ウルトラマンゼロの使い魔   作:焼き鮭

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第二十話「目覚めよルイズ」

ウルトラマンゼロの使い魔

第二十話「目覚めよルイズ」

用心棒怪獣ブラックキング

宇宙ロボット キングジョー

暗殺宇宙人ナックル星人 登場

 

 

 

 トリステイン王女アンリエッタの結婚式を三日後に控えた日、トリステインに国家存亡に関わるほどの危機が降りかかった。クロムウェルに化けたナックル星人の傀儡となったアルビオン艦隊が、ナックルの大軍団とともに攻め入ってきたのだ。侵略部隊はラ・ロシェールからタルブ村に侵入し、暴虐を振るい出した。タルブ村の人々は、怪獣と宇宙人の脅威になす術なく逃げ惑うばかり。

 それに立ち上がらないウルトラマンゼロではない。タルブ村に駆けつけた才人とルイズは、カプセル怪獣の力を借りてシエスタたちタルブ村の人々を救出。そして才人がゼロに変身し、ナックルの軍勢に立ち向かう。初めは数の暴力で危機に陥ったが、ちょうどその時に、過去のハルケギニアに迷い込んで長らく機能停止状態だったジャンボットが復活。ミラーナイトも戦列に加わって、形勢は逆転となった。

 しかし、ナックル星人は余裕の態度を崩さない。大量の円盤群と、ブラックキング、キングジョーを既に戦場に出していて、まだ何か戦力を隠しているのか? ウルティメイトフォースゼロ、頑張れ! タルブの、そしてハルケギニア全土の未来は君たちの肩に懸かっているのだ!

 

 ナックル星人の配下たちと対峙しているゼロは、ブラックキングへと狙いを定めて向き直る。

『俺はブラックキングの相手をする! ジャンボットはキングジョー、ミラーナイトは円盤を片づけてくれ!』

『承知した!』

『お気をつけて!』

 ゼロがブラックキングの方向へ駆け出していくと、残った二人は彼の指示に従う。ジャンボットがキングジョーへ向けて走っていき、ミラーナイトはその場に留まって円盤群の漂う上空を見上げた。

「グアアアアァァァァ!」

 ブラックキングは向かってくるゼロへ熱線を吐き出した。ゼロは左に身体をずらして熱線をかわし、ゼロスラッガーを投擲する。

『ぜりゃぁッ!』

 空中を切り裂いて飛んでいくふた振りの宇宙ブーメラン。だがどちらも、ブラックキングの腕に弾き返された。

『ちッ。やっぱり、俺の技を研究して、俺を倒すために訓練されてやがるな』

 頭にゼロスラッガーを戻して舌打ちするゼロ。ブラックキングは直接戦闘能力があまり優れていないナックル星人の用心棒に値する怪獣であり、基本的な能力も高いが、ナックル星人によってその力を効率良く引き出せるように調教されている。地球侵略時に駆り出された個体は、その時地球を守っていたウルトラマンジャックの技の対策を徹底的に仕込まれたことで、ジャックの技をことごとくはねのけた。

 このブラックキングの力と、もう一つのある「おぞましい武器」によってナックル星人は、ジャックを一度は完全に破ったことがあるのだ。それほどに恐ろしい侵略者なのである。

『だが、ちょっと研究されたくらいで手も足も出なくなるようじゃ、俺はレオからぶっ飛ばされちまうぜ! でりゃあああッ!』

 だがゼロは、筋力が特に強力なブラックキングに対し、あえて肉弾戦を挑みかかる!

「グアアアアァァァァ!」

 ゼロのパンチを見切って防ぎ、豪腕を側頭部に叩きつけようとするブラックキング。普通なら、凶器のような打撲が飛んでくるとなったら、避けようと考えて身を引くことだろう。

 しかしゼロは反対に、自分から飛び込んでいった。前腕を差し込むことで、速度の乗っていない腕のひと振りを食い止めることに成功する。

『はッ! だらぁッ!』

 そして空いている右腕で顔面にチョップを入れてひるませ、その流れで首にも手刀を入れた。悶絶したブラックキングの腹部に横拳が決めて、数歩たじろがせた。その後もゼロはぶつかっていくように打撃を入れていくことで、ブラックキングを追い詰めていく。

 どうしてゼロは怪力のブラックキングを恐れずに肉弾戦を挑めるのか、それについて少々説明しよう。そもそもゼロは、宇宙警備隊の訓練生時代で既に戦闘術で優秀な成績を出す、才能あふれる戦士の卵だった。しかしそれ故に慢心した彼は、より強い力を求めて「光の国の禁忌」に手を出そうとした。そのせいで光の国を追放され、荒廃した大地のみの星でウルトラマンレオから延々と辛い修行を課されるようになった、苦い過去がある。

 この時の修行は、レオ相手に限りなく実戦に近い模擬戦を繰り返すというものだったが、自分の力量に自信のあったゼロは長いことレオに一撃も入れることが出来なかった。テクターギアという拘束具を身に着けさせられていたこともあるが、一番の理由はレオが「小手先の技に頼っているから」だと語った。技に頼れば、心に隙が生じる。見せかけの強さにおぼれていたゼロの動きは、レオに全て読まれてしまったのだった。

 そしてゼロは修行の末に、心から生まれる「本当の強さ」を学んだ。その強さが「勇気」を生み出し、どんなに恐ろしく見える敵にも立ち向かえる力と技を与える。どれだけ訓練されようと所詮は「小手先の技」しか扱えないブラックキングが、ゼロの「勇気」を上回ることは出来ない。何より、タルブ村の人々の命を背負うゼロが、心で負けることなどありえない!

