最終的に人間辞める種族になりましたので神に抗います   作:塩なめこ

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不穏。


青年期③

 

 

「おい! あれはなんだ!」

「エーテルプラントじゃないのか!?」

「あれは……テレシアよ!」

 

 人々が上を見上げて口々に言葉を発する。

 彼らが見ているのは空ではない。空に浮かぶ巨大なスクリーン、そこに映されている映像を見ていた。

 

 突如として発せられた皇都の警報。その後映し出された灯台から撮られているであろう映像を見て、民衆は混乱に陥っていた。

 望遠カメラによるものか画像は荒い。しかし確かに巨大なクラゲのような形をしたテレシアと、相見える騎士の姿を捉えていた。

 

『聞け! 民たちよ!』

 

 しばらくして皇都全体に、ソレアン・エンシェント皇主陛下の声が響いた。陛下は公開された映像により混乱する民を宥めるために言葉を投げかける。

 

『あれに映るのは、たった今起こっている現実である! テレシアの脅威がエルト海にまで及んだのだ! しかし不安がることは無い。既にテレシアすらも屠る強者を派遣した。かの者は必ずや我らの脅威を討滅するだろう!』

 

 そう言って陛下は空中に浮かぶスクリーンに映る一人の騎士を指さした。

 

 その日、彼はハイエンター最強の騎士になった。

 

 ハイエンターの蒼き槍、カイン。

 

 ハイエンターの騎士でありながら槍を使う彼。

 その戦術は稀有なものであったが、確かに卓越したものであったのだ。

 

 私たちはそれをその日に実感した。

 

 

 

 槍と共に彼が加速する。

 狙ったのはテレシアの頭部だろうか。神速の槍の一撃はテレシアに躱され空を切った。

 空中に身を投げ出した彼は、避けられたことを認識するとすかさず槍を引き、横に凪ぐ。頭部の翼を器用に翻し、空中での攻撃を実現させるその技を、一体何人のハイエンターが実現できるのであろうか。

 槍の横払いはテレシアが彼に放っていたブローとかち合う。空中にいたカインはその衝撃を受け止めることが出来ず、槍から伝わった反発力によって横に飛んだ。

 

 しかしダメージはなさそうに見える。端から衝撃を殺せるとは思っていなかったのだろう。敢えてその力に身を任せ、翼の羽ばたきと体重移動によって勢いを殺した彼は、一回転すると地に足を下ろした。

 

 テレシアは着地の瞬間に生まれる隙を逃さない。前を向いたカインに放たれたのはエーテルを凝縮したレーザー。その力はいとも容易く生物を巨神に還す。

 

 だが彼は、彼の持つエーテルならばそれを受け止めることが可能だった。彼は左手に纏った鎧に土属性のエーテルを凝縮させ、レーザーを真正面から受け止める。

 まるで鏡で光を反射するように。水の流れを散らすように。凝縮されたエーテルの光は分散され、辺りを焼き尽くすことこそすれ、彼には届かなかった。

 

 レーザーを受けきった彼は、焼け焦げた篭手を投げ捨てるように外すと、右手に持っていた槍を持ち直し駆け出した。

 ジグザグにテレシアに近づいていく。そして、テレシアに槍の矛先が触れる直前に左へと大きく飛ぶ───。

 

 そういうフェイントだったのだろう。

 なにかの残像に動かされたようにテレシアはあらぬ方向へと首を振る。もちろんそこに彼の姿はなく、消えた彼の姿を追って目を動かす間に勝敗は決した。

 

 この時、テレシアと同じように灯台からの望遠も彼の姿を捉えることができなくなっていた。民たちも固唾を呑んで見守っていたがために、彼が消えて困惑し惚けてしまっていた。その瞬間だけは人が発する全ての音が消えていた。

 

 そして、民が声を上げるよりはやく爆音が皇都を襲う。

 

 爆発が起こった。テレシアは内部から崩壊するように弾け飛んだ。

 

 彼は浮遊するテレシアの下に潜り込んでいた。そして、テレシアの体を縦に貫くように槍を刺し込むと、ありったけのエーテルをテレシアに流し込んだ。

 エーテルを他の生物から吸収し、生態系を乱す存在であるテレシアが、あろうことか許容量を遥かに超えたエーテルを受けて自壊してしまったのである。

 

