五等分の料理人   作:マスターM

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来店

プレオープン翌日紫水は朝の仕込みを多めに仕込んでから学校に向かっていた。

 

「おはよーシスイ君」

「おはよう紫水」

「おはよシスイ」

「おはようございます!紫水さん」

「おはようございます紫水君」

そこに黒塗りの外国車が紫水の隣に停まり、五つ子達が窓を開けて紫水に挨拶をする。

 

「おはよ五人共」

紫水も挨拶を返す。

 

「シスイ君乗っていかない?」

「ん~じゃあ、お言葉に甘えて」

一花が乗らないと言うと、少し悩んでから乗る事を選んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「で、昨日はどうだったの?プレオープン初日だったんでしょう?」

「ああ、手応えはあったぞ」

「そう言えば昨日は何のコースだったの?」

「あ!私達が行く明日は何のコースなんですか?」

「シスイのお手並み拝見」

「楽しみで楽しみでお腹が空きます」

二乃がプレオープン初日の事を聞くと、紫水は手応えがあったと言うと、一花が昨日のコース内容を聞いて来て、四葉が自分達のコースは何かと尋ねる横で三玖がワクワクしながら言い、五月は楽しみでお腹が空くと言った。

 

「昨日はイタリアンコースだったな。明日はフレンチコースだな。腕によりをかけて振舞うよ。満足させちゃるよ」

と、紫水は言った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その日の放課後紫水は図書館に顔を出した。勉強をしている四葉と三玖の様子を見る為だ。

 

「よおやってるな」

「東雲か。今日は休みなのか?」

紫水が手を挙げて言うと上杉が反応して、今日休みなのか聞いてきた。

 

「いいや。朝に仕込みを多くしてきたから時間に余裕があるんだ。だから様子を見に来たんだ」

「そうだったんだな。後どれ位大丈夫なんだ?」

「1時間だな。って事で三玖、四葉進んでるか?」

紫水が2人に聞くと、三玖と四葉が質問してきて紫水が答え、上杉が付け足すという流れで1時間勉強を教えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして迎えた土曜日。この日はランチも営業するので、朝から紫水を筆頭に班長達が仕込みに追われていた。

 

「野菜の仕込み終わりました」

「魚も終わったぞ」

「ありがとうございます。今日はフレンチがメインなので助かります」

中華班長の劉と関が仕込みの終わりを報告すると紫水は礼を言った。

 

「では今日はランチからの営業となりますが、一日お願いします」

『『『はい!!オーナー!』』』

仕込みを開店30分前に終わらせ、開店前のミーティングで気合を入れた。

 

「オーナー開店します」

「お願いします」

12時ランチの営業が始まった。

 

 

 

 

ランチでは土曜日って事もあり、非常に賑わいをみせている。客層もバラバラで子連れ家族や、カップル、お年寄り、学生等などいるが共通している事は全員が笑顔である事だ。

そんな中紫水は従業員の賄いを、オーダーと同時に作っていた。

 

「おはようございます」

「おはようございます中村さん。川島さんの休憩をお願いします」

「畏まりました」

14時にホール副責任者の中村が出勤してきてキッチンのスタッフに挨拶しに来た。その中村に紫水は川島の休憩を回すように言い、同時にキッチンのスタッフの休憩も回し始めた。

 

 

 

 

 

 

ディナーの前に全員の休憩が終わり、むかえたディナータイム。

 

「オーナーS1に5名様とS2の3名様がご到着されました」

「分かりました。では前菜(オードブル)の季節野菜のテリーヌの準備を」

テリーヌはフランス語で『容器』を意味する言葉で、陶器やテラコッタなどの蓋付き容器に具材を詰めて焼いたり湯煎したりした料理のことを指す。

今回は季節の野菜を使ったテリーヌ。その野菜はアスパラ、オクラ、ミニトマト、ナス、キャベツを使用。

 

「チェックを」

「・・・はいサーブお願いします」

「はい」

紫水のチェックを受け、川島が持って行く。

 

コンコン

「失礼致します」

扉をノックし一言言ってからドアを開ける川島。

因みにSはスペシャルの略で特別チケットを貰った者達や、特別な用途で使用する個室部屋となる。

今回のこの部屋にいるのは・・・

 

「お、来たね」

五つ子達だ。

 

「こちら前菜(オードブル)の季節野菜のテリーヌ、粒マスタードソース添えでございます」

「へー美味しそうね」

サーブされた皿を見て二乃がそう言うと全員が頷いた。五月に関しては『待て』をされた犬のようにソワソワしていた。

 

「五月ちゃんが限界そうだから頂こうか」

「「「「「いただきます」」」」」

一花が言うと全員が手を合わせて言った。

ナイフとフォークを手に取りテリーヌを切り分け口に運んだ。

口に含んだ瞬間、衝撃が走った。

 