 一方で、ジャンボットもキングジョー相手に肉弾戦を繰り広げていた。

『むぅんッ!』

 ジャンボットは文字通り鉄拳をキングジョーの胸部に打ち込む。しかしキングジョーはびくともしないで、腕をわきわき動かす。

『むッ、頑丈だな。しかし、動きは全く遅いぞ!』

 敵の装甲の強固さを一撃で読み取ったジャンボットだが、それでもボクサーよろしくラッシュを繰り出すことで、どんどんと押し込む。キングジョーも猛ラッシュを受けて踏みとどまるのは難しく、後退させられていく。

 これが生物なら、鉄板に何発も拳を入れていたら、傷つくのは攻撃する側だろう。しかしジャンボットもロボットで、エスメラルダの技術の粋で造り出された機体。頑強さなら、キングジョーに引けをとっていない。それどころか、俊敏さでは大きく水を開けている。

 攻撃速度では追いつけないキングジョーは、両目からの怪光線を発射した。インファイトを仕掛けているジャンボットが回避することは難しい。

『ふッ!』

 しかしジャンボットは、軽く首を傾けるという最小の動作で光線をかわした。光線は彼の顔スレスレを横切っていき、地面に着弾する。

『とうッ!』

 直後にジャンボットのカウンターのパンチが炸裂し、キングジョーは数歩よろめいて下がる。

 ジャンボットもまた、鋼鉄の頭脳の中に確かな「勇気」を持っている。そのために、恐怖の中に飛び込みながら戦える力があるのだ。キングジョーも恐怖を感じてはいないが、それは心がないだけのこと。心がないキングジョーは単調な攻撃しか出来ないので、ジャンボットには勝ることが出来ないのだ。

『はぁッ!』

 円盤群を相手に回すミラーナイトは、当然のように善戦をしていた。ディフェンスミラーを大量に張ってタルブ村を覆うことで、円盤の光線を全てはね返す。光線程度しか武器を持たない相手だったら、鏡を作ることが得意技のミラーナイトは非常に相性がいいのだ。

 ここまでは、ゼロたちが優勢である。三人の奮闘に避難したタルブ村の人々も大歓声を上げている。だが、敵もこのままやられっぱなしではいなかった。

『まずは一機!』

 ミラーナイトが円盤の一機に狙いを定めて、ミラーナイフを放とうと腕を振り上げた時、その肩に熱線が命中したのだ。

『なッ!? 今のは怪獣の攻撃……!?』

 驚きを隠せないミラーナイト。何故なら、ブラックキングは今もゼロが圧倒しているからだ。

「グアアアアァァァァ!」

 しかし、いつの間にか彼の近くにブラックキングが接近してきていた。つまり二体目だ。

『まだいたのか! ならばそちらを先に……』

「グアアアアァァァァ!」

 攻撃目標を二体目に変更しようとした矢先に、また別方向からブラックキングが現れて咆哮を上げた。

『何!? 三体目……』

「グアアアアァァァァ!」

『い、いや、四体目だ!』

 気がつけば、ミラーナイトは三体のブラックキングに囲まれていた。

「グアアアアァァァァ!」

『な、何! こっちにも!』

 それで終わりではなかった。最初のブラックキングと戦っているゼロの方にももう一体出現し、敵の加勢に回る。

 その時、新たな気配を感じ取ってふと空を見上げるゼロ。その方角からは、キングジョーを構成する四機編成の円盤が、計四隊も飛来してきたのだ。内二隊がゼロの周囲でキングジョーに合体し、残る半分はジャンボットの方に回る。

『何ぃ!? 一気に敵の数が……五倍に!』

 ブラックキング、キングジョーともに五体になったことに、ジャンボットが思わず叫んだ。先日はゴルドンが同時に二体出現したが、これはその比ではなかった。

 

『クッハハハハハ! 見たか! 奴らめ、相当驚いてるぞ!』

 旗艦の円盤の中で、ナックル星人が哄笑を上げた。当然、ブラックキングとキングジョーの増援は彼の仕業である。ウルトラマンゼロに確実に復讐するために、持てる戦力を全て投入したのだ。

 しかしあのブラックキングとキングジョーの軍団は、元々ゼロ対策で用意したものではない。実は、宇宙人連合の仲間たちを、ハルケギニアを侵略してから排除するために密かに持ち込んでいたものなのだ。侵略が達成されれば、そのままだったら領土を連合で分割することになる。だがナックル星人はその全てを独占するために、仲間たちを出し抜く目的で独自の戦力を確保していたのだ。

 テンペラー星人とザラブ星人がいがみ合った際に、団結を説いたナックル星人。しかし裏では、自分が裏切る気でいたのだ。この厚顔無恥な行為を平然と行う卑劣さが、ナックル星人のもう一つの「武器」なのだ。

 そしてその「武器」による計略は、これで終わりではなかった。

 