 残ったのは槍を大きく上に掲げたまま佇む騎士の姿だった。

 

 

「「「おおおおおおおおおおお!!!!」」」

 

 

 民は湧く。ハイエンターの未来を担う若者がたった一人でテレシアを討伐した。その瞬間に立ち合えたのだ。誇りに思わないわけが無い。

 

 そして私も。

 改めてあのような人に師事して貰えることの凄さを実感した。

 

 最強の騎士は……彼は我らの味方だ。

 純血派のために、その最大の障害である女の下に仕えながらも我らの生存が、繁栄がハイエンターの未来に繋がると信じてくれている。

 

 母の、光妃殿下のお考えを肯定してくださる。

 その事がどうしようもなく誇らしく、そして嬉しかった。

 いつか、彼の目の前で仮面を外すことが出来る日が来るのだろうか。

 

 

 

 

 ◆◆◆

 

 

 

 

 ↓月♦日

 

 

 どうも丸一日以上寝込んでいたらしい。寝て起きたら月が変わっててびっくりだ。

 

 原因はエーテルの使い過ぎ。いくらエーテル保有量に自信があったとは言え頼り過ぎだったようだ。

 とはいえメリア様やアイゼルのようにエーテルを放出できない俺は、槍伝いに内部へとエーテルを流し込むくらいしか大型テレシアを消滅させる手段がない。この辺は要改善である。

 

 俺に至らぬ点があったためにメリア様含め陛下やカリアン様にまで心配させてしまった。症状だけ見ればだだのエーテル欠乏症なので、そこまで重篤という訳では無いのだが……。

 

 保有量の多さは回復に必要なエーテルの量の多さでもある、ということなのだろう。エーテルは節約するに越したことはないか。

 

 テレシアとの戦闘は最初の超加速がダメだったな。締めにエーテルをめちゃくちゃ使うんだからそのことを考えて動かねば……。

 思考読みを封じた状態のフェイントがめちゃくちゃ効くのを知れたのは良かったな。これからはバンバンこの手を使おう。

 

 さて、どうやら俺の知らない内に今回の騒動は大事になってしまったようだ。

 エーテルプラントは皇都の生活圏であったが為に、俺が戦闘を開始した時にテレシアが発したエーテル場の影響を受けて皇都の警報システムが勝手に作動。

 

 本来秘密裏に処理する筈だったのが、民たちの混乱を収めるため、戦闘映像の公開に踏み切らざるを得ず、俺の戦う姿は生放送され全民衆の知るところとなった。

 

 そなたが負けていたら皇都はさらなる混乱に陥っていただろう。感謝する。……と言ったのは皇主陛下。起きて早々、陛下は深々と頭をお下げになられた。

 

 あと、テレシアの単独討伐を全民衆の前で果たした以上何か褒美を与えねばならないということで、俺は回復し次第勲章授与式に参加することが決定した。

 

 というわけで現在絶賛その礼儀作法を復習中である。

 騎士団としての簡単な授与式は何度かあったが、それは全てアイゼルが代表者を務めていたため俺がすることはほとんどなかった。

 

 しかし今回は俺個人への褒章授与である。しかもこれまで経験したものとは比べ物にならない規模のものだ。覚えることが多すぎる。

 

 俺が眠っていた間のメリア様のお付として皇都に戻って来ていたアイゼルに、大観衆の目の前で恥を晒したくないなら詰め込めと笑われた。

 

 今度からはちゃんと儀礼のマナーも勉強しねーとな……。

 

 

 

 

 #月○日

 

 

 授与式は……多分滞りなく終了したと思う。うん。大丈夫。

 

 んで何日間か休養を貰ってしまったのだが、普段の俺は休日もメリア様のところに居るからやることは変わらない。公の場に出られないだけなので、離宮に赴いて庭作業などをしよう。

 

 

 と、思っていたのだが、この休暇はただの休暇ではなかった。

 巨神教からお呼びがかかったのである。俺との接触を図るために彼らが時間を用意したのだ。

 

 ぶっちゃけ、このタイミングでの接触とかどんなことを告げられるのか分からなくて怖いよね。

 

 多分彼らも把握していなかったのだろうけど、テレシアを俺は討伐してしまった。

 それが彼らの何らかの計画に使われる予定であったのなら……今の立場も危ういか。

 

 会合は明日。難しいであろうができるだけ身分を隠せるような身なりで来いとのこと。そうなると槍の持ち込みは無理か……。

 

 

 

 

 

 #月*日

 

 

 

 あっはっはっはっは!! どーすんだよこれまじで!!!! 

