この素晴らしい世界であなたに幸福を!   作:エリス様にはやんでれの素質があります

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女騎士現る!

 1、狂わしいクルセイダー

 

「あっ! 来ました来ました、あれがカズマです! こっちですよー!」

 

「いきなりなんだよ朝っぱらから……」

 

「もう昼前ですが!?」

 

 クリスとの一悶着があった後、着替え等を済ませた俺はそそくさと冒険者ギルドに来ていた。

 めぐみんに呼ばれながら周囲を見渡してみるがクリスはまだ来ていないようで、その変わりにめぐみんの横に見知らぬ金髪美少女が立っていた。

 

 めぐみんの友人か? まぁ、聞いてみる方が早いか。

 

「めぐみん、そちらはどちら様? 友達?」

 

「違います。今日のさっきが初対面です」

 

「じゃあ余計誰なんだ……」

 

「なんでもカズマにようがあるみたいですよ? ……すみませーん! 唐揚げお代わりくださーい!」

 

「俺に……? あっ、俺にはハンバーグ定食をお願いしまーす!」

 

 どうやらめぐみんは朝食? いやもうほぼ昼食か、まぁ食事の最中だったようで、これまでの貧困を取り返すかのように食い物を腹に詰め込んでいる。

 俺も料理を頼んだところで、何故か無言のままじっと俺を凝視する金髪美少女に向かい合う。

 

「ええっと、俺が佐藤和真だけど……あなたは?」

 

 良く見るとちょっとタイプな顔をしている。鎧の上からでも分かるボン! キュッ! ボン! 長いまつげに凛とした顔立ち、年は俺よりちょっとだけ上くらいのお姉さんか。

 後は……鎧や手元にある大剣からして戦士か? 騎士っぽい見た目だけどそんな職あるか知らないし断言できないな。

 

「っんぅ!」

 

 ……なんか今、変な声が聞こえた気がする。

 

「ええっと……」

 

「流石は噂通りの男だ、期待を裏切らない……んんっ!」

 

 噂? 何か噂が広がってるのか? 心当たりが無いんだが……

 何気なしに視点をめぐみんに向ける。

 

「?」

 

「……あっ」

 

 あったわ、心当たり。

 くっそ不名誉で風評被害しかない心当たり。

 

 イヤイヤイヤイヤ。

 

 そ、そんな訳ないよな!? あれ昨日の夕方位だったし、目撃者も少なかった筈1日で広まるなんて……

 

 焦りの冷や汗が額を通りすぎる。

 もう一回、それを踏まえて目の前の人物を見てみよう。

 

 騎士っぽい。

 真面目そう。

 融通が利かなそう。

 かわいい。

 なんかプルプルしてる……お怒りかな? 

 エロい。

 

「────ッ!」

 

 また凄い身悶えしている……

 

 これ絶対あれじゃん。俺を捕まえに来た騎士様でしょ。公共の場でそのロリっこをぬるぬるプレイにした罪で俺を捕まえに来たんだろ。

 

 なんか期待って言葉に違和感があるがそう考えると辻褄が合う。

 こんな強そうな女性が俺を探しに来る理由なんてそんなことでしかありえない! 

 なんか自分で考えて泣けてきた……

 

 取り敢えず弁明を───っ!? 

 

 目の前の騎士様(暫定)は大きく机を叩いて身を乗り出した。

 ビックリした俺は呼吸が止まってしまい声が出なくて……

 

「お待たせー! ごめんね、待ったで──」

 

「この私の身体を嘗め回すような視線、見られるだけでこれほどの快感を! くぅぅ! 流石は幼げな少女を公開ヌルヌルプレイの餌食にしたという男だっ!」

 

「──しょ…………」

 

 俺の右には今来たばかりと思われるクリス。

 目の前には目をキラキラと輝かせ、何か艶っぽく身体をくねくねさせた金髪女性。

 俺とクリスはお互いに顔を見合わせて固まっている。

 お互いに何を言ったら良いか分からないのでフリーズしている。

 

「唐揚げとハンバーグ定食お待たせしましたー」

 

「わーい! カズマも早く食べましょう! 冷めてしまいま……何ですかこの空気? というかその人誰です?」

 

 その硬直状態は空気を読まない無敵の従業員さんが料理を運んでくるまで続いた。

 

 

 2、金髪残念美女に面接を! 

 

「成る程、最近クリスが何かと忙しそうにしているのはこの男と一緒に居たからなのか」

 

「言い方!? 他にも色々あったから! あの悪魔を倒すために使ったじん……魔道具の補充とかね」

 

 一触即発かと思われた空気はたまたまクリスとこの騎士っぽい金髪美女ことダクネスが親しい友人であったこと、そして当事者であるめぐみんが「確かにヌルヌルにはされましたが、それはモンスターにですし彼には何もされてませんよ?」と発言してくれたからである。

 そうして絶対零度の視線を受けず、またあの気まずい空気にならずに済んだことにわずかに感謝の念を捧げていると、めぐみんはハンバーグを少し持っていき「お助け料です」とほざいていた。

 

 よくよく考えなくても原因はお前何だけどな? 