『はッ! 数を増やせば勝てるなんて発想の貧困さには、全く呆れ返るぜ!』

 ゼロは四方を取り囲むブラックキング二体、キングジョー二体に臆することなく言い放った。そしてウルティメイトブレスレットを叩き、ストロングコロナゼロに変身する。

『こいつで勝負だ! 行くぜッ!』

 超パワーを持つストロングコロナなら、ブラックキングとキングジョーのカルテットにも力負けすることはないだろう。四方からの熱線と光線を切り抜け、正面のブラックキングに殴りかかる。

『うらぁッ!』

 だがその瞬間、彼の前に『レキシントン』号から発艦したワルド率いる竜騎士隊が割り込んできた。

『うおッ!? 危ねぇッ!』

 咄嗟に拳を止めるゼロ。一方で殴り潰されそうになった竜騎士隊は、感謝するどころかゼロに魔法の攻撃と火のブレスを浴びせかけてくる。

『ちッ。こいつらもナックル星人の手下って訳か……!』

 怪獣と比べたらはるかに小さい彼らの攻撃は、ゼロには蚊が刺した程度のダメージにしかならないが、それでも本来守るべき対象から攻撃されるのは気分のいいものではない。

 しかし、ゼロは彼らを叩き落としたりはしない。今は敵に回っているとはいえ、ナックル星人に利用されているだけなのだ。そんな彼らに手を出すことは出来ない。と言っても、ブラックキングとの間に割って入られていては後ろに攻撃を加えられない。

『仕方ねぇ。ならあっちからだ!』

 身体を左側に向けると、キングジョーに片方のゼロスラッガーを投擲する。

 すると、竜騎士隊の半分が左側に回り、ゼロスラッガーの射線上に入った!

『何ぃッ!?』

 すぐにゼロスラッガーの軌道を曲げ、頭に戻すゼロ。同時に、竜騎士隊の行動の目的が分かった。一度目なら偶然かもしれないが、今のは明らかに故意だ。

『こいつら、自分たちから盾になってやがる!』

 ジャンボットとミラーナイトの方も、同じ状況に陥っていた。竜騎士隊が纏わりついて、迂闊に攻勢に出ることが出来ない。円盤群の方は、艦隊が盾になっている。

『くッ! そういう策略か、ナックル星人め……ぐおッ!』

 戸惑うゼロたちに隙が生じ、熱線と光線を浴びせかけられてしまった。

 

「か、艦長、巨人どもは本当に我らに攻撃してこないのかね? もし万が一があったら、我々に助かる見込みはないぞ」

 『レキシントン』号の後甲板では、艦隊司令長官のサー・ジョンストンがボーウッドに青ざめた顔で問いかけた。彼は本来政治家なので、実戦に命を懸ける覚悟など持ち合わせてないのだ。

 その彼に対して、ボーウッドは無表情のまま、冷たい声で返答する。

「そう我々におっしゃったのは、クロムウェル皇帝です。あなたは皇帝のお言葉が信じられないので?」

「い、いや、そんなつもりではないぞ。しかしだな、兵が怖がってはいかんだろう。兵の動きの乱れは、艦の乱れになるだろう」

 怖がっているのは自分だろう、とボーウッドは心の中で侮蔑すると、ジョンストンの言葉を無視して兵たちに命令を下すのを続行した。

 彼らがクロムウェル=ナックル星人から受けた命令は、それまでの常識では到底考えられない内容だった。

「我々に敵対する巨人たちが現れたら、身を張って怪獣と円盤の盾になれ」ということ、その一点を厳重に命じたのだ。曰く、巨人たちはハルケギニアの人間に攻撃することはないから、命の危険は心配しなくていい、と。

 確かにその通り、彼らはゼロたちから攻撃されない。しかし、万一のことがあるとは、クロムウェルは考えなかったのか? そんなはずがないだろう。要するにボーウッドたちは、捨て駒の肉壁にされているのだ。そのことを、クロムウェルに尻尾を振るしか能のないジョンストンたちは気づいてもいない。ボーウッドは余計に彼らを軽蔑する。

 同時に彼は、この作戦が名誉も何もない、それどころか恥知らずもいいところの卑劣極まりないものであることも理解していた。良心につけ込み、無抵抗の相手をいたぶるなど、ゴロツキのやることだ。おまけに自分たちを、兵士どころか人間扱いすらしていない。それを平然と提案したクロムウェルが、どんな力を持っていようと、人の上に立つべき人間ではないことは明白だ。

 しかし、ボーウッドは良くも悪くも徹底した軍人なのだ。それが分かっていながら、クロムウェルの命令に逆らうことは選ばない。人間らしい情も、作戦への内心の批判もかなぐり捨てて、ゼロたちへの妨害行為を続ける。

(巨人たちは、確かに強い。本当の強さがある。しかし、それでも〝個人〟に過ぎない。彼らでも、変えられない流れがここにあるのだ)

 ボーウッドは心の中でつぶやいた。

 

 その頃、トリステイン王宮では会議場が大混乱に陥っていた。アルビオンの侵略の報はすぐに王宮に届けられたが、敵が怪獣たちと行軍していると知ると、その脅威を知る皆はそろって二の足を踏んだ。ゼロたちが現れたと聞くと一時的に安堵したが、彼らの苦戦を耳にしてまた騒然となった。