 思いがけないにも程があるわ。

 

 あー……なんというか。

 まず先のテレシア討伐についてはお咎めなしだった。

 巨神教によれば、先日のあれは本当に自然発生したものであるらしい。いくら彼らでもエルト海にテレシアを放つつもりは無いようだ。

 巨神教がエルト海での同族の活動を制限したところでなんの意味もないのだ。

 彼らはハイエンターのより良い発展を望んでいるだけ。都市機能を賄うエーテルプラントを危険に晒すなど、その行為に憤慨こそすれど協調するわけが無い……と光妃様が直に言い放ってくれた。

 

 そう、光妃殿下だ。光妃殿下と直に会ったのだ。

 

 仮面越しではハイエンターの英雄に無礼であろう、と言ってテレシア討伐の件を賞賛していただいた。

 今回の召集で何度も何度も身なりに気をつけるよう言い含められたのはあの人と会うためだった。そりゃ足が付いたら困るもんね。

 

 彼女がいたのは巨神教に伝わる最上級の表敬の儀を行うためだった。

 皇都での式典に続いてまたこういう格式的なものか、とここまでの俺は思っていたのだが……。最後の最後で光妃殿下がぶっ込んできた。

 

 

 

 タルコと結婚してくれないか、と。

 

 

 

 ……曰く、巨神教は裏皇家と呼ばれる正統なる皇族の血を引く一族がおり、光妃殿下はその一族の現代における長。

 そしてその娘であり、俺の教え子でもあるタルコもまた皇族。

 故にその血を絶やしたり、混ぜたりしてはいけない。純粋なるハイエンターに近い存在で存続させていく。

 俺は純血で、しかもテレシアを倒すことの出来る勇者。タルコの夫としては申し分ない。

 

 だから一考してみないか、と。

 一応本人たちの意向を尊重したいが、できればこの休暇が終わるまでに結論を出して欲しい。光妃殿下と直にお目見えする機会を設けるのは難しいから、と……。

 

 

 急な話しすぎてビビるわ。

 いや、裏皇家の存在自体は知ってたけどさ。まさかその婿候補になるとは思わないじゃん。

 時間的猶予はない。みんなと相談しようにも離れ離れにされてしまっている。

 

 どう動くのが正解なのだ……。

 

 

 

 

 

 #月♬日

 

 

 とりあえず、だ。

 俺の今後の人生を決めかねない決定であることに変わりはない。しかしそれは相手であるタルコにとっても同じことだ。

 

 だから今日は彼女の下を訪れてみることにした。

 

 無論、彼女を説得するためである。

 

 俺は今彼女と婚約したくない。理由はいくつかあるが、原作開始前に余計なしがらみを作っておきたくないというのが俺の本音だ。

 だからこの話は現時点では保留という形にしておきたい。だがそのためには俺だけではなくタルコ側からも光妃様に掛け合ってもらわなくてはならないだろう。

 

 そうしなければきっと、俺の巨神教内での立場がまた悪いものになっていくだろうからだ。

 

 ハイエンターにとって最も尊ぶべき血を持つ皇家の一員になる。それは純血派のハイエンターにとってこれ以上ない栄誉だ。

 それを保留と言う形をとるとはいえ一時的に拒否するなど、彼らには考えもつかない愚行だ。

 何某かの、彼らを納得させるに足る理由が伴わなければ、俺は懐疑的に見られるだろう。

 やはりあの男は影妃の娘側なのではないか、と。

 

 あくまでも二人で話し合った結果として保留することになった、という形にしなければならない。

 

 そのためには光妃様に絶対の忠誠を誓うタルコをどうにかこうにか説得しなければならない訳だが……上手くいくかどうか。

 