 

 そんな俺の批難の視線をものともせず完食しきっためぐみん(欠食児童)はお腹いっぱいで少し眠たいのかうとうとしてきている。

 

 いや起きろ、この集まりはお前が本当にパーティーに入るかどうか決めるためのものだろう。

 なんで既に私はパーティーです! みたいな顔して居座ってるんだ。

 

 色々と言いたい言葉を飲み込んで俺は笑顔に顔を固定してダクネスへと顔を向ける。

 

「そ、それで俺に用件とは? まさか本当に俺を変態呼ばわりしに来ただけじゃないよな? そうだよなっ!?」

 

 俺としてはもう必死である。

 クリスには悪いが、どうにかしてこのダクネスを返してめぐみんの話に戻したい。

 この二人の仲の良さの感じだとコンビでクエストに行くのは結構な頻度であるっぽいし、その場合残された俺とこの一発屋(めぐみん)の二人でクエストに潜ることになる。

 端的に死ぬ。

 

 だからこそさっさっとダクネスの用件を終わらせたいのだが……様子がおかしいぞ? 

 

「そうだな……そうだった。では早速用件を済ませるとしよう」

 

 急に俺に対しても真面目モードになるなよびっくりするだろ。

 

「最初は様子見だけのつもりだったんだ、そこのアークウィザードが本当にヌルヌルプレイをされたのか、事実を確かめたくてな」

 

「そんな事実を確かめようとするな」

 

「だが、今先程のやり取りで確信した。ここには私の求めるものがある! クリスもこの男と組もうと思ってるのなら更に好都合だ!」

 

 ん……? この流れはまさか……

 

「どうかこの私をパーティーに入れて貰えないか?」

 

 やっぱりな! そんなことだろうと思った! 

 いや別に構わないんだけど! クリスの友達なら構わないんだけど! 

 その前にめぐみんの件を片付けさせて!? 

 

「あー、その事なんだが……」

 

 チラリとクリスを見る。

 だが目線を会わせるだけで何も返してくれない。どうやら俺が決めろということらしい。

 そのままめぐみんの方へ駆け寄ってしまった。

 

 このテーブルには俺とダクネスしかいない。

 

 ちょっと緊張してきたな。

 

「えーっと、ダクネスさんは何が出来ますか?」

 

 なんで敬語? 

 俺が一番思ってる。そのせいでバイトの面接ぽくなってしまった。

 

「私はクルセイダーを生業としていて、皆の盾になることが仕事だ。あらゆる驚異から騎士として皆を庇い、護り、常に前線にその身を置く。パーティーの肉壁だと、んんっ! 思ってくれ!」

 

 最後なー、最後肉壁とか言わなかったらかっこ良かったんだけどなー。

 クルセイダーか……ゲームとかだと盾役だったりするしこっちでもそうなのだろう。

 つまりふざけて言ってるのもあるだろうが……マジで盾役としては優秀な可能性がある。

 多分上級職だろうし。

 

 まぁ、一先ずは用意していた言葉を放つ。

 

「成る程、素晴らしいですね。まずは仮採用としてあなたと私達の適性を確かめたいと思いますがよろしいでしょうか」

 

「これは……褒めながらもやんわりと断る口実を探している時に使われる文言……っ! ただ罵られるよりも心に来るものがあるなぁ!」

 

 ……ここで言葉とは裏腹に体は喜んでるぞこの変態めとか言ったらどうなるのだろうか。

 

 落ち着け、まだ決まった訳じゃない。

 そういう喋り方なだけかもしれない。

 

 取り敢えず仮採用として様子を見よう。

 

 と、最後に一つ。

 

「ダクネス、エリス様の化身みたいな人の情報知らない?」

 

「なんだそれは? そんな人が居る筈もないが居たら聖女として祭り上げられてるだろう。もしくは神を名乗る不届きものとして罰を受けるか、だな」

 

「あー、そうか。そうなるよな……」

 

「?」

 

「大丈夫だ、もうほんとに終わりだぞ」

 

 次はめぐみんだ! どうなってる!? 