「ゲルマニアに軍の派遣を要請しましょう!」

「しかし、今からでは到底間に合いませんぞ……」

「ではどうすると言うのか! アルビオンは卑劣極まる手段で、ウルトラマンゼロたちを追い詰めているという! このままでは彼らの敗北は必至だ!」

「では、我らで怪獣たちと戦えと? 絶対に敵いませんぞ」

「ただでさえ戦力が足りない現状です。死にに行くのと同義でしょう」

 誰も彼もが怒号を上げる中、会議室の上座で、本縫いが終わったばかりのウェディングドレス姿のままのアンリエッタは呆然としていた。しかし、不意に薬指に嵌めた『風』のルビーを見つめる。

 このウェールズの形見を受け取った時、自分は誓ったのではないか? 愛するウェールズが、勇敢に死んでいったというなら、自分は……勇敢に生きてみようと。

「きっと、苦戦など今の内だけでしょう。ウルトラマンの勝利を信じましょう」

 怒号の中から上がったそのひと言で、アンリエッタは遂に立ち上がった。一斉に視線が王女へ注がれる。アンリエッタは、わななく声で言い放った。

「今の発言、恥ずかしくないのですか」

「姫殿下?」

「わたくしたちと何の関わりのないはずのゼロたちが、戦っているのですよ! それなのに国を、民を守る貴族のあなたたちは、何もしないで言い争ってばかり! 我らは、なんのために王族を、貴族を名乗っているのですか? このような危急の際に、彼らを守るからこそ、君臨を許されているのではないですか?」

 誰も、何も言わなくなってしまった。アンリエッタは冷ややかな声で言った。

「あなたがたは、怖いだけでしょう。反撃をくわえたとして、勝ち目は薄い。敗戦後、責任を取らされるであろう、反撃の計画者にはなりたくないというわけですね? ならば、わたくしが率いましょう! あなたがたは、ここで会議を続けてなさい!」

 アンリエッタはそのまま会議室を飛び出ていった。マザリーニや、何人もの貴族が、それを押しとどめようとした。

「姫殿下! お輿入れの大事なお体ですぞ!」

「ええい! 走りにくい!」

 アンリエッタはドレスの裾を膝上まで引きちぎると、宮廷の中庭に出た。

「わたしの馬車を! 近衛! 参りなさい!」

 近衛の魔法衛士隊が集まり、聖獣ユニコーンが繋がれた王女の馬車が引かれてきた。アンリエッタは馬車からユニコーンを一頭外すと、ひらりとその上に跨った。

「これより全軍の指揮をわたくしが執ります! 各連隊を集めなさい!」

 ユニコーンが走り出すと、幻獣に騎乗した魔法衛士隊が口々に叫びながら続く。

「姫殿下に続け!」

「続け! 後れをとっては家名が泣くぞ!」

 次々に中庭の貴族たちは駆け出していく。その様子をぼんやりと見つめたマザリーニは、残っている者たちへ大声で告げる。

「おのおのがた! 馬へ! 姫殿下一人を行かせたとあっては、我ら末代までの恥ですぞ!」

 

 アンリエッタが王宮から発った直後に、タルブ領主の館より数十人の竜騎士隊が飛び立ち、戦場のタルブ村へ急行した。彼らは領主アストン伯の抱える騎士隊。アンリエッタ出陣の報に感応されたアストン伯の命で、アルビオン軍へ突撃しに来たのだ。

「皆の者、ひるむな! 我らの敵は人間のアルビオン軍! 売国奴どもに、トリステイン騎士の勇猛さを見せつけるのだ!」

 騎士隊はゼロに纏わりつくワルドの部隊へと、体当たりするように突貫する。彼らの存在に気づいたアルビオン竜騎士の一部がそちらに回り、交戦を始める。

 ぶつかり合い、魔法を散らす両部隊。その場所はゼロとブラックキング一体の間なので、今度はブラックキングがゼロへの熱線攻撃を踏みとどまった。

 

『何をやっている。ゴミどもが、我がブラックキングの邪魔をするんじゃない』

 この事態に、ナックル星人は苛立ちを見せる。竜騎士を退かせようかと考えるが、すぐに考え直す。

『たかだか人間が一部、いなくなっても大局に変わりはあるまい』

 

「グアアアアァァァァ!」

 ナックル星人の命令を受けたブラックキングが、熱線を放とうとする。その射線上には、両軍の騎士たち。

『! やめろぉーッ!』

 途端にゼロは駆け出し、騎士たちの前に回って、飛んできた熱線を背中で受け止めた。

『うああああぁぁぁッ!』

 ゼロの悲鳴が上がり、カラータイマーが赤く点滅し始める。一方で、彼に助けられた騎士たちは呆然とした顔になった。特にアルビオン側の竜騎士が驚きを禁じ得なかった。

「敵の俺たちを……助けてくれたのか……?」

 そこに隊長のワルドが飛来してきて、命令を飛ばす。

「何を手を止めている。早く作戦を続行しろ」

 部下たちは、思わず耳を疑った。

「しかし! 彼は私たちをかばったところで……!」

 反抗した騎士は、ワルドの雷を受けて火竜ごと撃ち落とされた。

「馬鹿な奴らめ。それでも兵士か? 兵士は何も考えず、言われたことをしていればよいのだッ!」

 叫ぶと、ワルドはゼロへ雷を飛ばす。

「おのれ、裏切り者ワルド! 貴様には恥がないのかぁーッ!」

 怒り狂ったトリステイン騎士がワルドに魔法で攻撃するが、ワルドの風竜の動きについていけず、一人ずつ撃ち落とされていく。ワルドの顔には、笑みすら浮かんでいる。

『この、野郎がぁぁぁ……!』

 利用されていることを差し引いても非道なワルドにゼロが激怒を覚えるが、それでも攻撃することだけは出来なかった。

 