「なにこれ!?凄く美味しい!!」

「悔しいけど、予想よりも美味しいわ」

「凄く、野菜の味が濃厚」

「ソースにつけると更に美味しいです!」

「いくらでも食べられます!」

全員思った事を言った。

 

 

 

 

 

 

 

同時刻隣の部屋では・・・

 

「おおこれは美味いな!」

「ホントに美味しいねお父さん!お兄ちゃん連れて来て・・・って何で泣いてるの!?」

「な、泣いてないし」

上杉の家族がいた。

テリーヌを口にした上杉の父親・上杉勇也が言うと、上杉の妹・上杉らいはが同意し上杉にお礼を言おうと上杉を見ると上杉は泣いており、その事を言うと上杉は涙をぬぐいながら否定した。

貧乏舌の上杉にすら衝撃を与えた紫水の料理に体は感動し涙を流したのだ。

 

「しかし慎吾の息子は立派な料理人になったんだな」

「ん?親父東雲の事知ってるのか?」

「ああ親友の息子だからな。まあ最後に見たのは5年前の葬儀の時だがな」

「葬儀って、もしかして東雲の親って・・・」

「察しの通り交通事故でな」

「そっか・・・」

そこまで言った所で勇也が手を叩いた。

 

「折角美味い物を食べに来たんだ、湿っぽい話は終わりで食事を楽しもうぜ」

「そうだな。らいはお礼はチケットをくれた東雲に言うんだぞ?」

「うん!!」

暗い雰囲気から脱して再びテリーヌを口に運んだ。

 

 

 

スープ料理のカボチャのポタージュ

魚料理(ポワソン)の鮭のムニエルホワイトソースかけ

口直し(ソルベ)のパインのソルベ

肉料理(アントレ)の牛フィレステーキフォアグラ添え

が順番に運ばれてきて全員ニコニコしながら食べた。

 

 

「失礼致します」

「「「「「ん?」」」」」

最後のデザートを紫水自ら運んで来た。紫水の声に五つ子達は疑問に思った。

 

「こちらデザートのフォンダン・オ・ショコラでございます。紅茶はストレート、レモン、ミルク。コーヒーのどれがよろしいでしょうか?」

「シスイ君美味しかったよ私はコーヒーブラックで」

「美味しかったわ紫水。アタシは紅茶ストレートで」

「シスイ美味しかった・・・紅茶レモンで」

「美味しかったです!紫水さん!紅茶ミルクでお願いします」

「凄く美味しかったです紫水君!!コーヒーミルク入りでお願いします」

感想を言って、飲み物を注文する五つ子達。

 

「満足していただきよかったです。それではデザートをお楽しみください」

デザートと飲み物をサーブし紫水は隣の上杉の部屋に入った。

 

 

「本店の料理はいかがでしたか?」

「東雲美味かったぞ!!」

「美味しかったです!!あ、私妹のらいはです。今日は招待いただきありがとうございました!」

紫水が感想を聞くと上杉とらいはが感想をいい、らいはは自己紹介とお礼を言った。

 

「慎吾の息子久しいな」

「え~と確か勇也さんでしたか?」

「そうだ。5年振りだな。その様子からして立派な料理人になったな」

「いえ、まだ半人前の身ですので日々精進しています」

「そう謙遜しなくてもいいと思うぞ、なあ風太郎、らいは?」

「ああ」

「うん!」

勇也が声をかけると紫水は朧気に言うと、勇也は立派になったと言うが紫水はまだまだ半人前だと言い、そんな紫水に苦笑いした。

 

「さて帰るか」

上杉家は既にデザートをサーブしており、そろそろ帰ろうとした時に紫水が訪ねて来たのだ。

 

「お見送りいたします」

紫水がドアを開けると同時に隣の五つ子達の部屋のドアも開いた。

 

「げ」

上杉の姿を見た二乃が露骨に顔をしかめた。

 

「あ!お前達も来てたのか?」

「ええ、紫水君が招待してくれたので」

上杉が言うと五月が答えた。

 

「お兄ちゃん、五月さんが4人いる」

上杉の後ろから不思議そうならいはの声がした。

 

「あっ!!上杉さん!妹ちゃんですか?」

四葉がらいはを見て聞いてきた。

 

「はじめまして妹のらいはです!お兄ちゃんがお世話になってます」

らいはがペコリと頭を下げると五月以外自己紹介をした。

 

「風太郎もらいはも嬢ちゃん達も廊下で話すのは店の迷惑になるから取り敢えず出ないか?」

勇也がそう言うとその通りだと思い全員で出口に向かった。

 

「本日はありがとうございました。またのお越しをお待ちしております」

店の外で紫水は五つ子と上杉家を見送った。

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