ガルク=マグ修道院に併設されている士官学校。僕「ガージス=フォン=ギルザット」は今日からこの学校に入学する。
僕は、帝国の端のオックス領で生まれた平民だ。貴族では無いけれど、両親がオックス男爵に長く仕えた兵士だったらしく、入学の推薦を男爵がしてくれたらしい。そんなわけで、今年入学することになった。
たくさんの生徒が集まった入学式で学級の紹介がされる。
アドラステア帝国出身の生徒が集まる
「黒鷲の学級」
ファーガス神聖王国出身の生徒が集まる
「青獅子の学級」
レスター諸侯同盟出身の生徒が集まる
「金鹿の学級」
ハンネマンと名乗ったモノクルが特徴的な先生が説明している。
(モノクルといい髭といい個性強めな先生だな……)
内心そう思っていると、この後は、学級毎に分かれて式をおこうと説明された為、僕が入ることになる黒鷲の学級の場所に向かう。
「なあ! お前も黒鷲の学級の生徒なのか!?」
僕を呼んだ声に振り返ると声の主は青い髪の少年だった。
「ああ、そうだよ。君も同じかい?」
「おう!」
元気よく返事をした彼は続けて、
「俺は、カスパル=フォン=ベルグリーズってんだ! よろしくな!!」
「僕はガージス=フォン=ギルザット。よろしくね。……ん? ベルグリーズ?」
カスパルの家名に聞き覚えのあった僕は少し考えた後思いだす。
「……え!? ベルグリーズってあの軍務卿の!?」
「おお!! 俺の親父を知ってるのか!! まぁでも帝国出身なら知ってるかもな!」
僕の驚きに対してカスパルは嬉しそうな顔をした。
「いやぁ、まさか軍務卿の御子息とは……」
僕は敬語を使わなかったことを謝罪する。
「そんなかしこまらないでくれよ! ここでは同じ生徒ってだけだろ?」
カスパルの言葉を聞いて、僕は彼の人柄の良さを感じて微笑む。
「ありがとう。じゃあお言葉に甘えて……。改めてよろしくね。カスパル」
こうして僕達は握手を交わした。
それから教室に入るとそこにはもう殆ど集まっていた。そして僕達が最後の一人だと知り、席に着くように言われたため着席すると、担任の教師が入ってきた。
「諸君、私がこのクラスを担当することになった。よろしく頼むよ」
少なくとも入学式で説明していたハンネマンという先生ではないらしい。「では早速だが自己紹介をして貰う」
担任はそう言うと、教卓の上に紙を置いた。どうやら順に名前を言うようだ。まずは一人目の生徒が立ち上がる。
「エーデルガルト=フォン=フレスベルグです。帝国での立場は次期皇帝ではあるけれど、ここでは一生徒として皆と友好を深めたいと思っています。よろしく」
白髪の凛とした少女が挨拶をする。そのオーラに圧倒されていると、次の生徒が立ち上がって自己紹介する。
「ドロテア=アールノルトです。私はエーデルちゃんとは違って平民の出だけど、仲良くしてくれると嬉しいわ♪」
美しい女性だと思った。
続いて三人目が立ち上がり、
「リンハルト=フォン=ヘヴリング……。本を読むことが好きだけど……まぁよろしく……」
眠たげな青年だった。しかしどこか気品があるように見えるのは何故だろうか? 四人目はカスパルだ。
「カスパル=フォン=ベルグリーズ! 好きなものは鍛錬! これからよろしく!」
大声でそう言った後、カスパルは座った。五人目は女の子で、紫髪のちょっと臆病な印象を受ける子だ。
「え、え、え、えええっと! べ、ベルナデッタ=フォン=ヴァーリですぅ! よよよよろしくお願いしますぅぅ!」
慌てたように捲し立てると直ぐに着席してしまった。六人目は黒髪の怖そうな青年。
「くくくっ……、ヒューベルト=フォン=ベストラと申します……。以後お見知り置きを」
そう言って座り込むと、ニヤッと笑みを浮かべた。七番目は特徴的な化粧をした赤紫色の髪をした女の子。
「ペトラ=マクネアリー、です、ブリギット、きた、きました。おねがいしたい、します」
ブリギットといえばオックス領よりさらに西の先から海を渡っていく隣国だ。留学生ということか? 八番目はいわゆる面食いと言える顔立ちの青年。
「私は! フェルディナント=フォン=エーギルだ! この学校での学びを通し、帝国の未来を背負いたいと思っている! 皆! よろしく頼む!」
そんなフェルディナントの意思表明の後、ついに自分の出番が回ってくる。「ガージス=フォン=ギルザット。オックス領の出身です。黒鷲の学級の皆さん。どうかよろしくお願い致します」
簡単な自己紹介を終え、席に座る。隣のカスパルは満足そうな顔をしている。
その後も自己紹介は続き、全員が終わった頃カスパルが僕に声をかける。
「なかなかいい感じだったな! 俺達!」
僕は苦笑いをしながら答える。
「いや、カスパルが元気すぎるんだよ……」
「んなことねぇって! ……ん?」
そこでカスパルが何かに気付いたようで、前を見る。すると担任が黒板に何かを書き出す。それは今から級長を決めるという話題だった。「ふむ……。本来ならば学級代表となる者は多数決で決めねばならないのだが……。この学級には次期皇帝のエーデルガルトがいる。ここは代表として級長を引き受けてもらいたい」
担任はそう言いきる。エーデルガルトは静かに立ち上がった。
「わかりました。私で良ければ引き受けましょう」
こうして、必要事項を終えた後、僕達の学校生活が始まった。
教室を出て廊下に出ると、僕とカスパルは同時に息をつく。
「なんか……緊張するなぁ」
「まぁな! でも、なんとかなりそうだ!」
その後は楽観的なカスパルに少しの羨ましさを感じながら、この先の学級生活に期待と不安を抱いて、一日目を終えた。
本編は金鹿ルート以外、無双は青燐以外はクリアしてます。地名や領地の位置関係等は、調べて書いてはいますが矛盾があったら申し訳ありません。
基本は本編の物語をベースにしたいと思います。