もうすぐで100話だ……!
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【イメージED】
柴咲コウ - 野生の同盟
【イメージサウンドトラック集】
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2022.06.16 02:33 東京都 中野区 トキワヒルズA 601号室
「──分かったんだ。どうすれば零号に勝てるのか」
そうは言われても、春樹にはその内容に関して見当がつかない。
もしも、これを使ってリベードンアクトになる、というものだとしても、そんなことは自分でも考えた結果無理だと解っている。
さすれば何故だ──?
「それを使ってどうするつもりだ?」
「……ここだとあれだから、外に出ても良い?」
碧に誘導されて来たのは、マンションの外に出たところの歩道だった。
深夜であることからそもそも人通りは一切無く、ヘッドライトを付けた車が走ることも一切無いため、二人の姿は誰にも見られない。
そして二人は向かい合い、碧は話し始めた。
「これってさ、フォルクローの能力を極限まで高める能力を持っているんだよね?」
確かにそうだ。
理性を一時的に失うのと引き換えに、強大な力を発揮することが出来る。
けれどもリベードンアクトの登場によって、その流れは変わった。理性を飛ばすこと無くフォルクローとしての力を最大限引き出すことに成功したのだ。
「ああ。でもリベードンアクトじゃアイツには──」
「そうだよ。だから……こうするの」
すると次の瞬間、碧は両手で持った
「ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛!」
暗い夜道の中で青白い光が放たれる。激しく光ってはいるのだが、誰もそれに気が付いて外を見ようとはしない。
光を放つ碧は雄叫びを上げて苦しむ。そんな彼女をどうにかすることが夫である春樹の役目なのであるが、あまりの恐怖に近付くことが出来ない。
暫く経ったところで光は止んだ。
と同時に、碧は春樹の暴走を止めるために変身をしたリベード 怪人態になったのだ。
「!?」
「零号に勝つ方法はただ一つ。こうやってアイツと同じくらいの力を引き出すしかない」
それを聞いた瞬間、春樹は興が覚めた。
パラレインと同じだけの力を引き出すというのは、一歩間違えれば自殺行為になりかねない。その強大な力に肉体が耐え切れない可能性が高いのだ。
「明日の決着は私独りで行く。君に同じような真似はさせられないから」
「何言ってるんだよ……! 俺も行く……! 二人でやれば必ず──」
リベードは春樹が言葉を紡ぎ終わる前に、彼の胸部に右手で殴りつけた。
呻き声を上げる間も無く遠くの方まで吹き飛ばされた春樹は、鼻の穴と口から血を垂れ流し、立つことが出来ない状態で痛みに身体を震わせている。
「ね? 身を持って解ったでしょ? 今の私なら一人でも大丈夫だって」
これで力の差は明確となった。
リベードの言う通りこれならば互角に戦えるかもしれない。
だが、
「だとしても……お前を独りで行かせるわけにはいかねぇだろ……!」
一人での突撃を春樹が許すわけもなかった。
震える両脚を使って崩れた姿勢で立ち上がった彼はじっとリベードを見ている。
「いや、俺独りで十分かもな」
言っている意味が解らず首を傾げるリベード。
けれども春樹が取り出した物を見て、異形の顔を歪めて驚いた。
「何、する気なの……?」
その時、暗い夜道の中に大量の黒い影が伸びた──。
暗い部屋の大半を占めているのが、いつも眠っている白いベッドであった。若干の皺を除いてその姿は美しく、外で光る月光を反射して存分に輝いている。
その上で碧は朧げな意識の中眠っていた。目は虚で全身に血が滲んでいることから満身創痍であることが明らかだ。
さらにそこに春樹が上から重なっている。荒い呼吸が漏れ出ている唇に、自身の唇を重ねた。さらには間に舌を潜らせ、吐息の生温かさを存分に味わう。
口を離したところで春樹はじっと碧を見つめた。目の焦点が定まっていない彼女は、恐らくもう彼のことなど眼中に無い。
「ごめん。やっぱりお前一人で行かせられない。俺一人で行く。だから……あまねのこと頼む」
ベッドを軋ませながら抜け出し、ドアを開けて外に出ようとする。
ふと後ろの方を横目で見る。碧に目覚める様子が無いのを見た春樹は暫く暗い表情で彼女を見つめ、そして前を向いて部屋から出て行った。
