リコリス・ディフェンダー ~リコリスを守る者~   作:RA-MSR

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HEMSとは
Home Energy Management Service の頭文字をとったもの。 「家庭内で電気を使用している機器について、一定期間の使用量や稼働状況を把握し、電力使用の最適化を図るための仕組み」のことである。なお、蓄電池1台当たり数百万円する。


人工心臓の行方

「なに?!千束の心臓に細工された?!たきな!貴様が居てなぜそうなった!」

「すみません」

しんみりと謝るたきな

「…すまない、私も動揺していた。詳しくは、Dr山岸に聞く」

 

DAと関わりがあると思われていた診療所で、Dr山岸と正対しながら聞く。

後ろには、千束の人工心臓について調べた技術者や医師も同伴で

「詳しく聞かせてください。千束の心臓にどのような細工をされたんですか?」

「まずは、千束ことを話さないとね。彼女は、元々先天性心疾患だったの。その後、ある機関から、人工心臓を移植された」

それは、数か月前の精密検査で明らかになっていたが

「原子力人工心臓ですか?」

「いいや、普通の人工心臓、違うわね。磁気浮上型チタン製人工心臓。それ以外は、完全な全置換式。1回の充電で、2か月は持つ代物よ。今の技術では到底、作ろうと思っても作れないわね」

後方で待機していた人工心臓の技術者が問いかける

「10年前の話ですよね?そのころにはすでに?」

「えぇ、磁気浮上型チタン製人工心臓自体は、10年前にはあったわ。研究段階だったけど。問題は、謎の電池。リチウムイオン電池でも、リチウムポリマー電池でもない。本当の謎の電池。1回の充電で2か月も持つ化け物電池。その電池を充電するための基板に高圧電流を流された。だから、アクセスができないの。人工心臓自体の基盤は内部にあるから、大丈夫だったけど。あれは、意図的のような気がするわ」

人工心臓の技術者は再度問いかける

「耐久性はどうなのですか?」

「持って、10年。既に耐久年数を迎えてるわ。千束自体そのことを理解している。あの子は、達観しすぎなのよ。人生長くないことを知っていて、その時間を何とか謳歌しようとしている」

「千束が残されている、時間は?」

「持って、2か月。ちょうど充電した後だったから」

あと2か月で、何とかしなければならない…てことか。

どう考えても、無理だな…

「なるほど、だから1か月に1回の検診だったわけですか。ビタミン剤と偽っていたものは…」

「免疫抑制剤、彼女には知らせてはいなかったけど、感づいていたでしょうね。ここには千束専属の薬剤チームが居るわ」

循環器外科の医師が問いかける

「別の人工心臓に変えることは?」

淡々と答えるDr山岸

「専門家であるあなたならわかるでしょうけど、できるわね。でも、リコリスとしての仕事は途絶えるわ。免疫力も低下する等あるかもしれないし、そもそも本人が希望しないと思うわ」

「アラン機関に、その人工心臓を作らせるしかないのか…」

「難しいわね。」

「その人物の名前は?」

「…吉松シンジ…」

「何だって!あいつが?」

一人の人口心臓に携わっていた科学者の一人が叫ぶ

「知ってるのか?」

「昔、その人に人口心臓についての問い合わせがあったんです。3年前の話です」

「それはいい…話を戻そう。なぜ充電回路だけを狙ったか」

一人の技術者が問いかけた

「人工心臓が動く為の電力は幾つですか」

「約5W程度かしら」

「ご、5Wですか!ありえない…」

「どういうことだ、解るように説明しろ」

「成人用の人工心臓で約10Wの電力を消費します。小児用で5W程度です。10年前ということは?」

「7歳頃だな」

「あり得ません。このX線で見ても、大きさ的なものは成人の物と同じ大きさです。それを小児に?それこそ、博打みたいなものだ。でも5Wで2か月ですか…とんでもない電池だな」

「どのぐらいすごいんだ?」

「最近家庭に備え付けられている、HEMSというものを知っていますか?あの蓄電池を胸に入れているようなものです」

「それは、感電するとどうなる?」

「死にます。普通に感電死しますね」

「吉松は、アラン機関だ。本人の前で何かをすることは許されていない。ということは」

「あえて、充電させないようにすることで、蓄電池を放電させ心臓を止める手前で入れ替える予定だった?」

「あくまでも、憶測だな。でも、ありえない話ではない。でも本人は…」

「あの子のことだから、もう、十分生きたと思ってるんじゃないかしら」

「まだ、まだ、時間はあるはず…姉を、助けるための手段が」

 

Dr山岸の話を聞いた後、喫茶リコリコに行ったが、千束もたきなも不在であった。

「姉たちはどうした?」

「たきなとデート」

クルミがぼそりと、答える

「何かあったのか?」

「たきながDA復帰」

「なるほど、念願が叶ったわけか」

「明後日、真島を討伐する作戦をするらしい。査子は出ないのか?」

「ふむ…、出る予定はないな…いや、外から援護はしてやるか」

真島の出方が気になるしな…

千束…お前さんは、生きたいのか?それとも…もう…




皆さんおはこんばんわ。
人工心臓についてのお話がついに出ましたねぇ~
予想通り、一般的な人工心臓の寿命は10年、千束の人工心臓は
とうに耐久年数を超えていたということになります。
そこで、追い打ちに充電機能だけを破壊。
さて、千束はどういう未来を選ぶのか…

次回は、千束・査子とのお出かけを書こうかなと思っています。
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