仮面ライダーアクト   作:志村琴音

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第106話です。
もうこの話を書かなければならないのか……。
感想や読了報告等くださると筆者の励みになります故、何卒宜しくお願いいたします。



【イメージOP】
イトヲカシ - カナデアイ

【イメージサウンドトラック集】
https://open.spotify.com/playlist/23xA5ZAHZfdUR77F4JZ9lB?si=07c60fc3a3934b45&pt=97747cf874e1c0b08fb8e40c52da1ec2


EPISODE 36 A BEAUTIFUL STAR
Question106 What did he used to transform into the forbidden shape?


2022.06.25 10:00 東京都 新宿区

 それが現れたのは、突然のことであった。

 空から白く光り輝くものがゆっくりと降って来たかと思うと、それは究極態へと変化をしたパラレインであったのだ。

 

「hee-hee-hee-hee-hee-hee-hee-hee-hee」

 

 薄気味悪い笑い声を上げるパラレイン。

 その横に立って怪人態で春樹達を見つめるアール。

 

 彼等の姿を確認した瞬間、春樹と碧はサーバーの中ににトランスフォンを挿れてタッチパネルをなぞり、八雲はカードを挿してダイヤルを操作する。

 そして各々が各々の工程をし、叫んだ。

 

「「「変身!」」」

『『Here we go!』』

『Let's go!』

 

 春樹が変身した、仮面ライダーアクト アルティメットシェープ。

 碧が変身した、仮面ライダーリベード アルティメットシェープ。

 八雲が変身した、仮面ライダーネクスパイ アップグレードシェープ。

 

 三人の戦士は武器を手に取り、そして走り始めた。

 戦いの始まりである。

 

 するとパラレインは、

 

「hee-hee-hee-hee-hee-hee-hee-hee-hee」

 

 少しだけ浮かび上がって再度着地をする。

 次の瞬間、機動隊員達が作った壁の中の地面が崩れ、五人は地下深くへと落ちていった。

 

 

 

 

 

「き、消えた!?」

「駄目です。確認出来ません……」

 

 薫と圭吾が驚く。

 どうやら先の攻撃の影響で、三人の位置情報や様子が確認出来なくなったらしい。

 

 これでは一体どのように戦いが繰り広げられるのか判らないため、森田と岩田から血の気が引いていく。

 

 だが、

 

「……信じましょう。彼等を……」

 

 深月だけは違った。

 一切何も映らないパソコンのモニターを祈るように見つめていた。

 

 それで他の班員達も、成す術の無くなったわけではあるが無我夢中で静かに祈りを始めたわけである。

 

 

 

 

 

 落っこちた場所は、四谷遺跡の中であった。

 嘗てパラレインが作り出した広いドームの壁には、大量の絵や文字が描かれていて、今から戦う相手に関する経緯やそれの脅威が正確に描かれている。

 

「hee-hee-hee-hee-hee-hee-hee-hee-hee」

 

 パラレインが転がっているアクトとリベードの方へゆっくりと近付いて来る。歩く速度があまりにも遅いのは、それだけ余裕だという現れだろうか。

 そこにアクトとリベードは立ち上がって、彼奴の方へと向かって行った。

 

「「ハァァァァッ!」」

 

 離れたところで倒れていたネクスパイもすぐに立ち上がり、アンブレラブレイカー ロッドモードを取って走り出す。

 だが、

 

「ッ!?」

 

 左半身に強い衝撃を感じ、金属製の大きな扉ごと吹き飛ばされてしまった。

 その犯人はアールで、いつものように衝撃波を繰り出したようだ。

 

「さて、似た者同士、ここでお相手させていただきますよ」

「似た者……? ふざけんなっ! 俺とお前は違うんだよっ!」

 

 棍棒を握り締めて立ち上がったネクスパイがアールの方へと走り、その先を彼へとぶつけた。

 凄い衝撃が走った筈なのだが、能力によって痛みを感じることの無いアールに、そんな攻撃を何度ぶつけたとしても無意味であって、逆に棍棒を握られて何処かに投げられてしまう。

