ようこそ絶対選択肢に逆らえない教室へ   作:球磨川善吉

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めっちゃ長くなってしまった。

ps.2022/09/22 木曜日 17:36 
コピペのミスでいつの間にか話がループしてました。投稿する前に総文字数が18000になっていてめっちゃ長いって思ってたら、全てをコピーしていて2倍の文字数になってました。本当にすいませんでした。断じて主人公がスタンド能力を発現したとかではありません。今後このようなことが起こらないよう、確認による確認を徹底します(o_ _)o


須藤暴力事件

 茶柱が教室から出て行った後、教室は阿鼻叫喚と化していた。

 

「ポイントが入らないって、これからどうするんだよ」

「私昨日ポイント全部使っちゃったよぉ・・・」

「ポイントよりもクラスの問題だ。ふざけんなよ! なんで俺がDクラスなんだ!」

 

「てか、春秋冬君気づいてたのに言わないってマジありえなくない?」

「それな! もし言われてたら絶対授業も真面目に受けてたのにねー」

「おい、春秋冬! お前のせいでポイントねえぞ! どうしてくれんだ!」

 

 もうヤメテ! 俺のライフはもう0だ。八つ当たりだが、文句を言おうにも多勢に無勢なんだよなぁ。あまりにも俺を非難する奴が多すぎて焼け石に水だ。茶柱・・・覚えとけよ・・・

 

「実に醜いねぇ」

「は? 高円寺! お前は春秋冬に何も思わないのかよ?」

「別に何も思わないねぇ。授業を真面目に受けない君たちに非があると思うのだがねぇ」

 

 どの口が言ってんだよ。 お前も授業真面目に受けてなかったじゃねえか。

 

「おい、春秋冬! 何とか言ってみろよ」

 

 ピロン!

 

【『放課後は逆立ちで徘徊して、変なことばっか喋ってクラスから浮いてる奴の言葉をお前は真に受けるのか?』】

 

【『返す言葉もない』】

 

 なんだ、この選択肢・・・ 上は事実だが、客観的に俺を見たらそうなるよな。おまけに小テストも5点だったし。悔しいが泣き寝入りはしたくない。上を選ぶか。

 

「放課後は逆立ちで徘徊して、変なことばっか喋ってクラスから浮いてる奴の言葉をお前は真に受けるのか?」

 

「・・・いや。それは」

「確かに。信じないかもね...」

 

 おい! 今までの威勢はどこ行ったんだよ! 俺そんなに信用されてないのか? 嘘でもいいから信じるって言ってほしいんだけど。クソ、言い負かしたのになんで俺がこんな思いしなくちゃいけないんだ。試合に勝って、勝負に負けた気分だ・・・

 

「春秋冬・・・ そこまで頭悪かったのか?」

「あの3人よりも点数が低いとか本当に義務教育を受けたのかしら?」

 

 綾小路の心配の言葉と堀北のとげが心に刺さる。これも全部絶対選択肢のせいだ。畜生。

 

「成績に関係ないって言ってたから、少し解いてから遊んでたんだ」

「・・・」

「呆れるわ・・・」

 

 俺だってやりたくってやったんじゃねえんだぞ!

 

 

 

 

 

 その後は、ガリ勉眼鏡と平田が衝突したが櫛田が上手く収めた。さすがエンジェル櫛田だ。平田の呼びかけでお互いに遅刻や授業中の私語をやめるよう注意することになったが、ついさっき三馬鹿の一人、須藤が反発して教室を出た。須藤の言い分だと改善してもポイントが増えないから意味がないってことだったが少なくとも今のままだと来月も0ポイントだよな・・・ 須藤の事を三馬鹿って呼んでるけど、小テストの点数だけで見れば俺の方が頭悪いって見られるよな。もしかしたら四馬鹿とか馬鹿四天王とか言われたりするかもな・・・ ガチで笑えない。

 

 でもDクラスとはいえ、何で須藤とか池がこの学校に入学出来たんだ? うーん・・・・・・ 

 

 やっぱり学力だけで生徒を測ってないのかもな。須藤は水泳のタイムもかなり早かったし、バスケが滅茶苦茶上手いらしい。ここは政府が管轄している進学校。学力だけで測ってたら小テストで90点を取った眼鏡と高円寺が最下層のDクラスに居るはずがない。まあ、どっちもこのクラスに配属された理由は・・・分からなくもないがなんでこの体の持ち主はDクラスなんだ? 少なくとも選択肢の無茶ぶりのトレーニングについていける時点でかなりの猛者だとは思うんだけどなぁ。まあ、今は分からないか。

 

 ピロン!

