ウルトラマンゼロの使い魔   作:焼き鮭

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第百話「怪獣100匹!増殖計画」

ウルトラマンゼロの使い魔

第百話「怪獣100匹!増殖計画」

脳波怪獣ギャンゴ

地獄超獣マザリュース

夢幻怪獣バクゴン

百体怪獣ベリュドラ 登場

 

 

 

 内容が連続している夢を毎日見るようになった才人。その上、ルイズやシエスタなどの学院の人間が、同じ夢を見ているようだということを知る。その原因は何なのか、と調査を始めたのだが……その矢先にリシュが少女から、成熟した亜人の姿へと変貌した! 才人はリシュの術中に陥り、ルイズたちの目の前でどこかへと消されてしまった!

 しかもそれと時を同じくして、トリステイン中で異常事態が同時発生し始めたのだった……!

 

 トリステインのとある町の一つ。ここに、突如として一体の怪獣が出現した。

「ギャアオオオオオオウ! オオオオウ!」

 首と一体化した頭部の左右から回転するアンテナが生え、腕はマジックハンドのよう。腹部にはトーテムポールを思わせる模様と、およそ自然に生まれた生物とは思えない奇妙な外見をした怪獣、その名はギャンゴ。それが何の前触れもなく町のど真ん中をうろつき始めたので、町中がたちまちの内に大パニック。住民が大慌てでギャンゴから離れるように逃げていく。

「ギャアオオオオオオウ! オオオオウ!」

 我が物顔で町を闊歩するギャンゴ。と、その時、民家のガラス窓が光ってミラーナイトがこの場に登場した。

『せぇいッ!』

 ミラーナイトは早速ギャンゴに飛びかかっていき、チョップを繰り出す。

 だがチョップはギャンゴの身体をすり抜けてしまった!

『何ッ……!?』

「ギャアオオオオオオウ!」

 動揺するミラーナイト。ギャンゴの方はそんなミラーナイトを意に介さず、腕を振り上げて近くの民家の屋根に振り下ろした。

 U字型の手が当たり、屋根が抜けて民家が破壊された。

『! この状況……昨晩と同じ!?』

 こちらから全く触れられない怪獣が、物を破壊する……昨日出現したレッドキングと同じであることに、ミラーナイトはすぐに気がついた。

「ギャアオオオオオオウ! オオオオウ!」

『くッ……!』

 それでもミラーナイトはどうにかギャンゴを止めようとしたが、何をしても一切が無駄であることを思い知らされ、やむなく退却する他なかった。

 ギャンゴは今のところ、積極的に町を破壊しようとはせずに徘徊しているだけ。それだけが救いであった。

 

「オギャ――――――!」

 別の町では、けばけばしい色彩の巨大生物が赤ん坊そっくりの叫び声を発しながら、町の人たちを脅していた。超獣マザリュースである。

『ビームエメラルド! ジャンナックル!』

 それに果敢に攻撃を仕掛けているのはジャンボット。しかし、ミラーナイト同様、全部の攻撃がマザリュースをすり抜けてしまい、効果を上げられない。

『駄目だ……! 触れることすら出来ない……!』

 どうすることも出来ずに立ち往生するジャンボット。彼は内蔵のレーダーでマザリュースを確認する。

『レーダーには確かに実体の反応がある。しかしこれでは虚像同然ではないか。どんな仕組みになっているんだ……!?』

 その謎は、ジャンボットの電子頭脳を以てしても解くことは叶わなかった。

 

「グアアァァァ――――!」

 また別の町では、夢から脱け出てきたかのようにデタラメな怪獣がうなりを発していた。怪獣バクゴンという。

 それに対峙するグレンファイヤーも、先の二人と同じ状況に陥っていた。

『だぁぁぁッ! 全っ然掴めねぇーッ!』

 グレンファイヤーはバクゴンに何度も掴みかかるのだが、手は空振りするばかり。徒労ばかりが重なり、肩で息をする。

『このグレンファイヤー様が、怪獣を前にしてすごすご引き下がるしかねぇなんて屈辱だぜ……! けど、他にどうしようもねぇ……』

 悔しさを噛み締めながら、グレンファイヤーはバクゴンを放置して退却していった。

 

 そしてトリステインの中心、トリスタニアでは、もっと大きくもっと恐ろしい怪獣が出没していた。

「ウオオオオオオォォォォ……!」

 城下町を、比喩でも何でもなくそのまますっぽりと覆い尽くす悪魔のシルエットを都中の人々が見上げ、恐れおののく。

「な、何だあれは……!? あれも怪獣……いや、生き物なのか……!?」

「で、でかすぎるだろ……!」

 アルビオンに出兵した者は巨大超獣ゼロキラーザウルスを目にしているが、そびえ立つ怪獣はその何十倍はあるという、異常にもほどがあるサイズ! その身長、何と約4000メイル! 桁が違う! あまりに大き過ぎて、トリスタニアからでは全容が見えないくらいだ!

