ドイツ連邦軍の装甲車がルアーンを通る時、タイヤはカタカタと音を鳴らしていた。
街は荒廃しており、あちこちに原型がわからないほど破壊された戦車やヘリコプターが放棄されていた。
道端に落ちていた<騎士団>のヘルメットもその形を保っていなかった。
装甲車はブルータリズムの恐ろしい廃墟の前で止まった。
装甲車から降りてきた一人の男はブルータリズムの怪物に圧倒されそうになったが、気を取り直し、建物の中に入った。
この建築物は1960年代初頭に当時北フランスとベルギーを支配していた騎士団領ブルグントによって建造された、恐怖支配と嫌われ者のブルグント体制の象徴である。
1970年代初頭に発生したシャルルマーニュ、ワロ二エン、ランゲマルク、反騎士団労働者運動の赤いポピーがもたらした<ブルグントの春>によって悪名高い影の国が終焉を迎えても、この恐ろしい怪物は数々の怪奇現象によって、自身を取り壊そうとする者を全て殺してきた。
そのことから、フランスではこのように呼ばれている。
<影の国の影の怪物>と。
そのため、ドイツ連邦軍はこの建物を厳重に封鎖しており、立ち入りには制限がある。
「ここだ」
男が言った。
そこは建物の地下にある部屋だった。部屋の奥には木製のドアがあり、その先には薄暗い通路が続いている。
「行こう」
一行は部屋に足を踏み入れた。
その瞬間、彼らの身体中に悪寒が走った。
親衛隊が放棄していった武器や死体が古びた床を覆っていた。
兵士はそれを片付け、前に進んでいった。
まさに、ナチズムが残した遺物であった。
一方、大日本帝国陸軍では、軍用ノートパソコンに中国製Linuxが多用されていることが問題視され、2030年までに日本製Linux<natureOS>へ切り替えることが決定された。
以降、中華民国軍やベトナム帝国軍においても軍用ノートパソコンのOS国産化が進められるようになり、軍事産業の国産化が急速に進むこととなる。
さらに、日本では大日本帝国憲法の改正が行われた。
これは戦後5回目の憲法改正である。
今回、改正の対象となったのは第29条であった。
改正前
日本国民は、法律の範囲内において、言論、著作、印行、集会及び結社の自由を有する。
改正後
集会、結社及び言論、出版その他の表現の自由は、公序良俗を乱さない限り、これを保障する。
この改正に関して、「天皇陛下に対する批判が横行する」として市民団体『帝国憲法の会』*1から猛反発を食らうこととなった。