 彼女の性格は把握しているつもりだ。だからこの話題を切り出せば通るとは思う。

 彼女が自身のプライドと光妃様への忠誠のどちらに重きを置いているかで決まる……かな。

 

 

 

 

 

 

 #月▼日

 

 

 

 タルコは折れてくれた。

 光妃殿下にはお互い未熟者故……みたいな形で陳情し、婚姻に関してはもうしばらく時間を置いてからという形で決着した。

 

 それを告げた時光妃殿下が何を思っていたのかは分からない。一応了承してくださったが、俺に対して懐疑的になったのか否か……。

 

 まぁ、実際俺たちまだ100歳にもなってない。こちらの言い分は尤もで矛盾は無かったはずだ。今回の一件に関して疑念を持たれるような部分はなかったと思う。

 

 ともかく今は時間を稼げたことを喜ぶべきか。

 多分、最終的な結論を下す前に原作が始まりそれどころでは無くなるのだろうから、実質決着したと言ってもいい。

 我ながらクズいことをしているなとは思う。……せめてタルコが俺との婚姻に前向きでなければこんな思いをせずに済んだのだが。

 

 いやいや。好意を持たれていることは男として基本的に喜ぶべきことだ。それを煩わしいと思うのはいくらなんでも身勝手が過ぎる。

 

 俺は巨神教を騙し、利用する立場に自分の意思でなったのだ。今更罪悪感を抱いたところで何になるんだ。

 

 

 

 

 ↓月+日

 

 

 ようやく先日の一件を仲間たちに共有できた。

 明確に俺を囲みに来てることにアイゼルは警戒感を持っていた。多分次の機会があれば容赦しないんじゃないだろうか、というのはダミルの言葉。

 俺もそう思う。故に今の俺は功績を立ててはいけない。

 

 とりあえず巨神教関係は現状維持に努めるように、という方針で決まった。

 あと、アイゼルを無理やりにでもメリア様のお傍に置くことで、俺たちの関係にヒビが入っているように見せかける作戦も行うらしい。

 

 巨神教も一枚岩ではない。光妃様は俺を贔屓にしているが、それ以外の幹部はまだ警戒心が強い。

 故にメリア様親衛隊内に亀裂が入ったと知れば、それを更に拡大させようと誰かを唆そうと動いてくるはずだ。

 

 そうして近づいてきたところを逆に捕らえる。巨神教内での俺の敵とメリア様の敵が減るため一石二鳥の策だ。成功すれば動きやすくなるな。

 

 巨神教内部での俺の立場はこれで磐石になるだろう。

 あとは光妃殿下が繋がっているという確固たる証拠と、他の幹部の洗い出し。それが済めば皇都は平定できる。

 

 目標は密かに光妃様に協力しているロウランだ。

 

 彼女を合法的にどうにかできればハイエンターのテレシア化対策も進むのだが……。

 

 

 

 

 

 +月&日

 

 

 嫌な予感がする。

 

 急にロウランの野郎が俺にコンタクトを取ってくるようになった。意味がわからない。

 彼女が俺個人と繋がりを持って一体なんの得があるというのだろうか。

 

 テレシアを単独討伐した俺に興味を持ったのか? 脅威だと感じたのだろうか。

 

 そうだ。テレシアと言えば気になることがあるな。俺が単独討伐する羽目になったあのテレシアは一体どっから湧いて出たのだろう。

 

 巨神教の仕業では無いというのは分かった。であるならば何故エーテルプラントに出現したのか。

 

 もはや確認するまでもないことだけれど、あそこは皇都のエネルギー源。心臓部と言ってもいい。

 故に警備用の機械も多く設置されて厳重に守られているのだが……それにしては発見が遅すぎる。

 本当に自然発生したテレシアならば、エルト海に入った時点で何らかのシステムが捉えていたはずだ。

 それなのに俺が相対するまでシステム関係は完全にダウンしていた。王宮に通達が入ったのは灯台からで警備用の機械などからでは無い。

 

 まるで見計らったかのようなタイミングで皇都全体に発せられた警報システム。自然発生にしては不自然なテレシアの出処。

 

 間違いなくロウランが噛んでいる。

 

 ではテレシアを呼び寄せた目的はなんだ? 