「よ、よく見たら何匹もの怪獣が積み重なって出来上がってるぞ! 気味悪い……!」

 そしてその怪獣は、大量の怪獣が折り重なって悪魔に似た輪郭を構成していた。最早滅茶苦茶。心臓の弱い者は、その事実だけで卒倒するありさまであった。

「一体何匹の怪獣がいるんだ……? 百匹か……!?」

 誰かがそんなことを言った。その通り、あの異形の大怪獣は百体怪獣の異名を冠する、その名もベリュドラである。

 現在はその場に直立しているだけだが、もしあれが暴れ出したとしたら……トリスタニアは丸ごとペシャンコにされてしまうだろう。それを考えると、人々は全く気が気でない。ベリュドラはそこにいるだけで人々を脅かしている。

 王宮からは、アンリエッタもベリュドラを見上げて戦慄していた。

「……一体この国に、何が起きているの……?」

 

 トリステインの各地に出没した怪獣たちにまるで手出し出来ずに撤退したミラー、グレンは、魔法学院のルイズの部屋に集合していた。

「あーもー! 何がどうなってんだ! 殴れなきゃ戦いにすらなんねぇぜ!」

 頭をかきむしりながら喚いたグレンに、ミラーがうなずく。

「今はまだどの怪獣も比較的大人しいですが……仮にあれらが暴れ始めたら、未曽有の大惨事になるのは必至です。その前に、どうにか対処しなければ……」

「けど対処するったって、一体全体どうすりゃいいんだ? そもそもあいつら何なんだよ。本物の怪獣なのか? それとも俺たち全員が悪い夢でも見てんのか?」

『……あの怪獣たちの出現は、サイトが誘拐された直後のことだった。この二つが関係していると考えるのが自然だろう』

 シエスタの腕輪から、ジャンボットが意見する。

『ここから導き出されることは、この事態はリシュが引き起こしているのだろう』

「けどよぉ、どんな力がありゃあここまでぶっ飛んだことが出来るんだ? いやそれ以前に、リシュは何者なんだよ。ちっこい女の子かと思えば、いきなり大きくなりやがったんだって? おまけに宇宙人が協力してると来た。ゼロまでテレパシーが途絶えてやがるし……」

「その点が解明できれば、謎は一辺に氷解するのでしょうが……」

 三人の相談の傍らで、シエスタ、そしてルイズは重苦しい表情でうつむいていた。

「サイト……」

 ルイズはベッドに腰掛けながら、枕を抱きしめて才人の身を案じてつぶやく。

 その時、部屋の扉が忙しなくノックされたかと思うと、勢いよく開け放たれた。

「失礼するぞ! ルイズ、サイトが消えたと聞いたが!」

 駆け込んできたのはクリスであった。彼女はミラーとグレンの顔を目にして一瞬驚く。

「あなた方は……?」

「私たちはサイトとここにいるルイズたちの友人です」

 簡単に説明したミラーが、クリスに促す。

「クリスさん、あなたのことは伺ってます。突然ここに来られたということは、もしやあなたはサイトが消えたことに関して何かご存じなのでしょうか?」

「ああ、そうだ。サイトと話をした後、色々と調べ事をして、あることの確信を得ていたのだが……一歩遅かったようだな。まさか、こんなに早く動くとは……」

 クリスの言を聞き、ルイズがバッと顔を上げる。

「クリス、あなたはリシュについて……サイトを連れ去っていったあの女のことを、何か知ってるの? だったら教えてちょうだい! お願いッ!」

 必死な顔で懇願するルイズ。それを受けて、クリスは一時瞑目した。

「……皆を巻き込んではと思っていたが、こうなってしまったからには黙っている意味はないか。分かった、わたしの知っている全てを話そう。ただし、月並みな言い方だが、これは『ここだけの話』ということにしてほしい」

