垢BANされたらVとピース 作:TEAM-POCO/CHIN
はやくネタまみれになりたい。
出来は……†悔い改めて†
俺がVtuberという概念に初めて触れたのは12歳の頃。
小学生の頃自分のパソコンやスマホといったものを持つことを許されていなかった俺は、卒業と同時に親から今世初のスマートフォンを与えられた。中学生になるにあたって連絡手段として持っておけとのこと。
それまで親のパソコンにすら触れられなかった俺はやっと手に入れたネットに触れるためのツールに内心小躍りしていた。
そうしてそれでは早速とばかりに俺はyoutubeやニコニコなど今の今まで触れられなかったものや情報を漁りにネットの海に潜り──そこで初めてVtuberというものを知った。
前世俺が生きている間、別にVtuberというものがなかったわけではない。広告や展示パネル、グッズなど所々街中で目にする機会はあった。
ただ当時Vtuberというジャンルが急速に成長していく最中、俺は仕事に忙殺され自由に使える貴重な時間は新しい分野を開拓することにではなく馴染み深い趣味につぎ込んでいた。
だから俺はそのときまでVtuberというものがなんなのか詳しくは知らなかった。
故に衝撃だったのだ。2D or 3Dのキャラクターをアバターに配信をするという形態。リアルの顔は見せない匿名性と、万人受けしやすいアバターによるアイドル性の強さなどなど。挙げればきりがない。青天の霹靂とはこういうことを言うのだろう。
さて、そういうものに影響を受けやすい俺である。当然俺の心にはVtuberになりたいという熱が生まれていた。思ったが吉日いざ鎌倉と意気込んだ俺。しかしそこで大きな障壁が立ちふさがる。両親だ。
今世の俺の両親は、世話になっている身として大変失礼ではあるがゲームやアニメ、漫画をはじめとした娯楽を一切良しとせず、自分の理想通りの行動を求め、俺の将来を勝手に決めつけてくる拘束の厳しい煩わしい存在でしかない。
──俺はお前たちの人形なんかじゃない。
そう一言意義を申し立てたい。しかしそうしたところで相手は聞く耳を持っていないし、当然Vtuberをやりたいなんて言っても通じることは決してない。それどころか拘束がより増すだけに終わるだろう。
故に俺は考えた。
──一人暮らしをすればいい。
仮にもこれまで従順どころか自ら進んで勉強に励み学業において好成績を叩き出してきた俺だ。その実績から生まれる親の信頼を利用し親の監視下を離れるのだ。
ということで俺は早いうちに色々な経験を積みたいだの将来のためだのと何とか親を言いくるめ、無事中学生になると共に安いアパートで一人暮らしを始めた。
そしてそこから中学生でもできる新聞配達などのバイトをはじめ、生活においても細かく節約したり親をうまく言いくるめて資金や機材を揃えたりと全体的に配信環境を整えることに注力し、中学2年半ばでやっとこさ後は配信をするまでに至った。
そう、今──
「や、やっと……!」
熱意を抱いてからおよそ一年半準備に時間をかけたのだ。思わず声に出てしまうくらいには嬉しいもので。
あとは機材をセットして配信ボタンをクリックするだけ。それだけでナナシノ・バンとして俺は第一歩を踏み出すことになる。
──だがここで焦ってはいけない。
いきなり名も知らぬ個人勢が生配信なんてしてもオフ0と化すだけだ。
まずはVとして事前に開設していたTwitterで告知し、ツベに自己紹介動画を投稿しなければならない。滑り出しは基本に忠実に。ここでこけては話にならない。
幸いVtuberとして一年前に用意したTwitterアカウントは、前世から続く趣味のイラストを定期的にあげてフォロワーを事前に2千人ほど獲得できている。そしてツイートした告知だがいいね三桁、リツイート二桁となかなか反応が良かった。
さて、あとは自己紹介動画を撮って投稿するだけだ。いざ鎌倉!
「ハローワールド! 新人Vの自己紹介の時間だよ────
──後日。