ウルトラマンゼロの使い魔   作:焼き鮭

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第百三十四話「三冊目『ウルトラマン物語』(その1)」

ウルトラマンゼロの使い魔

第百三十四話「三冊目『ウルトラマン物語』(その1)」

小型怪獣ドックン 登場

 

 

 

 ルイズの精神力を奪い、彼女を昏睡状態にしてしまった六冊の『古き本』の攻略に臨む才人とゼロ。二冊目の『わたしは地球人』では、暴走した地球人と地球原人ノンマルトの確執にウルトラセブンが翻弄され、最後には宇宙の追放者となってしまうというゼロにとってこれ以上ないほどの苦い物語であったが、それでも本の完結には成功した。しかし三分の一が終了した現在も、ルイズにはまだ目に見えた変化がなかった。

 ルイズを救出する本の旅も三日目を迎えた。三冊目の旅に向けて心の準備を固めていた才人だったが、そこにタバサとシルフィードがやってきた……。

 

 眠り続けているルイズと看護するシエスタ、それから才人たちのいる控え室に入ってきたタバサとシルフィードに対して、才人は一番に尋ねかけた。

「シルフィード、その抱えてる袋は何だ? そんなの持ってたっけ」

 シルフィードは何故かズタ袋を大事そうに抱えている。訝しむ才人に、シルフィードは早速袋の中身を披露する。

「中身はこれなのね!」

 机の上で袋を開き、逆さにして振ると、赤く丸っこい物体は転げ落ちてきた。

「キュー! 狭かったぁ」

「ガラQ!?」

 それはリーヴルの使い魔である、ガラQであった。才人たちはあっと驚く。

「お前たち、これどうしたんだ?」

「まさかさらってきたんですか、ミス・タバサ!?」

 シエスタの発言に、何の臆面もなくうなずくタバサ。

「リーヴルについて、知ってることはないか聞き出す」

「気づかれずに捕まえるのは大変だったのね。このハネジローがパタパターって近づいて上から鷲掴みにしたのね」

「パムー」

 シルフィードの頭の上のハネジローがえっへんと胸を張った。

「よくやるな……。まぁでも、これはありがたいよ。ちょうど聞きたいことがあったんだ」

 才人はガラQに対して、真っ先にこう問いかけた。

「ガラQ、見たところお前は生物じゃないな? けどハルケギニアで作られたものでもない。どこか別の場所で作られた小型ロボットだ。そうだろ?」

 ガラQの質感は明らかに有機物ではない上に、ハルケギニアでは見られない材質のようであった。この問いについて、ガラQはあっさり答える。

「うん。ガラQ、チルソニア遊星で作られたの」

 その返答にシエスタたちは驚きを見せた。

「まさかミス・リーヴルの使い魔が、ハルケギニア外の技工物だったなんて!」

「まあおかしな見た目してんなーとは思ったがな」

 これを踏まえた上で、才人は続く質問をぶつける。

「じゃあお前、今俺が完結させてる『古き本』の文字を読めるんじゃないか? 宇宙人が作ったロボットだってのなら、日本語が読めても何らおかしくない」

「読めるよ」

 これまたあっさりとした回答だったが、シエスタはまた驚くとともに疑問を抱いた。

「ミス・リーヴルの話では、『古き本』の文字はどれも読めないのではなかったのですか?」

『偽証に違いない』

 ジャンボットが断言した。

「嘘吐いてたってこと!? でも何のために?」

 シルフィードがつぶやくと、タバサがうつむき気味に答えた。

「リーヴルはやはり何かを隠そうとしている。それにつながりそうな事柄に関しては、知らぬふりをしてる。恐らくはそれが理由」

「俺たちに話せないことがあるってか。いよいよきな臭くなってきたね」

 デルフリンガーが柄をカチカチ鳴らして息を吐いた。

 才人はいよいよ核心に入る。

「それじゃあ……リーヴルが隠してることって何だ? あいつは俺たちに、何をさせようとしてる?」

 しかし、肝心なところでガラQは、

「分かんない」

「おま……仮にも使い魔なのに、主人のやろうとしてることを知らないってのかよ! かばってるんじゃないだろうな?」

 厳しくにらみつける才人だが、ガラQの答えは変わらなかった。

「ホントに、何も教えてもらってないよ。リーヴル、最近何をやってるのか何も言わない」

「……どういうことでしょうか。使い魔にも秘密にしてるなんて」

 シエスタの問いかけに、タバサが考え込みながら答えた。

「何かは分からないけど、よほどのこと」

「でもこの赤いのからは、これ以上何も聞き出せそうにないのね。きゅい」

 肩をすくめるシルフィードだが、ガラQはこう告げた。

「でもリーヴル、何だか苦しそう。それだけは分かる」

「苦しそう……?」

『単純に、リーヴル自身に野望とかがあるってことじゃないみたいだな』

 ゼロの推測にうなずいた才人は、ガラQに呼びかけた。

「ガラQ、お前リーヴルが心配か?」

「心配……」

「じゃあ俺たちに協力してくれ。リーヴルに何か、やむにやまれぬ事情があるっていうのなら俺たちもそれを解決してやりたい。だからリーヴルについて何か分かったことがあったら、俺たちに教えてくれ。約束してほしい」

