ようこそ絶対選択肢に逆らえない教室へ   作:球磨川善吉

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まだ見ぬ地へ

 春の日差しに照らされて目を覚ます。が、あまりの眩しさに思わず目を背ける。なんか寝起きに日光浴びるとストレスたまるんだけど... 俺だけ? 

 昨日は疲れすぎてお風呂に入れなかった。そのせいでシャツが汗でベトベトする。気持ち悪い...とりあえず シャワーを浴びるか... 昨日の選択肢のおかげで全身がバキバキなので、お風呂に行くのにも一苦労だ。前世の俺なら確実にこれだけではすまなかっただろう。多分...

シャワーを浴びながら、色々なことに思いを巡らす。これからのクラスでの立ち位置、これからの地獄のスクールライフ、そして俺が手にした絶対選択肢という呪いについて。まじで俺やってけるかな?これだったら転生特典なしの方が良かったかもな。無念。

 

 お風呂から上がって朝食を食べて学校に行く。たったそれだけのことなのに、不安と興奮が脳を埋め尽くす。もうこれ以上、俺の心をボロボロにしないでくれと、祈りながら家を出る。頼むぞ... ホントに...

 

********************

 

 通学路には見知った顔が誰一人いなかった。教室には既に数人の生徒が登校していた。

 

「おはよう~」

 

 皆がこちらを一瞬見るが、その先のアクションは出てこない。悲しい... 仕方なく席に座り教室を見渡しても、皆、俺と目を合わせた瞬間にそっぽを向く。もう、ダメだ。お終いだ... しばらく現実逃避をしていると、徐々に人が集まってきていた。時計の針を見るとHRまであと10分。このまま誰とも喋らずHRを迎えるのか...

 

 

 

「おはよう」

 

 この声は... 綾小路か...? 

 

「ああ! おはよう!」

 

「綾小路はぐっすり寝れたか?」

「ああ。まあまあだな。春秋冬はどうだ?」

「ちょt...」

 

 ピロン!

 

 

【俺の辞書に寝るという言葉はない】

 

【『寝た』っていうのはどっちの意味で?】

 

 上はボケで下は下ネタか... ここは上でいいだろ!

 

 

「俺の辞書に寝るという言葉はない」

「? お前が持ってる辞書にはないのか?そんな辞書も世界にはあるのか...」

 

「いやいや、冗談に決まってるだろ!」

「そんなものなのか?」

「そんなものだ」

 

 

 

「あら? 綾小路君にも友達が出来たのね?」

 

 綾小路の隣にいる黒髪美女が話しかけてきた。といっても綾小路にだがな。綾小路... 信じてたのに。

 

「まあな」

「事なかれ主義じゃなかったのかしら?」

 

「事なかれ主義とボッチは違うだろ」

「初めての友達がこんな変人だなんて、さすがに同情するわ。昨日は逆立ちで徘徊してたし」

 

「そうなのか? 春秋冬?」

 

 ピロン!

 

【いったい俺を誰だと思ってるんだ?】

 

【どうやら俺だけ重力に逆らっていたらしい】

 

 日常会話もままならないのか...(呆れ) 普通に筋トレしてたでいいじゃん! いや、普通ではないか。下は中二病みたいで気持ち悪い。

ウッ... アタマイタイ。

 

「いったい俺を誰だと思ってるんだ?」

「そうだよな。いくら何でも逆立ちで歩くことはしないよな。すまん。少しでも疑った俺が悪かった。」

 

「哀れね」

 

 綾小路... 騙してごめんな。世の中には知らない方がいいこともあるんだぞ...

 

「そういえば、君の名前はなんて言うの?」

「拒否してもいいかしら?」

 

 えぇ~。何で?

 

「私自身、人付き合いをすることにあまりメリットを感じないの。程度の低い人と話しても私のレベルが下がるだけだもの」

 

 さりげなくディスられてね? 俺何かやらかしったけ?(すっとぼけ)きっと今までも人との温もりを知らずに育ってきたんだろう。可哀想に...

 

 ピロン!

 

【『相変わらず孤高と孤独を履き違えているようだな、鈴音(すずね)』】

 

 

【『堀北って友達出来たことないでしょw』】

 

 

 いやいや、鈴音と堀北って誰だよ! もしかしてこいつの名前か? さすがに違うか。そもそも俺知らないのに絶対選択肢が知ってる訳ないもんな。上は、アドバイスなのか? かなり上から目線だが。下は...ほとんど初対面の相手にいうには失礼すぎるよな。よし! 上だ!

