仮面ライダーアクト   作:志村琴音

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第十話です。
Twitterでも報告いたしました通り、投稿時間が変わりました。

旧:土曜日21:30
改:火曜日・木曜日・土曜日 いずれかの21:30
※不定期投稿に変わりはありません。

でないと、毎週投稿したとしても、完結まで三年かかってしまうので……。
よろしくお願いいたします。



【イメージOP】
PEOPLE1 - 銃の部品

【イメージサウンドトラック集】
https://open.spotify.com/playlist/23xA5ZAHZfdUR77F4JZ9lB?si=07c60fc3a3934b45&pt=97747cf874e1c0b08fb8e40c52da1ec2


EPISODE 04 迷えるギャル(A GAL WHO LOST HER WAY)
Question010 What was stolen by what?


2021.11.11 20:27 東京都 新宿区 焼肉専門店 ぎゅう

「で、デートは楽しかったか?」

「は、はい。すみません。ご報告が遅くなって……」

 

 いつもの焼肉屋の個室にSOUPのメンバーはいた。

 個室の入り口の前で申し訳なくなっている日菜太を、外側の席に座る春樹が見上げる。

 

「で、二人は付き合ってるの?」

「い、いえ! まだっ!」

「「ふぅ〜ん」」

「やめておけ。いくら娘の彼氏候補とはいえやりすぎだ」

 

 焦る日菜太を揶揄(からか)う春樹と碧を森田が止める。

 森田にも娘がいる。まだ小学生とはいえ、何となく気持ちは解るのだろう。

 

「いつかこの気持ちが解る時がきますよ、室長」

 人生、というより父親としての先輩に何故か偉そうな態度をとる春樹。

 

「娘のこと、よろしくね」

「は、はい! ごゆっくり!」

 

 再度頭を下げると、日菜太はそそくさとその場を後にした。

 そうして春樹は目の前にある焼き網から、焼けたカルビを取り、タレをくぐらせて口の中に運んだ。

 同じように碧も葱の置かれたタンを畳み、何もつけずに食べた。

 

「やっぱり心配ですか? もしかしたら娘さんと結ばれるかもしれないから」

 深月はグラスに入ったレモンサワーを呑みながら二人に訊く。

 

「当然だろ。一応保護者だから」

 春樹もノンアルコールビールを呑み干した。

 

「とはいえ、モンスターペアレントにはならないでくださいね」

「そうだな。それで何かしらの騒動になったら色々大変だ」

 

 圭吾と森田はサラダを食べながら二人に釘を刺す。

 クルトンが入りザクザクと音の鳴るサラダを、ビールで流し込んだ。

 

「大丈夫ですよ。春樹はともかく、私はなりませんから」

「おいちょっと待て。それどういう意味だ」

 

 個室に響く笑い声。

 全員が笑顔の中、薫の顔は浮かばれないようだった。

 肉を焼いて出る煙がその顔を覆い隠す。

 

 微かに見えるその顔を、碧は見逃さなかった。

 

 

 

────────────

 

 

 

 橘田薫は岐阜にある名家に生まれた。

 父は大手証券会社の社長、母は大学の教授。厳格な両親だった。

 幼い頃からバレエや水泳、茶道に華道等、様々な習いごとをやらされた。

 全ては、橘田家に見合う人間になるために。

 それはある種の調教のようなものだったと、薫は思っている。

 

 彼女に転機が訪れたのは、5歳の時だった。

 長野県にて目覚めた未確認生命体が、東京で殺戮を繰り返していた。しかも、相手は通常の兵器が通用しない相手。国民のほとんどが絶望に浸っていた。

 

 だが薫だけは違った。

 見たことのない生命体の存在。それが彼女の心を掻き立てた。

 その構造を解明したい。その目標を胸に、ひたすらに勉学に励んだ。

 

 そんな彼女の行く末を阻もうとしたのは、母親だった。

 恐らく父親の会社を継がせようとしたが、正反対の道を行こうとする娘が許せなかったのだろう。

 最後まで反対し、理学部に入るのであれば学費は出さないとまで言ってきた。

 

 薫はさらに勉学に励んだ。

 そして大学に二番目の成績で合格し、特待生として入学した。すなわち、学費は自分でどうにかしたのだ。

 

