EVOLの摘み取る花 作:わんわんわんだほーい
赤く、血に塗れたようなスーツを纏い、青いコブラのような胸元の装飾が輝く謎の男が椅子に座ってこちらを見ている。私は、その体を拘束され謎の機械に入れられて──と、言うところで目が覚める。
「…またあの夢」
2015年のある日から見るようになったこの夢は、ただの夢だと分かっていても、妙にリアリティのある嫌な夢だ。夢のせいでかいた汗を煩わしく思いながら部屋から出て下の階へと向かう。下の階からは、何かを煎るような匂いがする。
「またコーヒー?」
「おお!千景おはよう!見てくれよ~!今日は上手く行きそうなんだ!」
「ええ、おはよう兄さん。美味しかったら私も飲むわ。美味しかったらね」
私の家は特殊な構造になっていて、1階が私の兄である郡惣一が営むカフェ・nascita。そして2階が私と兄の寝室となっている。とはいえ、このカフェは趣味のようなもので、兄いわく、既に一生遊んで暮らせるだけの金は手に入れたとか何とか。
「よ~し出来たぞ~!」
「…先に飲んでちょうだい」
「えぇ?ならお言葉に甘えて…まぁっずっ!?」
「やっぱり」
コーヒーを飲んだ瞬間吹き出す兄さん。この兄、大抵の事はそつなくこなすくせに、コーヒーを入れるという行為だけが絶望的に下手なのだ。当然、豆から作っているコーヒーは確実に不味くなるのだが、一定の確率でインスタントのコーヒーですら不味くなるのだからもう1種の才能だろうと考えている。
「そうだ千景、今日は学校だろ?送ってってやろうか?」
「いえ、今日は高嶋さんと一緒に登校する予定だから」
「へぇ~?そうか、なら仲良く登校しな!事故には気をつけるんだぞ?」
「ねえ、なんでそんなにニヤニヤしてる訳?」
「べっつに~?ほら、高嶋ちゃんと約束があるんならさっさと風呂に入るなりしな!」
兄がニヤニヤと笑いながら肩を竦めて私に支度を促す。あのニヤけた顔は腹立たしいが、時間も時間なのでさっさと用意をして家を出ることにした。
「じゃあ、行ってきます」
「おう、行ってらっしゃい」
手を軽く振って兄の明るい声を聞きながら家から出る。何となく、今日も良い日になりそうだ、なんて私らしくもない考えが頭をよぎった。
「…行ったか」
千景が家から出ていったのを確認して、カウンターの奥にある冷蔵庫に目を向ける。そしていつものように冷蔵庫に手を当てると、赤い光と共にパラパラとパネルが入れ替わるように扉が現れる。その扉を開けて、確実に閉めたのを確認すると、螺旋階段を降りていく。カンカンと足音が響く音だけを聞いていると、螺旋階段が終わった先にもまた扉。扉を開けると、そこには二人分の人影。かたや漆黒のスーツに身を包み、黄金のコウモリのような複眼が付いた仮面をつけた異形・ナイトローグ。かたや白衣にガスマスクといういかにも科学者という服装をした
『遅いぞ…スターク』
「そうかっかすんなよローグ。俺にも家庭ってのがあるんだ」
苛立ったようなローグの言葉に軽く笑いながら肩を竦める。そんな俺の動作に更に苛立ったのか、舌打ちをするローグ。これがキレる若者ってやつかァ?
「それで先生、進捗は?」
「悪くは無いが、材料が足りなさすぎる。究極のドライバーを修理するにはもう少し時間がかかる」
「ま、そりゃそうか。この星に無い物質も使ってるからなぁ…ま、気長にやろうぜ。今は、大社をどうにかしないとなぁ?」
ローグに笑いかけると、二本のボトルを投げ渡す。赤と青のボトルを眺めるローグに話しかける。
「そろそろ天の神が四国に攻めてくる頃合だ。戦いが始まったらそいつを高嶋友奈に渡せ。あいつなら使いこなせるだろう」
『…プロジェクトビルドという奴か…何を企んでる?』
「おいおい、言ったろ。俺は俺の妹を勇者とやらにして戦わせる大社が許せねぇってな。だから、今はあいつらを強くして死ぬ確率を出来るだけ下げる。今の俺たちじゃあ大社に勝てないからなぁ?」
『…どうかな』
アーマーの各部から霧を発生させてその場から消えたローグの姿に肩を竦め、先生の方に一つのUSBメモリを投げ渡す。
「これは」
「勇者システムのデータだ。上手く活用出来ないかと思ってねぇ…ま、頭を使うのはアンタに任せるよ、先生」
先生に軽く手を上げてその場から立ち去る。俺の計画の進捗は悪くないみたいだなぁ…。全てを取り戻すその日が楽しみだ。
郡千景
兄と二人暮し。原作と比べれば大分マシな暮らしをしてる。幼少期に軽いいじめは経験したが、いつの間にか終わってた。どこの兄がやったんですかね。両親は事故で他界している。
郡惣一
色々企んでるヤベー奴。
ナイトローグ
原作キャラです。頑張って探してみてね
先生
どこの誰なんだろうなー