 

 

「相変わらず孤高と孤独を履き違えているようだな、鈴音(すずね)

「は? ちょっと綾小路君! もしかして私の名前を許可なく、彼に教えたりしてないでしょうね?」

 

「俺は何も言ってないぞ」

 

 ファ!? まじで名前だったの? 凄いな。俺が知らないことも知ってるから、うっかり地雷を踏んじゃうこともあるわけか。怖。てかこれ、どうやって誤魔化せばいいんだ? さっきの反応を見るに綾小路を除いてほとんどのやつと名前を教えるどころか、関わってないってことだよな。やばい。これじゃ、ただのストーカーじゃん。詰んだか?

 

ピロン!

 

【『おい! 綾小路! 冗談は寄せよ!』】

 

 

【『いったい俺を誰だと思ってるんだ?』】

 

 一瞬でも期待した俺が馬鹿だった。上は綾小路が可哀そうだよな。ここで初めて出来た友達だ。犠牲にはしたくない。しょうがねえ。腹括るか!

 

 

「いったい俺を誰だと思ってるんだ?」

「誤魔化さないで本当の事を言いなさい。刺すわよ?」

 

 そう言って筆箱の中からコンパスを取り出す堀北。まじで怖い。さすがに脅しだけだよな? 実行しないよな。

くそ。手詰まりか! いいや、考えろ。周りをよく見渡して逆転の目を探すんだ。

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 あ! この手があったか!

 

「実は、君の教科書に名前が書いてあったのを見ただけだ。名前を聞いたのは読み方が不安でな... 気を悪くしたのならすまない」

 

 咄嗟に言ったけど、今俺の視点から見ても名前に関しては鈴の字しか見えねえぞ... ミスった。

 

「本当にそうかしら? 貴方からかなり見えにくい位置に名前があるのだけれど」

「昔から、目だけは良かったからな」

「・・・まあ、いいわ。堀北鈴音(すずね)よ。3年間、関わらないと思うけれど」

「よろしくな。堀北」

 

 

 

 

「お前ら、席に着け。これからホームルームを始める」

 

 担任の茶柱が来たので話をやめて前を向く。何とか危機は去ったな。てか名字もあってたのか... 真後ろからすごい視線を感じるが気のせいだろう。うん。きっと会話に入れなくて寂しかっただろう。

 

 

*******************************

 

 初日ということもあってか、授業の内容は先生の自己紹介や授業の進め方が大半を占めた。

 昨日は素通りしてたけど、この学校は就職率・進学率100%の学校らしい... なんか嘘くさいよなぁ... 世の中に絶対という言葉は絶対ない(矛盾)かなりの進学校だから、堅物の教師が多いと思ってたけど、案外フレンドリーな先生が多かった。素直に嬉しい。そんなこんなで今は昼休みだ。正直言って、昼飯のことをすっかり忘れてた。今日は食堂で済ませたいけど、これからは費用が嵩みそうだから自炊の方がいいかもな。ちなみに俺の数少ない前世の記憶に自炊に関しての知識は一ミリもない。練習しないとな...

 

「なあ、綾小路。一緒に食堂行かないか?」

「ああ! 是非そうさせてもらおう」

 

 なんか、綾小路がドヤ顔で堀北を見ていた。そんな顔もできたのか... ちょうどその時、放送のアナウンスが聞こえた。

 

 ピンポンパンポーン

 

『本日午後5時より第一体育館にて部活動説明会を行います。一年生の皆さんは...』

 

「綾小路は行くか?」

「俺は部活動に興味ないからなぁ」

「じゃあ、俺もいいや」

 

 

 

 

*******************************

 

 

 

「結構広いな」

「ああ。それにしても人多いなぁ」

 

 授業が終わったのと同時に直ぐ食堂に来たんだが、食券の券売機には長者の列ができている。皆、お腹すいてたんだな。

 

「それにしても...ここにもあるのか...」

「? 何があるんだ?」

「監視カメラだよ。綾小路」

「監視カメラ...? ... 確かに天井に沢山あるな」

 

 昨日俺が敷地を探索してる時にもあったんだよなあ... てか、何で食堂にカメラがあるんだ? 盗みとかそうそう起きる場所でもあるまいし... 謎だな。今日監視カメラがある場所を手当たり次第調べてみるか。

 列を見ると俺たちの番は当分来なそうだな。何話そうかな...

 

 ピロン!

 

【『綾小路は白ギャルと黒ギャルだったら、どっちが好きなんだ?』】

 

【『綾小路は白色と黒色だったら、どっちが好きだ?』】

 

 う~ん。正直言ってどっちでもいいけど、だからこそ不安なんだよな。実は、どっちかが地雷だったりするかもしれないしな...まあ、綾小路性欲なさそうだし、女の話だと盛り上がらなそうだから無難な下でいいや。

 

 「綾小路は白色と黒色だったら、どっちが好きだ?」

 

 一瞬だが綾小路の動きが止まる。なんか不味かったか?

