仮面ライダーアクト   作:志村琴音

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第110話です。
もう、思い残すことは何もありません……!
感想や読了報告等くださると筆者の励みになります故、何卒宜しくお願いいたします。



【イメージ挿入歌】
PEOPLE1 - 銃の部品

【イメージサウンドトラック集】
https://open.spotify.com/playlist/23xA5ZAHZfdUR77F4JZ9lB?si=07c60fc3a3934b45&pt=97747cf874e1c0b08fb8e40c52da1ec2


Question110 What is the remaining number of monsters?

?????

 何も無い砂漠の上に一つ、紫色の土管が設置されていた。

 ビルの群は姿を消し、道路は最早その役割を一切果たしていないにも関わらず、何故かそれだけが綺麗に残っている。

 

 そこから少し離れたところに降り立ったのは、パラレインであった。

 どうやら先に自らが起こした爆発から逃れられたらしいが、深傷を負っていることが影響して、以前のような覇気のある感じではなくなっている。

 

 彼奴が土管の方を見た時、穴の中から何かが浮かび上がってきた。

 ゆっくりと上昇をするそれが、自らを爆発に巻き込んだ二人であることが判ったのは、変身を解除した彼等が土管から降り立った時であった。

 

「本当にどうなるかと思った……」

「ああ。有り難う」

 

 実は爆発が起こる寸前、二人は碧が各々の足元に出現させた穴の中に吸い込まれ、事無きを得たのである。

 なので不利益を被ったのは、自爆した本人であるパラレインだけ、ということだ。

 

「argh!」

 

 パラレインが叫んだ。

 どうして自分がとった最終手段で、この二人は無事で、尚且つ自分だけがダメージを負ったのか。

 怒りに任せた叫びである。

 

 ならばと春樹はトランスフォンにクラックボックスをかざし、自身と碧のドライバーに移動をさせる。

 

「残り時間は後4分くらいだ」

「じゃあ。これが最後の戦いってわけね」

 

 透明なカードを手に取り、トランスフォンのスロットに装填する。

 

『"REVE-ED'N'ACT" LOADING』

 

「……行くぞ……!」

「……うん!」

 

『『Let's "UNITE"』』

 

 電源ボタンを押した二人はそれぞれポーズを決める。

 春樹は端末を持った右手を左側にゆっくりと持っていって、端末の画面が見えるように手をひっくり返す。

 碧は挙げた右手を下げて大きく両手を伸ばし、左手を右肩の前まで移動させる。

 

 そして二人は叫んだ。

 恐らく二度と口に出さない、出したくもない言葉を──。

 

 

 

「「変身!」」

『『Here we go!』』

 

 端末をドライバーに挿し込んだ二人は、パラレインの方へと走り出す。

 そこに彼奴は何発もの火球を撃ち込んで、爆発の渦の中に巻き込ませるのだ。

 

 だがそんなものに屈するわけもなく、仮面ライダーリベードンアクトは足を止めない。

 

『Release all and unite us! We’re KAMEN RIDER REVE-ED’N’A-CT!! It’s just the two of us.』

 

 リベードンアクトの右手とパラレインの左手が激突する。

 衝撃から周囲の砂が舞い散り、強い風が起こる。

 

 パラレインはすぐさま相手の背後に瞬間移動をし、蹴り飛ばそうと試みる。

 だがリベードンアクトはそれを察知したのか、それよりも速く動いてパラレインを宙空に放り出し、右足で地面に叩きつけた。

 

 再度砂煙が起こり、晴れた後に確認出来るのはよろめきながら立ち上がるパラレインの姿である。

 彼奴はこれで絶対に倒すという信念のもと、巨大な黄金の球体を作り出すと、地上に降り立ったリベードンアクトにそれを放った。

 

 確実に葬り去ることの出来る。

 そう考えたパラレインであったが、本人が弱体化していることと、二人が今までに無いくらいに強くなっていることを考えられていなかったようだ。

 

 リベードンアクトはアクトとリベードに分裂。

 それぞれがディスペルデストロイヤー チェーンソーモードを使って、巨大な球体を切断すると、細切れになった破片が地面に落ちて大きな爆発が起こった。

 

『"ACT" LOADING』

『"KUUGA" LOADING』

 

『"REVE-ED" LOADING』

『"GENM" LOADING』

 

 それぞれ2枚ずつ武器のスロットに装填すると、刃から斬撃を放った。

 

『『TWIN SLASH!』』

「「ハァァァッ!」」

 

 猛スピードで進むエネルギーの塊はすぐさまパラレインに激突し、爆発を起こす。

 かなりのダメージがきたらしく、立っているのがやっとの状態になってしまった。

 

 再び一体化した二人は武器を投げ捨て、クラックボックスを操作する。

 

「「これで終わりだ……!」」

『Are you ready?』

 

 宙空へと飛び上がるリベードンアクト。

 幾つものコピーがパラレインの周りを埋め尽くし、完全に逃げ場を失わせる。

 

