最終的に人間辞める種族になりましたので神に抗います   作:塩なめこ

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お ま た せ。

難産だったよ。でも何とかできあがりました。
説明回的なものです。


そして彼女は真実を知る

 

 

 フィオルンを送り出して3日。

 カインは自身とメイナスのフェイスを整備しながらこの後のことを考えていた。

 

 

(リナーダたちが昨日戻ってきたということは、そろそろ彼らもこちらに来るはず。……とりあえずエギルを止めるという点で俺たちは協力できる。だがいくつか問題があるのも事実)

 

 

 シュルクたちにこちらの情報を見せるということは、彼の中に潜む”奴”にも知れ渡ることになるということ。誰に何を、どこまで伝えるのかで今後の展開は変わっていく。

 

 実はレジスタンスのメンバーにもカインは全てを話してはいない。これはエギルとの交渉の際の反省からである。

 彼らには帝都から回収した映像データを見せることで協力して貰っている。

 彼らの多くは巨神の左脚のコロニーたちを故郷とする者たちだ。巨神の暴挙は彼らにとっても無視できることでは無い。

 

 使徒に関した情報を全て把握しているのはヴァネアだけ。エギルにはどこに使徒がいるか教えてしまったが、誰かはまだ分かっていないはずだ。

 モナドの秘密に至っては誰にも話していない。メイナスはもしかしたら勘づいている可能性はあるが……フィオルンの心情も鑑みて話すことは無いだろう。

 

 

 コンコンコン。

 

 

 っと、来客がおこしだ。

 どうぞ、と言って中へ招くと入ってきたのはゴモンと船長だった。

 

 

「君らが来たってことは準備が出来たってことでいいのか?」

「うむ。ラビッシュの整備は完了したも」

「フェイス含めた機械兵器も準備はできた。あんたの言う通り全機に飛行機能を搭載したぜ。操縦訓練も一通り済んではいるが……なんと言っても地下空間での訓練だったからな。実戦でどうなるかは分からん」

「その辺は織り込み済みだ。この島であっても上空でフェイスを動かしてたらエギルに見つかっちまう。とりあえず運搬が出来れば文句は無い」

 

 

「これが詳しい資料だ」と言って船長はタブレット型端末をカインに渡す。リストを見る限り数は必要分揃ったと見ていい。

 だが、レジスタンスとして目下対応中の燃料問題に関して進展はない。稼働時間の調整を間違えればこれまでの準備が水の泡と化す。

 

 

「エギルが協力してくれりゃあもっとスムーズだったんだがなぁ……」

「それはアンタが悪い。もうちょっと自分の胡散臭さを理解することだ。アンタが伝承に出てくるハイエンターじゃなかったら俺だって信じなかったね」

「ゴモンはマシーナとの橋渡しをしてくれたから言うこと無かったけども、ホムホムにはそういう目で見られているのかも?」

「ていうか第一印象が最悪だぜ? コロニー滅んでるってのに機神兵にぱっぱか乗ってきていきなりだったからな」

「……貴重なご意見アリガトウ」

 

 

 げらげらと笑いながら言う船長。カインは苦笑いしながらも、実際このあとすぐの交渉は失敗出来ないので、彼らの批判を受け入れるのだった。

 

 

「んじゃま、次の招集まで休んでくれ。多分そこからが俺たちの本領発揮だ」

「大規模な戦か。もう上では巨神界連合軍なるものが結成されていると聞く。休める時間は少なそうだな」

「戦いになったら絶対にパーツが足りなくなるも。ゴモンはそれまで資材の確保を頑張るも」

「ありがたい。無理のない範囲で頼んだ」

 

 

 

 2人はカインの執務室から出て行った。

 と同時に、基地のセキュリティ担当から連絡が届く。

 彼女が……帰ってきた。

 

 

「ふぅ──……」

 

 

 深く大きく息を吐く。

 執務室に送られてきた画像にはシュルクたちとメリアの親衛隊、そしてディクソンの姿がハッキリと写っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「こんな所に入口があったなんて……!」

「ほぉ……。こりゃ気づかんわけだ。里の連中もほとんど寄り付かない上に、こう巧妙に隠されちゃな」

 

 

 フィオルンに案内されるがまま、マシーナの隠れ里を出た彼らが向かったのは機神の腕、その前腕部方面であった。

 

 過去、巨神との戦いで機神は左腕を上腕から切り裂かれた。

 戦いに疲れたマシーナたちはその手のひらを中心として里を形成したが、レジスタンスは前腕から切断面までの、太い腕の中を切り抜いて拠点としたのである。

 

