支部の方は各話おまけのキャラ設定付き
ガッツリ救済していきます
「なぁゼロ。あの噂聞いたか?」
「なんだ?」
「死体が消えたり動き出したりする「人魂さん」ってやつ」
「あぁ、聞いてくれてヒロ。その噂のせいで仕事が増えて大変なんだ。この数年で既に二百件。死体が消えたと思ったら一ヶ月後に必ず見つかるというふざけた案件」
「お、おう」
「上層部が抱えきれなくなってこっちに寄越してきたんだ」
「…カフェインいるか?」
「いる。…なぜ二百になるまで放っておいた!明らかに凶悪犯だろ!証拠隠滅、現場は荒らされ、未解決!しかも組織の人間が遺体の六割!絶対ぶん殴る」
「犯人殺さないように、ほどほどにな」
「あぁ。死なない程度に殺すから安心しろ」
☆
はぁい、こんにちはこんばんははじめまして。
現在東都で広がってる噂、もしかしなくても私のことだったりします。
私はまぁ所謂転生者、というもので、今は人魂の姿で生活している。人の魂で人魂ね。火の玉みたいなやつ。
どうしてこうなったのか原因は不明。というか絶対神様の嫌がらせだと思ってる。
転生した直後から前世の記憶があったにも関わらず、ここが某見た目と精神年齢不一致の名探偵の世界だと気付くまでに十三年かかった。長かったね。でも仕方ないの。釈明させて欲しい。
死んだと思ったら人魂の姿でこの世界に漂っていた。幸か不幸か前世の記憶があったから、足りない脳味噌フル回転させて自分の置かれている状況を整理した。結果わかったのは以下の四点。
・死体に憑依して操る事ができる
・人魂は人間には見えない
・人間の三大欲求(食欲、睡眠欲、性欲)を必要としない
・人魂の状態なら、つまり憑依状態じゃなければ壁を通り抜けられる
いや〜便利だね、この体。ぶっちゃけ前世より高待遇なんじゃないかな、って、当時は思ったよ。
衣食住必要ないし、遊びたい放題。死体に憑依して殺人犯を逆に追い詰めたりなんかして、それなりに楽しんでいた。
しかしこれが数年なんかになるとね。うん。
『飽きた』
飽きた。
普段他人に認識されない上、食べ物という娯楽がない。そこら辺の町を歩こうものなら飯テロが殴って来るので正直ツライ。
死体にとりついてもやる事がない。というのも事件現場に推理小説家とその息子が現れるようになって、自由に憑依しにくくなった。ここでやっと世界観に気付いたわけだよ。お疲れ様でした。行く先々で出会うもんだからどっちが呪われてんだから分かんないよね。君が死神なの?それとも私が不幸なの?多分どっちもだね!!!!デバフの重ねがけ一丁お待ちぃぃ!
と、ここまでで十三年。
そして、原作第一巻が始まらないまま十七年がたった。
相変わらず事件は多けれど、暇。なんか面白い事起きないかな?警察に不法侵入するのが趣味になっちゃいそうだよ。
はぁ………………………………。
『ひ!ま!!!!!!』
原作が本格的に始まってないせいで大きな事件が起きない。
もーいっそのこと早く名探偵誕生してくんないかな?事件増えてもいいからさ。
♢♢♢♢♢♢♢
事態が急変したのは私が毒殺死体に憑依した直後だった。
数人の走る足音が近づいてきたのでなんか面白そう、と物陰から覗ったら前世からの推しがいました。あと数分で死にそうです。推しが。
『よーし。お姉さんに任せときぃ!原作改変お手の物ォォォ!久しぶりに楽しくなってきたゾォ!!』
シリアス?しらねぇ名だなぁ。
ってわけで推しを尾行中ですイエイ。
推しを追いかけてる間に聞いて欲しい事があるから聞いてほしい。
最近例の黒ずくめの組織さん、活発に動いてましてですね。路地裏なんかでちょくちょく鉢合わせする機会が増えたわけですよ。人魂だからあっちからは見えてないんだけど。人を襲った後毎回のように薬を飲ませていくんですよ分かります?そう!アポトキシン4869試作品ですね!!!んでここからが問題なんだけど、この組織産の死体、めっちゃくちゃ憑依しやすい。めっちゃめっちゃくちゃ憑依しやすい。