 トリステインの騎士隊がアルビオン軍の相手をしても、アルビオン軍も強大な軍勢。その力の前にはほとんど刃向かうことが出来ず、ゼロたちの劣勢に変化はなかった。

 

「このままじゃ、ゼロたちが負ける……。みんな死んじゃう……!」

 南の森で、ゼロたちの窮地を見ていられなくなったルイズが、ギュッと『始祖の祈祷書』を握り締めた。何とかしたいとは思うが、ただでさえルイズには何の力もない。今もまた、無力な己を呪う。

 せめて祈ることだけはしようと、ポケットの中から『水』のルビーを取り出して指に嵌めた。装飾品として扱うにはルビーが大きいし、アンリエッタに畏れ多いので、ミラーナイトと会話したり呼び出したりする時くらいしか嵌めないが、今はこれに祈りを捧げる。

「姫さま、ゼロを、サイトを、みんなをお守りください……」

 同時に、『始祖の祈祷書』にも祈ることにした。そしてページを開くと、途端に目を丸くした。その手の中で、『水』のルビーと『始祖の祈祷書』が光り輝く。

「え……? 文章……?」

 『始祖の祈祷書』は一切文字の書かれていない、白紙の本だった。何度も中身を見たからそれは確かだ。しかし今は、光るページの中に古代のルーン文字で書かれた文章が書き連ねてあるのだ。ルイズは真面目に授業を受けていたので、古代語を読むことが出来た。意味は、以下の通りだ。

 

序文。

 

これより我が知りし真理をこの書に記す。この世のすべての物質は、小さな粒より為る。四の系統はその小さな粒に干渉し、影響を与え、かつ変化せしめる呪文なり。その四つの系統は、『火』『水』『風』『土』と為す。

 

神は我にさらなる力を与えられた。四の系統が影響を与えし小さな粒は、さらに小さな粒より為る。神が我に与えしその系統は、四の何れにも属せず。我が系統はさらなる小さき粒に干渉し、影響を与え、かつ変化せしめる呪文なり。四にあらざれば零。零すなわちこれ『虚無』。我は神が与えし零を『虚無の系統』と名づけん。

 

「虚無の系統……!」

 ルイズは唖然としながらも、思わずシエスタたちから密かに離れて、森の中で一人になった。まさかの『虚無』の重大な手掛かりなので、迂闊に他の者に知られる訳にはいかないと判断したからだ。

 

 続きに目を通すと、説明はもっと核心に入っていった。

 

これを読みし者は、我の行いと理想と目標を受け継ぐものなり。またそのための力を担いしものなり。『虚無』を扱うものは心せよ。志半ばで倒れし我とその同胞のため、異教に奪われし『聖地』を取り戻すべく努力せよ。『虚無』は強力なり。また、その詠唱は永きにわたり、多大な精神力を消耗する。詠唱者は注意せよ。時として『虚無』はその強力により命を削る。したがって我はこの書の読み手を選ぶ。たとえ資格なきものが指輪を嵌めても、この書は開かれぬ。選ばれし読み手は『四の系統』の指輪を嵌めよ。されば、この書は開かれん。

 

                 ブリミル・ル・ルミル・ユル・ヴィリ・ヴェー・ヴァルトリ

 

以下に、我が扱いし『虚無』の呪文を記す。

初歩の初歩の初歩。『エクスプロージョン(爆発)』

 

 ルイズは何度か、自分が『虚無』の担い手ではないかと示唆された。アントラー戦では、『青い石』の力もあったとはいえ絶大な威力の、未知の魔法を発動し、ワルドはどうしてだか知らないが、自分に『虚無』の才能があると確信していた。

 しかしまさか、こんな場所で、こんな時に、こんな方法で証明されるなんて思ってもみなかった。こんな言葉も口から突いて出る。

「ねえ、始祖ブリミル。あんたヌケてんじゃないの? この指輪がなくっちゃ『始祖の祈祷書』は読めないんでしょ? その読み手とやらも……、注意書きの意味がないじゃないの」

 同時に、可能性に気がつく。今なら、自分の手でゼロたちを助けられるのではないだろうか。大怪獣アントラーを一撃で瀕死に追いやったあの大爆発、いやそれ以上の威力のものを、自在に発動できるのではないか。

 奇跡を起こせるのではないか。

 