 

 「突然だな... う~ん...俺は黒色だな」

 「何で?」

 

「... 何か... 白って無機質で退屈な色じゃないか? それに比べて黒は上品でかっこいいっていうか...」

「なるほど...」

 

なんか面白い理由だな。白が退屈な色か... そういえば、俺が転生するときの場所も白い無機質な空間だったな。今頃女神は何してんだろうなぁ...

 

「春秋冬はどうなんだ?」

 

ピロン!

 

【『俺は...白が好きかな』 白の魅力について語る】

 

 

【『俺は...黒が好きかな』 黒の魅力について語る】

 

 

 何気に言葉と動作がセットで来たのは初めてかもしれないな。 正直白でも黒でも変わらんと思うけど。転生した場所が真っ白だったし、白でいいか。

 

「俺は...白が好きかな」

「何でだ?」

「綾小路... 白って200色あんねん」

「は?」

 

***********************

 

 白についての魅力もとい雑学を披露してる間に俺たちの番が来た。俺が発した言葉の中に身に覚えのない知識が織り込まれてるのが少し怖かった。一体誰の知識なんだよ...? 綾小路は終始真剣な表情で聞いていたがもっとラフでいいと思うぞ。

 

「春秋冬は何食べるんだ?」

 

 

 ピロン!

 

【『スペシャル定食、食おうぜ! もちろん俺の奢りな!』】

 

 

【『山菜定食、食おうぜ! もちろん俺の奢りな!』】

 

 スペシャル定食... 絶対高いじゃん。値段は...3000円。二人で6000円か。山菜定食は...0円!? 無料で食えるものもあるのか?

これは毎月10万もらえるとは思わない方がよさそうだな。確か茶柱先生も毎月入るポイントは明言してなかったはず...もしかしたら0円なんてことも...  極力無駄遣いは避けたいから、ここは下だ!

 

 

「山菜定食、食おうぜ! もちろん俺の奢りな!」

「奢ってくれるのか? 春秋冬は優しいな...って無料の奴じゃん」

 

「学食で無料で食えるのって珍しくないか? ちょっと気になってな」

「分かった。俺もそれを頼もう」

 

 

******************************

 

待つこと10分。無料の山菜定食が俺たちの前に並んだ。結構普通だな。味噌汁もついてるし。早速食べるか。

 

 モグモグ... モグモグ...

 

「なんか可もなく不可もなくって感じだな。綾小路はどうだ?」

「俺も同じような感想だ。進んで食べようとは思わないが、食べられないという訳じゃないしな」

 

 お互い黙々と山菜定食を食べ続ける。

 

「「ご馳走様でした」」

 

「よし! 教室に戻るか」

「そうだな」

 

「これから山菜定食にお世話になるかもしれないから覚悟しとけよ!」

「?」

 

**************************

 

 教室に戻り他愛もない話をして、昼休みを消化した。午後の授業も午前の授業と同じ、ガイダンス的なものだった。授業が終わり、綾小路と帰ろうと思っていたが、櫛田と話していたので一人悲しく帰路につく。綾小路... 信じてたのに... 自分の部屋に入り、ベッドにダイブする。ああ~。この瞬間の為に生きてるって感じがする~。

 

 ピロン!

 

 おい。人が気持ちよく寛いでるのに...

 

【腕力こそ正義。校内を逆立ちで探索する】

 

【情報こそ正義。校内の監視カメラの位置を探索する】

 

 は? また学校に行くの? メンドクサイナア。まあ、上はまともじゃないけど下は後々重要になってきそうだから行くか。

 

 

≪校内の監視カメラの位置を探索する≫

 

 取り敢えず地図に書き留められれば、いいんだけど... この学校の地図ってどこにあるんだ? そういやppで買えないものはないんだっけか... 茶柱先生に買えないか相談するか。早速シャーペンとボードを持って行くか。

 

 

*******************************

 

 学校に10分ほどかけて行き、迷いながらも職員室につく

 

 コンコン

 

「失礼します。一年D組の春秋冬風です。茶柱先生に用事があってきました」

 

 茶柱先生のところまで急ぎ足で行く。やっぱり職員室は居心地が悪い

 

「どうした? 春秋冬」

「先生は昨日の説明で、ppで買えないものはないと言いましたよね?」

 

「... そうだが」

「俺にこの学校の地図を売ってください」

 

「... 分かった少し待ってろ。1000ppだがいいか?」

「分かりました」

 