 才人の頼みを、ガラQは快く引き受けた。

「分かった! 約束!」

「よし、頼んだぜガラQ!」

 約束を取り交わしたところで、リーヴルが今日の本の旅の準備を整えた旨の連絡が来たのだった。

 

 控え室にやってきたリーヴルは残る四冊の『古き本』を机に並べ、才人を促した。

「それでは始めましょう。サイトさん、本を選んで下さい」

 三番目に入る本を、才人がゼロと相談しながら吟味する。

『ゼロ、次はどれがいいと思う?』

『そうだな……。M78ワールドの歴史を題材とした本はあと一冊だ。それを先に片づけちまおう』

 本の世界とはいえ、故郷のM78ワールドはゼロにとって活動しやすい世界。それを優先することに決まる。

「よし、それじゃあこの本だ!」

「お決まりですね。では、どうぞ良い旅を……」

 リーヴルが一冊目、二冊目と同じように才人に魔法を掛け、本の世界の旅へといざなっていった……。

 

   ‐ウルトラマン物語‐

 

 ここはM78星雲ウルトラの星、クリスタルタウン。その外れの渓谷地帯で、一人の幼いウルトラ族の少年が熱意を滾らせていた。

「よぉーし! 今日も頑張るぞー!」

 彼の名はウルトラマンタロウ。ゾフィーやウルトラマン、セブンら兄の背中に一日でも早く追いついて、立派な一人前のウルトラ戦士になることを夢見るウルトラマンの卵である。

「ほッ! やッ!」

 谷底に降りたタロウは一人、格闘技の自主練習を開始する。それをひと通り済ますと、次の訓練に移る。

「よぉし、光線の練習だ!」

 タロウは近くの適当な岩を持ち上げると、それを高く投げ飛ばして的にする。

「えぇいッ!」

 腕をL字に組んで、タロウショット! ……しかしへなへなと飛んでいく光線は、落下する岩に命中しなかった。

「駄目かぁ~……! よし、もう一度だ!」

 めげずに練習を重ねるタロウだが、何度やってもただ放物線を描くだけの岩に一度も当たらない。何度か思考錯誤を重ねるも、やはり上手くはいかなかった。

「くぅ~……! 今度は飛行の特訓だ!」

 気を取り直してタロウは、崖の上に再度登って空を飛ぶ練習を行う。

「行くぞ! ジュワーッ!」

 しかし勢いよく飛び立ったものの、すぐにコントロールを失って谷間に真っ逆さまに転落していった。

「うわッ!? うわーッ! あいたぁッ……!」

 大きくスッ転んだタロウの姿に、どこからか笑い声が起こる。

「ワキャキャワキャワキャ!」

「誰だ!? どこにいるんだ!」

 タロウが呼ぶと、崖の陰から緑色の、タロウと同等の体格の怪獣がひょっこりと姿を現した。M78星雲に生息する怪獣の一体、ドックンだ。

「ワキャキャキャキャキャ!」

 ドックンはタロウを指差してゲラゲラ笑い声を上げた。

「あー笑ったな!? 僕だって大きくなったら、兄さんたちみたいな立派なウルトラ戦士になって、悪い怪獣をやっつけるんだからな!」

 憤ったタロウがそう宣言すると、ドックンは余計に笑い転げた。

「ワキャキャワキャキャキャキャ!」

「もぉー! 見てろ、お前を怪獣退治の練習台に使ってやるッ!」

 ますます怒ったタロウはドックンに飛びかかり、ボコボコと殴ってドックンを張り倒した。

「ははぁー! どんなもんだーい!」

 しかしこれにドックンの方が怒り、起き上がってタロウに逆襲を始めた!