『ぐわあぁぁぁぁッ!』

 ジャンボットは、三体のキングジョーに囲まれて殴り飛ばされ続けている。突き飛ばされる先にキングジョーがいて、絶え間なく痛めつけられる。

『ぐぅぅぅ……!』

 ミラーナイトは、ブラックキングたちの殴打や熱線を浴び続け、息も絶え絶えになっている。

『くそぉッ! 離しやがれぇッ!』

 ゼロは、両腕をブラックキングとキングジョーにひねり上げられて、身動きが取れなくなっていた。

『ハッハッハァッ! ざまぁないなぁウルトラマンゼロ! とどめは俺様が直々に刺してやろう!』

 勝利を確信したナックル星人はとうとう自ら戦場に巨大化した姿で降り立ち、拳を鳴らしながらゼロににじり寄る。

『くッ……おらぁッ!』

『げぶッ!?』

 しかし接近したところで、足を振り上げたゼロの前蹴りを腹にもらって、思い切り吹っ飛んで倒れ込んだ。

『クソがッ! 往生際の悪い奴だ! そんなに苦しみながら死にたいのなら、望み通りにさせてやるッ!』

 口汚く罵るナックル星人は臆病にも後ろに下がり、彼に代わってブラックキングとキングジョーがゼロを締め上げる。

『ぐああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ!!』

 ゼロの絶叫が轟く。

 

 ルイズは、迷いなく杖を抜くと、木々の間から見える、暴虐を尽くすゼロたちの敵をにらみつけながら掲げる。

 そして、祈祷書に記されている初歩の初歩の初歩の魔法、『エクスプロージョン』の呪文を唱え始めた。初めて口にする呪文なのに、とても滑らかに口から流れる。

 

エオルー・スーヌ・フィル・ヤルンサクサ

 

 詠唱しながら、ルイズの頭の中に自分が見てきた人々の顔が思い浮かぶ。魔法の才能がない、と叱る両親に、姉に、先生。その度に悔しく、みじめな思いをした。

 

オス・スーヌ・ウリュ・ル・ラド

 

 級友たちも、自分を愚弄してばかりだった。どうして自分はみんなのように魔法を使えないのか。何度も恨んだ。

 

ベオーズス・ユル・スヴュエル・カノ・オシェラ

 

 しかしそれ以上に悔しく思い、自分を恨んだのは、才人とゼロ、自分を助けてくれる人たちの危機に何もしてやれない時だ。彼らはいつも自分を置いて苦しみ、他の者たちが助ける。自分は仲間じゃないみたいだ。何度も無力感に苛まれ、やるせない思いを募らせてきた。

 

ジェラ・イサ・ウンジュー・ハガル・ベオークン・イル……

 

 長い詠唱ののち、呪文が完成した。ルイズの杖が振り下ろされる。

 その瞬間、戦場の上空に、巨大な光の球があらわれた。まるで小型の太陽のような光を放つ、その球は膨れ上がり、円盤を、戦艦を、怪獣を、戦場の者たちを包んだ。

 そして、球が爆ぜた。呪文の主のルイズが目を覆うほどの光が輝いた。

 光が晴れ、目を開くと、戦場の景色は一変していた。艦隊は炎上。円盤はひび割れ、ともに地面に向かって墜落していく。

 怪獣たちは、完全に動きを止めていた。キングジョーは火花を散らして気をつけの体勢になると、後ろにまっすぐ倒れる。ブラックキングは、目の光を失って前のめりに倒れ込み、そのまま絶命した。

 ルイズは理解した。アントラーを破ったあの爆発は、『虚無』の力のほんの一部でしかなかったのだ。

 

『な……な……な……!?』

 ナックル星人はわななく声を上げながら、目を疑った。突然視界を塗り潰すような爆発が起きたかと思えば、自分の軍隊が全滅していた。空を埋め尽くす円盤と戦艦は一隻残らず地に墜ち、アルビオンの竜騎士も一騎も飛んでいない。キングジョーもブラックキングも斃れた。ナックル星人が無事なのは、単に離れていたから爆発に呑まれなかっただけのことだ。

『何だ! 一体何が起こった!? 今の攻撃は何だ! こんな俺の手駒を一気に全滅させるほどの威力の爆発など、見たことも聞いたこともない! 誰が何をしやがったんだ!』

 目の前で起きたことを受け入れられず、ナックル星人はパニックになっていた。

『そして何より! その爆発に巻き込まれて、どうしてお前らだけ無事なんだぁウルトラマンゼロぉぉぉぉ!!』

 ナックル星人の視界の先には、呆然と突っ立っているが、爆発による外傷を全く受けていないストロングコロナゼロたちの姿があった。トリステインの騎士も、固まってはいるものの何もなかったかのように宙に浮いている。

『今のは一体……まさか……』

 ゼロだけは、爆発にかすかな心当たりがあった。しかしよく考える前に、ミラーナイトがこんなことを告げる。

『おや? ゼロ、あなたカラータイマーの色が戻ってますよ。どうやってエネルギーを回復したんですか?』

『え? あッ、ホントだ! 何でだ?』

 ゼロの胸のカラータイマーは、さっきまで忙しなく点滅していたのに、今は青く輝いている。だがカラータイマーはエネルギー残量と活動時間の限界を知らせるもの。自然に戻ることはないはずなのだが……。

 しかしゼロは元々思慮深い性質ではないのだ。考えても分からないことは、すぐに頭の片隅に追いやる。

『まぁ回復したのならそれでいいぜ! さぁナックル星人、覚悟はいいだろうな?』

 パシン、と拳を鳴らすと、ナックル星人の方に向き直る。対するナックル星人は、戦力を失ったことで完全に怖気づいていた。

「グアアアアァァァァ……」

 だが、まだ動いているものが残っていた。最初に投入されたブラックキングだ。爆心地から最も離れていたので、かろうじて生き延びていたのだ。しかし口からは黒い煙が立ち上り、足取りはふらついている。どう見ても戦闘続行できる状態ではない。

