昨日までのプレオープンを終え、本日は営業は休みとなり、明日からグランドオープンを待つ事になった紫水は明日の賄い用のタンカレーを仕込んでいた。
ピンポーン
そんな中玄関のチャイムが鳴った。
「ん?来客の予定はなかったが・・・」
紫水は一旦火を止めて玄関に向かった。
「はいどちら様で・・・」
「おはようございます紫水君」
ドアを開けるとそこには五月がいた。
「五月かどうかしたか?」
「紫水君に渡す物があります」
そう言い五月が封筒を出した。
「これは?」
「昨日の食事代です」
「はあ?言っただろ、代金はいらないと。試作のメニューなんだし」
「それでもです。今まで食べたどんな料理よりも美味しかったのにお代を払わないなんて私達には出来ません」
「私達?」
「はい私達五つ子の総意です。返金は受け付けません」
「まったく真面目だなお前達は。勉強もそれ位真面目だったら上杉の奴も喜ぶのにな」
「そ、それとこれとは別です!」
五月が来た用件は昨日の食事代を払いに来たと言い、紫水は試作メニューの提供だったからいらないと言うが、今まで食べた料理よりも美味しかったから払うべきだと五人総意であると言うと紫水は折れて封筒を受け取った。
「そう言えば五月昼は食べたか?まだなら今から昼食にしようと思っていた所だ食べて行かないか?」
「はい!いただきます!!」
紫水の問いかけに即答する五月。昨日紫水の料理を食べて、紫水の料理の虜になったようだ。
「天麩羅丼と赤味噌の味噌汁だ」
「うわあああ!美味しそうです!!」
海老、イカ、ナス、カボチャ、レンコン、大葉が乗った天麩羅丼に赤味噌の味噌汁に五月は目を輝かした。
「「いただきます」」
「ん~美味しです!いくらでも食べられます!!」
「おかわりもあるから遠慮しなくっていいぞ」
絶妙な揚げ加減で、これまた絶妙な配合されたタレの天丼は五月の箸の進むペース上げていく。
「ふー。ご馳走様でした」
あの後あまりの美味さに3杯おかわりをした五月は今は紫水がいれた温かいお茶を飲んで寛いでいた。
「お粗末様でした。ああ、五月これは姉妹への土産だ」
紫水は五月にお土産として、多めに作った賄い用のタンカレーをタッパーに入れ渡した。
「お土産までありがとうございます!」
「五月この後何処か行く用事あるか?あるなら保冷剤も用意するが?」
「あ、実はこの後上杉君の家にお給料を渡しに行く予定なんです」
「そうなのか。よし俺も行くか。あ、手土産に天麩羅とカレー持って行ってやるか。五月少し待っててくれないか?」
「はい。大丈夫です」
紫水は五月にこの後の事を聞き、上杉の所に行くと聞くと、紫水も行く事にして手土産の天麩羅を作り始めた。
上杉の家には紫水のバイクで向かう事になった。
「紫水君バイクの免許持っていたのですね」
「ああ、朝市とかに行く為にな。ほらヘルメット」
五月にヘルメットを渡しエンジンをかけた。
「ナビは任せたぞ」
「はい」
五月ナビの元、上杉の家に向かった。
走らせる事数十分で上杉の家に付き、五月がチャイムを鳴らすと、上杉が出てくると、五月の顔を見た瞬間ドアを閉めた。
「なんで閉めるんですか!開けて下さい」
ドンドンと戸を叩く五月。
渋々と言った顔でドアを開ける上杉は五月の隣に紫水がいる事に気が付いた。
「なんで東雲もいるんだ?」
「五月が昨日の料金を払いに来たんだ。いらないって言ったんだが姉妹の総意で譲りそうもなかたから受け取って、その後は一緒に昼食を取ってたんだ。あ、これ手土産の天麩羅にタンカレーだ」
上杉が紫水がいる事に疑問に思い、紫水が説明して手土産を上杉に渡した。
「わざわざ悪いな」
受け取った上杉は礼を言った。
「貴方にお渡しする物があります!父から預かった、上杉君のお給料です」
居間に通された五月がムッとして言って封筒を渡した。
中の金額を確認した上杉の体が関節が外れる勢いでガクガク震え出した。額から尋常ではない量の汗が噴き出る。
「お兄ちゃんの汗で諭吉さんがしわしわに!」
後ろから上杉の手元を覗き込んだらいはがそう言った。
「一日五千円を五人分。計二回で五万円だそうです」
五月の言葉に上杉はこれ程報酬が高額な事に唖然としていると、らいはがタンスの上に飾っている母親の遺影に手を合わせて報告していた。
ゲームのルーレットが、大当たりのマスで止まった。
「あわわわわ~!お兄ちゃん!コインが、コインが!」
派手な音と光を出しながら、コインがジャラジャラと払い出し口から噴き出て来て、らいはが後ろに立っている上杉に振り返る。
「ハハハやったな!」
上杉達はらいはのリクエストでゲームセンターにやって来ている。
何故そうなったかと言うと、帰ろうとする五月に上杉は何もしていないと言い、封筒を返そうとしたが、結局五月に押し切られて何に使うか悩んだ末、らいはに欲しいものはあるかと聞きゲームセンターにやって来たのだ。
紫水も上杉も、五月もエアーホッケーやクレーンゲーム、太鼓のゲームなどらいはと一緒に楽しく遊んだ。大概が頭脳より運動神経を要するものなので上杉は全くいいところを見せられなかったが、らいはが大笑いしているのを見て良しとした。逆に紫水の運動神経の良さに上杉は引き攣り、らいはと五月は目を輝かした。
「らいはちゃん、楽しそうですね」
上杉とらいはの後ろを紫水と共に歩く五月が微笑みながら言う。
「らいはには、家の事情でいつも苦労をかけてる。本当はやりたいことがもっとあるはずだ。あいつの望みは全て叶えてやりたい」
いつになく真剣な上杉の横顔を五月はじっと見つめる。
「お兄ちゃん、五月さん!紫水さん!最後に四人であれやってみたいな」
らいはが指している物を見た上杉は息をのんだ。それは上杉とは別次元に住むリア充御用達のプリクラだったからだ。
「そ、それよりあっちの方が・・・」
「全て叶える・・・でしょう?」
「妹の願いを無下にしないよな?」
反対方向に足を向けた上杉の右肩に五月が、左肩に紫水がポンと手を置き言った。
渋々撮影ブースに入り、真ん中にらいは、両側に上杉と五月が並び、一番身長が高い紫水がらいはの後ろに並んだ。
「2人共顔が硬いよ」
らいははニコニコ、紫水も微笑んでいるが、五月も上杉に負けず劣らず顔が強張っている。
逃げようとする2人の手をらいはががっちり掴む。
「なんかこれ家族写真見たい」
動揺する2人をよそに、カシャ!とシャッター音が鳴った。
外に出て数分待つと、プリクラ機から印刷されたシール写真が出て来た。
「お前なんて顔してんだ」
「貴方こそ」
上杉と五月がディスリ合っていると、らいはが満面の笑みで振り返った。
「お兄ちゃん、五月さん、紫水さん、ありがとう!一生の宝物にするね」
そう言って、プリクラの写真を大切そうに胸に当てる。
らいはの純真な姿に、2人はいつも間にか気まずさを忘れ微笑んでいた。
その光景を見ていた紫水は3人の姿を気づかれないよう写真に撮って微笑んだ。
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