仮面ライダーアクト   作:志村琴音

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第100話です。
遂に100話に突入しました!
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【イメージOP】
イトヲカシ - カナデアイ

【イメージサウンドトラック集】
https://open.spotify.com/playlist/23xA5ZAHZfdUR77F4JZ9lB?si=07c60fc3a3934b45&pt=97747cf874e1c0b08fb8e40c52da1ec2


EPISODE 34 最終形態(THE FINAL SHAPE)
Question100 Who fought it?


2022.06.16 06:55 東京都 中野区 トキワヒルズA 601号室

 大きく欠伸をしながらあまねは起きた。パジャマ姿の彼女は寝癖が酷く、到底人前に出られるような格好ではない。これは家の中でのみ許される姿であった。

 はっきり言えば遅刻だ。この時間にはもう三人で朝食を摂っているため、きっと春樹と碧が待ってくれている筈だ。

 

 けれども一切物音が立っていない。食器と食器が合わさって出される音も、テレビから流れる朝のニュースも、夫婦が織りなす仲睦まじい会話もだ。

 

 きっと疲れて寝ているのだろう。あまねは食パンをトーストにし、ブルーベリーのジャムを入れたヨーグルトとレタスやパプリカ等が入ったサラダを用意。簡単に食事を済ませた。

 

 それでも二人は起きてこない。

 

 流石におかしいと思ったあまねは春樹と碧の寝室に入った。二人も遅刻しているということは、仕事の疲れで倒れてしまったか、夫婦の営みを終えて満足感に浸っているかの何方であると、そこまで重く考えていなかった。

 

「パパ? ママ?」

 

 恐る恐るドアを開けると、白いシーツが敷かれたベッドの上に碧がいた。

 ──やっぱり寝ている。

 あまねは微笑んだ。

 

 けれどもただ寝ているのではない。身体の至る所から血が滲んでいて、来ている白いブラウスが赤く染まる。満身創痍という言葉が良く似合う姿であった。

 

「ママっ!」

 

 ボロボロな母親の下へと走る。

 その時、彼女は気が付いてしまった。この場に父親がいないことに。

 

「何があったの!? ねぇっ!」

 

 動かす度に痛みが走る両腕をあまねの頭に伸ばした碧は、震えた声で簡潔に話した。

 

 

 

 

 

「やられた……」

「!? 誰に?」

「……春樹に……」

「!?」

 

 

 

────────────

 

 

 

2022.06.16 08:00 東京都 新宿区

「春樹君が碧君を襲った!?」

「そんな……ありえない……」

 

 遊撃車の中で全員が驚愕をしていた。

 表に出さなくても判るくらい、春樹は碧のことを愛している。一方の碧も春樹のことを異常とも取れるレベルで愛している。正に相思相愛であるのだ。

 そんな彼が最愛の人に手を挙げ、自分一人でパラレインに戦いを挑んで行った。

 いつも碧と二人で戦いに赴いて行った春樹の行動としては、一切考えられないことであった。

 

「──きっと碧さんのためですよ」

 

 口を開いたのは深月だった。

 

「自分一人で戦って倒せれば、碧さんは戦わなくて済む。例え、自分が犠牲になったとしても……」

 

 全ては愛する者のため。例えそれが強行手段だったとしても、何としてでも碧が来るのを阻止しなければならなかった。そうすればいなくなるのは自分だけで良くなる。

 

 

 

 ──じゃあ、残された者達は……?

 

 

 

「それにしても、春樹さんに勝ち筋はあるんでしょうかね?」

「碧君の報告ではクラックボックスを使って肉体を強化することらしいが」

 

 圭吾の質問に対する森田の発言に、薫が補足を始めた。

 

「確かにクラックボックスでさらに肉体を強化することも一つの手です。ただそれでは強化出来る上限があるので必ずしも有効とは限らないんです。……なので、多分、それ以上に強い力を得ることが出来る方法を使ったんです。それが──」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「──まさか、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()……!」

 

 パラレインは感心の余り、笑いが止まらない。まさか自分を倒すためにそこまでのことをするだなんて想定外であったのだ。

 今までに味わったことの無い感触が襲い掛かる。笑い声は止まることを知らず、早朝の都会に響き渡る。

 