 

【≪須藤を追いかけに行く≫】

 

【≪須藤を追いかけない≫】

 

 ここで選択肢出るのか・・・ もしかして須藤は重要なキャラなのか? さすがにこれからも授業を妨害するとなると、ポイントを上げるにも絶望的だし、更生させればワンチャンクラスからの評価も上がるかもしれない。いつかはぶつかる壁なら早い内に片づける方がいいかもしれないな。

 

 

≪須藤を追いかけに行く≫

 

須藤が出ていってからそんなに時間は経っていない。まだ近くにいると思うんだけどなあ・・・

 

 あ、居た!

 

 ピロン!

 

【『探したぞ。赤ゴリラ』】

 

【『探したぞ。須藤』】

 

 ・・・ いつにも増してひどい選択肢だな・・・ こんなの下一択だろ。

 

「探したぞ。須藤」

「あぁ!? なんだよ。春秋冬」

 

 ヒェッ。怒ってんじゃん。関わりたくねぇ・・・

 

 ピロン!

 

【『校舎裏まで着いてきてもらうぞ』 ≪校舎裏へ移動≫ 】

 

【『特別棟まで着いてきてもらうぞ』 ≪特別棟へ移動≫ 】

 

 

 

 ファ!? もう少しで授業始まるんだけど! 今の状況で授業遅れたらポイントにも響くかもしれないし、目の敵にされるかもしれない。校舎裏はカツアゲのイメージがあってなんとなく嫌だしなぁ。特別棟にするか。

 

≪特別棟へ移動≫

 

「特別棟まで着いてきてもらうぞ」

「は? なんでそんなところに行くんだ? 俺は今から家に帰ってバスケの練習してぇんだよ」

 

 やっぱり授業サボるつもりだったのか。今から帰ってバスケの練習するってどんだけ好きなんだよ。

 

「大事な話がある」

「ここじゃダメなのか?」

「ああ、ここだと少し話しづらい」

「チッ。めんどくせえなぁ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そんなこんなでやってきた特別棟の廊下。道中、須藤が不機嫌だったのは言うまでもない。それにしても俺は一体ここで何すればいいんだ?

 

 ピロン!

 

【『授業に出席しろ』】

 

【『この学校から消えろ』】

 

 いや、ちょっと・・・ 下は酷くないか? 何が何でもストレートすぎる。ここは上で行こう。

 

「授業に出席しろ」

「は? なんで出ないといけないんだ?」

「クラスのポイントに響くからだ」

 

「授業をまじめに受けてもポイントは増えねえんだろ? 意味ねえじゃねえか」

「でも見えないマイナスがあるかもしれない。

 そうなったら確実にDクラスが前に進むときに邪魔になる。お前は皆から責められる覚悟はあるのか?」

 

「・・・そんなの知らねえよ。受けたいやつだけ受ければいいだろ。俺には関係ねぇ」

 

 ピロン!

 

【『お前の脳みそはスッカスカだな』】

 

【『この程度のことも理解できないのか?』】

 

 おい! ふざけんなよ! こんなの殴られるに決まってるだろ! なんか須藤に対して当たり強くないか? 畜生・・・ 追いかけない方が正解だったかもな。

 

「この程度のことも理解できないのか?」

「あぁ!? 俺を馬鹿にしてんのか?」

 

 ピロン!

 

【『その程度のことも理解できないのか?』】

 

【『そうだよ』】

 

 あっ・・・(察し) これ殴られるわ。

 

「そうだよ」

「この野郎!!」

 

 そう言い終えるのと同時に須藤が大きく腕を振り上げる。アカン! 早くガードしないと!

 

 ピロン!