 その頼みに皆がうなずくと、クリスは己の抱えている事情をこの場の者たちに打ち明け始めた。

「話は恐らく、皆が思っている以上に大きい。順序立てて説明しよう。まずはわたしがこの学院に来た理由から話す」

「トリステインの魔法技術を勉強されるためではなかったのですか?」

 意外そうにシエスタが聞き返す。

「それは表向きの理由だ。本当は……サキュバスを封印するために来た」

「……さ、サキュバス? それ一体、何なの? ま、まさか、怪獣?」

 唖然とするルイズ。座学の成績がトップクラスの彼女すら、そんな名前は初耳であった。

「いや、怪獣とは違う。先住の種族、いわゆる亜人の一種なのだが、出生はよく分かっていない。彼らが使う魔法は、四大系統には属さないものだ」

「属さないって……つまり、先住魔法?」

「いや、あれを魔法と呼んでいいものかも迷う。エルフのそれとも大きく逸脱したものなのだ」

 そのサキュバスの扱う魔法とやらを語るクリス。

「サキュバスは、他者に自在に夢を見せる力を持っている。その夢を通して、他者から生気を奪い生きる力を得ている。つまり人間を食い物にする危険な存在なのだ」

「夢……!」

 聡明なミラーは、この時点で何かに察しがついたようだった。

「彼らの見せる夢は相手の望みに満たされた世界であり、決して不快など与えない。そのまま夢の中に留まっていたいと思わせるほどに完成された、偽りの楽園だ。だが、夢を見せられている方は心地よい眠りの中で生気を抜かれ続けていく」

「じゃあ、サイトにき、キスをした女が、そのサキュバスってことなの?」

「今の状況から考えると、そうとしか思えん」

「ですが、サキュバスという名前の種族は噂にも聞いたことがありません。彼らは普段、どうしているのですか?」

 ミラーの問いかけには、クリスは次の通り答える。

「この恐ろしい存在に対して、人間は何もしなかった訳ではない。我が一族が中心となって封印の術を編み出し、戦いの果てに四百年前に封印し、深い眠りに就かせることに成功した。その時間の中でサキュバスの名は世間から忘れ去られたのだ」

「なるほど……」

「しかし、その封印は絶対のものではない。年月によって風化し、破られてしまうこともある。故に、我が一族は定期的に封印を監視し続けてきた。そして、このトリステイン王国に封じられた一体の術が薄れていたことを確認した我が一族は、対サキュバスの戦士でもあるわたしに調査及び再封印の指令を下したのだ」

「そんな事情があったのですか……。そして、そのサキュバスの一体が、サイトさんとミス・ヴァリエールが地下室で発見したリシュさん……」

 つぶやくシエスタ。

「でも、どうして少女の姿をしてたのでしょう……?」

「恐らく、力を温存するのと同時に相手を油断させるためだろう」

 実際、ゼロたちもリシュが未知の種族であることが分かっていながら、子供だからと危険視していなかった。その効果は覿面だった訳だ。

「この学院の皆が見た『夢』は間違いなく奴の仕業だ。正体を晒したということは、それだけの力を蓄え終わったということだろう」

「そ、そんな重大な話を、何で今までずっと秘密にしてたのよ!」

 苛立ち紛れに問い詰めるルイズ。クリスがもっと早くにこのことを教えてくれていれば、サイトがさらわれることもなかったのに。そんな気持ちが織り交ざっていた。

「すまない。だが、夢とは精神の無防備な状態。それを支配するサキュバスには、たとえどんな力がある者でも、夢の中では刃向かうことが出来ない。更にはたった一体だけでも、その力は広範囲に及ぶ。記録では、百の人間が一辺に犠牲になったこともあったという。それが明るみに出たら、良からぬ者が生体兵器として利用しようと考える恐れがある。ましてや、戦後間もないトリステインに厄介事を増やしてはいけないと心配したのだ」

 そのクリスの思いを聞いては、ルイズもさすがに文句をつけられなかった。

「だが、今回は秘密にしていたことが仇になってしまった。誰がどこに封印されているかの記録がないので手をこまねいていたが、今をして思えば、もっと早くに周りの協力を求めていればよかった……」

「そ、それでサイトはどうなっちゃうの? まさか、死んじゃうなんてこと……!」

 青ざめて尋ねかけるルイズ。

「……サキュバスは、生気を吸い取る対象を夢の世界に連れ込み、この世界から消してしまうこともある。運よく帰還できた人間もいたが、その時には百年の時間が経過していたということだ」