 

 実験体の殺処分なら巨神肩の件と同じようにすればいい。わざわざエルト海で処理させた意図は? 

 

 そしてエーテルプラントを襲わせた理由も分からない。あそこはロウラン自身の研究室にも電源を送っているはずだ。壊れたら彼女だって不利益を被るだろうに。

 

 ……でも結果的に見ればエーテルプラントは無傷だったんだよな。

 

 俺が戦ったのはエーテルプラントの下に広がる草地だった訳だが、そうなったのはテレシアがそこで漂っていたからだ。

 わざわざ広いエーテルプラントのある島の上空ではなく、狭い浮遊島の大地で。

 

 目的はエーテルプラントを破壊することじゃなかったのか? 

 

 他に処理したいものがあったからロウランはテレシアを使った。じゃあ誰だ? 何だ? 

 彼女が巨神教を通さずに直接、テレシアを使ってまで処理したかったものとは……。

 

 

 …………もしかして俺なのか? 

 

 

 

 ▼月○日

 

 

 ロウランが2人きりで会いたいと場所を指定して誘ってきやがった。

 

 座標はハイエンター墓所近く。……これは不味いな。

 俺はそこが彼女の研究室であるということを知っている。原作知識という反則で。

 

 一応名目としては巨神教関係でということになっている。

 ここで会いに行ければ彼女が巨神教に関わっているという証拠を手に入れられる。そうすれば宰相の地位から彼女を追い落とすことができるだろう。

 

 だが場所が場所だ。考えられるパターンは3つ。

 1つは何ら険悪にならずに滞りなく会談が終わるパターン。

 2つ目は彼女お手製のテレシアに殺されるパターン。

 そして最後は、俺自身をテレシア化させるパターンだ。

 

 探求院への探りでハウレスがまだ実用段階にないことは知っている。しかし彼女個人の研究室にハイエンターをテレシア化させる装置がないとは限らない。

 

 いや、十中八九存在する。でなければテレシアをけしかけるとかできないしな。

 

 皇家にも信頼され、巨神教でも存在感を示し始めてきた俺を邪魔に思ったか……。

 まぁ、テレシアを単独で撃破できるハイエンターなんてザンザの使徒にとっちゃ迷惑極まりないだろう。しかし俺を政治で倒すにはいくら宰相という立場があっても難しい。

 だから実力行使してきた……というのが俺の考えである。

 

 ともかくこの誘いは断ろう。

 宰相という立場にいるのが厄介極まりないなほんと。ちゃんと形式に則って断りを入れなきゃならん。面倒だ。

 

 

 

 

 

 ↓月&日

 

 

 …………不味った。

 

 まさかあの野郎、王宮でテレシアを出してくるなんて思いもしなかったわ。しかもその責任を俺に被せやがって。

 

 巨神教内の敵対勢力もそれに乗ってきた。

 今の俺に王宮での居場所はない。メリアの元に戻れば格好の的だ。非難に晒される上にメリアの陣営にも被害が及びかねない。

 

 早急に皇都を脱出しなければいけない。

 英雄が一転して犯罪者とは畏れ入る。一枚も二枚も上手だったよロウラン。

 

 でもタダでは離れてやらない。

 ロウランが表面上はメリアの味方をするというのなら、それを利用してやるまでだ。覚悟しろよ。

 

 

 

 

 

 

 ♬月♦日

 

 

 計画は成功した。がしかし結果は悪い。

 

 糞が。今の俺じゃどうやってもロウランを殺し切れない。奴は不死身だ。

 多分モナドでなければ断つことができない。

 

 ……とりあえず今は逃げよう。逃げなくてはいけない。

 

 幸い、皇都にいられなくなってもできることはある。

 ハイエンターの未来のため、メリアのために今は耐えるのだ。

 

 だからメリア。一時とはいえお前から離れること。そして、お前に刃を向けることを許して欲しい。

 

 俺は必ず帰ってくる。その時、お前に拒絶されないことを祈るよ。

 






日記パートは一旦終了。
1話挟んで原作開始です。


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