 

【やられっぱなしは性に合わない ≪須藤を病院送りにする≫】

 

【これも須藤の為・・・ ≪気が済むまで立ち続け、殴られる≫】

 

 えぇ・・・ 過激すぎるだろ。 つまり俺が殴られるか須藤が殴られるのかの二択。それに≪≫のなかにある「病院送りにする」 これマジで病院送りにする奴じゃん。もうダメだ。お終いだ。

 

≪気が済むまで立ち続け、殴られる≫

 

 

 

 須藤の拳が俺の眼前まで迫る。予想よりも鈍い音が耳を伝い、腹部に重い痛みが走り、胃の中の空気をすべて吐き出す。

 

 痛い・・・ 俺、殴られてる・・・ 親父にもぶたれたことないのに!(多分)

 

「今度ふざけたこと言ったらこんなんじゃすまねぇからな。」

 

 ピロン!

 

【『気は済んだか? 赤猿』】

 

【『気は済んだか? 赤ゴリラ』】

 

 はぁ? マジでふざけんなよ! どっち選んでもほとんど変わんねえじゃねえか!

 

「気は済んだか? 赤ゴリラ」

「あぁ!? 舐めた口きいてんじゃねえぞ! また殴られてぇのか!?」

 

【『いいよ! 来いよ!』】

 

【『いいよ! 来いよ!』】

 

 許して・・・

 

「いいよ! 来いよ!」

「ッ・・・ クソがぁぁぁ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 殴って蹴られてを繰り返してどれ位経っただろうか。10分、15分、20分・・・ 須藤が手を止める度に絶対選択肢が挑発を繰り返すから終わりが見えない。須藤の打撃を耐える中で体からは色々な音が鳴ることを知った。皮膚に平面が当たった時のパチッという音、食いしばった歯が横に擦れるゴリッという音・・・本当なら知りたくなかった。頬と腹のあたりがズキズキする。こんなの拷問じゃねえか。

 

「ハア・・・ハア・・・ もう十分だろ・・・? 

もう腕が上がらねえよ。なあ・・・なんでお前はまだ立ってられるんだよ?」

 

 選択肢が俺に強制してるからだよ。

 

 ピロン!

 

【『それはこっちの台詞だぞ』】

 

【『お前は本当に救えない奴だな』】

 

 やっと煽りじゃないまともな選択肢が来た。ここまで長かった・・・

 

「お前は本当に救えない奴だな」

 

 

「・・・ああ、そうだよ! そんなの俺が一番分かってんだ! 

 ついカッとなって人に手を出しちまう・・・ 

どうせ俺はクズだ。やっぱりクズからはクズしか生まれねぇんだ」

 

目尻に水滴が滲んでいる須藤。もう少し、早く冷静になってほしかったぞ・・・

 

「それは違うぞ、須藤。

 聖人から聖人が生まれるとは限らないし、悪人から悪人が生まれるとは限らない。全ては自分自身が選んだ行動で決まる」

 

 

 

「でもよ、ダメなのは分かってるけど手が出ちまうんだ・・・ 

俺はどうやったって救われねえんだ。なあ・・・一体俺はどうすればいいんだ?」

 

「それはお前自身が変わるしかない。お前が将来プロのバスケ選手になったとして、暴力事件なんて起こしたら謹慎は免れないだろう。

 それにこの学校はクラスごとに実力を測る。考えてもみろよ。

 もし殴られる側が別のクラスの奴だったら、訴えられて何かしらペナルティがあっても不思議じゃない。そうなったらお前は責任がとれるのか?」

 

「それは・・・」

 

「今のお前の立場は危うい状況にある。クラスの皆が這い上がろうと決意した途端に反発をしたことでお前の評価はだだ下がりだ。

 お前にはもう後がないんだぞ。この先、お前に何かあってもクラスの奴らはお前を助けようともせずに、あしでまといとして切り捨てるかもしれない。

 その覚悟はお前にあるのか?」

 

「・・・薄々気づいてんだ。クラスの奴らが俺を馬鹿にしてるってな。でも、俺にはどうすることもできねぇ。今更何をやったって無駄なんだよ」

 

「いいや、まだ間に合う。今から教室に戻って授業を受けろ。そして授業が終わったら皆に謝れ」

「はぁ? なんで俺があいつらに謝らなきゃならねえんだよ!?」

「須藤。これは警告だ。俺とお前は同じ釜の飯を食った者同士。そんな奴が孤立していく姿は見たくない」

「チッ。分かった」

 

 よし! なんとかアドリブで行ったけど収まってなによりだ。まあ食堂を利用している生徒は俺と同じ釜の飯を食べているが細かいことは気にしない。正直須藤よりも俺のほうが孤立してる気がするが説得できたなら問題ない。

 

「それともう一つ。誰かに暴力を振るうのは特別な時を除いてこれで最後にしてくれ」

「その特別な時ってなんだ?」

 

 ピロン!