 そこへの進入路は大きくわけて3つ。

 ラビッシュやフェイスの主な出入口となる切断面に設けられたハッチ。

 前腕の装甲が形成する鉄の山、その上面に広がる要塞強襲用カタパルトデッキ。

 そして人や物資が行き来するための《ジフムの浜辺》に隠された通路だ。

 

 

「フィオルンちゃん、お疲れ様でしたも」

「あ、ゴモンさん! もしかしてゴモンさんがこの先の案内人?」

「その通りだも。全く、こちとら忙しいのにこき使いおって……」

 

 

 岩壁にカモフラージュされた扉の向こうから現れたのは、里に引き続き案内人を任されたゴモンだ。先程執務室から出た直後にまた呼び出され、急遽入口に向かうよう命令が下った時には、流石の彼もリーダーに向けてスパナを投げていたが、その件はとりあえず置いておくことにする。

 

 

「なんだよゴモンの爺さんじゃねぇか! アンタもレジスタンスとやらだったのか!?」

「ん? 見覚えのある顔だと思ったらディクソンかも。とうとうここを嗅ぎつけて資材を漁りに来たのかも? 残念ながらオマエに渡せるもんはクロマメレバー1つ分もないも」

 

 

 ゴモンはディクソンと知り合いだった。

 ディクソンがこの島を訪れていた目的や、今のやり取りを聞いた感じではどうやら隠れ里での商売関係で知り合った仲のようだ。

 だがそれなら……とシュルクの中で一つ疑問が生まれる。ディクソンもそのことについて不満があったようだ。

 

 

「違ぇよ! 今回はコイツらのお守りだ。……つーか、なんで教えてくれなかったんだ? アンタらのことをよ」

「それがここの決まりだからも。隠れ里で暮らしたことのない人間には誰であろうと存在を明かさない、そういうルールだも」

「……なるほどな。だからミゴールの奴も知らない体で話してやがったのか」

 

 

 ミゴールもディクソンとの付き合いがある人物だ。彼も本当は彼らのことを知っていたのだろうが、レジスタンス側のルールを守るように求められたのだろう。レジスタンスのレの字も話すことは無かった。

 ディクソンは一人納得する。だが、シュルクたちには疑問が残る。

 

 

「ゴモンさん、どうしてそんなルールがあるんでしょうか? あなた達がどこから来た人なのかは聞いています。レジスタンスは戦力を求めている。だったら自分たちの存在をアピールした方がいいんじゃ……」

「確かにレジスタンスには人も資源も全然足りてないも。協力してくれる人は多い方が断然いいも! ……でもだからって無闇矢鱈に話すもんじゃないも」

「それは……そなたたちの目的が巨神を斃すことにあるからか?」

「それもあるも。規模が大きすぎて普通信じられない話も。でも一番の理由は皆の心にあるも」

「心……?」

「復讐心を鎮めるには長い時間がかかるってことも」

「────!」

 

 

 レジスタンスの構成要員のほとんどはホムスやノポン族だ。

 では彼らはどこから来たのか。

 当然巨神界だ。

 

 

「ゴモンも含めてレジスタンスの皆は元々巨神の左足に住んでいたも。ここにいるのは故郷を滅ぼされて、行くところが無くなった人達だも。そんな奴らにレジスタンスの話を持ち出してみたらどうなるも?」

「それは……」

 

 

 マシーナならばいい。彼らはこれまでの全てを経験してきた。

 巨神の憎悪、エギルの間違いを知っているからレジスタンスとしても戦える。

 

 だが、ホムスやノポンたちは違う。

 この島でマシーナという存在を知ったばかりの彼らにレジスタンスという武器を与えてみればどうなるか。

 機神兵に恨みを持つ彼らに。

 

 

「今起こってる戦いは巨神と、それに復讐したがっているエギルによって引き起こされたものも。この島に住むマシーナたちは悪いことをなーんにもしてないも。

 でも、そういうのを知識として知っていても心は納得しないものも。マシーナたちが機神兵を生活のために使ってるのは事実も。鬱憤晴らしのために彼らと戦おうとする輩が出てこないとは言えないも」

「だから隠れ里で過ごさせる訳だな……。マシーナたちと手を取り合わなければこの島では生きてはいけまい」

「生きるために人はなんだって差し出せるもんだ。生活に必要不可欠なら燻ってる復讐心を押し殺してマシーナたちと暮らしていくだろう。その生活の中で彼らに悪意がないことを知れば」

「ようやく落ち着いて話ができる……ってわけね」

 

 

 メリア、ダンバン、カルナがそれぞれ反応する。

 人を率いる側の視点や、医療の心得がある彼等にはそのルールの重要性がよく理解できた。

 

 たとえ商売仲間として長い付き合いのあるディクソンであっても、彼らからレジスタンスの話を持ち出すことなどできないのだ。

 なんせ彼は機神兵と戦うための道具をここに求めに来ている。そんな彼にマシーナと同調し、機神兵との戦いを静観している勢力があるという情報を漏らしてみたらどうなるだろうか? 