 

「爆裂魔法かぁ、それだけを極める為に他の魔法も何もかも一切取らないなんて凄いね」

 

「ふっふっふっ……我が究極魔法は最強にて至高! これしかないのではなくこれだけで良いという最高の魔法なのです! いつかはこの魔法の前では悪魔も魔王も塵芥に等しく灰塵と成すでしょう!」

 

「応援してるよ! ついでにアンデッドもお願いします!」

 

 なんかすんごい意気投合としてる……

 話を聞いてる限りめぐみんの一発限りの超々ロマン砲にクリスが意気投合しているようだ。

 

「クリス! 私もパーティーメンバーに入れて貰えたぞ!」

 

「ウソ!? ()()()()が半分以上漏れ出てたから流石にダメかと思ったのに!?」

 

「クリス!?」

 

 女三人寄れば(かしま)しいとは良く言ったもので、いつの間に頼んだのかシュワシュワとつまみが用意されており目の前では歓迎会というなの女子会が開かれていた。

 

 めぐみんの件も元々クリスが良いのならという理由で保留していた。他にも断りたい理由はあったが一番の問題はそこだったからだ。

 だがこの様子では問題ないように見える。オンゲ(オンラインゲーム)でも固定パーティー組むときはその人の相性を重視していたしな。

 いくら時間があって腕があってもマジ喧嘩ばかりしていたら意味がない。寧ろマイナスだ。

 

「今の内にビルドでも考えとくか」

 

 冒険者カードを取り出してスキルの欄を見る。

 カエルを合計四頭倒したことでレベルは4にまで上がっていた。

 スキルポイントは3だ。

 

「魔法は使ってみたいよなぁ、弱くても良いから。となると初級魔法になるんだが……片手剣も捨てがたい。組み合わせを考えるのなら……」

 

 決まらねぇ……というかスキルポイントが少なすぎる。

 たった3ポイントでどうすりゃいいんだ。

 

「カズマは何のスキルを取るのですか?」

 

 悩んでいるとめぐみんが後ろから覗き込んでいた。

 手には何やらジュースのようなものを持っている。

 

「それお酒じゃないよな?」

 

「違いますよ、頼もうと思ったらあの二人に止められました」

 

 頼もうとしたのか……

 

「それで、カズマは何のスキルを取るんですか? やはり爆裂魔法……」

 

「取らないし取れねぇだろ。絶対に3ポイントじゃ足りんわ」

 

「取れないはともかく取らないはどう言うことですか!?」

 

「魔力のくっそ高いお前ですら一発撃ったら生命力持ってかれるのに、魔力が低い俺が唱えられると思うか?」

 

「不発しそうですね、干し物になります」

 

 干し物は余計じゃい。

 

「カズマ」

 

「なんだよ?」

 

「私ここにいて良いんでしょうか?」

 

「急にどうした」

 

 思わず振り向く。めぐみんは言いづらいのか帽子のつばを弄りながら言葉を繋げた。

 

「私は昨日無理矢理カズマに今日会う約束を取り付けただけで、ちゃんとパーティーに入るかどうかは話し合う予定だったじゃないですか。先程のダクネスはちゃんと面接をしていたみたいですし」

 

「問題ないだろ」

 

「へ?」

 

「面接だーって言うならさっきクリスと仲良くしてただろ? あれが面接だ。昨日なし崩しとはいえクリスがオーケー出したなら問題ないって言質取られてたからな。後でちゃんと話しとくがあの感じだと断りはしないだろ」

 

 何かあった時、詰み防止になる爆裂魔法とかいう戦術兵器持ちは居ても良いだろう。

 他にも役割を探して貰うことになるかもだが、それは追々で。

 

「そう、ですか……」

 

「あっ、どうしても気になるって言うなら中級魔法でも」

 

「それは無理です」

 

 ひどく安心したような表情を見せるめぐみんはそのまま宴会の席へ戻っていった。

 傍若無人な奴かと思ったら結構回りを気にする奴だったんだな。

 爆裂魔法に関してはどうしようもないけど。

 

 さて、続きだ。

 

「んー、やっぱ毒スキルとかいうのが一番将来性ありそうだな」

 

「あー、毒スキルは効かない相手が多いから微妙だと思うよ?」

 

「そうなのか……ってクリス、ちょっと相談良いか?」

 

 入れ替わりでクリスが来たのでクリスにもスキルの相談をしておこう。

 

「毒スキルが駄目なら……何かおすすめのスキルとかないか? 安くて、便利な奴」

 

「あるよ」

 

「やっぱ無いよなぁ……あるの!?」

 

 流石クリス大明神様!

 

「教えてあげたいけど……何か喉が乾いたなー何か飲み物があればなー」

 

 くっ、これはいつもの奴か! ていうかクリスさんあなた左手に持ってるのジョッキですよね? 

 それ三杯目ですよね?? 

 

 チラチラとこちらを見てくるクリス。

 わかったわかった! ええい、ままよ! 

 

「すみませーん! こっちにキンキンに冷えたの一つ!」

 

 唐揚げを口に放り込みながら新しく来たキンキンのシュワシュワを飲み込んだクリスは、広いところに出ようと外に出ることになった。

 残る二人にその趣旨を伝えて俺達はギルドの裏手に歩いていった。

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