 それから30秒もしないうちに茶柱が地図を持ってくる。

 

「端末を出せ」

「どうぞ」

 

「無事取引は成立したが、何のために使うんだ?」

「この学校は至る所に監視カメラがありますよね? ちょっと心配症なので場所をメモしようかなって」

 

「入学2日目にそれに気づく生徒は珍しくないが図を買い、場所をメモする生徒は初めてだな。よし、行って良いぞ」

「では、失礼します」

 

 初めてか... やっぱ普通に歩いてると監視カメラって気づかないよな。 さっさとメモして帰るか。

 

**********************************

 

 廊下にあるすべての監視カメラの記入を終え、部屋に戻る。疲れた~。

 

 ピロン!

 

【日々鍛錬あるのみ。逆立ちで敷地を徘徊する】

 

 

【日々鍛錬あるのみ。裸足で校内を疾走する】

 

 畜生... 俺は鍛錬から逃れられないのか... いや放課後だとしてもさすがに校内を走り回るのはダメじゃないか? 今の時刻は4時半。部活動説明会の関係で残っている生徒も多いかもしれない。ここは上だ。

 

***********************************

 入学してから3日目。昨日は1時間ほど徘徊した後、風呂に入って速攻寝た。逆立ち歩きとか、マジデアタマオカシイ。

教室に着いてから、綾小路と雑談してHRを迎える。特に連絡事項はないようで速攻終わった。てか、監視カメラって他の教室にもあるのか? 昨日は廊下しか見てなかったから、分からないな。あとで行ってみるか。

 

 ピロン!

 

【思い立ったが吉日。全ての3年生の教室を訪ねる】

 

【思い立ったが吉日。全ての2年生の教室を訪ねる】

 

【思い立ったが吉日。全ての1年生の教室を訪ねる】

 

 いや、今じゃねえよ。う~ん。一年生だと噂とか広まりそうだし、3年生でいいか...? やばい。どこも行きたくない。

 

 

 ≪思い立ったが吉日。3年生の教室を訪ねる≫

 昨日の地図を確認したところ3年生の教室は3階にあった。緊張する。

 

 ピロン!

 

【お楽しみは最初にする。3年Aクラスに突撃!】

 

【お楽しみは最後にする。3年Ⅾクラスに突撃!】

 

 ファ!? 突撃って、教室に入るの? いやいや廊下から確認するだけでもいいでしょ。お楽しみかぁ。最後にとっとくか。

 

≪お楽しみは最後にする。3年Ⅾクラスに突撃!≫

 

 コンコン

 

 ピロン!

 

【『一年Eクラスの春秋冬風です。監視カメラの有無を確認しに来ました』】

 

 

【『一年Dクラスの綾小路清隆です。監視カメラの有無を確認しに来ました』】

 

 

 ナニコレ?(半ギレ) どっちも嘘じゃねえか。普通に断りを入れれないのか... 下は綾小路を売ることになるから上でいいや(呆れ)

 

 

「一年Eクラスの春秋冬風です。監視カメラの有無を確認しに来ました」

 

 一斉に3年Dクラスの生徒が俺に目線を集める。って。もしかしてHR中? 不味い!

 

「失礼しました」

 

 

なんでまだHRしてんだよ... (八つ当たり) おかげで変な目で見られたじゃん... 監視カメラは俺の教室と全く同じ場所にあった。やっぱりどこのクラスにもあると考えるべきだな。まあ、もうすぐで分かるんだけどな。

体が勝手に3年Cクラスの方向へ... 監視カメラで何かを測ってるっぽいな。多分授業態度とかそんなのだと思うけど... やっぱり監視カメラに映る範囲で変なことをしたら何かマイナスされるのか?そうこうしている内に体は勝手に3年Cクラスの方へ向かっていく。

 

 コンコン

 

 ピロン!

 

【『一年Cクラスの春秋冬風です。監視カメラの有無を確認しに来ました』】

 

【『一年Dクラスの平田洋介です。監視カメラの有無を確認しに来ました』】

 

 クッ... 勇者平田を売ることは出来ない...

 

「一年Cクラスの春秋冬風です。監視カメラの有無を確認しに来ました」

 

クソ。ここもHR中か...

 

「失礼しました」

 

次はBクラス。

 

 コンコン

 

 ピロン!

 

【『一年Aクラスの春秋冬風です。監視カメラの有無を確認しに来ました』】

 

【『一年Dクラスの池寛治です。監視カメラの有無を確認しに来ました』】

 

 ちょっと待て。池寛治って誰だ? 全く覚えてない。同じクラスの奴か? 今までの選択肢だと下の方はクラスメイトだよな。畜生。

 

「一年Aクラスの春秋冬風です。監視カメラの有無を確認しに来ました」

 

 ここもHR...