『お、おぉ! 生き残りがいたか! ついているぞ! さぁ、早く俺を守れ! あいつらを倒してこい!』

 それなのに、ナックル星人はいたわることすらせず、それどころかブラックキングの背後に回って身を隠すように縮こまると、ゼロたちの方へ押し出した。完全に、自分の保身しか頭にない。

 それなのに、ブラックキングは逆らおうともせずにゼロたちへ向かっていく。タルブ村を焼き払った張本人だが、瀕死の状態で酷使される様は、憐憫すら覚える。

『ナックル星人、どこまでも救えない奴だな……!』

 だからゼロは、せめてもの情けでとどめを刺してやることにした。ブラックキングに密着して取り押さえると、高々と持ち上げて天高く投げ飛ばす。

「ゼアァッ!」

 そして自分もジャンプすると、首に下から手刀を振るった。スライスハンドだ!

 ブラックキングの首が胴体から切り落とされ、両方とも地面に落下した。ブラックキングは苦しむ間もなく絶命した。

『くッ、くそぉッ!』

 最後のブラックキングが倒されると、ナックル星人はアルビオンの時のようになりふり構わずに逃走しようとした。だが向けた背のすぐ後ろに着地したゼロに、がっしりと捕らえられる。

『お前みたいなのを、二度も逃がすかよ!』

『や、やめろぉー! 助けてくれぇー!』

『そいつは俺じゃなくて、お前が利用した奴らに頼んでみるんだなッ!』

 どこまでも往生際の悪いナックル星人を、ゼロが許す訳がない。捕らえたまま再び跳躍し、後ろへ投げ飛ばして頭から落下させる。必殺のウルトラ投げが決まった。

『が……が……』

 まだ息のあるナックル星人だが、時間の問題だ。仰向けに倒れた彼の面前にゼロが降り立つと、ナックル星人は震える手で指を突きつけた。

『馬鹿め! これで勝ったと思ってるのか!? この星にはヤプール人が来てるんだぞ!』

『何!? ヤプール人!!』

 今際の捨て台詞だが、それを耳にした途端にゼロは、ミラーナイトとジャンボットも色めき立った。

『ど、どうせお前ら全員、ヤプールに始末されるんだ……はッ、ははははッ! はッ……!』

 負け惜しみの途中で笑いが途切れ、ガクリと力を失うナックル星人。その身体が爆発し、粉々に砕け散った。

『ヤプール……復活してやがったのか……!』

 奇跡的な逆転勝利を収めたゼロたちだが、「ヤプール人」の言葉によって、その顔からは喜びが消し飛び、険しい色だけが残った。

 

 ナックル星人の軍勢を全て倒すと、ゼロたちは空に飛び立ってはるか彼方へ去っていった。タルブ村の人々や、騎士たちは大歓声を上げて三人を見送った。彼らは『虚無』の爆発を、ゼロたちの起こしたものと思っていた。

 しかしそれは違うことを、才人はもちろん知っていた。南の森の中でゼロから戻った才人は、すぐにルイズの下へ走っていく。

 ルイズはその場に力なく座り込んでいた。何かあったのか、と慌てて近寄る才人。

「ルイズ、どうしたんだ! 大丈夫か!?」

 と聞くと、ルイズはこちらへ顔を向けてきて、呆然とした表情で告げる。

「サイト、わたし……『虚無』の魔法に、目覚めちゃったみたい……」

 その言葉に才人は一瞬驚きを見せ、すぐに納得した。やはり、先程の爆発はルイズの起こしたものだったのだ。アントラーの時と同じ感覚がしたから、薄々勘付いていた。

「やったじゃんか。遂に魔法が使えるようになって」

 喜びを分かち合おうとするが、ルイズはむしろ戸惑いを見せている。

「でも……あんまりにも突然のことで、実感がないわ。それに、これからのことを考えたら、ちょっと不安……」

 『虚無の魔法』は、現代になっては完全に伝説。実在を信じていない者もいる。そんな中で、自分が伝説の魔法を復活させたとなったら、周りを取り囲む環境がどう変わるか、予想もつかない。未来への漠然とした不安を覚える。

 しかし、それを察した才人が、気楽に言い放った。

「そんな難しく考えなくたっていいんじゃないか? なるようになるって」

「……そんな無責任な……」

 呆れ返るルイズだが、すぐに思い直す。才人は、『ガンダールヴ』なんて伝説の使い魔で、ウルトラマンとも一体化しているという状態なのに、それに変に気負わずに自然体でいる。そういう能天気さも必要なのかもしれない、と考えた。

「サイトさーん!」

「あッ、シエスタ」

 そうしていたら、自分たちを探しに来たシエスタが走ってきて、迷わず才人の胸に飛び込んだ。才人とルイズは思わず目を剥く。

「シ、シエスタ!?」

「サイトさん、ご無事でよかったです! 私、サイトさんにたくさん聞きたいことがあるんですよ!」

「そ、それはいいけど、ちょっと、くっつきすぎじゃ……その、胸が当たって……おぉう」

 シエスタが才人に抱きつく構図を見せつけられると、ルイズは途端に『爆発』使用後の疲労感がどこかに吹き飛んで、メラメラと怒りを募らせた。その勢いで立ち上がり、才人とシエスタに食って掛かる。