今まで憑依してきた死体は数あれど。刺殺はグロテスク、射殺は穴空いてるし、絞殺はなんか生理的に無理、撲殺は論外、と難ありだった。比較的綺麗な死体に憑依はしてたけどすれ違う人達の青ざめた顔に申し訳なくなった。血塗れ穴あきアザありの人間とすれ違いたくはないよね…。綺麗とはなんぞや?っていう。
そして出会った毒殺死体(組織産)。良質な傷の少ない肉体、証拠の出ない内臓、優良物件すぎるぅぅ。と一人で路地裏でダンシングしたのは記憶に新しい。
まさかあちら側に感謝する日がこようとは。
♢♢♢♢♢♢♢
ビルの屋上に二つの人影を確認する。
この際仕方ないのでこの死体は諦めよう。きれいだったけど。もったいないけど。うん、また見つければいいよね…。今は救出イベントに専念しなきゃ。久々のどきどきわくわくなんだから。
『うおっし行くっぞぉ!!!』
憑依を解いた体でビルのエントランスから屋上まで垂直飛びする。壁も天井もすり抜けて途端に視界が開ける。
そこには今まさに引き金を引かんとする推しの姿が。
『へい、らっしゃい!!ご注文は救済ですか?!!!!!!』
ぶっちゃけ何も考えてなかった。
垂直飛びの余力そのままに勢いよく彼の体にダイブした。結果何が起こったと思う?
『こんにちは!!おじゃましてます!!』
彼の体に憑依しちゃってたんだねこれが。まさか生きている人間にも憑依できるなんて思ってもみなかった。いや試さなかっただけで元々できたのかもしれないけど。
彼の体に入り込んだ私は、とりあえず自分の口から自分のものではない声が発せられて混乱している推しの手に握られている拳銃を、これまた目の前の男から男の声ではないものが聞こえて警戒しているウイスキーに突き返した。
受け取ってくれたよ優しいね。
「スコッチ、君は一体何者なんだ?」
「いや…俺が知りたい…」
混乱顔の二人。絶景。
一件落着でめたしでめたし!!
この後自己紹介しあってお互い潜入捜査仲間だと分かり和解した後、遅れて到着したイケメンがウイスキー(胡散臭い方)をストレートで殴ったところまで観戦してから帰った。
楽しかったな!!
☆
路地裏に帰ったら毒殺死体は消えていて、代わりに規制線が張られていた。
せっかくいい死体が見つかったと思ったのに。まあ仕方ないか、諦めたのは自分。しばらくはまた人魂の姿で生活しよう。今日の私は機嫌がいいのだ。
推しの救済ついでに暇つぶしが出来た私は完全に浮かれていた。そこ、もともと浮いてんじゃんとか言わない。
あれから数日、現在私はスコッチをストーカーしている。この体すごいんだよ、ストーカーしても気付かれないし尾行し放題。是非公安に欲しい人材だな、って言われてもおかしくないと思うんだ。協力者になって欲しいなんて言われたらはい喜んで!って答える自信がある。暇じゃなくなれば基本どんなことでもするっていうのが私のポリシーだからね。
この世界で退屈するなんて考えてもいなかったけど、実際暇になってるわけで、これが人間に転生してたらまた違ったんだろうなぁって思うときはある。人魂は人の魂が抜け出たものってウィキに書いてあったから、私の肉体もどこかにあるのでは?と期待を抱いた時期もあった。人口七十億人って数字を見て探すの諦めるまでそう時間はかからなかったけど。そもそも、転生したらスラ〇ムだった件みたいに、転生したら人魂だった件が始まった可能性だって考えられる。人生何が起きるか分からない。
前方を歩いていたスコッチが足を止めた。はて、ここに何の用だろう。ブロック塀に囲まれた狭い路地。彼の放つ殺気が空気をピンと張りつめさせる。
「そこに居るのは誰だ」
スコッチが鋭い目つきでこちらを睨んでくる。誰かいるのかな。見渡す限り人影らしきものはない。
「さっきから後をつけてただろ」
そんな人いたっけ?そんな怪しい人がいたら私が気づかないはずないんだけどな。感が鈍ったかなぁ。
「そこに居るお前だ!」
スコッチが私の潜んでいる電柱にずんずんと近づいてくる。後ろを振りかえっても誰もいない。
え?怖!!!!!私に見えないものが見えるなんて一体あなたはなにものなのぉぉぉ?!!
