ラストに向けて連続投稿です!
ところで「最近、手を抜いているんじゃないか」と思われていますか? ただ単に書きたいものと文字数が一致しないだけです。お許しを。
感想や読了報告等くださると筆者の励みになります故、何卒宜しくお願いいたします。
【イメージサウンドトラック集】
https://open.spotify.com/playlist/23xA5ZAHZfdUR77F4JZ9lB?si=07c60fc3a3934b45&pt=97747cf874e1c0b08fb8e40c52da1ec2
2022.06.15 14:06 東京都 杉並区
「変身しやがった……!」
ネクスパイは驚きを隠せない。
グアルダの解説で可能性こそ感じていたのだが、それが現実となって目の前にある。
頭の中で想像をしていても、いざ眼前に現れると何も考えられないことを、今身をもって彼は知ったのだ。
とは言え、彼を倒すことに何の変わりも無い。
ネクスパイは手元の武器から銃弾を何発か発射した。
銃弾はアールの身体を確かに貫通した。けれども火花が散ることも、血が流れることも、ましてや彼が苦しむことも無い。
「?」
再度銃弾を放つが、やはり同じことだ。貫通こそするものの、一切何も起こらない。
「どういうことだ……?」
「私の能力の一つですよ。私は一切の痛みを感じることがありません。なので、ある意味無敵というわけです」
その能力はかなり意味で恐ろしい。
死ぬまで永久に戦い続けられる反面、自分の限界値を知ることが出来ないことから、いつの間にか事切れるなんてこともあり得るのだ。
紳士の余裕そうな所作はきっと、そのメリットとデメリットを理解しているから出せるのだ。
そう確信したネクスパイは、武器をスタンガン状に変形させて敵へと走り始めた。
するとアールは体から金色の衝撃波を放った。
地面を這って来たそれは、ネクスパイを容赦無く襲う。
「ッ……!」
しかもほんの少しだけしか間隔を空けずに、波は次々とやって来る。
そして遂に彼は吹き飛ばされてしまった。
転がったネクスパイであったが、すぐに立ち上がってアップグレードルーターを取り出し、ボタンを押した。
『AUTHORISE』
「そっちがその気なら、本気で行くか……!」
ルーターをネクスチェンジャーに取り付け、カードを一度外して再度挿入する。
『"NEX-SPY" LOADING』
「良いですよぉ〜。かかって来てください」
ダイヤルを1回転させ、ボタンと共に押し込む。
『Let's go!』
アップグレードシェープに己を強化したネクスパイは、再び前へ足を進ませる。
アールは再び衝撃の波を繰り出すのだが、アンブレラブレイカー ボウガンモードによって作ったバリアで防ぐ。
けれどもやはり衝撃は強いらしく、ぶつかる度に進む足が少しだけ止まってしまう。
その波に耐えてアールの眼前まで来たネクスパイは、武器をロッドモードに変えて次々と攻撃を身体にぶつけ始めた。
当たる度、何も反応を見せずにただ後ろに退がるだけのアールは、攻撃をしてくるネクスパイに言葉をかけ始めた。
「貴方と私は所々似ていますよね」
「あ? どういうことだ!?」
「だってそうでしょ? 私はパラレインの強大な力に惹かれてこの姿になった。貴方は自身の才能と科学の恐ろしさに惹かれてライダーシステムを開発した。自分には理解出来ない程の力に惹かれた者同士じゃありませんかっ!」
再度衝撃波を放ち、ネクスパイを後退させた。
ネクスパイはそれに反論することが出来ない。
違うのだ。自分とアイツでは、明確に違うのだ。
だがその要因となるものが上手く言語化出来ない。と言うよりも、自分でも分からないのかもしれない。
それを払拭したいと願うネクスパイは一先ず、その言葉をかけた男を消すことにした。
『Are you ready?』
武器を捨ててダイヤルを押し、上空に跳ぶ。
そして放水機の勢いを利用して、赤く発光する右足を繰り出した。
『OKAY. UPGRADED DISPEL BREAK!』
「オラァァァァァッ!」
だが、
「言っておきますが、今の私には効きませんよ」
アールは自身から発した衝撃波をバリアのようにして、ネクスパイの攻撃を防御する。これ以上通してくれないバリアのせいで、ネクスパイは前に進めない。
そして遂には吹き飛ばされてしまった。
「ガァァッ!」
仰向けで頭から落ちたネクスパイ。その衝撃で変身を解除されてしまった。
「ではこれで、私は失礼します。またお会いしましょう」
顔を起こすことが出来ない八雲は、ただ只管雨に打たれ続ける。
暫く何かをじっと考え、そしてゆっくりと目を閉じた。
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2022.06.15 17:49 東京都 中野区 トキワヒルズA 6階
パラレインに関する対応が全て終わった。
終わった、とは言っても有効な対策手段を立てられたわけではない。何も浮かばないまま2週間が過ぎて行くのだ。
ただ疲れを溜め込んだだけ。最早溜息を吐く隙も無い。
家のドアを開ける。ようやく一日の疲れを取り除ける我が家に帰って来た。
「あ、おかえりー……。!?」
春樹と碧を笑顔で出迎えたあまねであったが、二人の方を見た瞬間に血の気が覚めたように見えた。
怯えながらあまねが自分達の方を向いたので何かと思い振り返ると、そこには何とヒナタが笑顔で立っているではないか。
「こんばんは」
あまりにも突然のことに驚愕した二人であったが、あまねを守ろうとすぐにトランスフォンを取り出す。
けれどもヒナタは一切動じず、笑顔を保ったままだ。
「待ってください。今日は別にお二人と戦いに来たわけではありません」
その言葉で春樹と碧はトランスフォンを仕舞う。
敵の言うことなど信用するものではないが、何故だか本当だと思ってしまった。
「……じゃあ、何しに来たの?」
「宣戦布告をしに来ました。明日、貴方方が持っている10枚のカードを頂きに伺いますので、宜しくお願いします」
それだけ言い残し、ヒナタは徐々に身体を透過させて忽然と姿を消した。
残された春樹と碧はただ前を見据えている。その様子をあまねは後ろからじっと見ながら唇を噛み締め、一歩後ろに退がった。
2022.06.16 02:33 東京都 中野区 トキワヒルズA 601号室
深夜になった。あまねはもう布団の中に入って、寝息を立てながらすやすやと寝ている。いつも本当に何も無ければ目覚めないため、暗いリビングの中にいる春樹と碧には好都合であった。
今二人は、食卓の上の電灯だけが部屋を照らす中で向かい合っていた。
神妙な面持ちの彼らの間では、上で電灯が暖色の光を放っている。その下で春樹と碧は話を始めた。
「ごめんね。こんな時間に起こしちゃって」
「いや。大丈夫だ。……で? 話って何だ?」
すると碧は自分と春樹の間に何かを置いた。
それはクラックボックスであった。この薄暗い部屋の中でその黒が良く映えている。
「──分かったんだ。どうすれば零号に勝てるのか」