────────────
2022.06.16 08:01 東京都 新宿区
東京都庁の前にある大きな道路の上にパラレインは立っていた。周りはソルダート達が見張っているがために、誰も中に入って移動をすることが出来ない。
その結果、ソルダート達に対して機動隊員達が銃口を向け、臨戦態勢となっていた。だが戦場が都庁の前であることからか、無闇矢鱈に発砲を行うことが出来ずに武器を構えたままの状態が続いているのだ。
そんな彼らを見てパラレインは冷笑しているのだ。力が無く何も出来ないのみならず、高々場所のせいで何も成す術が無い愚かな人間達であること。彼奴にとってはあまりにも滑稽で仕方が無い。
その時であった。
この場で唯一、彼奴を満足させられるであろう男が。
「来ましたか」
一台のアクトチェイサーが機動隊員達の後ろに停車する。ヘルメットを外して降りたその男が歩く。
彼の顔を知っている隊員達はモーゼの十戒の記述が如く道を開けていくのだ。
春樹はじっとパラレインの顔を睨んでいる。
鬼の形相、なんて野暮な言い方では表現出来ないであろう。
怒り、憎しみ、悲しみ──。その全てを含めた顔はどの言葉でも形容出来ない。
「言っておきますが私は手元にあるカードを全て吸収しました。最早勝ち目はありませんよ──」
異変が起きたのは、すぐのことであった。
「!?」
ゆっくりとパラレインの前に近付く春樹の後ろに、
背後だけではない。彼らの知らないところではあったのだが、都庁の裏側やその周りにもソルダートの大群が現れたのだ。合計して数百、数千といる。
当然パラレインが呼び出したわけではない。ましてやアールが呼び出したわけでもないだろう。
誰がそんなことをしたのかは、彼らが春樹と同じ速度で歩いて来ていることが表していた。
「まさか、数で圧倒しようとしているのですか? だとしたら無駄ですよ。何せ世の中、量より質ですから」
「……それは、百も承知だ」
すると春樹は右手にクラックボックスを、左手にトランスフォンを持つと、トランスフォンをクラックボックスにかざした。
『CONNECTING US』
腹部にクラックボックスが付けられたドライバーが装着される。
まさかそんなもので自分に楯突こうとしているのか。パラレインはあまりの愚行に呆れを覚えてしまった。
そんなことつゆ知らず、春樹は右手に持ったオールマイティーサーバーαにトランスフォンを装填した。
『COMBINE』
次々とタッチパネルのマークをなぞってボタンを押すと、彼の頭上高くに黄金の鎧と輪っかが現れる。様々なものが乗っかるその輪っかはあまりにも大きく、ソルダート達がいる場所全般を覆う程の大きさを誇っていた。
春樹はポーズを一切すること無く、ただ敵の方を見据えながら静かに言葉を放った。
「──変身……」
『Here we go!』
サーバーをドライバーに突き刺した瞬間、輪っかはゆっくりと地に落ちて、彼の身体は緑色の素体へと変わる。
そこに輪っかに乗っていたものが吸収されていくのだが、それだけではなく周りにいた数千体のソルダート全ても取り込まれていく。
さらに黄金の鎧が纏われることによって、ようやく完成した。
『Snatch away, Manipulate, Influence! This KAMEN RIDER is cracked! You are mine.』
『All twenty in this server! This is perfect for me to fight! I’m KAMEN RIDER ULTIMATE ACT! It’s the strongest.』
2つの音声が同時に鳴る。
現れたのは仮面ライダーアクト アルティメットシェープであった。
だがただの最強形態でないことはその場の全員が見て判ることである。
彼の姿を見てパラレインはただ呆然とし、何も言うことが出来なかった。
そんな彼奴に、アクトはゆっくりと歩み寄って行った。
ゆっくりと、ゆっくりと。
新型未確認生命体の残り総数
各々が所持しているメモリアルカードの枚数
完結まで、後13話。
【参考】
東京の過去の天気 2022年6月 - goo天気
(https://weather.goo.ne.jp/past/662/20220600/)
日の出入り@東京(東京都)令和4年(2022)06月 - 国立天文台暦計算室
(https://eco.mtk.nao.ac.jp/koyomi/dni/2022/s1306.html)