 

「失礼しました」

 

 名乗ってからすぐ教室を出るのって逆効果か? でも、ダメだ。俺にはあの空気を耐えきれない。二年違うだけでこんなにも纏う覇気が重くなるのだろうか? これから一年生での生活に相当な修羅場が待ち受けてるのかもしれないな...

次はお楽しみ?のAクラス。てか、気になったけどクラスのアルファベッドがDからBに進むにつれて生徒の数が多くなってる。3年生だけなのか?とりあえず最後の修羅場を超えるか...

 

 コンコン

 

 ピロン!

 

【『一年Aクラスの春秋冬風です。監視カメラの有無を確認しに来ました』】

 

【『一年Aクラスの綾小路清隆です。監視カメラの有無を確認しに来ました』】

 

「一年Aクラスの春秋冬風です。監視カメラの有無を確認しに来ました」

 

よし!もうHRは終わってる!あの得体のしれない物を見るような目で見られずにすむ!

 

「失礼s

「ちょっと待った」

 

「俺は生徒会長の堀北学だ。お前は一体、この学校の仕組みにどれだけ気づいている?」

 

 ファ!?堀北... あいつと苗字が同じなのは偶然か? それとも必然? ここはライトノベルの世界だ。実は兄弟でしたって展開もあるかもしれない。この眼鏡からは途轍もないオーラを感じる。

 

 ピロン!

 

【『俺は何も知らん!』】

 

【『全てだ』】

 

 セリフが今までで一番短いな。上は...ここに来た理由が分からなくなるからな... ということで下だ!

 

「全てだ」

「ほう... 春秋冬風か... 中々面白いやつだな。生徒会に入らないか?」

 

「え!? ちょっと会長!」

 

 なんか紫のお団子頭の女子が割り込んできたし、外野がめちゃくちゃ注目してる。好奇の目、嫉妬の目、羨望の目、色々あるな。やばい。胃が... てか生徒会役員って選挙で決めるんじゃないのか? 民主主義に反してないか?

あ!でも内閣s...  う~ん。実に悩ましい。てか、入っても奇行でBANされそうだな。でも、生徒会っていう後ろ盾が役に立つかもしれないんだよなあ。

 

 ピロン!

 

【『そんなものに興味はない』】

 

【『土下座をするなら入ってもいいぞ』】

 

 こんなの上しかないだろ! 下はさすがに失礼すぎる。さらば生徒会。さらば最強の後ろ盾...

 

 

「そんなものに興味はない」

「良かったぁ~。会長! 彼がここ数日で学校の敷地内を逆立ちで徘徊してるとの苦情が多数寄せられています!

 しかも君Dクラスだよね!?」

 

 

 あ... やべ。

 

「何? 春秋冬、それは本当か?」

「... 本当です」

 

「何故そんなことをしている?」

 

 ピロン!

 

【『限界を超えるためだ』】

 

【『お前の敵を倒すためだ』】

 

 なんだこれ...? 下が怪しい。でも、地雷かもしれないからスルーだ!

 

「限界を超えるためだ」

「フッ... まあいい。お前の端末を貸してみろ」

 

 言われるがままに端末を渡す。一体何するんだ?

 

「これが俺の連絡先だ。気が変わったり何か頼みがあったら俺に連絡を寄こせ」

「ありがとうございます」

 

「よし。もう帰っていいぞ」

 

 ふう~。終わった~。まじで緊張した。もうメンタルがボロボロ... これから授業もあるし。はぁ~。

 

 ピロン!

 

【『南雲のことで頼みがあったら俺の手を貸すぞ』】

 

【『雅のことで頼みがあったら俺の手を貸すぞ』】

 

 いやいやいや、南雲と雅って誰だよ! でもこの選択が重要なターニングポイントかもな... 決めた!

 

 

 

「雅のことで頼みがあったら俺の手を貸すぞ」

「何? お前はそこまで知ってるのか!?」

 

 やっぱり重要な選択肢だったか... よし! ボロが出る前に撤収だ!

 


 入学してから4日目。俺は今、二年Aクラスの扉の前にいる。 何でって? 絶対選択肢が今日も出てきたからだ。まじで嫌だ... 

でも、それもあと一クラスだけ! 行くぞ! でも、Dクラスの席が他のクラスに比べて10席以上なくなってるのが気になるな。

 

 コンコン

 

 ピロン!