「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」
『へ?』
彼と目が合った。目が?合った?????
え、ちょい待ちちょい待ち。人魂に目があんのかとかいう突っ込みは置いといて、(心の目で見てるの!)彼、今私を見て悲鳴上げたよね。目の前には腰を抜かしたスコッチが転がっている。もしかして私が見えてる?でもなんで?今までだって彼と接触がなかったわけじゃない。尾行だってこれが初めてじゃないし、その時は何回やっても気付かれなかった。
でも、これ、完全に見えてるよね…。
『えっと…こんにちは?』
目の前でふら〜と倒れる気配がした。
♢♢♢♢♢♢♢
ちょうどタイミングよく近くで殺人事件があったようなので、死体を拝借して戻ってくると、大の大人が路地裏で倒れたまま放置されていた。この路地裏は比較的治安がいいから事件も偶にしか起きない。
けど、無防備すぎる。
殺人は起きなくともスリとかはいるから気をつけたほうがいいと思うんだ。
『おーい、起きて。起きてくださーい』
スコッチの頬をペチペチと叩く。こういう時肉体があると便利。借りてきて正解だったな。
ペチペチペチペチペチペチペチペチペチペチ。
起きないなぁ。
ペチペチペチペチペチペチペチペチペチペチ。
楽しくなってきた。
ペチペチペチペチペチペチペチペチペチペチ。
「ぅぅ…………。わぁぁ!!!」
「あ…」
ガバリッと起き上がったスコッチ。状況が呑み込めないのか辺りをキョロキョロと見渡している。そして私の姿を認めた途端。
「ちょ!君!大丈夫か⁈待ってろ今救急車を呼ぶからな!」
と叫んだ。
あーー、うん。これは私が悪い。また人魂なんて見たら気絶するかも、と思って死体を拝借してきたけど…逆効果だった気がしてきた。
普段は毒殺死体に憑依してるから外傷は無いが、今私が憑依してるのは撲殺死体。額からがっつり血が流れている。ちなみに死後三十分ってところ。そりゃいきなりこれ見たら事件に遭ってきましたぁっていう生者が助けを求めてきたようにしか見えないよね。
『安心してください、死んでますよ』
「死んでる…って。どういう…?」
スマホを起動しようとしていたスコッチの手が止まる。心なしか手が震えてるようだけど私は優しいから見ないふりをしてあげよう。
『ほれ、こーゆうことです』
「ひっ」
目の前で憑依を解くと、死体はドサっという音と共に地面に倒れ込む。あー、仏さんに申し訳ない。あとで呪われそうだよ。それにしても目の前のスコッチの引きつった顔。死体なんて見慣れてそうなもんだけどなぁ。撲殺はダメだったかなぁやっぱり。ちょいと潰れちゃってるもんね。
「浮いてる…、見間違い…じゃない…」
…………………だよねーーーー!!!
あのスコッチが、公安の幼馴染が、我らがヒロさんが死体に驚くわけないよねー!!うんうん、いやまじでなんで見えてんねん!頭でも打った?ゴリラにでも襲撃された?ジンに背後から襲われちゃったりした?