「キュウウゥゥゥッ!」

「う、うわぁー!? 来るなー! 助けてぇー!」

 途端に怖がったタロウは一目散に逃げ出すが、ドックンは執拗に追いかけ回す。その鬼ごっこの末に、タロウは崖の中腹に登って追いつめられてしまった。

「誰かー! 助けてー!」

「キュウウウウウウ!」

 降りられなくなったタロウを目いっぱいに脅すドックン。――そこに一人のウルトラ戦士がふらりと現れた。

『そこまでにしてやりな』

「キュウ?」

 振り向いたドックンの頭に、青と赤のウルトラマンがポンポンと手を置いてその怒りをなだめた。

『そいつはもうお前を攻撃するつもりはねぇよ。だからそんなに脅してやるな』

 ドックンを落ち着かせた見知らぬウルトラマンを見下ろして、タロウが尋ねかける。

「お兄さん、誰? 何だかセブン兄さんに雰囲気が似てるけど……」

『俺はゼロ。旅のウルトラ戦士さ』

 端的に名乗ったウルトラ戦士――ゼロは、タロウを見上げて言いつけた。

『お前はこいつに謝らないといけねぇぜ。お前さんがこいつに乱暴を働いたから、こいつはこんなにもおかんむりだったんだろ』

「でも、そいつが僕のこと笑ったのが悪いんだよ?」

『ちょっと笑われたくらいでムキになるようじゃ、立派なウルトラ戦士になんてなれねぇぜ? 本当に強い戦士ってのは、他人に何と言われようともどっしり構えてるもんさ』

 ゼロに諭されて、タロウは考えを改めた。

「……分かった。僕、ドックンに謝るよ!」

『よし、いい子だ。さッ、降りてきて仲直りの握手をしてやりな』

「うん!」

 崖の中腹から降りてくるタロウをゼロが受け止め、タロウはドックンと握手を交わす。

「ごめんね、ドックン」

「キュウウゥ」

 タロウと握手をして怒りを収めたドックンは、のそのそと自分の住処へ帰っていく。

「さよならー!」

『じゃあな。元気でやれよ!』

 タロウとゼロに見送られて、ドックンは渓谷の向こうへ去っていった。それと入れ替わるように、『ウルトラの母』がタロウたちの元にやってくる。

「まぁ、タロウ! その人はどなた?」

「あッ、お母さん!」

 タロウは『ウルトラの母』の方へ駆け寄っていった。……その間に、才人がゼロに囁きかける。

『まさか、あのウルトラマンタロウの子供の姿が見られるなんてな……』

『それも本の世界ならではってとこだな』

 この三冊目『ウルトラマン物語』はどうやら、ウルトラマンタロウを主役に据えた成長譚のようであった。しかしウルトラマンが地球で活躍していた時代に、タロウが子供となっている。本来ならこの時点でタロウはとっくに大人になっているので、本当ならあり得ないことだ。

『でもそれ以上に驚きなのは……あの『ルイズ』の姿だよ……』

『ああ……。よりによってウルトラの母の役に当てはめられるなんてな……』

 ゼロは微妙な目で、ウルトラの母……の役にされているルイズを見つめた。

 フジ、サトミのようにこの本でもルイズは登場人物の誰かになり切っていることは予測できたが、今回はまさかのウルトラの母……。この本はウルトラ族の視点であり、女性が他に登場しないからと言って、こんなのアリなのだろうか。胴体から下はウルトラ族で、顔はルイズというチグハグ加減なのでものすごい違和感がある。もうルイズがウルトラの母のコスプレをしているようにしか見えないので、ゼロと才人は気を抜いたら噴き出してしまいそうで内心苦しんでいた。

 そんなゼロたちの心情は露知らず、ルイズはタロウから事情を聞いてゼロに向き直った。

「タロウがお世話になったようで、ありがとうございます。よろしければ、何かお礼をしたいのですが……」

『いやぁ、いいんですよ。旅は道連れ世は情けってね』

 ゼロが遠慮すると、また新たな人物がこの場に姿を見せた。

「ほう、なかなかの好青年だな。顔立ちも含めて、セブンを彷彿とさせる」

「お父さん!」

 頭部に雄々しい二本角を生やした、偉丈夫のウルトラ戦士。タロウが父と呼んだそのウルトラ戦士こそ、宇宙警備隊大隊長にしてタロウの実父であるウルトラの父だ。

 ウルトラの父はゼロを見据えると、こう切り出してきた。

「君は旅の者だそうだが、不躾だが一つ頼みごとがある。聞いてもらえないかな」

『何でしょう?』

「見たところ、君は結構……いや相当腕が立つと見た。それを見込んで、このタロウに稽古をつけてやってほしいのだ。今のタロウには練習相手がいない。私もいつも面倒を見てはやれないので、少し悩んでいたのだ。どうだろうか?」

