仮面ライダーアクト   作:志村琴音

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第101話です。
学校が始まってしまったので、投稿スピードは遅くなると思います。
ところで、過去のエピソードと対比になるのって良いですよね。
というわけで皆さん、Question005をご参照ください。エモくなる筈! 多分!
感想や読了報告等くださると筆者の励みになります故、何卒宜しくお願いいたします。



【イメージサウンドトラック集】
https://open.spotify.com/playlist/23xA5ZAHZfdUR77F4JZ9lB?si=07c60fc3a3934b45&pt=97747cf874e1c0b08fb8e40c52da1ec2


Question101 Who fought with him?

2022.06.16 08:07 東京都 新宿区

 遊撃車が現場に着いた。機動隊員達の背中で出来た壁によって向こう側がどうなっているのか目視では確認出来ないが、パソコンのモニターに映し出される映像と、少しだけ見える攻撃の断片が事の凄まじさを物語っていた。

 

 試しに深月がドアを開けて外で様子を確認しようとすると、

 

「危険です! 車内にいてください!」

 

 と機動隊員によって強制的に戻されてしまう。

 それどころか、隊員達が見せている焦りは彼ではなく自分のためのようであった。

 一刻も早く自分もこの場から逃げ出したい。そんな思いが透けてしまっている。

 

 人で出来た壁の向こう側では、アクトがパラレインに次々と攻撃を仕掛けていた。

 

『"EX-AID" LOADING』

 

 サーバーから仮面ライダーエグゼイドが強化した際に乗り込む巨大な鎧──マキシマムゲーマが出て来る。

 乗り主のいない鎧は勢い良く前進をして殴りつけた。何度も何度も拳を振るい、伸びていく左足で後方へと蹴り飛ばした。

 

「ッ!」

 

『春樹さん! 今すぐ攻撃を()めて、変身を解除してください!』

 

 車内から深月がアクトに話しかける。

 けれどもその忠告を彼が聞くことは無い。

 

『"DOUBLE" LOADING』

 

 アクトの左手の中に、プリズムピッカーが現れる。

 既に5本のガイアメモリが挿入されているそれを標的の方へと向けると、プリズムによって屈折したかのような軌道を見せる光線が発射。それらが一つになってパラレインに強力な一撃を食らわせたのだ。

 

「……!」

 

 再び吹き飛ばされるパラレイン。そこで壁を作っていた機動隊員達が後ずさる。

 戦いによって使うフィールドの面積を増やすこともそうだが、一番は恐らく己が逃げ出したいがためであろう。ライフルや盾を持つ手は震え、冷静を保てていない。

 

『これ以上やれば、春樹さんの身が持ちませんっ!』

「……別に良いよ。俺がここで仕留めれば、碧はもう戦わなくて済む。そのためなら……俺はどうなったって良い……!」

 

 じっと前を見据えたまま話すアクト。

 その言葉はこれ以上無い程の覚悟を含んでいて、深月は何も言えなくなってしまった。

 

「やりますねぇ……。ですが、()()()()()()()()

 

 体勢を整えたパラレインが呟いたその時であった。

 

「!? ガァァァァァッ!」

 

 アクトが全身を駆け巡る激痛に悶え始めた。鎧の下にある緑色の身体が歪み始め、原型が留められなくなってしまう。

 

 要は吸収した力に身体が耐えきれなくなったのだ。吸収したソルダートはいくら雑魚とはいえ、束になれば力は大きなものになる。諸刃の剣であることは自覚していたが、その代償は想像を遥かに超えていて、耐えようとしてもとても耐えられるものではない。

 

 パラレインはこれを好機と思った。今であれば反撃の余地がある。これ以上のチャンスは無い。

 アクトの周りに黒い空間を次々と作り出すと、大量の星々を激突させた。その一撃一撃はあまりにも重く、到底受け止められるものではない。

 

「グァァァァッ!」

 

 変身を解除された春樹。膝から崩れ落ちてうつ伏せに倒れ込んでしまった。

 意識がある彼は何とか立ち上がろうとはするのだが、体に力が入ることが出来ずに立ち上がれない。

 

「まだだ……。俺はまだ……」

「いいえ。貴方はここで終わりです。……ここで終わりにしましょう」

 

 右の掌の中で火球を作り出す。それはこれまでのよりも遥かに大きく、太陽という表現がより似合うようになっている。

 それを手放した瞬間、余裕があるのかゆっくりと春樹の方へと迫って行く。

 

 すぐに行手を阻もうと機動隊員達が銃弾で火の玉を撃つ。だが鋭い銃弾を吸収した火の玉は更に大きくなり、勢いをつけて歩みを止めない。

 

 避ける力などもう残っていなかった。

 目の前に迫るものを眺めながら、ただ脳裏に浮かび上がる光景に耽る。

 

 初めて碧に接触した時、任務だと分かっていても何故だか彼女に惹かれてしまった。今思えばあれは運命だったのであろう。任務がどうであるだとか関係無く会い、そして結ばれた。あまねという可愛い娘が現れて、絆や愛はより深まっていった。

 いつしか彼女は自分が思う以上に大切な存在となってしまった。得体の知れないものに家族を奪われただ任務に没頭するだけだった自分に、お前は幸せになっても良い、と存在そのものが言ってくれているような気がしたのだ。