「こらー! ご主人様が疲れてるのに、あんたは何やってるのよ! そっちもとっとと離れなさいッ!」

「嫌ですー」

「んなッ!? メ、メイドの分際で生意気言うんじゃないわよ!!」

 ギャアギャアわめき立てるルイズとシエスタの間に挟まれた才人の背で、鞘から少しだけ刀身を出したデルフリンガーが、ボソッとつぶやいた。

「やれやれ。伝説の担い手だってことがはっきりわかったのに……、色恋の方が大事かね。年頃の人間ってやつぁ、どうにもこうにも、救えねえね」

 

 

 

≪解説コーナー≫

 

※「目覚めよルイズ」

 

 元ネタは『ウルトラマンダイナ』第三話「目覚めよアスカ」。前回でスーパーGUTS入りを果たしたアスカだったが、ウルトラマンダイナと融合してその力を得たことで慢心し、サイクロメトラを一匹取り逃がしてしまう。サイクロメトラはグロッシーナに寄生し、その特性で迂闊に手が出せないようになってしまった。アスカはダイナに変身して攻略しようとするが、リーフラッシャーが一向に起動せず……という話。『帰ってきたウルトラマン』の郷がウルトラマンに変身できないエピソードのオマージュであり、未熟なアスカが成長して本当のヒーローになる重要ストーリーである。

 

 

※「そもそもゼロは~」

 

 ゼロのデビュー作『ウルトラ銀河伝説』で語られたエピソード。ゼロは当初力ばかりを追い求めて禁忌を破り、レオのスパルタ修行を受けさせられる羽目になった。そのお陰で、今のスーパーヒーローがいるのだが。

 

 

※複数のブラックキング

 

 漫画『ウルトラマンSTORY 0』では、ナックル星人が大量のブラックキングを養殖していた。中には通常の個体だけでなく、翼を持って空を飛ぶ個体や首長竜のような胴体で海を泳ぐ個体という、品種改良で作ったと思しきものまでいた。明らかに無理のある容姿なので、シリアスな笑いを誘う。

 

 

※複数のキングジョー

 

 『大怪獣バトルNEO』ではキングジョーブラックが量産されており、それらが一斉に出てきてレイたちに襲い掛かったことがある。また『キラーザビートスター』では、ビートスターがキングジョー(BS)をインペライザーともども大量生産していた。

 

 

※ナックル星人の卑劣さ

 

 ウルトラマンジャックは想像以上に強く、ブラックキングでも勝てるかどうか危うかった。そこでナックル星人が取った作戦は……何と郷の心の支えである坂田兄妹を殺し、精神的動揺を誘うという前代未聞のものであった! しかも手段は自動車による轢殺。この生々しい展開を子供向け番組でやったのだから驚愕である。この一件により、ナックル星人は宇宙に名だたる卑劣漢というキャラクターが定着した。

 坂田兄妹殺害の展開の真相は、二人の役者の降板のため。いわゆる大人の事情である。しかし、その理由づけをここまでショッキングなものにしなくとも……。

 

 

※「わたくしたちと何の関わりも~」

 

 映画『ウルトラマンゼロ』における、エメラナの台詞のオマージュ。ダークゴーネの攻撃による絶体絶命の状況を打破するために、身体を張ってジャンバードのエネルギーになろうとするエメラナ。それを留めるジャンバードに、エメラナは別の宇宙からやってきて自分たちのために命を張るゼロに報いる意志を告げて、ジャンバードの危機を救ったのだった。

 

 

※捕まっているゼロに蹴り飛ばされるナックル星人

 

 ナックル星人はブラックキングが羽交い絞めにしたジャックに蹴られて転倒している。身動きの取れない相手の反撃をもらって醜態を晒していることから、ナックル星人自体の実力は高くないと見られている。

 

 

※気をつけの体勢

 

 ライトンR30爆弾を食らったキングジョーは、何故か姿勢を正してから沈黙した。この印象的な最期は、平成ウルトラセブンでも用いられている。

 

 

※スライスハンド、ウルトラ投げ

 

 それぞれジャックがブラックキング、ナックル星人に振るったとどめの技。その一瞬だけ背景が赤一色になり、強烈な攻撃を見舞ったことを視覚的に鮮烈に表現している。

 

 

※ナックル星人の今際の捨て台詞

 

 『帰ってきたウルトラマン』では、奪ったサターンZで東京が吹っ飛ぶという内容。それは郷に阻止された。しかしテレビ作品を再編集して手掛けられた『ウルトラマンZOFFY』では映画の展開に合わせ、超獣バラバが暴れているという内容に変更されていた。




 伝説の『虚無』の魔法に目覚めたルイズ。しかし彼女の悩みは才人のこと。ひょんなことから彼女は、才人にマジックアイテムの眼鏡を掛けさせる。しかしそのことが、まさかまさかの事態を招く!? 次回「魔の眼鏡 スケベ心にご用心!!(前編)』みんなで見よう!

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