 

【『ストレスが溜まった時だ』】

 

【『愛する者を守るときだ』】

 

 

 いや、アカンやん。上は、せっかくコテンパンにされた意味がなくなるから却下。下は・・・コイツ、好きな奴っているのか? まあ、いいか。

 

「愛する者を守るときだ」

「愛する者・・・」

 

 今思ったけどコイツが俺をコテンパンにして何もお咎めなしっていうのは虫が良すぎないか? 今はボロボロで殴りたくても殴れないが、後で一発くらい良くないか?

 

 

 ピロン!

 

【これも須藤の為・・・ 《須藤を病院送りにする》】

 

【これも須藤の為・・・ 《怒りをこらえる》】

 

 上も須藤の為なのか・・・ 0か100かしかねえのかよ。畜生。後で何かの形で埋め合わせして貰うか。

 

《怒りをこらえる》

 

「なあ、春秋冬。さっきは悪いことをした。本当にすまねぇ。これで殴ったことがチャラになるとは思わねえが、俺のことを殴ってくれないか?」

「・・・いいのか?」

 

「ああ。さっきは頭に血が上って冷静じゃなかった。もう気は済んだからよ。

 俺をボコボコにでもしないと釣り合わねえだろ。頼む。身勝手なのは分かってるけどよ、俺がスッキリして前に進めねえ」

 

 

 

 須藤がそう言い終えるのと同時に俺の体の力が抜け、地面に崩れ落ちる。近くにある時計を見るとここにきてから既に20分が経過していた。いくらこの体でもこれはキャパオーバーだったのか・・・ もしかしてさっき選んだ選択肢のせいか? ≪気が済むまで立ち続け、殴られる≫ これって須藤の気が済むまでは体が限界を迎えても立ち続けるってことだったのか・・・? もしそうだったら怖すぎる。知らない間に取り返しがつかなくなることもあるってことだよな? えげつねえな。

 

「おい、春秋冬! 大丈夫か?」

 

ピロン!

 

【『もうダメだ・・・ お終いだ・・・』】

 

【『大丈夫だ。問題ない』】

 

「大丈夫だ。問題ない」

「いきなり倒れて大丈夫なわけねえだろ! 保健室行くぞ!」

 

ネットミームがあったら言いたくなるだろ。これは性なんだ。仕方ない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 須藤に肩を貸して貰いながら保健室の扉の前についた。てかこいつガタイ良いよな。こんな奴から殴られ続けたら頭おかしなるで。

 

「須藤。俺は階段で転んだことにしろ」

「は? なんでだよ」

 

「馬鹿正直に話したら、教師に問い詰められるに決まってるだろ。俺としてはこの件を広めたくない」

 

 日々逆立ちで徘徊して全ての組に授業中に凸って、小テストが5点の男、それが俺だ。そこに入学1ヶ月目で暴力事件に巻き込まれたっていうのも入るとさすがにまずい。もうこれ以上目立つわけにはいかない。俺も須藤を煽ってたから100%被害者って言いきれないしな。

 

「でも嘘なんかついて大丈夫なのか?」

「特別棟は監視カメラが極端に少ない。階段にも監視カメラの死角は山ほどある」

 

「お前はそれでいいのかよ・・・?」

 

 ピロン!