「えぇッ!? 僕が、この人に?」

「まぁ、あなたったら。いきなりそんな無理をお願いするなんて、失礼ですよ」

 ルイズはウルトラの父をたしなめたが、ゼロは快諾した。

『いや、いいですよ。新たなウルトラ戦士の誕生にひと役買えるってのなら、こっちとしても望むところですよ!』

「おお、やってくれるか! ありがとう!」

「まぁ、本当ですか? 重ね重ね、どうもありがとうございます」

 ゼロの承諾にウルトラの父とルイズは喜び、タロウもまた諸手を挙げる。

「わーい! 僕に先生が出来たー!」

「よかったな、タロウ。彼の下で一層訓練に励んで、早く立派なウルトラ戦士になるんだぞ」

「あんまり失礼のないようにしてちょうだいね。常にウルトラ戦士の誇りを持って、恥ずかしいことのない振る舞いを心がけなさい」

「うんッ! 僕頑張るよ!」

 タロウ親子の微笑ましい家族の会話。ゼロも思わず苦笑したが、同時につぶやく。

『何だか複雑な気分だな……。俺があのタロウの先生だなんて。立場が逆転してるぜ』

 現実のタロウは、ゼロの訓練生時代から宇宙警備隊の筆頭教官の立場に就いていた。ゼロは故あってレオの管理下に置かれ、タロウから教えを受けていた時間は短かったが、それでも確かに立場が現実世界とそっくり入れ替わっている。

 それはともかく、幼きタロウはゼロの前に立って、深々とお辞儀した。

「これからよろしくお願いします、ゼロさん!」

『ああ、こっちこそビシバシ行くからな! 覚悟しとけよ!』

 この本を完結させるには、タロウを一人前のウルトラ戦士に育て上げるのが最も手っ取り早い道のようだ。ゼロは張り切ってそれに取り掛かることにした。

 

 そして始まる、ゼロからタロウへの指導。レオ仕込みのスパルタ教導は、タロウ相手でも手を緩めることを知らなかった。

「やぁッ!」

 ゼロが放ったゼロスラッガーを標的にして、タロウがタロウショットを撃つが、静止しているスラッガーにもかすりもしない。

『駄目だ駄目だ、そんなんじゃ! まるで腰が入ってねぇぜ! 射撃は土台がしっかりしてねぇと照準なんて絶対合わねぇ。腕じゃなくて、身体全体で射線を固定するんだ!』

「は、はい!」

 タロウはゼロの指示通りに腰を据えて、じっくりと撃とうとするが、スラッガーの動きが変わって自分に向かって飛んできたので思わずのけぞる。

「うわぁッ!」

『ひるむな! 攻撃するのをじっと待ってる奴なんかいやしねぇ。敵は必ず反撃してくる! いちいちビビってたら戦いになんかなりゃしねぇぞ。恐れずに相手の動きをよく見て、しっかりと当てていけ!』

「わ、分かりました!」

 厳しいながらも的確な指導を受けて、タロウはスラッガーの軌道をよく観察する。

『そこだッ!』

 そして飛びかかってきたところを射撃。初めて光線が命中した。

「やったぁー! 当たったぞぉ!」

『よーし、その調子だ! どんどん行くからな!』

 タロウに対するゼロの特訓は進む。……本の世界の時間経過は早い。物語が進むにつれ、タロウは少年の姿からみるみる内に青年の姿へと変わっていった。

 しかしゼロもそうそう簡単には抜かれない。タロウとの組手であっさりと一本を取る。

「うぅッ! 一撃も当たらない……!」

『小手先の動きに惑わされるから当たらねぇのさ。視点はもっと広く取って、戦う相手の全体を見ろ! 集中力も足りねぇぞ。自分のやってる戦いの意味は何なのか、何を背にして戦ってるのか、それを思えば集中できねぇなんてことはないはずだッ!』

「はいッ!」

 ゼロに熱心に鍛え上げられ、タロウの実力はめきめきと上がっていった。そしてその末に、タロウ念願の時がやってきたのだった。

「ゼロさん! 父さんから指令がありました。私が地球に派遣される時がやってきました!」

『そうか、やったじゃねぇか!』

「はい! 今地球では、メフィラス星人がセブン兄さんに倒されたエレキングを復活させて暴れさせてるようです。その退治を私が行うことになったんです!」

 メフィラス星人にエレキングとは、現実ではほぼ接点のない組み合わせ。まぁそれはいいだろう。

『遂に初めての実戦ってことだな。けど本当の戦いってのは、どんな訓練よりも険しいもんだ。お前のことは随分と鍛え込んだが、だからって一瞬たりとも油断すんじゃねぇぞ』

「承知してます! それでは私の初陣、どうか見守っていて下さい!」

『ああ。俺も後から地球に行く。そこでお前の戦いぶりをじっくりと見物させてもらうぜ。張り切って使命を果たしな!』

「お願いします! タァーッ!」

 ゼロに一礼すると、タロウは両腕を高く振り上げて宇宙へ向けて飛び上がった。

 いよいよタロウのウルトラ戦士としての初戦の時が来た。悪い怪獣をやっつけて、地球を守るのだ! がんばれ、ウルトラマンタロウ!

