仮面ライダーアクト   作:志村琴音

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第105話です。
3日連続投稿じゃーっ!
感想や読了報告等くださると筆者の励みになります故、何卒宜しくお願いいたします。



【イメージED】
柴咲コウ - 野生の同盟

【イメージサウンドトラック集】
https://open.spotify.com/playlist/23xA5ZAHZfdUR77F4JZ9lB?si=07c60fc3a3934b45&pt=97747cf874e1c0b08fb8e40c52da1ec2


Question105 What has she desired?

2022.06.25 09:21 東京都 中野区 トキワヒルズA 601号室

 朝食を食べ終わったあまねは、食卓に座ってスマートフォンを見ていた。

 画面に映るのは「避難終わったよ」との日菜太から届いたメッセージだ。自分の様子を知らせるために同時に送られてきた、何処かの体育館の中で撮ったであろう新井夫妻とのスリーショットを見て、彼女は安心出来たため笑みを浮かべた。

 

 幸い、あまねは中野区に在住しているため、避難の必要性は無い。なので日菜太とは暫く離れ離れとなってしまうのだが、きっと彼なら大丈夫だろうと思えたので特に心配事は無かった。

 

 それよりも心配なのは、自分の両親である春樹と碧である。

 昨日彼等が寝室で話していた内容があまりにも気になって仕方が無い。

 普段がどうなのかは分からないが、きっと明日が最後だとかそんな会話はしないであろう。もしこの家に帰って三人でまた過ごそうとしてくれているのであれば、そんな会話が出るわけが無いとあまねは信じているからだ。

 

 じゃあもしそうだったとして、あの会話をするということは……。

 

 額から汗が出てきた。

 確かに今日は気温が30度以上の暑い日であるのだが、クーラーが掛かっているこの部屋では出ない筈。

 それでも額だけではなく全身から汗が噴き出てくるような感覚が襲って来た。

 

 そうこうしているうちに、春樹と碧は準備を終えて玄関にいた。

 春樹はいつも通り黒いTシャツに黒いズボンを着ていて、碧は白いブラウスに春樹と同じ黒いズボンを履いている。

 職場に行くにも関わらず、バッグの類は何も持っておらず手ぶらの状態だ。

 

「……じゃあ、行って来るね」

 

 碧が見送りに来てくれたあまねに声を掛ける。彼女の表情はもの寂しげで、ここから一歩も出たくないようにも見える。

 

 けど行かなければならない。

 春樹と碧は振り返って、ドアノブに手を掛けようとした──

 

 

 

 

 

 その寸前で、あまねは二人の服を掴んで静止させた。

 立ち止まる春樹と碧に対し、彼女は俯きながら口を開く。

 

「嫌だよ……。二人がどっか行っちゃうの……。また、独りにならなきゃいけないの…?」

 

 言葉の最後の方は絞り出すようなものになっていて、殆ど原型を留めていない。

 暫く何も言えなかった春樹と碧は振り返ると、そっとあまねを抱き締めた。

 

「大丈夫だ。絶対帰って来る。どれだけ時間が掛かっても、必ずこの家に戻って来る」

「うん。だから泣かないで。私達も、行きたくなくなっちゃうから……」

 

 二人の胸の中であまねは声を荒げて泣いた。声は二人の服の中に吸収されて何も聞こえなくなるのだが、漏れ出るものは春樹と碧の耳に入り、彼等がより彼女を抱き締める要因を作った。

 

 暫く経ったところで、春樹と碧はあまねから離れて彼女の顔を見つめる。

 顔を上げた彼女の目は赤く充血しており、涙が流れた跡がくっきりと茶色く残っている。

 

「約束だからね……」

 

 きっと帰って来る。

 きっと帰って、また笑顔で三人で過ごすことが出来る。

 確証なんてものは何も無く、あくまでもただの希望に過ぎない。

 けれどもそれはただ望んだだけで終わることは無い。現実になる。そう確信している。

 

 だからあまねはこれ以上泣くことは無く、寧ろ笑顔で彼等を送り出したのだ。

 

 

 

 

 

「行ってらっしゃい」

「「行って来ます」」

 

 

 

────────────

 

 

 

2022.06.25 09:43 東京都 新宿区

 大きな十字路を囲むように、今までに見たことも無い程の大量の銃口が向けられている。

 盾で出来た壁によってそれ以上の進行が出来ないようになっていて、正に鉄壁の守りを固めているのだ。

 

 その外側で待機をしているのは、SOUPのメンバー達だ。特にこれと言って何かを変えることはせず、いつものような格好でリラックスしている。

 

 そこに現れたのは、ドライバーを巻いた春樹と碧がゆっくりと歩み寄って来た。これから壮大な戦いが行われるというのに、のんびりとした余裕そうな様子だ。

 

「我々はここから1キロ離れたところから指示を出す。……後は頼むぞ」

 

 岩田の言葉に頷く春樹、碧、八雲。

 

「それじゃあ、行きましょう」

 

 深月が右手を前に差し出すと、全員がそれに手を重ねていく。

 大きな層を形成した手は重なる他の班員達の体温を直に受け取り、一層一層が特別なものになる。

 

 森田が呟くと彼等はいつものように気怠そうにし、戦場へと向かって行くのだ。

 

 

 

 

 

「皆さん、出番です」

 

「「「「「「「「うぇ〜い」」」」」」」」

 

 春樹達戦闘をする者は機動隊員達が作った壁の隙間を通って、空洞になった場所に入って行く。

 一方のそれ以外は遊撃車に乗って、遠く離れた持ち場へと移動を始める。

 戦うための支度を終えた全員は、それぞれの持ち場へと向かって行くのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そして午前10時。

 戦いの幕が開いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

現時点で未確認物質解析班が把握している

新型未確認生命体の残り総数

通常0体

B群4体

合計4体

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Q: What has she desired?

A: She has desired that her parents will be back.




完結まで、後7話。



【参考】
東京の過去の天気 2022年6月 - goo天気
https://weather.goo.ne.jp/past/662/20220600/
日の出入り@東京(東京都)令和4年(2022)06月 - 国立天文台暦計算室
https://eco.mtk.nao.ac.jp/koyomi/dni/2022/s1306.html

個人的に碧は戦いをしていなかったら教師をしていたと思っているんです。ではもし子供が産まれたら何をすると思われますか?

  • 教師(そのまま復職)
  • 翻訳家
  • 考古学関係の仕事
  • 専業主婦
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