 これが、薫の最初で最後の反抗となった。

 

 それ以来実家には帰っていない。

 誰かに阻まれることはなく、ただ目の前の研究に没頭出来る。

 昔から好きだった派手な服や食べ物を、思う存分堪能出来る。

 そして今は、自身の夢であったフォルクロー(得体の知れないもの)の解析を、思う存分出来ている。

 これ以上幸せなことはない。

 もう実家に帰る気はない。というより、存在をすっかり忘れ去っていた。

 

 だが、もう行かなければならないのかもしれない。

 ここを去らなければいけないのかもしれない──。

 

 

 

────────────

 

 

 

2021.11.12 14:53 東京都 大田区

 蒲田駅東口の前にある区役所前本通りは現在、大勢の警察車両によって封鎖されていた。

 機動隊が停車されている車以外何も無い道路に銃口を向け、その後ろにはSOUPを乗せた遊撃車が配置されていた。

 

「百二十五番と百四十八番ですか」

「ああ」

 

 パソコンのモニターを確認する全員。

 機動隊員が向けている銃口の先では、赤いカーテンが揺らめき、まるで誘っているかのようだ。

 

「さて、今日も職務を全うしますか」

「うん。グアルダ!」

『了解した。ただいまより、椎名春樹、椎名碧、両名のライダーシステムの使用を許可する』

 

 すぐに遊撃車の中を飛び出す春樹と碧。

 車外に出たタイミングで、ふと後ろを振り向いた。

 

 ひたすらにモニターを見つめる森田と深月。

 パソコンを(せわ)しなく動かす圭吾。

 

 だが薫だけ、何処か浮かない表情を見せていた。

 いつも仕事に真剣に、かつ笑顔の薫がそんな顔を見せること自体珍しいことだ。

 

 訊くは野暮だろう。

 敢えて音を立てずに扉を閉めて、春樹の後を追った。

 

 

 

 銃を持った隊員たちの壁を背に二人は前を向く。

 そして空に穴が開き、二体の怪人が現れた。

 

 左側にいる怪人は、シルクハットを被りマントを着けた紳士のようで、全身に色とりどりで大きさの異なる宝石のようなものが付いている。その右手には金色の拳銃が握られていた。

 右側の怪人は、歌舞伎の獅子物のような見た目をしており、顔には 喝食(かっしき)という能面の一種が着けられ、背中には様々なコードが刺さっている。そしてその手には二本の日本刀が握られていた。

 

『警察庁より通達。二体の名称が決定。以降、左を新型未確認生命体第二十六号『ロブ』、右を第二十七号『イングルフ』と呼称する』

 

 ロブとイングルフは突然前に走り始めた。

 すぐにドライバーを出現させると、カードを裏返して端末に装填する。

 

『"ACT" LOADING』

『"REVE-ED" LOADING』

「「変身!」」

 

 変身した二人はディスペルクラッシャー ソードモードを取り出し、二体と交戦を始めた。

 

 リベードはイングルフが縦に振り落としてきた二本の刀を、自身の刀で受け止め、上に振り上げて相手の両腕を上げさせた。

 そして左から右に刀を振った。

 

「はぁっ!」

 

 だが怪人は後ろへと宙返りをする。攻撃を避けるのと同時に、剣を持ったリベードの腕を振り上げさせ、攻撃を中断させる。一石二鳥の攻撃というわけだ。

 着地をすると、一瞬の隙をついて両刀で胸を突いた。

 

「ぐあっ……!」

 

 思わず何歩か後ろに退いてしまう。

 だが体勢を立て直し、再び前を見据えた。

 

 すると突然、イングルフの背中のコードが微かに発光を始めた。

 そして()()()()()()()()()()()()()

 

「面白くなってきたわね……!」

 

 リベードはカードケースから1枚のカードを取り出した。

 端末をドライバーから取り外すと、そのカードを裏返して装填した。

 

『"WIZARD" LOADING』

 

 電源ボタンを押すと、ゲートから赤いドーナツの形をしたオブジェが目の前に現れた。

 端末を挿し込んだ。

 

『Here we go!』

 

 鎧が解かれ、分解されたオブジェが鎧として装着されていく。

 

『Witchcraft, Activate, Bibi de bob de boo! I’ll your last hope. MYSTERIOUS WIZARD! It’s showtime.』