 

 けど、もうそんな日も今日で終わりだ。自分は今から業火に焼かれて死んでいくのだ。

 きっと碧を傷付けた罰が当たったのだ。愛する人に事情があるとはいえ手をかける。自分でも許されないことは百も承知だったのだが、やはり実感することになると急に自責の念に駆られてしまう。

 

 もしも許されるのならば、最後に一度抱き締めておくべきだった。最後に一度愛してると言っておくべきだった。

 けれども全ては後の祭り。叶わぬ願いである。

 

 ゆっくりと目を閉じて、そして己の運命を受け入れた──

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 だがそれは全て無駄に終わった。

 火の玉が突如として二つに分かれて爆発したのだ。

 

 何が起こったのかを確認しようと前を向いて目線を上げると、そこにあったのは自身が愛する者とその兄であろう男の背中であった。

 

「碧……?」

 

 碧は振り返って春樹に左手を伸ばす。掴んで立ち上がった春樹が彼女の顔を見るが、俯いているためどんな表情なのかは全く判らない。

 

 すると突然、春樹の左頬が叩かれた。叩かれた場所が紅潮し、思い切り目立たせる。

 驚いた春樹は碧の顔を見る。

 

「貴方が嫌いなもの三つ、全部覚えてる? 唐揚げに勝手にレモンをかけられること。デートの邪魔をされること。家族を傷付けられること、でしょ?」

 

 それは嘗て、碧がクロトの変身する仮面ライダーゲンムに追い詰められた際、彼に放った言葉であった。いつもであれば恥ずかしくて口に出せないのだが、碧を傷付けた彼のことが許せなくて口走ってしまった。

 

 何故そんなことを彼女が今言ったのか。

 もしかしたら自分のことを傷付けたことに怒っているのか。そのくらいしか今の春樹には思い付かない。

 

「……あまねちゃん、私が一部始終を話したら泣いてたよ」

 

 ──そういうことか……。

 そのことを一切考えられなかった自分に無償に腹が立ってきた。

 碧と同じ自分の家族じゃないか。そんなつもりは全く無かったのに、まるで彼女のことを蔑ろにしてしまった気がしてならない。

 

 そして何よりも、碧が頬を叩いた理由が分かったような気がした。

 碧は自分のことで滅多に怒りを露わにすることは無い。あるとすればそれは家族のことに関することだ。

 

 碧が顔を上げて春樹と目線を合わせた。見つめる目は涙で滲んでいて、上手く春樹の顔を見ることが出来ない。

 

「ねぇ。どうして私達家族をいつも置いて行くの? お願いだからさ……最後の一瞬まで、君と一緒に居させてよ……! 一緒に戦わせてよ!」

 

 涙を指で拭う碧。やるせない思いによって何も言えなくなる。

 

「それからもう一つ」

 

 もう一発お見舞いされる。

 身構えた春樹であったが、繰り出されたのは甘い口付けであった。柔らかさと彼女の身体から出る仄かな甘い香りを持った、優しい会心の一発である。

 暫くして2つの唇が離れ、碧の顔が再び見えるようになった。涙は消えてあるのは目の前の男性を愛する慈愛の眼差しであった。

 

「キスするなら、ちゃんとして」

「……諸々ごめん」

「特別に許す」

 

 ニッコリと笑う碧。それに釣られて笑う春樹。

 二人の様子を横で見ていた八雲は呟いた。

 

「使う必要は無いか……」

 

 誰にも聞こえないような声を放った彼は、春樹と碧に声をかける。

 

「じゃあそろそろ、アイツ倒すぞ」

「うん!」

「ああ!」

 

 春樹と碧は腹部にドライバーを出現させ、八雲は左手首にアップグレードルーターが付けられたネクスチェンジャーを装着する。

 各々が準備を始めた。

 

『『COMBINE』』

『"NEX-SPY" LOADING』

 

 タッチパネルを下から上へ一気になぞり、ダイヤルを回す。

 2つの輪と大きなオブジェが出現をしたところで、三人はポーズを決めてそして叫んだ。

 

「「「変身!」」」

『『Here we go!』』

『Let's go!』

 

 身体が次々と変化をして、そこに鎧が装着される。

 それは目の前の相手に立ち向かうための支度。必要不可欠なこと他ならない。

 

『All twenty in this server! This is perfect for me to fight! I’m KAMEN RIDER ULTIMATE ACT! It’s the strongest.』

『All nineteen in this server! This is perfect for me to fight! I’m KAMEN RIDER ULTIMATE REVE-ED! It’s the sharpest.』

『You can get stronger by using this device. Complete to upgrade! Get a kick out of my new invention.』

 

 それぞれが今持ち得る最強の力を行使するための姿へとなった。

 春樹が再度変身をしたアクトには禍々しさなど微塵も無い。そこにあるのは、隣に立ってくれている青色の戦士への愛だけであった。

 

 三人は武器を取り出して紫色の相手を睨む。

 先程に比べれば戦力こそ落ちたかもしれない。けれどもそれは何の問題でもない。例え敵うまでの力が無かったとしても、何故だかやり遂げられそうな気がした。

 

「「「READY……GO!」」」

 

 戦士達は走り始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Q: Who fought with him?

A: His families.




完結まで、後11話。
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