「ひ、百年……!?」

 ますます顔が青くなるルイズとシエスタ。そんな時間、待っていたら彼女たちの寿命が尽きてしまう。

 ここでミラーが口を開く。

「これで今までの謎に説明がつきました。最近の魔法学院周辺での怪獣の異常な頻出……その原因は、サキュバスことリシュに違いありません!」

「えッ!? ミラー、それってどういうことだよ?」

 グレンが振り向いて問い返すと、ミラーは自分の推理を語った。

「私はゼ……サイトから、夢のことで相談を受けてます。それによると、おかしな夢、つまりリシュに見せられていた夢の開始と怪獣の頻出の始まりの時期はほぼ一致します。要するに、リシュの力は怪獣にまで及んでいたということでしょう。最初の内は、眠っている怪獣を夢遊病のように動かすに留まっていましたが……夢とは本来、脳が記憶を整理する現象。それを操作するということは、相手の精神を掌握するのと同義。力を蓄えている内に、覚醒した状態でも自分に都合のいいように怪獣を操れるほどになったのでしょう」

 しかも、とつけ加えるミラー。

「ここからは私の憶測ですが……怪獣の生命力は人間とは比較にならないほど莫大。その生気を奪うことで、リシュは本来の能力を超えた力まで身につけた。人を現実世界から夢の世界に連れ込むのとは逆に、夢の存在を現実にする力を……。つまり、今トリステインを脅かしている実体とも幻ともつかない怪獣たちは、サイトの記憶からリシュが作り出したものなのです!」

「な、何だってー!?」

 グレンを初め、皆が驚愕した。

「それならば宇宙人が協力してることにも説明がいきます。この能力を駆使すれば、正真正銘百体……いえ、もっと多くの、無数の怪獣を好きなだけ作り出せるのですから。放っておいたら、怪獣をどんどん増殖されるかもしれません!」

「そ、それってどう考えてもやべーじゃねぇか! 早く止めねぇと、手がつけられなくなっちまうぜ!」

「ええ……。クリスさん、どうにかサイトを取り返す方法はないのでしょうか。最悪、サイトを奪い返せばその事態は阻止できるはずです」

 聞かれたクリスが、重々しく告げる。

「我が一族は、夢の世界に侵入し、捕らえられた人間を連れて帰る方法も有している。それを使えば……」

「よぉーしッ! だったら早速頼むぜ! 俺が行って取り返してくる! 善は急げだ!」

 グレンがパンッと拳で手の平を叩いて意気込んだが、ミラーに待ったを掛けられる。

「落ち着いて下さい。向かう先は夢の世界……サキュバスの領域ですよ。相手に圧倒的有利です」

「その通りだ。更に、サキュバスを倒すか術を解かなければ、夢の世界から解放されることはない。戻ってこられる保証はない。助けに行ってそのまま……ということも十分あり得る」

「危険が何だ! 仲間のためなら、そんなもの恐れはしねぇ!」

「だから落ち着いてと……。すみません、クリスさん。少し相談をさせて下さい」

 しばらくの間、クリスには席を外してもらって、仲間内で話し合う。ミラーがグレンを諭した。

「いいですか。気持ちは分かりますが、私とあなた、出来るかどうかは置いてジャンボットも救出役になるのは絶対に駄目です」

「なッ、何でだよ!」

「リシュが宇宙人と組んでいるということは、当然私たちへの準備もあるということになります。実際、ゼロが手も足も出せずにサイトごと捕らえられてしまいました。そして現実世界に怪獣の危機が及んでいる現状、最悪の事態になった時のことを考えれば、これ以上貴重な戦力を失うようなことになってはなりません。更には、私たちが行けばリシュを本気にさせてしまうかもしれない。サイトとゼロは人質でもあるんですよ」

『ミラーナイトの言う通りだ。非情かもしれないが、ここはこらえるべきだ』

 そうと言われては、グレンも反論できない。ぐッ、と言葉を詰まらせるのみ。

「だったら、どうすりゃあ……」

「……わたしが行くわ!」

 と、ルイズが名乗り出た。

「ルイズ!」

「わたしは“虚無”の使い手よ。サキュバスとも対等に渡り合える可能性がある。それに……サイトはわたしの使い魔なのよ。落とし前なら、わたしがつける」

「いいのですか? どんな危険があるかも分かりません。確実に、厳しい戦いになりますよ」

 問いかけるミラー。ルイズは固い決意を顔に表して首肯した。

「分かりました……。クリスさん、話は纏まりました」

 ミラーが部屋の外で待っていてもらったクリスを呼び、ルイズが救出に向かうことを伝えた。

「ルイズ、いいのだな? もう一度言うが、戻ってこられる保証はない。我が一族の技は、あくまで彼らを封じることに特化している。もしお前がサイトに続いて夢に取り込まれてしまった場合は……すまないが、お前たちのことはあきらめて封印を行わせてもらうことになるだろう」

 クリスの警告を受けても、ルイズの意志は変わらなかった。

「覚悟の上よ……!」

 この世界は、恐ろしい危機に見舞われている。世界を救うためには、ゼロの力がどうしても必要なのだ。それだけではない。ゼロは何度も自分たちを助けてくれた。そして才人も、自分を……。