『マジか…』
「マジか…」
まさか見える人が現れるなんて思ってなかったし、それが推しだとも思ってなかったからどういう反応していいか分かんない。え、ホントどうしよう。人とまともに話すの久しぶりすぎて泣きそう。
「何故見えるのか、考えられる原因を十文字以内で述べよ」
あ、現実受け止めるの諦めたなこの人。真顔やめてこわい。
「思えば変なんだ。自分の意思に反した動きをするし、自分の声じゃない声発するし、おまけに変なの見えるし…、俺、死んだのかな。ごめんな…ゼロ。お前を残して死んじまって…。ぐすん。」
『いやいやいやいや、死んでないから、君生きてるから、てか助けたの私だし。誰が中に入って、助けた、と、お、も、って………ん?』
あっれれ〜おっかしいぞ〜。なぜその可能性に気付かなかった?いやぁやらかした気がする。私的にはラッキーなんだけれども。今までやってこなくて最近やった変化なんて一つしかないよね。
『私のせいです!!!はい六文字!!』
「は?」
『いや先日の君の奇行と今見える現象、私のせいだなって思って』
「…。」
「これは夢だ…、胸を撃ち抜けば覚めるかな…。あ、拳銃持ってない…ちくしょう、夢の中くらい思い通りになったっていいじゃないか!」
『現実だから!普通に死ぬから!人魂に出会ったくらいで自殺しないでよ!日本の警察官しっかりしろぉぉぉぉ!』
先日の威厳どこいった!携帯ごと日本のために撃ち抜こうとしたあなたはいずこ。てか本気で拳銃ないこと悔しがんないでよ危機的状況じゃないんだから。
死んだと思ったり死のうとしたり忙しいな。
『んもー、お巡りさん、とりあえず仕事して!』
私たちの間で可哀想な仏さんの死後硬直は進んだ。
☆
『火星探査機、はくちょうがいよいよ地球に帰ってきます!』
電気屋のテレビから漏れる女性アナウンサーの高らかな声。
あれから数年、無事名探偵は誕生し、時系列は何それ美味しいの?になった。
ついに劇場版が来る!と思ったらいきなりゼロ執だった時の気持ちよ。ボスキャラにいきなり挑めと?ほー、神様はとことん私に喧嘩を売りたいようだ。受けて立とうじゃない。
ショーウィンドウに反射する私の姿は二十代の男性。ポケットからこれまた拝借してきたスマートフォン。お世話になります。
プルルルル プルルルル
「誰だ?」
『はーい、ヒロさん。私人魂!今電気屋の前にいるの』
「人魂さん、また人のスマホを」
『んなことどうでもいいからさ。君いまどこ?公安のみんなと一緒?』
「はぁ。いや、家。他のメンバーはサミット会場の点検」
『だと思った。よしヒロさん今すぐそっちに向かうからライフルと車用意して待ってて』
「は?」
『んじゃよろしく。用意してなかったら夜枕元に立つから!』
公安のスケジュール覗き見といて大正解。普段やりたい放題させて貰ってるからたまには恩返ししないとね。パソコン表示させたまま席たっちゃダメだぞ、かざみん。どっから除かれてるか分かんないんだから。
歩き進めると閑静な住宅街にたどり着く。ここら辺でいいかな。
プルルルル プルルルル
『私人魂、今コンビニの前にいるの!』
『私人魂、今あなたの家の前にいるの!』
『私人魂、今あなたの背後にいるの!』
「お前それやりたいだけだろ!」
『準備出来た?』
「話を聞け」
『行くよ』
「体は。」
『玄関の前にある』
んな嫌な顔しないで欲しい。仕方ないじゃん、体があると壁通り抜けられないんだから。側から見たら、酔っぱらった男が玄関前で力尽きたようにしか見えないから大丈夫。何の問題もないって。
♢♢♢♢♢♢♢
「で、ライフルなんて持ってこさせて何やるつもりなんだ?まさかっ!最近死体が手に入りにくいとか…」
『いやさすがにそれはないから。そんな冗談言う暇あるなら君の幼馴染に睡眠時間のひとつやふたつあげた方がよっぽど世の為だわ』
「じゃあいったい何を」
目の前に見えるのはサミット会場。お察しの通り、これから春の風物詩が見られる。だけど、さすがに未来を知ってて犠牲を見逃すことができるほどまだ落ちちゃいない。
人魂さんだってね、人道くらい弁えてるんだよ!