 春樹や碧を始めとするフォルクローには、あるもののエネルギーを利用して物質を構成する能力を持っている。現に春樹と碧は自分を削ることでディケイドとジオウのカードにパーツを装着させ、クロトは幾つものガシャットを生み出していた。

 それを利用したのだ。

 大量のソルダートを呼び出して吸収し、パラレインに匹敵する力を得るまで半永久的に強化をし続ける。

 自分の中で生み出せるものに限界があるのであれば、他のものを使って出来たもので戦えば良い。

 最早禁忌と言っても過言ではない方法であった。

 

 ゆっくりとアクトは歩いて来る。仮面で表情を一切見せること無く無言で。

 

「しかし、そんなことをすれば貴方の身体は持ちませんよ」

 

 パラレインはアクトの周りに黒い空間を出現させる。ここから大量の星々を流れさせ、完封無きまで攻撃する算段だ。

 

『"KUUGA" LOADING』

 

 けれども今の状況だと、それが効くとは限らない。

 アクトは自身の周りに大量の文字が現れる。それは、日本人の祖先とされるリント族が使っていた表意文字だ。

 「封印」を意味する文字は星々が飛び出して来た瞬間に爆発。攻撃を無に還した。

 

「!?」

 

 何事も無かったかのように歩くアクトにパラレインは驚きを隠せない。

 自分と同等の力を、それ以上の力を手に入れた彼は自分のことなど相手ではないのかもしれない。カードを殆ど全て吸収したのにも関わらず、その力が一切通用していない。

 久々にあの感情を味わった。碧を吸収した春樹が、サーバーを使って自分を葬り去ろうとした時のあの感情だ。

 

 それを払拭するためには目の前の相手を殺す他無い。

 パラレインは手の中で小さな太陽を作り出し、アクトに向けて投げた。

 

『"KIVA" LOADING』

 

 手の中にザンバットソードが現れる。

 すぐさま付属されているパーツを動かして剣心を研磨し振り下ろした。

 その切れ味はあまりにも凄まじく、一刀両断をして左右で爆破させた。

 

 これ以上の茶番に付き合う気は失せたのだろう。足の速さを徐々に速めていって、すぐにパラレインの目の前に現れる。

 そして胸部に無言で殴りつけた。

 

「ッ!」

 

 先程の戦いを見ていても彼の力は凄まじいことであることは解っていたのだが、自らにやられた瞬間改めて身をもって知ることが出来た。

 攻撃が終わることは無い。何度も何度も殴りつけることによって、どんどん後退させていく。

 反撃の余地など無い。太陽や黒い空間を作り出すことも、攻撃を他所に受け流すことも出来ず、ただ攻撃を食らうことしか出来ないのだ。

 

 狼狽えるパラレインにアクトは無言で向かって行く。

 まるで悪魔のような彼はじっと前を見据えて、再び攻撃を開始した。

 

 

 

────────────

 

 

 

2022.06.16 07:30 東京都 中野区 トキワヒルズA 602号室

『それは本当か……!?」

「ああ。さっきあまねちゃんが部屋に来て言ったから間違いない」

 

 少し前、八雲は岩田室長に通話をしながら急いで出掛ける支度をしていた。

 二人共何となく考えられる理由に自分自身で納得はしたのだが、それでもやはり春樹がそんなことをするとは思ってもいなかったらしく、驚愕の色を隠せない。

 

 もうそろそろ全ての支度が終わる。いつものアロハシャツとジーンズを着、黒い腕輪を付けた彼は、もう玄関出るだけとなった。なのでスマートフォンを左肩と左耳で挟みながらリビングのドアを開けようとした。

 

『何か、零号に対抗出来る術は無いのか?』

 

 岩田のその言葉で八雲は足を止めた。

 リビングのドアを開けようとする右手はドアノブに引っ掛かったままで、焦り見せていた顔は一瞬にして強張る。

 

『常田君?』

 

 唇が重くて中々上手く動かない。普通に言えば良いのだが、何故だか躊躇してしまう。

 それでも何とか力を出して動かし、報告をした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「──2つあるけど、どっち使えば良い?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Q: Who fought it?

A: Only him.




完結まで、後12話。



【参考】
東京の過去の天気 2022年6月 - goo天気
https://weather.goo.ne.jp/past/662/20220600/
仮面ライダークウガ / 【クウガ事典】リント文字一覧 表意文字|架空世界のほとりにて
https://ameblo.jp/altsz/entry-12456433648.html
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