 

 

 

≪解説コーナー≫

 

※チルソニア遊星

 

 『ウルトラQ』第十六話「ガラモンの逆襲」に登場した宇宙怪人セミ人間の出身星。そのためセミ人間は、本来はチルソニア遊星人と呼称するのが正しいのかもしれない。『ウルトラQ dark fantasy』のセミ女もセミ人間と同種族なので、ガラQも本当は地球ではなくチルソニア遊星で作られたのかもしれない。

 

 

※「ウルトラマン物語」

 

 1984年に公開された長編映画。物語は「ストーリー」と読む。半分近くはテレビシリーズの再編集ではあるが、日本のみでの制作では初めての新撮パートメインの映画オリジナル脚本作品である。主人公はウルトラマンタロウであり、彼の子供時代から始まり一人前のウルトラ戦士へと育っていく過程、そして宇宙の強大な悪を打倒するクライマックスを描いた成長劇となっている。時系列では『タロウ』後となる『レオ』と『80』のバトルパートをタロウが研究しているシーンがあるので、テレビシリーズとはパラレルワールドとなる世界観であることが窺える。

 

 

※クリスタルタウン

 

 『物語』で設定された、光の国の都市。街の外れには渓谷が広がっており、少年期のタロウはここで特訓をしていた。『ウルトラマンマックス』にも、マックスの回想シーンの中で登場している。

 

 

※ウルトラマンタロウ

 

 1973年放送の『ウルトラマンタロウ』の主役ウルトラマン。円谷プロ創立10周年記念番組であり、それまでのウルトラシリーズの集大成のような作品に仕上がっている。地球に超獣よりも更に強い大怪獣が出現するようになり、東光太郎と融合したタロウは地球を次々襲う怪獣や宇宙人との激闘を繰り広げていった。

 この作品で、それまで多くのことが語られず神秘的な存在とされていたウルトラマンの設定に、身近で親しみやすい要素が数多く加えられた。主人公のタロウには初めて血のつながった両親が設定され、ウルトラ戦士の故郷・M78星雲の様子も映像として明確に表現。ウルトラの国誕生の経緯も設定され、劇中で解説された。脚本も全体的に子供に分かりやすいようになっており、ウルトラマンが子供騙しになったとの批判が入ることもあるが、特撮パートはそれまでの作品の中で一番豪華な作りになっており、時には重く硬派なドラマが描かれることもあった。これらの要素が功を奏したのか、視聴率は安定しており、第二期ウルトラシリーズの中では唯一はっきりとしたテコ入れがなかった。

 

 

※タロウショット

 

 子供時代のタロウ、通称コタロウの放つ光線。ワイドショット型だが、子供故か射程も照準も安定しておらず、自分で投げた岩にも当たることがなかった。

 

 

※小型怪獣ドックン

 

 『物語』に登場するオリジナル怪獣の一体で、ウルトラの星に生息する友好的な怪獣。しかしタロウと同じで子供なのかタロウの失敗に笑い転げたり、殴られて逆上しタロウを追いかけ回したりと、子供っぽい仕草が目立つ。

 

 

※ウルトラの母

 

 『タロウ』から登場した銀十字軍隊長であり、ウルトラの父の妻にして、タロウの母親。ウルトラの父同様に、その大きな愛情で母のように慕われているため、ウルトラの母と呼ばれている。本名は『ウルトラ銀河伝説』で「ウルトラウーマンマリー」とされた。優れた治癒能力の持ち主で、戦いよりも傷つき倒れたウルトラ戦士を癒やし、蘇生させる方での活躍が多い。




 正式なウルトラ戦士としてエレキングとメフィラス星人と戦うタロウ。しかし彼の特訓は終わりではなかった。タロウは来たるべき巨悪を倒すために強くならなくてはならない。しかし敵も待ってはくれない! タロウに代わって戦え、ゼロ! 次回「三冊目『ウルトラマン物語』(その2)」みんなで見よう!

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