 

【『一発殴らせてくれたらいいぞ』】

 

【『大丈夫だ。問題ない』】

 

 うっ・・・ 迷う。でも一回流れたことを掘り返すのは男じゃないよな・・・ まあ、あとでこの件を出汁にして何かやってもらうから問題ない。

 

「大丈夫だ。問題ない」

「春秋冬・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 


 そんなこんなでやってきた保健室の中。須藤と一緒に保健室の先生(星之宮というらしい)に事情を説明して今に至る。筋書きは授業をバックレようとした須藤を特別棟に呼び出してから和解し、帰る最中に階段から落ちたということにしておいた。特別棟に呼んでる時点で怪しさ満載だが、他クラスに聞かれたくない話があったとかで誤魔化した。他にも色々ツッコミどころはあるが、こういう時に限って絶対選択肢は出ない。須藤はもう教室に行ったので今は俺と先生の二人きりだ(意味深)。若い茶髪ロングの女性だが動作の所々からにじみ出るぶりっこ・・・ もとい地雷属性。なんか一緒にいて疲れるんだよな。

 

「春秋冬君、結構イケメンだねー。先生、君みたいな子、結構タイプかも!」

 

 傷を見るついでに初対面の生徒に後ろから密着する淫乱教師。何がとは言わないが柔らかい感触が不味い。勿論俺は上半身裸だ。

 

 ピロン!

 

【悔しい。でも感じちゃう! ≪常時マキシマム状態になる≫】

 

【心を鉄にしろ。 ≪常時シナシナ状態になる≫】

 

 この選択肢・・・・ 前に見た気がするな・・・ まあ、いいか。さすがに上だとイケない雰囲気に発展しそうだからダメだ。普通に恥ずかしいし猥褻だし、この体は俺のものじゃなくて借り物の体、即ち 春秋冬君のものだ。彼がまだチェリーボーイかは分からないが、原作が終わるときに俺の意識があるのかないのかは分からない。体の所有権を渡した後にどこの馬の骨かも分からない女性と関係を持ってたら可哀そうすぎる。まあ、マキシマムになってもそういうことに発展するかは分からないが、念には念を。

 

≪常時シナシナ状態になる≫

 

「う~ん。やっぱりこれ階段から落ちた時の傷じゃないよね?」

「違います。階段から落ちた傷です」

 

「本当? あの須藤って子に脅されてる訳じゃないのよね?」

「違います。俺と須藤は・・・心をぶつけ合った(物理)友達です」

 

 危ねぇ。いや、咄嗟に嘘ついたけど何が心をぶつけ合っただよ。別の意味に捉えられてもおかしくないな。ダメだこりゃ。

 

「本当?」

「本当です」

 

「ホントのホント?」

「ホントのホントです」

 

「ホントのホント?」

 

 ピロン!

 

【『嘘です』】

 

【『本当だからだ!』】

 

 ここはもちろん下だ。

 

「本当だからだ!」

「ふ~ん。まあ、本人がいいならいいか」

 

「それにしても春秋冬君、体しっかりしてるよねぇ~。なんかスポーツでもやってたの?」

 

 ピロン!

 

【『いや~特にはやってないんですけど・・・トレーニングとかはやってます』】

 

【『やりましたねぇ!』】

 

 ファ!? 絶対選択肢さん!? 見損なったゾ。

 

「いや~特にはやってないんですけど・・・トレーニングとかはやってます」

「トレーニング?」

 

 ピロン!

 

【『夜のトレーニングを少々・・・』】

 

【『逆立ち歩きで・・・敷地内を徘徊することです』】

 

 クソが・・・ こんなの上、選べるわけねえだろ!

 

「逆立ち歩きで・・・敷地内を徘徊することです」

「あっ。そういえばうちのBクラスの子から『イケメンの子が逆立ち歩きで敷地をうろついてる』って苦情がきてたんだけど・・・ もしかして君?」

 

 あっ(察し)。バレてますやん。この先生、Bクラスの担任だったのか。てかイケメン!? イケメン!? 大事なことだから二回言ったが、別に知らない人からイケメンって言われても嬉しくない。

嬉しくないんだからね・・・! やばい、自分でやってて気持ち悪くなってきた。しかもBクラスの担任だったのか・・・ 

 

「・・・俺です」

「やっぱり! どこかで見かけたと思ったら逆立ちで徘徊してた子か~。ちなみになんでそんなことしてるの?」

 

 ピロン!