 彼自身は違うかもしれない。だが彼の言葉を聞いて、マシーナの隠れ里を滅ぼし、ついでにレジスタンスも根絶やしにしようとする輩が現れないとは限らない。

 

 

「……っと、こんなとこでつまらない長話をしてる場合じゃないも。皆さんを執務室へと案内するようにお達しが来てるも。中は自由に見てもいいけど、ゴモンから離れるんじゃないも」

「そうだな。すまねぇ、変なことに時間を使っちまった。とっととカインとやらのところに向かおうぜ」

 

 

 言ってゴモンは進み出した。それに続いてシュルクたちもレジスタンスの拠点へと入っていく。

 機神界からの物資の搬入路ということもあって通路は広い。脇には大きな扉が並んでおり、ここに持ち込んだ資材等を保管しているのだと想像できる。

 

 そんな保管庫兼通路を抜ければ見えてくるのが居住スペースだ。材料は機神界のものを使っているのだろうが、建築様式はコロニーの住居と変わらない。レジスタンスへと参加したホムスたちに合わせているのだろう。

 

 

「あれは白いマシーナ?」

「てことは彼らが例の……」

「リーダー以外のハイエンターだ」

「ああいう鎧をリーダーも着ていたんだろうか」

 

 

 通りには何人もの人達が行き交っていたが、シュルクたちの存在を認めると皆一様に彼らを見つめ始めた。中にはヒソヒソと会話をする者もいる。

 

 

「なんだか随分と見られているような……」

「皆、リキとオトモ達に釘付けだも!」

「さっきの話を聞いた感じ、この数の来訪者ってのは珍しいんだろう」

「それもありますが我々の存在もあるのでしょう。見た所ハイエンターはここにはいないようだ」

「当然だな。我らはここ数百年の間、巨神上層から出ることがなかった。カインのような者でもない限りここには辿り着かないのだろう」

 

 

 そもそもカインがどのようにしてこの島を見つけたのかは知らないが。

 そんなことを考えながらメリアはゴモンの後に続いて歩く。

 

 居住区を抜けると作業員が行き交う波止場と、大きな湖が眼下に見えてきた。その中央にはシュルクたちの搭乗したラビッシュが浮いている。

 

 

「ここが格納庫だも」

「すげぇ……」

「こんな地下施設があったなんて」

 

 

 機神の腕は半分が水没していた。

 そんな土地でまともな資源を確保するためには、機神の残骸を喰らい尽くすほどの勢いで水中を掘り進める必要があった。

 

 その結果、出来上がった空間を利用して建設されたのがレジスタンス基地。機神の手首から切断面に至るまでの全ての空間が彼らの拠点。

 外殻は機神由来の装甲によって守られ、機神界からも巨神界からも隠された秘密基地だ。

 

 資源の多くを機神に依存しているため、彼らの武装は自然、機神界由来のものになる。それは、ホムスの技術では切断することもできない装甲で包まれた強化外骨格。

 

 

「コイツは……!」

「配色が異なるがマクナで見た顔付き……!?」

 

 

 即ち旧型のフェイスたち。それが彼らの主力兵装だった。

 

 ラビッシュが浮かぶ湖にかけられた物資運搬用の桟橋。そのの先には壁に沿って二十機ほどのフェイスが並んでいた。その中には青と白のフェイスも含まれている。

 あの二機はまだいい。シュルクたちにとって問題なのはそれ以外の機体の存在だ。

 あれがあるということは。

 

 

「マクナで我々を襲ったのはレジスタンスなのか……?」

「おいゴモンのおっさん! どういうことだ!!」

 

 

 ゴモンにラインが詰め寄る。

 事と次第によってはレジスタンスとの協力などとは言っていられない。

 

 

「ももっ!? な、なんのことだも!?」

「とぼけんな!」

「そうは言っても知らないことは知らないも〜〜!!」

 

 