 そして右手で殴られたところて吹き飛ばされたところに、何層にも重なった衝撃波を浴びせられた。

 

「グァァァァッ!」

 

 変身を解除されて転がり、うつ伏せの状態で倒れてしまう。

 本人は見ずとも分かっていたのだが、ネクスチェンジャーとアップグレードルーターには罅が入って火花が散っており、到底使い物になりそうもない。

 

 それを見たアールは勝ち誇った。

 この勝負は完全に自分の勝ちだ。成す術の無くなった八雲に勝ち目など無い。

 

「互いに力に魅了された同士でしょう。どうして私と貴方は戦う必要があるんです?」

 

 立ち上がりたい。

 全ての力を振り絞って両手両足を動かし、ようやく震える脚を支えにして立ち上がれた。

 

「確かに……俺とお前は似てるな。大きな力に魅了されて、それを使えるようになりたかった。……けど、俺とお前は違う。お前は誰かのために全てを終わらせようとした。誰かのために全てを守ろうとする俺とは諸々違ぇんだよ……!」

 

 血塗れになった八雲がアールを睨みながら言う。

 ただ、アールは負け犬の遠吠えとしか思っておらず、嘲笑うだけだった。

 

 

 

 

 

 けれどもこの時の彼は知らなかった。

 ()()()()()()()()()()()を──。

 

 

 

────────────

 

 

 

 それは、八雲が最後に花奈を抱いた後の話だ。

 

「……絶対、いなくなったりしねぇよ」

「どうして?」

「……俺が絶対守るから……」

 

 八雲と花奈は唇を重ね、暫くその状態を保つ。

 離した時、花奈は試しに訊いてみた。

 

「『守る』ってことは、何か考えとかがあるってこと?」

 

 すると八雲はベッドを出て少し歩くと、リビングにある棚の一番下の段から、新聞紙で包まれた物を取り出した。そしてそれを花奈に手渡す。

 

 一体何なのかと花奈が一枚一枚剥いで確認すると、それは一個のドライバーだった。

 アクトやリベードが使うドライバーを水色にし、茶色いラインを入れた代物で、プレートの部分にはまだ何も描かれていない。

 

「これは?」

「オーバーフロードライバー。零号に対抗するために作った、ライダーシステムの最高傑作だ。これを使えばクラックボックスを使った時を遥かに超える力を手に入れられる」

 

 感心する花奈。

 

「ただ……。これはお前みたいなフォルクローでも、15分連続で使えば生命の危機に陥る。俺が使えば……ざっと5分だな」

 

 その言葉で花奈の顔から血の気が引いた。

 自分を守るがために彼は禁忌とも言える力に手を付けようとしている。もしもそれを使う時が来たとして、果たして自分の心は耐えられるだろうか。

 

「それは、絶対に使わせないから」

 

 愛する人に対して使って良いのか分からない目付きで言った花奈。

 振り向いた八雲は彼女の顔があまりにも怖くて震え上がってしまう。

 だが嬉しかった。自分をそこまで思ってくれているのかと。

 

「もし使うって言ったら?」

「……もう一回戦」

「それがご褒美ってこと解ってるか?」

 

 不味いと思ったがもう遅い。

 飛び付いて来た八雲を跳ね除けてベッドの上で転がす。

 

「大丈夫だよ。これを使うにはトランスフォンが必要だ。これ以上作るのは大変だって言うのに作るわけにもいかないし、春樹と碧のを使うわけにもいかないだろ」

 

 トランスフォンを八雲が作った時、平井勝司の支援にも限界があったことから、計2つしか製作することが出来なかったのだ。

 資金の問題だけではなく、作るのに約数ヵ月を有する物をこのタイミングで今更作るというのは無駄足になってしまうかもしれない。

 

 そのため、このドライバーが使われることは無いと花奈は安堵をし、八雲に見えないように笑顔を浮かべたのだ。

 

 

 

────────────

 

 

 

「そうか……。花奈はもういないんだよな……」

 