 だから今度は、自分が二人を助け出さねばならないのだ。

「分かった。では準備に取りかかろう」

 早速魔法の用意を執り行うクリス。その間にシエスタ、ミラー、グレンがルイズに言葉を掛けた。

「こんな時、何の力もないのがもどかしいですが……ミス・ヴァリエールに全てを託します。どうか、サイトさんとゼロをお救い下さい」

「夢の世界とは精神の世界。だから何があろうと、精神で負けてはいけません。いいですね」

「つまりドーンッ! と行けってこった! いざという時は勢いだぜ勢い! このこと、忘れんなよ!」

 デルフリンガーは、何やら考え込んでいて言葉を発しなかった。

 最後に、クリスが呼びかける。

「向こうがどうなっているか分からない。夢の世界は不安定で常に変化していると思ってくれ。だから、慎重に。軽々な行動は慎み、機会を待つんだ」

「分かったわ。それじゃ、お願い!」

「では……行くぞッ!」

 クリスが呪文を唱えると、足元に魔法陣が浮かび上がる。

 そしてクリスの魔法を受けたルイズの視界が、徐々に白く染まっていった。夢の世界へと移動していっているのだ。

 

 かくして、ルイズは夢の世界へと旅立っていった。果たして、才人とゼロを救出することは出来るのか。

 

 

 

≪解説コーナー≫

 

※「怪獣100匹!増殖計画」

 

 元ネタは『ウルトラマンA』第九話「超獣10万匹!奇襲計画」。超獣ガマスを迎え撃つTACの作戦区域に現れたのは、カメラマンの鮫島純子。警告する今野を無視して純子がガマスの写真を撮ると、ガマスが忽然と消えてしまった。しかし今度は町中にいきなり出現。RXミサイルで倒されたかに見えたが、ガマスには写真の中に入る能力があり、しかも写真が焼き増しされる毎にガマスも増えることが明らかになった! という話。写真の中に入るという超獣ならではの超特殊能力を持ったガマスとTAC、エースの戦い。今野の主演回だが、あんまりいいところはない。

 

 

※脳波怪獣ギャンゴ

 

 『ウルトラマン』第十一話「宇宙から来た暴れん坊」に登場。元々は宇宙から地球に落下した、人間の脳波によって自在に姿を変える不思議な石だったが、それを盗み取った鬼田の命令によって怪獣に変化。最初は悪戯で人を驚かせるだけで満足していたが、鬼田はエスカレートして巨大化させてしまった。更にその際引き起こした建物の崩落に鬼田自身が巻き込まれて気絶したため、ギャンゴは制御を離れて暴走。鬼田が目を覚まして怪獣を忘れない限り消えることがない事態になってしまった。ウルトラマンも直接は倒せなかったのだが、ギャンゴとの戦闘では水を掛けたり脇の下をくすぐったり馬跳びしたりとまるで遊んでいるようで、本気で戦っているように見えなかった。

 

 

※地獄超獣マザリュース

 

 『A』第二十四話「見よ!真夜中の大変身」に登場。マザロン人によって妖女に変えられたよし子によって生み出された超獣であり、その身体は虚像なのでTACのあらゆる攻撃が通用していなかった。女から生まれた超獣ということで、鳴き声は赤ん坊のようである。

 

 

※ギャンゴ、マザリュース、バクゴン

 

 この三体は「夢の中から現実世界に現れた怪獣」ということで、「『現実』には存在しない怪獣」という共通点を有している。

 

 

※百体怪獣ベリュドラ

 

 映画『大怪獣バトル ウルトラ銀河伝説』に登場。ゼロに敗れたかに思われたウルトラマンベリアルが、怪獣墓場の怪獣たちの霊魂をかき集めて自らの肉体として復活したもの。大量の怪獣が積み重ねられて一つの形を成しているという前例のない異形の怪獣で、まるでスイミーのようである。別名には「百体」とあるが、実際は目に見えるだけでも226体の怪獣が確認できる。ちなみに映画特有の超巨大怪獣の一種だが、CGではなくちゃんとした造形物である。

 元々登場予定はなかったが、ちょうど百話だったのでその記念として出した。




 才人とゼロを救うため、夢の中に侵入をしたルイズ。だが夢の世界はルイズの想像以上の苦難が待ち受けていた! リシュの恐るべき力を前に、窮地に陥りどうしようもなくなったその時、ルイズに手を差し伸べたのは果たして誰か! 次回「迷宮のルイズ」みんなで見よう!

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