 そして、遂にその時が来た。

 

『OKAY. "REVE-ED'N'ACT" UNITE EXPLOSION!』

 

 端末を押し込んだ瞬間、コピー達が一気に目標に向けて両足でキックをお見舞いして消えていく。

 尋常じゃない数のコピーに襲われただけでも耐えられない程であるのに、

 

「「おりゃあああああああああああああああ!」」

 

 最後には本人が両足を突き出した状態で、緑色と青色のオーラを纏うキックを食らわせようとする。

 それをパラレインはバリアを張って防ぐ。

 

 けれども威力はやはり絶大で、徐々に皹が入り、そして遂にバリアを破ってパラレインの身体を貫通。

 彼奴に背中を向ける形で地面に着地をしたのだ。

 

 暫く何が起こったのか処理しきれなかった。

 どうして人間如きに自分がここまで完膚なきまでにやられなければならないのか。どうして自分が敗れることとなったのか。どうして──。

 

 その結論が出される前に、パラレインの身体は眩い光を放って、そして──

 

 

 

「bawl!!!!!!!!!!!!!!」

 

 大きな爆発がリベードンアクトの後ろで起こった。

 爆風が背中を直撃し、若干の熱さを感じる。

 

 振り向くことは無いが、本能的に判った。

 

 ──これで、全てが終わった。

 

「やったな……」

「うん……! 急いであまねちゃんの下に帰らないと……」

「そうだな。……ただ……俺はもう限界だ……」

「……私も」

 

 ゆっくりと後方に背中を預ける。

 倒れた時、二人の身体は分離されて人間の姿へと戻っていた。

 

 何かが破れていくような音が聞こえてくる。

 そういえば、この世界が消滅するまで後2分くらいだったか。もう正確な残り時間は覚えていない。見たくもなかった。

 

「この際だから言い残したいことある?」

「何だよ急に」

「何となく」

 

 ただ白い空を見据えながら二人は話す。

 

「私はね、君といられて幸せだったよ。本当は、君といっぱい愛し合って、子供を産んで、巣立って行くまで沢山愛情を注いであげて、残りの人生を二人で過ごして、そして静かに死んでいくのが夢だったの……」

「だったらごめん……。その夢を、俺が捨てさせてしまった……」

「ううん。後悔はしてないよ。だって、あまねちゃんっていう可愛い娘がいるし。もう何も思い残すことは無いんだ」

 

 春樹には見えないが、碧の顔は清々しかった。

 黒い皹や白い光に次々と包まれていくこの世界の中で、彼女の笑顔はまるで青空の代わりを務めてくれているようである。

 

「ねぇ春樹」

「?」

「私……良いお母さんだったかな?」

「……当たり前だろ」

「なら良かった」

 

 暫く流れる沈黙。

 もうすぐ後1分になって、全てが終わる。

 だから、言いたいことを言わなければならなかった。

 

「あのさ……。俺、お前にプロポーズの言葉言ってなかったよな?」

 

 確かにそうだった。

 ホテルの中で指輪を手渡した際、緊張のあまり何も台詞を言うことが出来ず、結果として笑ってやり過ごして終わってしまった。

 

「今、言っても良いか」

 

 春樹が上体を起こしたため、碧も同じようにして向かい合う状態となる。

 すると春樹は碧の左手を両手で、自分の胸の高さまで持ち上げた。

 

「碧、いや、碧さん。俺は出逢ってから全てが変わった。親の愛を少ししか知らなかった俺に、家族の愛ってものを教えてくれて、任務を超えてこの人と一緒にいたいと思えた。永遠にこの時が続いて、あまねを含めた三人で幸せになりたいって思えた。君は俺の全てで、これからもそうであって欲しいなって思う。だから──」

 

 思わず最後の一言を言う前に溜め込んでしまった。

 後は言うだけなのだ。ただ一言を──

 

 

 

 

 

「生まれ変わっても、俺と結婚してください……!」

 

 碧は顔を下げてしまった。

 何かが破れていく音が聞こえている中で、新たに加えられたのは彼女が啜り泣く声であった。

 

「勿論だよ。どれだけ時間がかかっても、必ず君の前に現れて、君と幸せになるから……!」

 

 春樹に碧が見せたのは、屈託の無い笑顔だった。流れる涙も、その笑顔を強調するために必要不可欠である。

 

 笑い合う二人。

 誰から始めるわけでもなく、互いの唇を重ね合わせて相手の生きている証をこの身に刻み込むのだ。

 

 そして、眩い光と黒い皹が彼等を包み込んだ──。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 この日、一つの世界が消え、人智を超えた生物はいなくなった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Q: What is the remaining number of monsters?

A: 0




完結まで、後2話。



【参考】
英語のオノマトペ(擬音語)一覧!日本語と比べて面白い|ENGLISH TIMES
https://toraiz.jp/english-times/book/8910/
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