転生したけど祖父が怪奇現象起こしてる   作:ちゃっぱ

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第十二話 暗躍(裏)

 

 

 

 

「なんじゃ。寝ちまったか」

 

「親父」

 

 

 縁側にて鯉伴が眠ってしまったカナを抱きしめ座り込んだ先。起きていればカナでも気づいたであろう存在感を放ちながら来たのは気難しい顔をしたぬらりひょんだった。

 

 

「鯉伴。あんな面倒くせえ茶番なんぞせんでもよかったじゃろうに」

 

「まだやるかい?」

 

「カナが目覚めちまうじゃろ。無意識にでもリクオが庇護下におこうと決めた娘じゃ。何かあれば孫がうるさいのが目に見えとる」

 

「だろうな」

 

 

 ぬらりひょんが不機嫌なのには訳があった。

 以前から話は通されていたことだが、その時もぬらりひょんは良い顔はしなかった。当然ながら総会でも同じように言い、演技も含まれるとはいえ半分本気の言い合いになってしまったのだ。

 

 それが、総会にて起きた騒動についてだった。

 

 あの事件の後、出入りで怪我をしていたからという理由で、このままじゃ奴良組を背負い続けるのも皆が不安になるときもあるだろうという理由と、怪我を治しきれなかったこと。それらを全員に明かした。

 

 そうして────鯉伴は奴良組二代目を降りると表明を出した。

 

 三代目はもちろんリクオが継ぐが、まだ幼く総大将としての器は育ちきっていない。だから代理でぬらりひょんが継ぐことになった。

 それが表立った理由。裏はもちろん違う。それを知るのはぬらりひょんを含めた数名のみ。

 

 

「怪我なんざカナちゃんと同じで完治してるがな……嫌なもんが奴良組に入り込んじまってる可能性がある限り俺は表立って出る気はねえぜ。親父」

 

「ふん。そんな奴ら全員潰しちまえば良いじゃろうに」

 

「親父の時はそうかもしれねえがな……今はどうにも嫌な感じだ。奴らは奴良組本家の近くにまでやってきたというのに俺たちの異変に誰も気づきはしなかった。何処まで潜り込んでいるのか知るには表で動くのは惜しい」

 

「じゃからとジジイを巻き込むでないわ。全く」

 

「ははっ、悪い悪い。まあ親不孝なことになる前に助かってよかったじゃねえか。これから親孝行してやるぜ、親父殿?」

 

「ふん」

 

 

 羽衣狐があの場所にいた理由を知らなくてはならない。

 あの姿になった理由も、奴良組本家の近くで事を起こした意味も。

 

 幼い息子を巻き込むには少しばかり荷が重い。リクオを総大将として継ぐことになっても、奴らは鯉伴自身の手でどうにか始末を付けようと決めていた。それが腕に怪我を負わせた対価を支払わせる意味に繋がると。

 

 そのため表立って行動はしないということを鯉伴は決めた。だから二代目を降りることにしたのだ。

 

 怪我は治っているし腕も不自由なく使えるが、それは使えないと誤魔化した。

 首無……部下たちやカナには迷惑をかけたがいつか表舞台に立つ頃には教えるつもりだった。

 

 

 

「あれは俺の獲物だ」

 

 

 

 目を輝かせた鯉伴にぬらりひょんは小さく溜息を吐いた。しかし反対するつもりはないらしく、「好きにせい」といっていたが……。

 

 

「そういやぁカナちゃんが先祖返りしたきっかけの落とし穴の先────そこに祠があったぜ」

 

「祠だぁ?」

 

「ああ。親父はカナちゃんが先祖返りしたように思えねえって言ってただろ」

 

「当たり前じゃ。妖怪の先祖返りなんぞありえない話じゃからな。妖怪の血に覚醒するためには再び人外の血を取り込むか何かせにゃあならん。人間が何もせず妖怪の先祖返りするというのはな、人間が何も知らずにどこぞの妖怪が意図して人の魂を変異させ、起こすものなんじゃよ」

 

 

 ぬらりひょんは渋い顔をして鯉伴に抱きしめられたカナを見た。彼女はスピスピと穏やかな顔で眠っており、その中に潜む悪意は今のところないように見える。

 先祖がえりをしたとしても、カナの親、もしくはその曽祖父の代ぐらいだろうか。それぐらいの時に妖怪の血を取り入れなければ覚醒することはない。だからぬらりひょんはまだカナの事を少しだけ様子見していた。

 彼女自身はリクオを大切に思う可愛らしい娘。しかしそれが鯉伴の話していた羽衣狐の器となった少女のように、中身が何処か歪になっているのならと。

 

 

「祠があるといったな。アレに何か中身はあったか?」

 

「いんや、ちょいと調べてみた結果見つけたんだよ。まあ壊れてたし土に埋もれちまってて中身はなんもなかったぜ」

 

「ふむ……そうじゃな。祠か……」

 

「親父?」

 

 

 眉をひそめた鯉伴を見たぬらりひょんは、小さく口を開く。

 

 

「わしが奴良組を作るはるか昔。平安時代じゃったな。そのぐらいの頃に出来た祠かもしれん。いや、祠というよりは封印具じゃな。ここを本家と決めた少し後に話を聞いたことがある」

 

「へぇ。封印具ってのは物騒だな。……それがカナちゃんに悪さしてるかもしれねえと親父は言いてえんだな?」

 

「あくまで可能性の話じゃ。それにな、封印といっても変な物ではない。京の町を闇夜に叩き落した悪辣な陰陽師が、とある陰陽師によって退治され、悪辣な陰陽師が利用していたものをどこぞへ封印した。それがあの祠近く……という話じゃな。真実かどうかは今となっては分からぬが……」

 

「悪辣な陰陽師だァ?」

 

「鯉伴も知る大昔にて安倍晴明と同じ時代を生きた陰陽師────蘆屋道満じゃ」

 

 

 

 

 

 

 





次から原作入りますが怒涛の低評価にやる気失ったのでゆっくり書きますね。
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