 

【『最強へと至るためです』】

 

【『大切な人を守るためです』】

 

 どっちもかっこいいな。まあ、両方とも嘘だけどな。ここはどっちでもいいや。

 

「最強へと至るためです」

「最強・・・ね。春秋冬君は入学二日目で監視カメラに気づいてたみたいだし? もうなってるんじゃない?」

 

「いや、まだまだです」

 

 一体どこからその話漏れたんだよ! 地図に書き込んでるのも監視カメラで見られてたか? まあ、監視カメラのマッピングだって皮肉にも、絶対選択肢があったから成し遂げられた。絶対選択肢がなかったら気づいてたかすら怪しい。逆立ち歩きに耐えるこの体も春秋冬君の物だ。あれ・・・? 全部俺の力じゃない・・・? やべ。涙出そう。

 

「そういえば入学初日に佐枝ちゃんに『先生は買えますか?』って質問してたわよね! もしかして佐枝ちゃんみたいな人が好みなの!?」

 

 ピロン!

 

【『ギクッ』】

 

【『興味がないと言ったら嘘になります』】

 

 不味い不味い不味い。これ実質一択じゃねえか。 今時口でギクって言うやついねえだろ。それが許されるのは超絶美少女だけだ。まあ、いつも目につく茶柱先生の胸部装甲は気になるけど・・・ あの先生ちょっと怖いんだよなぁ。

 

「興味がないと言ったら嘘になります」

「おおっ! 佐枝ちゃんは脈ありかぁ~。じゃあ私はどう?」

 

 

 ピロン!

 

【『ないです』】

 

【『ないです』】

 

 いや草。絶対選択肢から拒否られてんじゃん。勿論俺もNGだ。俺の直感がこいつはダメだとビンビン言ってる。

 

「ないです」

「えぇ~。ひどぉ~い。自分で言うのもなんだけど私結構スタイルも良いし、顔も良いと思うけど」

「遠慮しときます」

 

「ちぇ~」

 

 確かに本人の言うとおり、顔とスタイルは良いがやっぱり何か引っかかる。俺が春秋冬君(の体)を守るんだ!

 

 

 

 


 保健室での雑談もとい治療が終わり今は教室に向かうところだ。今の時間だともう1時間目が終わって休み時間になっている頃だろう。保健室に向かうまでは須藤に肩を貸してもらわないと歩けないくらい重症だったが、今はだいぶ回復した。春秋冬君様様やで。

 

 

 教室に入ると真っ先に勇者平田が話しかけてきた。

 

「春秋冬君! 階段から転んで保健室に行ったらしいけど大丈夫なのかい?」

「大丈夫だ。問題ない」

 

「本当? なら良かったよ。須藤君が君を保健室に運んでくれたらしいね。

 ついさっき彼から皆への謝罪があったんだ。これから授業を真面目に受けるらしい」

 

 須藤・・・ 成長したんだな。まあ口では何とでも言えるから行動で示してほしいんだけど。真っ先にけが人に言葉をかけて不在だったときの状況をいち早く教えてくれる勇者の鑑だな。

 

「改心してくれたのは嬉しいんだけど、皆、急で戸惑ってたんだ。春秋冬君は何か知らないかい?」

「・・・知らないな」

 

「直前に須藤君と居た君なら知ってると思ったんだけど・・・ 手間を取らせて悪かったね。もし彼に手助けをした人が居たらお礼をしたかったんだけど・・・」

 

 絶対気づいてるよな? まあ、目立ちたくないしこのままでいっか。追及してこないってことはそういうことだ。うん。とりあえず席つくか。

 

 

 

「大丈夫なのか? 春秋冬?」

「まあ、なんとかな」

 

「一体どうやって彼を改心させたの?」

「俺は何もやってないぞ」

 

 どうやら黒髪ツンデレコンパス系美少女の堀北が話しかけてきたらしい。いつもは綾小路としか話してないのに・・・ てかなんで俺が改心させた前提なんだ?

 

「いや、別に俺は何もしてないぞ」

 

「見え見えの嘘はつかなくて結構よ。

 どんなに頭の悪い人でもテコでも動かなかった彼が急に授業を受けるなんてはっきり言って異常よ。あなたは一体なにをしたの?」

 

 ちょっと待って。なんか俺ディスられてる? 相変わらずトゲトゲしいな。てか、須藤のやつ、授業真面目に受けてなさすぎて通常のことが異常になってんじゃねえか。

 

 ピロン!