 物寂しげに呟いた八雲は左手首に付いたネクスチェンジャーを取り外し、遠くの方へと投げ捨てた。

 自殺行為であるとアールは驚く。

 

 だが八雲がこれで終わるわけがなかった──。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「──じゃあ、これは使い放題ってわけだな」

 

 八雲が新たに取り出したのは、黒いスマートフォン状の端末──トランスフォンであった。

 

「!?」

 

 さらに驚愕するアール。

 その入手経路が何処なのかまるで見当がつかない。

 

 だが一つ心当たりがあった。

 それは数ヵ月前、仮面ライダーデイナこと門守仁が戦う世界より現れた、伊福部中也が仮面ライダーキラーソとなるために使用した簡易版のトランスフォンであった。

 戦闘後全く発見されることが無かったそれに、ライダーシステムの根幹を司っているグアルダがアクセスすることは出来ない。即ち、どんな無茶もし放題というわけだ。

 

 八雲は1枚カードを取り出した。

 彼がネクスチェンジャーを装着する際に使用するものが、青色を基調とした色違いになっているカードだ。

 

 そのカードをトランスフォンの裏側にかざした。

 

『OVERFLOW DRIVER』

 

 腹部に水色のドライバーが装着される。

 何も描かれていなかったプレート部分には、レモンに桃に桜桃が実る木々の中を1匹の大きな鳥が颯爽と飛んで行く様子が、青色の水彩画のようなタッチで描かれている。

 

 それと同じ絵柄が描かれ、下部に「KAMEN RIDER NEX-SPY」と白く印字されたカードを裏返して、トランスフォンに装填した。

 

『"NEX-SPY" LOADING』

 

 電源ボタンを押すと上に発生した4つのゲートから、様々な果物が生えた枝が伸び、1匹の鳥が飛翔を始めた。

 軽快な音楽が流れる中で八雲は、いつも変身でする時のように両腕を大きく回した後で十字を作り出す。

 

 そして彼は叫んだ。

 なることが最初にして最後になるであろう姿に変わるための言葉を──。

 

 

 

「変身!」

『Here we go!』

 

 端末を挿し込んだ瞬間、ゲートから伸びていた枝が鳥ごと八雲の姿を覆うと、色が茶色から赤色になって更に水色に変化する。

 それらが一気に蒸発をして消え去ったところで、姿を変えた彼の姿が初めて顕となった。

 

 水色に変色をしてそこに茶色のラインが引かれたネクスパイ、というのが率直な意見なのであろうが、胸部に装着されている鎧と両肩の平たい装備が全く別物であることを物語っている。

 その胸部と両肩の鎧には嘗てデュークにマリカ、シグルドが武器として使用していたソニックアローが付属していて、ドライバーの両端には分解されたゼロガッシャーがゼロノスと同じように付けられている。

 そして頭部の角は3本の矢を模っていて、それ以外は通常のネクスパイと殆ど変わりが無い。

 

『Grind, Future, A beautiful star! This KAMEN RIDER is overflowing with force! We are as one.』

 

 思えば青色というのは、彼の家族にとって重要な色であったような気がする。

 父である海斗──ディエンドもそうであったし、妹である碧──リベードも青色をが印象的であった。

 

 そして今八雲が変身をした、仮面ライダーネクスパイ オーバーフローシェープもそうだ。

 

「超、超、超、良い感じだな……!」

 

 噛み締めるようにして言うネクスパイ。

 異様なまでに重い言葉は地面へと沈み、誰にも拾えなくなってしまう。

 

 

 

 

 

 こうして、常田八雲の最後の戦いが始まったのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Q: What did he use to transform into the forbidden shape?

A: He used a device that is used by his family.




完結まで、後6話。

因みに皆様お気付きですか?
オーバーフローシェープの変身音声は「そうだ! We're ALIVE」が基になっていることに……。

春樹って戦いが終わったら何していると思います?

  • 警視庁に復職
  • 民間の警備会社
  • デイトレーダー
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