 だが、ゴモンはあたふたするばかりで何も喋ろうとはしない。

 当然だ。彼はエンジニアだ。実際の作戦行動の詳細について全てを把握している訳では無い。

 いつどこで何がどんな目的で使われているかは知っていても、どのように使用されたかまでは知る由もない。

 それを知っているのは実際に運用した操縦者と、その報告を受け取った上司だけだ。

 そして今回の場合、その条件を満たす人物は一人しかいない。

 

 

「やめろ」

「なんだよ、邪魔すん……なっ!? あ、あんたその羽……!」

 

 

 ゴモンを掴みあげるラインの腕を握る人物がいた。

 その男はこのレジスタンスにただ一人しかいないハイエンター。

 その証である大きな白い翼は健在だ。その体は大きく変わってしまったが。

 

 

「……ようやく会えたな、カイン」

「…………」

 

 

 メリアの呼びかけに彼は答えない。無言のままシュルクたちを見据える。

 そして意を決したかのようにその一言を呟いた。

 

 

「その時のフェイスの操縦者は俺だ。聞きたいことがあるなら執務室で答えてやる」

 

 

 そして彼は歩き出した。

 彼の先にある階段、それを昇った先にあるのがレジスタンスの本部だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さて、まず何から話そうか」

「決まってる! さっきの答えだ!」

 

 

 執務室について早々、差し出された飲み物に手をつけることも無くラインがそう切り出した。

 それは今この場で何よりも確かめなくてはいけないことだった。

 カインはマクナ原生林で会った機神兵に乗っていたと言った。それが事実だとしたなら、彼は彼の意思でメリアを攻撃したことになる。

 

 大切な仲間のために、今カインが敵であるのかどうかはっきりさせる必要があった。

 

 

「了解した。ではまず何故俺があそこにいたのかについて話そうか。と言ってもこれは”あの時”君らに話したことではあるけどね」

 

 

 レジスタンスのための資源の回収。マクナで巨神からエーテルを搾り取っていたのは、この落ちた腕からはもうエーテル資源が獲得できなくなっていたためだと彼は言った。

 

 

「あのフェイスはそのために改良した機体だ。元々、フェイスは戦う力のないマシーナたちの武装として設計された。エギルが身にまとっているヤルダバオトはその完成形だ。その辺の事情はゴモンの方が詳しいだろう」

「エギルの使うフェイスたちと違うのは操縦者が機械化されていない点だも。だからあのフェイス達は誰でも操縦できるし、エギルの支配も受けないも」

「だからマクナではそれまでの顔つきにあった赤い光のラインが無かったのか……。でも待ってください。それが本当なら───」

「あの時点でカインはその体になっていなかった、ということか」

「その通りだ」

 

 

 それはつまり彼は操られた訳ではなく、彼の意思でメリアたちを襲ったことになる。

 

 

「カイン、貴様────っ!」

「待て、アイゼル。……理由を聞いても良いな、カイン」

 

 

 親衛隊の面々は怒りに燃えている。だが当のメリアは冷静にカインの言葉を待った。

 

 

「…………」

 

 

 カインはそんなメリアを見つめてしばし沈黙した。だが意を決したのか、程なくして真実を語り出す

 

 

「……お前たちだけであのテレシアを討ってはいけなかった」

「なんだと?」

「あのテレシアは自然発生した訳じゃない。操られている」

「まさか……!」

 

 

 そんな、と言いかけてシュルクの言葉が止まる。

 そもそもテレシアとはなんだ? 彼らは巨神を護る霊獣だとディクソンは言った。そして、レジスタンスの敵はなんだ? 彼らが戦おうとしている相手は。

 

 

「……巨神が彼らを操っていると言うのですか!?」

「流石だな、シュルク。しかし正確には違う。操っているのは奴の配下、《使徒》だ」

「《使徒》だと……?」

 

 

 カインは語る。はるか昔、機神と巨神との間にあった大きな戦い。その時から巨神に仕え、幾星霜の時を生きてきた存在こそが巨神の《使徒》であると。そしてそれこそが───。

 

 

「俺を皇都から追放した存在だ」

「何者なのだ、そやつは!」

 

 

 とうとう、彼はその”敵”の名(真実)を口にした。

 

 

「宰相ロウラン。奴こそがハイエンターを脅かす者の正体だ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 





ちょっと短くなりましたがキリがいいので。

ほんと、なんでここにディクソンさんいるねんという感じです。

ゼノブレ3のDLC来ましたね。
はやいよ。情報量多いよ。闇古戦場中だよ。モンハンにも触れてないよ。ティアキンもあるのに忙しいよ。

サントラのコンプリートBOXが欲しいですね。2万円ください

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