最終シーズンは結構短くなります!
感想や読了報告等くださると筆者の励みになります故、何卒宜しくお願いいたします。
【イメージOP】
イトヲカシ - カナデアイ
【イメージサウンドトラック集】
https://open.spotify.com/playlist/23xA5ZAHZfdUR77F4JZ9lB?si=07c60fc3a3934b45&pt=97747cf874e1c0b08fb8e40c52da1ec2
Question097 How does he fight?
とある大きな戦いから約2週間が経った。
別世界より現れた脅威と戦士の存在は公にされず、ヒュージルーフに現れた大きな文字は何かしらのことが起こったというふんわりとした感じになった。
けれどもそれで良いのかもしれない。全てを知るよりも、そっちの方が──。
2022.06.15 13:44 東京都 中野区 トキワヒルズA 602号室
ザアザアと雨が降り注ぐ。この蒸し暑い中で雨が降られるというのは、心底迷惑な話だ。
けれどもリビングの中にいる八雲には一切関係の無い話だ。
今、彼は除湿モードにしたエアコンを稼働させ、涼みながら作業に没頭していた。
食卓の上にパソコンや大量の工具を置き、何かを完成させようと試みている。
「──よし。完成した……!」
一際嬉しそうな笑顔を見せる八雲。
そして再びそれを新聞紙で包んで、棚の中に仕舞おうとした。
望んでいた物がようやく出来た。これでもう一安心である。自分がずっと描いていた時が近付いて来ているのだ。
──それは、絶対に使わせないから。
ふと頭の中であの時の光景が浮かんで来た。愛する者を最後に抱いた時、そんなことを言われた気がした。
ずっと描いてきた時が近付いて来ている。その結末がどうなるのかなんて考えたくもない。
新聞紙で包まれた物をじっと見つめる。
今であれば壊すことも可能だ。後戻りはいくらでも出来る。
だが彼は、棚の中にそれを戻すことを決めた。
そして何事も無かったかのように伸びをする。体の凝りが一気に取れて消え去って行く感覚が心地良い。
ジメジメとした雨の日であったが、そんなものを気にすることは無く、ただ喜びを噛み締めていた。
すると八雲のスマートフォンから着信音が鳴る。こんな昼間に誰からなのかと出てみた。
「もしもし」
『どうも八雲さん』
それはアールからの電話であった。
一気に笑顔が消え失せる。
「何の用だ?」
『ちょっとですね、会ってみたくなりまして』
「は?」
『良いからちょっと来てくださいよ〜』
これで通話が切られる。
こんな湿気のすごい雨の日に呼び出すのは如何なのかと思ったが、彼が呼び出すのには絶対何かがある。良くも悪くも何かがあるのだ。
なので八雲はオレンジ色のレインコートを羽織ると、財布やスマートフォン等の貴重品だけを持って家を出て行った。
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2022.06.15 14:01 東京都 杉並区
八雲の乗るアクトチェイサーが着いたのは、とある団地であった。白いコンクリートの外壁は雨で全体が濡れ、それぞれの建物を表す黒い数字は年季が入っているためか滲んでいる。
降りて目を凝らすと、屋上のところに人影があった。黒いレインコートを着たその者がアールであると判った八雲は、すぐに屋上に向かって行った。
幸いにもこの建物はオートロックではなかったため、外に付けられた階段から優に到達出来る。そして誰も入らないよう付けられたチェーンが切られた門を通って、ようやく屋上に辿り着いた。
「こんなところに呼び出して、どういうつもりだ?」
奥の方で立つアールに問う。
「ちょっと、
「?」
「でもその前に──」
するとアールの周りに大量のソルダートが現れた。全員がコンバットナイフを握り締めていて、戦う気は満々であることが見て分かる。
「まずは貴方がどれくらいの力なのかを再度見せていただきましょう」
仕方ないと思った八雲は、ネクスチェンジャーを出現させてカードを装填する。
「変身!」
『Let's go!』
素早くネクスパイに変身をした八雲に、ソルダート達が襲いかかる。
まずは、インディペンデントショッカー マグナムモードで先頭集団を撃つ。威力の高い弾丸を食らった個体は、すぐに墨汁のように黒くなって消える。
それでも残った奴等には、後ろ蹴りやパンチ、頭突きを加えて応戦をする。そして後ろで蹲る全員に再度銃弾を浴びせ、深傷を負わせて消滅させた。
手を叩いて賞賛するアール。
僅か10秒程でこの結果を残した彼は、やはりとんでもない者だ。
「素晴らしいですねぇ〜。これで本気を出せそうですよ、私」
「は? お前何言って──」
「こういうことですよ」
すると次の瞬間、アールも周りにどす黒いオーラが纏わり始めた。
それは先日、ピカロが怪人態になった際に起こった現象と全く同じであった。
──まさか……!
ネクスパイが思ったことが現実になった。
目の前から顔の大きな男は消え、代わりに見たことの無い怪人が現れた。
まるで喪服を歪めたような身体をしており、頭部には黒いシルクハットのようなパーツがある。
顔は典型的な曲がった髭を生やした男が笑みを浮かべている様を模しており、その笑顔は何とも言えない不気味な雰囲気を醸し出していた。
「これが、私の本当の姿なんですよ……!」
興奮した様子で変化した己の姿を見せつけるアール。
ネクスパイは何も言うことが出来ず、その姿をただ見つめていた。