしている時紫水は
「いよいよプレオープンです。グランドオープンに向けてしっかりこのプレオープンやっていきましょう」
『『『はいっ!!!』』』
「それでは配置について下さい。間もなく最初のお客様がお見えになります」
紫水以外のキッチンメンバーがキッチンに入り、紫水はホールメンバーと共に最初のお客様を出迎える為に入口で待機している。
そしてオープンの17時となり店の扉が開いた。
「いらっしゃいませ」
「よう紫水。招待ありがとうな」
最初の来店したのは伯父の晴彦とその部下達だった。
「久しぶりの紫水の料理だな。今日のメニューは?」
「本日はイタリアンコースとなっております。お席にご案内致します」
晴彦は久々の紫水の料理にウキウキしている。その様子に紫水は苦笑し席に案内した。
「お客様がご来店しました。準備はいいですか?」
料理人としての覇気を纏いながらキッチンに入って来た。
殆どはその覇気に慣れているが、初めて紫水の覇気にあてられた倉内・丸井は無意識に喉を鳴らした。
『『『何時でもいけます!!』』』
倉内・丸井を除いた全員が紫水に返事をした。遅れて2人も返事をした。
「まず
ブルスケッタ・・・炭火であぶること。トーストしたパンに、にんにくをこすりつけるのが基本的。フレッシュトマト・バジルを乗せて食す。
「はい。チェックお願いします」
「・・・はい。サーブお願いします」
皿に盛りつけたのを紫水に見てもらい、それを見た紫水は大丈夫だったのでサーブに出した。
「次の
「準備完了しています」
「よし。
「大丈夫です。終わっています」
「4、9、S3のお客様ご来店です!」
紫水の問いに答えていると来店の報告が来た。
「分かりました。4、9、S3の
「はい」
「S1間もなく
「S1に
「はい!」
次々に来る情報に紫水の指示がキッチンに飛ぶ。
倉内・丸井は慣れて無くオドオドとしているが次の紫水の言葉で落ち着いた。
「倉内さん、丸井さん落ち着いて下さい。他の皆さんがフォローしますので焦らなくても大丈夫ですよ」
「「は、はい!」」
2人は落ち着き作業に戻った。
「4、9、S3の
「S1
「・・・はい大丈夫ですサーブを」
4品同時に来るが、紫水は慌てずチェックし大丈夫だった為サーブに出した。
それから数時間は慌ただしかったが、段々と落ち着いてきた。
「3の
今回の
「分かりました。ティラミス2、マチェドニア1、ジェラート1の準備を」
「はい」
言われた品を素早く皿に盛りつけ紫水に持って来た。
「チェックお願いします」
「・・・はい大丈夫です。サーブを」
「はい」
料理が出たのを確認して紫水は一息ついた。
「ふう。今ので今日は終了ですね。皆さんお疲れ様でした片付けに入って下さい」
『『『はい!!』』』
紫水の指示でキッチンスタッフは片付けに入った。紫水はホールに出て川島に今日の様子を聞きに向かった。
「川島さん今日のお客様の反応はどうでしたか?」
「オーナー、皆様満足されていましたよ」
「そうですか!よかったです。玉置さんはどうでしたか?」
「最初は戸惑っていましたが、中盤にもなると、練習通りに出来ていました。気遣いが上手くそのまま成長すればうちにこのまま就職して欲しい程です」
「川島さんがそこまで言うとは…。玉置さんの今後には期待ですね」
プレオープン初日に確かな手応えと、新人3人の今後にも胸を膨らませる紫水であった。
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