転生したけど祖父が怪奇現象起こしてる   作:ちゃっぱ

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第十一話 暗躍(表)

 

 

 

 あれから半年が経過した。

 怪我は不運の事故として処理されたらしく、両親が「この度はうちの娘が迷惑を」とかいろいろ言ってリクオの両親に頭を下げており、彼らもまた「いえ、うちで預かってたというのに怪我を負わせてしまったこちらが悪い」とはっきり言い、治療費含めて面倒を見ますと告げてきた。

 

 正直に言えば奴良組にいた方がいいかもしれないと思うけど、両親はこれ以上迷惑はかけられないと一度家に帰ることになった。怪我は治療した鴆さんの腕が良かったおかげか傷跡は残らないそう。

 

 ────でも、私の怪我はともかく鯉伴さんの状態は悪いらしい。出入りとか組同士での喧嘩とかまあいろいろやっていたらしいが、そのたびに怪我を負い、体調が悪いことを隠しているようだがこの俺が気づいてしまうぐらいには酷い状況ということ。腕を動かせないのだろうか。俺と同じ怪我を負ったはず。ジジイに鯉伴さんの怪我の状態が悪いことを告げると首を傾けながら『おかしいのう? ワシらと鯉伴の二人分の身体でうまく傷を分け合っておいたはずなんじゃが』と訝し気に言い、しばらく考え事をしていた。

 

 ……何か理由があるのかもしれない。

 上手くやったとジジイは言っていたけれど、やっぱり失敗していたかもしれないし。

 

 鯉伴さんの状態を見て奴良組内部はどう思うのか。本家住まいではない外部の傘下達は鯉伴さんに対し失望して離れていくかもしれない。

 

 これから先でリクオが覚醒するかもしれない。

 でもその間に鯉伴さんの怪我を放置していいのか。右腕が全く動かさず使えない状態で大丈夫なのだろうか。

 

 もしもこの先原作通りにいかなかったとして────鯉伴さんの身に、何かあったとしたら。リクオが悲しむようなことがあったなら。

 いつものように奴良家に泊まりにいって、リクオと遊んだあと烏天狗に力の使い方を学ぶ。まあ学ぶと言っても俺が人間として生きたいならそのための制御方法を会得しろという程度でお遊びみたいなもんかな。

 

 俺の身体は今どうなっているのか分かってないし。異物混入? つまり鯉伴さんの中に入ることが出来てその怪我の負担を二つに分けることができるとジジイが言ってくれたんだけど、まだまだその力の会得は難しい。

 とりあえず妖怪の中に自分の魂を入れる感じを作り出すために壊してもいいような人形を使って入ろうとする修行を行っている。何とか感覚はつかめたので後は生きている妖怪に使ってみようと思う。

 

 でもなぁ。この身体がまだ幼女なせいだろうか、夜中は疲れて寝ちゃうからなぁ。

 あと抜け出すにしても今は難しいというか、一時期は夜に抜け出して町を探索とかやってたけど、今は昼間に部屋の中で修業をしていた方が両親が怪しまないというか。

 だから奴良組にお邪魔しているときは堂々と修行できるのが良いと思う。リクオが乱入してくることもあるけど、「えっ、カナちゃん妖怪の力に目覚めたの!? いいなぁー!!」と羨ましがられていつかは自分も出来るようになるんだと叫んでいたことだけは微笑ましかったな。そのまま遊んじゃうけどリクオが可愛いからしょうがない。

 

 とにかく俺はこの『異物混入』という名の、妖怪の中に入って怪我の負担を軽くさせるための方法を身に着ける必要があった。

 そうすればいつかきっとリクオのために使えると思ったから。もしかしたら鯉伴さんの役にも立てるかもしれない。あの動かせない右腕の怪我の負担を、もっと軽くできるかも。

 

 そう思って必死に頑張った修行は失敗してばかり。

 それでも頑張ってきたおかげだろうか。いや、師匠がよかったせいかもしれない。

 

 奴良組で忙しいだろうに。俺はある意味異物であるというのに鯉伴さんが「お前はもう奴良組傘下な」といった影響か、烏天狗は面倒見がよく俺の事をちゃんと見てくれる。修行でもアドバイスをいくつか入れてくれて、何とか自分の力になりそうな段階だった。

 

 

「あっ……」

 

 

 うすら寒いが、そろそろ温かくなるような季節。

 リクオと一緒に幼稚園に通うのも今日が最後だ。

 卒園して次から小学校へ入学する。

 