 

 ウィザードシェープへと姿を変えたリベードはもう1枚、カードケースの前方のスロットから1枚のカードを取り出した。

 ドラゴンが何体もいるオレンジ色のカードで、「COPY」と書かれている。

 

 そのカードをドライバーに挿し込まれている端末の裏側にかざした。

 

『"COPY" please』

 

 赤い魔法陣がリベードの左側に現れる。

 するとそこから刀を握りしめた()()()()()()()()()()()()()

 

「そっちは6体ぐらいだよね? だったら2人いれば余裕だと思うんだけど。どうだろうね?」

 

 二人の戦士(分身したリベード)は刀を握りしめ、数体の怪人へと向かって行った。

 

 

 

 一方のアクトは一歩もその場を動いていない。

 ロブが拳銃から発射した銃弾を、その剣で一つずつ斬り裂いていった。

 

 ひと段落つくと、標的に迫って行く。

 その間にも銃弾は発射されたが、それも全て真っ二つにして距離を詰めていった。

 

 そしてその間が剣心の長さとほとんど同じくらいになったところで、剣を振り上げ攻撃を仕掛けた。

 

 

 

 

 

 その時だった。

 突然ロブがアクトのカードケースに触れた。

 そのまま何も抵抗することもなく、アクトの攻撃をモロに受けた。

 

 火花が散り、敵は後退した。

 

 すると背中に何かがのしかかってきた。

 ふと後ろを見るとリベード(自身の妻)だった。

 

「そっちはどうだ?」

「ダメだね。何人も分身して襲ってくる。私も負けじと分身したけど、全部倒された。そっちは?」

「妙なんだよな。何というか、全てが上手くいきすぎている。きっと何か隠してるな」

「そう。じゃあ本気でいこう」

「俺はいつだって本気だ」

 

 二人は背中を合わせてカードケースの後方のスロットに手をかけ、カードを取り出そうとした。

 

 

 

 だが、一向にカードは出てこない。

 叩いたり振ったりして何度も試したが、(ほこり)一つ出てこない。

 

「グアルダ。どうした? 反抗期か?」

「AIに反抗期があるわけないでしょ。どうしたの?」

『私にも分からない。今ストレージには、()()()()()()()()()んだ』

「つまり、()()()()ってことか?」

『恐らくそうだ』

「「!?」」

 

 その時、微かに宝石が日光によって光った気がした。

 

 

 

「どういうことだ!?」

 遊撃車の中の四人も当然のように焦っていた。

 

「そもそも、盗むなんてことは可能なんですか?」

 深月が先輩たちに訊く。

 回答をしたのは圭吾だった。

 

「場所は知らないですが、現物はSOUPの本部に保管してあります。しかも日本、いや世界最高峰のセキュリティで厳重に守られています。取り出す際はデータ化をして、カードケースの中に転送をする。

 なので現物を直接盗むことは不可能なんです。ただ……」

「? ただ?」

 

「そのデータを盗み取ることは、もしかしたら可能かもしれません。橘田さんはどう考えますか?」

 

 だがすぐに薫の返事は返ってこない。

 その表情はまさに上の空と言ったところだろうか。

 

「薫さん?」

「え、あぁ、はい」

 

 ようやく気がついたようだ。

 自身の顔を両手で二度叩き、モニターに食らいつく。

 

「恐らく、ロブの右手には何かスキャニングするための体内器官が備わっているんでしょう。それでデータを盗んだ……。そう考えるのが妥当でしょうね」

「何のために?」

 今度は森田が部下たちに問いを投げかける。

 

「先日来たあの三人は、メモリアルカードを何かの目的のために必要としていました。

 その目的のためにカードの回収を始めた。というのはどうでしょう?」

 

 深月が自身の推理を話した。

 納得したのかそれ以上の考察はなくなる。

 

「とにかく打開策を考えよう」

「「「はい!」」」

 

 再びモニターに集中をする四人。

 薫の表情は晴れないままだった。

 それが今の状況によるものなのか、それ以外のせいなのか。

 誰にも、というより本人にも判らなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Q: What was stolen by what?

A: Their cards were stolen a force that a monster looks like a complex of jewelries uses.

今作のキャラクターたちの日常を描いたスピンオフがあったら、読みたいですか?

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