 

【『一年Aクラスの春秋冬風です。監視カメラの有無を確認しに来ました』】

 

【『一年Aクラスの堀北学です。監視カメラの有無を確認しに来ました』】

 

 

「一年Aクラスの春秋冬風です。監視カメラの有無を確認しに来ました」

「失礼s...

 

「まあ待て。少し話をしよう。わずか数日で監視カメラに気づき、上級生の教室に一人で立ち入るその度胸...お前は面白い」

 

 なんかやばそうな金髪に目つけられたな。俺の学校生活が...

 

「おっと自己紹介が遅れたな。俺は生徒会役員の南雲雅だ。ところでお前はこの学校についてどこまで知っている?」

 

 南雲雅? 確か昨日の生徒会長との会話の選択肢で出たよな? 怪しい匂いがプンプンするネエ!

 

 ピロン!

 

【『穴という穴まで』】

 

【『全てだ』】

 

 まともな選択肢がない。俺はこの学校について何も知らないのに...

 

「全てだ」

 

「全てか。俄かには信じがたいが... お前はこの学校をどう思う?」

 

【『最高にクレイジーな学校だな』】

 

【『つまらない学校だな』】

 

「つまらない学校だな」

「やっぱりお前もこの学校をつまらないと思うか! 力が在る者がない者によって正当に評価されていないのがこの学校の現状だ。俺はこの学校を完璧な個人での実力主義にしてみせる。どうだ? お前も俺に協力しないか?」

 

 個人間ねぇ... ということは今のこの学校はグループでの実力主義ってこと? 謎が深まるな。

 

 ピロン!

 

【『土下座をするなら協力してもいいぞ』】

 

【『だが、断る!』】

 

「だが、断る!」

「......何故だ?」

 

 やべ。脊髄反射でやってしまった。どうやって誤魔化せばいいんだ。

 

ピロン!

 

【『お前がつまらない男だからだ』】

 

【『自分の胸に聞いてみるんだな』】

 

 また選択肢かよ! 何か他の教室に凸するときだけめちゃくちゃ選択肢出るじゃん。きちんとリカバリーするならいいけどさぁ...

 

「お前がつまらない男だからだ」

「......何?」

 

 あれ? 選択肢が出ない。もしかして、さっき文句言ったからか? クソ。自分でリカバリーするしかないか。

 

「お前のその傲慢な態度、おそらく今まで失敗という失敗をしたことがないのだろう」

「ああ、そうだ。勉強もスポーツも何もかもが俺にとっては朝飯前だ...だが、俺一人では覆せないものがある。この学校はグループ間での実力を測る。詳しいことはまだ言えないが...

 個人での実力を評価するべきだろう?お前もこの学校で過ごす内に一人ではどうしようもできない壁に直面するだろう。まあ、Aクラスのお前には関係ないかもしれないがな」

 

 Aクラス... やっぱりアルファベッド順で優劣がつけられているのか? Aを最高だとすると最低はD。俺じゃん...この体の持ち主は劣ってるってことなのか? ダメだ。記憶が引き継がれていない時点で憶測の域をでないな。

 

「俺はお前のような原石が正当に評価されない現実を重く見ている。俺についてこないか?」

 

 言ってることはまともなんだけど、頭髪が金髪なんだよなあ... 人は見かけで判断したらダメだけど、ちょっと引っかかるな。

 

 ピロン!

 

【『ワンワン! 一生ついて行くワン!』】

 

【『どうせ本心では俺を見下してるんだろう? 俺はもう帰る』】

 

 こんなの即答に決まってるだろ! もっとマシなの用意しろ!

 

 

「どうせ本心では俺を見下してるんだろう? 俺はもう帰る」

「中々痛いところを突いてくるな。ちょっと待て。せめて連絡先を交換しないか?」

「分かりました」

 

 否定しないのかよ。生徒会長といい、こいつといい絶対キーマンだろ。接点を作っておいて正解だったかもな。万歳! 絶対選択肢!

 

「よし、これで完了だ。何かあったら俺に連絡を寄こせよ。いつかお前に面白いものを見せてやる」

「失礼しました」

 

 なんか最後に意味深なこと言ってたけど、気にしない気にしない! さっさと教室戻って次の授業の準備だ!

 

 


入学してから5日目。俺は今一年Cクラスの教室の前にいる。何でかって? 今日は一年生の教室を回るんだとよ。もう飽きた。選択肢がどっちも1年Dクラスから回る奴だったから、吃驚した。おかげでクラスの奴にはまた変な目で見られるし、綾小路に「大丈夫か?」なんて言われる始末。しかも俺の逆立ちトレーニングがあいつにバレてた。無念。それに、鬼畜なトレーニングの弊害か俺の体にもガタがきている。休ませてくれ...