 

(あのお爺ちゃんと鯉伴さんの怒鳴り声が聞こえたのは、多分嘘じゃない……)

 

 

 聞いてしまったんだ。きっと今日総会があって、そこで鯉伴さんが何かを言ってぬらりひょんを怒らせた。

 怒鳴り声から察するに最悪なもの。いや原作修正されたために起きた出来事といえるのか。

 

 なんだか眠れなくなって目が覚めたので少しだけ奴良組の庭先を歩いていた時だった。

 まだ宴会でもやっているのか奴良家中心では騒ぎ声が聞こえる。でもここは部屋の隅っこ。リクオも寝ている場所はとても静かだった。

 

 星が綺麗な夜だった。

 桜が咲いている季節の夜。とても綺麗な桜の花びらが風に舞っている幻想的な風景が広がっていた。

 俺がいる場所は奴良組本家の縁側の曲がり角。その先にて鯉伴さんがお酒を飲んで桜を眺めている様子が見えた。

 

 

「鯉伴さん」

 

「ん? こんな夜更けにどうしたんだ。カナちゃん」

 

 

 小さく笑った鯉伴さんが俺を見た。

 まだ俺の身体が小さいせいで、鯉伴さんが座っていてもすっぽり覆い隠されそうなぐらい差があった。そんな彼の身体には怪我の痕。治療はされているけれど、その数がいつもより多いように見えた。

 

 

「鯉伴さん……ぬらりひょんのお爺ちゃんと喧嘩したって聞きました。総会で二代目を降りるって……」

 

「ああ、参ったな。聞いてたのか?」

 

「あの、私が今鯉伴さんの身体に入って怪我の負担を二人分にすればその腕の怪我も────」

 

「駄目だ」

 

「っ────!」

 

 

 俺の言葉に食い気味に否定した鯉伴さんは真剣な目で諭そうとする。

 肩を震わせた俺に彼はちょっとだけ怖かったかと聞いて、謝ってくれたけど。

 

 

「カナちゃんは人間として生きれるよう力の制御をすりゃあいい。お前さんは奴良組に入らせたがな、そいつはカナちゃんが力を学ぶまでの間ってだけの話だ。カナちゃんは俺らのことまで背負わなくてもいいんだぜ」

 

「……でも」

 

「カナちゃん。こうして俺が生きてられるのもカナちゃんのおかげなんだぜ? だから腕のことまで考えなくてもいい。こいつは必要なことだ」

 

「……必要なこと?」

 

「知りてえか?」

 

 

 ウィンクして意味深に言う鯉伴さん。

 でもその瞳の奥は俺を見定めたもの。踏み越えるかどうかは俺の発言次第。そんな風に見られていると感じた。俺が幼女だと知っているくせに子ども扱いせず、他の妖怪たちと同じように真っ直ぐ言ってくれるのは嬉しいけれど……。

 

 本能で理解してしまったのだ。

 これはきっと、知らない方がいいことだと。鯉伴さんが何を企んでいるのかは分からないけれど……。

 

 

「リクオが知った時に、俺にも教えてください」

 

「ハハッ、カナちゃんは本当にリクオのことが好きなんだなぁ」

 

「当たり前ですよ。弟分なんだから」

 

「そうかい」

 

 

 笑った鯉伴さんが俺から顔を逸らし、月夜を眺める。

 なんとなく彼の隣に座り、俺もまた月夜を見上げた。

 

 俺の知る心象風景とは違って満点の月夜とは言えないけれど、桜吹雪が綺麗な夜だなとは思えた。

 風が吹いて、桜が舞い。どこかで猫の鳴き声が聞こえる。

 遠くの方で妖怪たちのどんちゃん騒ぎも聞こえてきて────あんなに目覚めていたはずの意識が微睡んできた。

 

 俺の頭を鯉伴さんが手で添えて、彼の太ももに乗せるように移動させてきた。膝枕というべきだろうか。抱っこされた状態になったので膝枕じゃないか。

 

 

「……んっ」

 

「眠いんなら寝ちまえ。部屋まで送ってやるよ」

 

「いえ、そんな……ごめいわくは……」

 

 

 頑張って起きようとした意識は、ゆっくりと落ちて行った。

 

 

 

 

 




表ということは裏もあります。
それが終わったら原作入れそうです。

あとなんかいろいろ増えててびっくりしました!読んでくれてるって実感できたよ!皆さんありがとうございます!!
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