 

【『拳と拳をぶつけ合っただけだ』】

 

【『心と心をぶつけ合っただけだ』】

 

「心と心をぶつけ合っただけだ」

「真面目に答える気はないということね」

 

「本当のことを言ってるだけだ」

「私には彼を助ける価値を見出せないのだけれど。まあいいわ」

 

 相変わらず堀北は酷いな。きっと、いつか須藤だって輝ける日が来る・・・はず。多分。

 

 

 


 

 放課後。勇者平田たちは黒板を使って対策会議の準備をしていた。かくいう俺はというといつものようにすぐに教室を出た。絶対選択肢の地獄のトレーニングに耐えるためには休息が必要なんだ。トレーニングが始まるまでの少しの時間。俺は帰って寝るとするかな。ちなみに今はトイレで用を足している。トレーニング中は行きたくても行けないからしょうがない。

 

『一年Dクラスの綾小路くん、同じく一年Dクラスの春秋冬くん。担任の茶柱先生がお呼びです。職員室に来てください』

 

 どうやら放送らしい。一体俺なにやらかしたんだ? 心あたりがありすぎて、一体何で呼ばれたのか全く分からないな。何故か綾小路も呼ばれるらしい。取り敢えず職員室に向かうとしよう。

 

 職員室に向かうとには廊下には既に茶柱と星之宮、綾小路がいた。

 

「お! 春秋冬君も来たね~。久しぶり!」

「いや、言うほど久しぶりじゃないです」

 

「おい。春秋冬遅かったじゃないか? あまり教師を待たせるべきではないぞ?」

「サエちゃん、ひど~い。春秋冬君は今日階段から落ちてケガしたんだよ! けが人にはやさしくしないと」

 

「なに? 初耳だぞ。春秋冬、お前は次から次へと問題を起こすな・・・」

「滅相もございません」

 

「まあいい。ついてこい」

「え~。せっかく春秋冬君も来たことだしもっとおしゃべりしててもいいんじゃない?」

「そんな時間はない。さっさとどこかに消えろ」

 

 

 

「なあ、綾小路。なんで俺たち呼ばれたんだ?」

「さあな。俺も分からない」

 

 綾小路に小さい声で話しかけてみたがアイツも分からないらしい。ますます分からないな。

 

「サエちゃん、冷たい事言わないでよ~。別に聞いて減るものじゃないでしょ?

 サエちゃんって個別指導とか絶対やらないタイプじゃない? 何か狙いがあるのかなぁ? って」

 

 やばい。茶柱の顔が般若みたいになってんだけど。怖すぎる。

 

「もしかしてサエちゃん、下剋上でもねらってるんじゃないのぉ?」

「バカをいうな。そんなこと無理に決まってるだろ」

 

 えぇ。無理なのか・・・

 

「星之宮先生。少しお時間よろしいでしょうか? 生徒会の件でお話があります」

 

 現れたのは世にも珍しいストロベリーブロンドの髪をもつ厚い胸部装甲を持った女子生徒。一之瀬帆波だ。久々に会ったな。てかこの学校でカラフルな髪を持ってる奴らは地毛なのか? めちゃくちゃ気になるんだけど。

 

「ほら、お前に来客だぞ。星之宮」

 

 パンッと、星之宮の尻をクリップボードで叩く茶柱。こいつ絶対、生徒にも体罰してるだろ。

 

「お! 春秋冬君に綾小路君じゃん。ハロハロ―。二人は先生たちとなに話してたの?」

「いや・・・ それが俺たちにもよくわからないんだ。」

 

 え? 綾小路、こんな陽キャの塊と知り合いだったのか? 信じてたのに・・・

 

「もう~。これ以上からかってると怒られそうだからまたね、春秋冬くん、綾小路くんっ。じゃあ職員室に入りましょうか。一之瀬さん」

 

 そう言い、星之宮は一之瀬とともに職員室に入っていった。今の茶柱は怒った内に入らないのか? 中々に骨がある先生だな。

 

「綾小路も一之瀬のこと知ってたのか?」

「ああ。軽井沢に誘われて一緒に遊んだんだ」

 

「綾小路、春秋冬。指導室に行くぞ。ついてこい」

 

 いや~。何のことで怒られるんだ? めっちゃドキドキするな。

 

 

 

 

 

 

 

 

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