 

コンコン...

 

ピロン!

 

【1年Cクラスの山内春樹だ。このクラスの長と話がしたい】

 

【1年Dクラスの春秋冬風だ。このクラスの長と話がしたい】

 

「1年Dクラスの春秋冬風だ。このクラスの長と話がしたい

「ああ...? 何の用だ?」

 

 俺に応じたのは赤みがかかった長髪の低音ボイスの男だった。めちゃくちゃ目つき悪いし、椅子に片足乗っけてるじゃん。

 

「お前がこのクラスの長か?」

「ああ、そうだ。俺は龍園翔。俺に刃向かう奴は皆まとめて返り討ちにした。それでめでたく王の座を手にしたってわけだ」

 

 ゲッ... 暴力に訴えるやつか。このクラスに身長2m位の黒人いるんだけど。もしかしてあいつも倒したのか? 座ってるから身長はよく分からないが多分俺より低いよな。かなりの手練れじゃん。普通に怖い。

 

「要件だが... お前と連絡先を交換したい。」

「ほう... 一体何故だ?」

 

「これから、必要になるかもしれないだろ?」

 

 もうこれくらいしか各クラスのリーダーと話をするメリットが思いつかない。多分、この学校はクラス対抗っぽいから主要な人物の連絡先は揃えておきたい。誰が主人公か分からないからな。そいつの動向はこれからの展開でとても重要になる。主人公無双系だからAクラスにいると考えるのが妥当だが... 敵の敵は味方ということもある。

 

「つまりお前は俺の犬になりたいってことでいいか?」

「いや、そうとは言ってない。飽くまでもなにかあったら頼み事をするだけだ」

 

「クク... いいぜ。ほら端末を寄越せ」

「ああ」

 

 龍園に端末を渡そうとした瞬間...

 

 シュッ!

 

 危な! こいつ俺の顔目掛けて殴ってきたぞ! 何とか避けたから良かったけど。龍園まじでやばいな。初対面の奴を殴ろうとするなんて... この社会不適合者め!

 

「ほう... 今のを避けるか。いい目をしてるな。加えて動揺もなしか... 中々肝が据わってるな」

 

 お前ほどではないぞ。もう、吃驚しすぎて逆にリアクションが起きない。それにしてもこの体やばいな。前世だったら絶対見切れなかった。センサーでもついてるのか?

 

「ほらよ」

「では、これで失礼する」

「ああ、あと一つ。お前最近逆立ちで学校中歩き回ってるよな?」

 

 ではこれでさらば! 折角凄い雰囲気出してたのに台無しじゃん! さっさとBクラス行くぞ!

 

 

 コンコン...

 ピロン!

 

【『1年Dクラスの春秋冬風だ。このクラスの長と話がしたい』】

 

【『1年Bクラスの外村秀雄だ。このクラスの長と話がしたい』】

 

 

 また知らないやつじゃん。もしかしてDクラスにいる? 全く分からない。

「1年Dクラスの春秋冬風だ。このクラスの長と話がしたい」

 

 和気藹々と話している中で響く不審な人物(俺)の声。それにしてもこのクラスは仲良いんだな~。羨ましい。

 

「長... もしかして委員長のことかな?」

「多分そうじゃね?」

 

 口々に上がる委員長という人物。特にDクラスでは先生から委員長とかの役割があるとは知らされてないけど...

 

「は~い。私が長? の一之瀬帆波だよ! 自分たちで係を作って私が委員長をやってます!それにしても春秋冬って変わった苗字だね!」

 

 ウッ。眩しい。なんだこの長髪ベリーブロンドの女...これが陽キャ? てかこの子の胸部装甲やばいな。やばい。吸い寄せられる。

 

「ああ、昔からよく言われるんだ」

 

「そういえば前にどこかであったりする?」

「いや、初対面だ」

 

 危ねぇ。こんだけ人気者なら沢山外で遊んでるだろうし、俺の奇行を見ていてもおかしくない。

 

「それで要件って何かな?」

 

 

「それは... 俺と連絡先を交換してほしい」

 

 クラスの何人かは警戒してるが、ほとんどが好意的に受け止めてくれている。なんか囃し立てるやつもいたが、俺は断じてそういう目的で来てない! こんな陽キャの塊みたいな奴といてもどうせ疲れるだけだ! まあ、胸部装甲には興味があるが。

 

「うん! 良いよ~!でも何のために交換するかは教えてほしいなぁ~。わざわざこんな時間にくるのも怪しいし」

 

 ギク。確かに。龍園のときは触れられなかったけどわざわざこんな時間にくるのは可笑しいかもな...