『一時と十一時の方向!狙撃用意!!』
「これは、正義か?」
『もちろん。君の手を、これ以上血で汚させるわけないでしょう?』
「おーけー。信じよう」
『よし!』
ヒロさんと目が合う。
『撃てーーーーー!!』
放たれた弾丸二発。サミット会場に向けて一直線に飛んで行く。流石、スナイパーの腕は健在だね。頼もしい限りだよ。私じゃ、憑依したところで知識は扱えないから。腕は本人の記憶の中だけ、覗き見れないものだもの。
『ナイスショット』
「ふぅ。」
スコープから目を離したヒロさんの大きなため息。絵になるなぁ。まったく惚れ惚れするよ。そのスコープ割れてて役に立ってないの知ってるけど。この前躓いて割ってるの見ちゃったんだよね。このうっかりさんが。
「で、俺は何を狙って撃ったんだ?」
『風見さんと降谷さんの枝毛。』
「は…。はぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!えっ?え?」
『おー、出てくる出てくる。見て見てヒロさん。蜂の巣突っついたらみんな出てきた!』
サミット会場から一斉に外に退避してくる公安さん達。計画通り、計画通り。なかなかうまく行くもんだ。
「狙撃されたなら外より建物内の方が安全なんじゃ。なんで外に出てくるんだ。」
『フッフーン!よくぞ聞いてくれました!』
「まさか…」
『イエス!この計画のためにちょいちょいっと指示をいじらせて貰いました!風見さん達は何か不測の事態が起きたら、それが何であろうと外に退避するように。降谷さんは、まぁ狙撃されたら犯人の証拠でも何でも掴もうと外に出てくるかなぁっていう、あの正義感にかけた』
「何のために」
目の前で爆発が起きる。
『このために』
間に合った。のかな。まだ生存確認してないから何とも言えないけど。隣でヒロさんの携帯が鳴ってるって事はまぁ大丈夫だったんだろう。ヒロさんの表情も明るいし。
「全員無事だそうだ。人魂さん、責任とってね」
『そうか。ん、何の?』
「ゼロに、バレた」
『うそ…。狙撃で誰か分かるなんてもはや変態の域じゃん』
怖すぎるよトリプルフェイス。青ざめた表情のヒロさんが隣で念仏唱えてるし。これ私も見つかったら強制成仏(物理)されるやつじゃん。
うん、しばらく憑依はやめておこう。
♢♢♢♢♢♢♢
幸運なことに、降谷さんその他はゼロ執終了まで合流出来なさそうなので、ヒロさんの家で話し合い中ですナウ。
「とりあえず一発くらうのは確実だろうな」
『その流れ弾で私、消えそうだよね』
「…。謝るか、いや謝って済むなら警察いらねぇよな。てか俺が警察!あぁぁぁぁどうすりゃいいんだよ!」
『そもそも助けたんだから礼の一つくらいあったっていいと思うんだよ!ここは堂々といこうよ堂々と!ヤバくなったら止めるから!憑依して止めるから!』
「それやったら、あいつにもお前の姿見えるようになるよな」
『多分なるね。死ぬね』
「とりあえず、この不毛な話し合いはやめるか。多分ムダだ。その時になったら考えよう」
座った目に何とも言えない。諦めたら試合終了?試合する前にぶちのめされるんだから諦めたっていいんだよ。私らに勝ち目はねぇ。
「爆発なんて久しぶりに見たな」
『私が爆弾犯狩りしてたからね』
「なにそれ」
『爆弾仕掛けようとしてる犯人の背後に立って「火の用心、火のよーじん」って唱えるの。血だらけでね。大体その後自首する』
「可哀想」
『いいじゃない。心の平穏と引き換えに町の平穏(笑)守ってたんだから』
「待って、その(笑)はなんだ」
『爆弾犯捕まえただけじゃこの町の犯罪率減らないし』
今回の爆発だって、ネット回線でやられたから直接犯人に接触出来なかったわけだし。
人魂さんに出来ることなんてそう多くわないわけよ。
「なにも言い返せない」
『爆死死体だけは嫌いなの、私。論外以上にムリ』
「あー。あれか、憑依に使えないから?」
『正解ー。さすが、ヒロさん。警察官の発言とは思えない』
「ゼロとかお前みたいな常識通用しない奴といすぎたせいで感覚麻痺してんだよ」
『それは君も大概だけどね』
「とりあえず、生きられるといいな、俺たち」
『そうね。フロントガラス素手で粉砕してモノレールの上を車で逆走した挙句、燃えた車でジャンピングした男の拳から生きられるといいね』
「………、逃げよっか」
ヒロさんが叫んでる「あああああ」は文字数稼ぎに含まれないかな、大丈夫かな
一応それを抜いても最低投稿文字数は超えるので…
何かマズい点があったら教えてください