 

 ピロン!

 

【『お前を俺のものにするためだ』】

 

【『放課後は用事があって忙しいんだ』】

 

 上は結構攻めるな。ただ相手の事もよく分からないのにこんな事言われたらさすがにやばいか。

 

「放課後は用事があって忙しいんだ」

「そうだけどさぁ~。まあ、今は深堀りしないことにするね! じゃあ、どっちが端末操作する?」

「じゃあ、俺で」

 

 カタカタ...

 

「ありがとな」

「いえいえ、こちらこそ」

 

 操作してるときに一瞬、残高200万って見えたんだけど。もしかしたらクラス全員の金まとめてるのか? それとも何かお金を莫大に増やせるものでもあるのか?

 

「春秋冬君はこの学校についてどう思う?」

 

 ピロン!

【『最高にロックな学校だな』】

 

【『最高に可笑しい学校だな』】

 

「最高にロックな学校だな」

「というと?」

 

「生徒一人につき10万とか正気の沙汰とは思えないな」

「だよね! 私もそれについて気になってたの! 毎月生徒一人にそんな額のお金をあげたら日本潰れちゃうよね」

 

「ああ。まあ、可能性としては色々考えられるが...一筋縄では行かなそうだな」

「まあ、そうだよね~。私も節約しないとな~」

 

「では失礼する」

 

 

 次はお楽しみのAクラスだ。どの学年もAクラスが肝だった。気を引き締めないとな。

 

 コンコン

 

 ピロン!

 

【『1年Dクラスの綾小路清隆だ。このクラスの長と話がしたい』】

 

【『1年Dクラスの春秋冬風だ。このクラスの長と話がしたい』】

 

 

「1年Dクラスの春秋冬風だ。このクラスの長と話がしたい」

 

「朝から来客とは珍しいですね。私がAクラスを率いる坂柳有栖です」

「何を言ってるんだ。俺がAクラスを率いる葛城康平だ」

 

 俺を出迎えてくれたのは杖を携帯していてベレー帽を被っている銀髪貧乳ロリと巨漢のハゲだった。もしかしてリーダーが二人いるのか?Aクラスは大変だな。

 

 ピロン!

【『ハゲに銀髪貧乳ロリか... 中々面白い組み合わせだな』】

 

【『長が二人もいるとは... Aクラスも堕ちたものだな』】

 

 どっちも爆弾じゃねえか。人の容姿をいじるのは良くないが、下だと全員を敵に回すよな... クソ。 選択肢がおとなしいとおもっていたのに。

 

 

「長が二人もいるとは... Aクラスも堕ちたものだな」

「何?」

「ほう... 今の発言...実に興味深いですね」

 

「早いところ1人にしないとクラスがガタガタになるぞ」

「忠告ありがとうございます。けれどそんな言葉で片づけられるほど単純な話ではありません」

「癪だが俺も同意見だ」

 

「まあ、私が聞きたかったのはそちらではありませんがいいでしょう。それで肝心の要件は何ですか?」

「俺と連絡先を交換してほしい」

 

「授業開始のチャイムが鳴る2分前にくるとは、得策とは思えないな」

「貴方は見る目がありますね。それにしても何故、私の連絡先が欲しいのですか?」

 

 ピロン!

 

【『俺は必ず必要になると確信している』】

 

【『そりゃあ、美少女がいたらやらざるを得ないだろ』】

 

 グイグイ攻めすぎじゃね? なんかこの幼女が危険だって俺の第六感がビンビンしてんだけど。

 

「俺は必ず必要になると確信している」

「いいでしょう。交換してあげます」

 

「よし、ありがとう。次はお前だ」

 

ピロン!

 

【『葛城』】

 

【『ハゲ』】

 

 なんか葛城に当たり強いな。さすがに下を選ぶほど俺は落ちぶれてないぞ。

 

「葛城」

「まあ、いいだろう」

「おや? そちらの方とも交換するのですか? それは得策とは思えませんね」

 

「お前何言ってんだよ! 坂柳!」

「うるさいぞ、弥彦。 どんな時でも冷静になれ。安い挑発に乗ると見くびられるぞ」

 

 弥彦と呼ばれた男が坂柳に突っかかるが、葛城がそれを宥める。なんか師弟みたいな関係だな。

 

「ありがとう。じゃあ、俺はこれで」

「ちょっと待ってください。もしかして貴方と何処かで会ったことがありますか?」

 

 アカン。俺の奇行がバレる。さらば!

 

「では失礼する」

 

 ふう~。これで校内巡回イベントはないだろ。ってヤッベ。もうチャイム鳴る! 急げ!

 

 

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