仮面ライダーアクト   作:志村琴音

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第十一話です。
今年最後にもう一作品投稿出来ました。
来年もどうぞよろしくお願いいたします。



【歌詞使用楽曲】
モーニング娘。 - ハッピーサマーウェディング
(作詞:つんく)

【イメージサウンドトラック集】
https://open.spotify.com/playlist/23xA5ZAHZfdUR77F4JZ9lB?si=07c60fc3a3934b45&pt=97747cf874e1c0b08fb8e40c52da1ec2


Question011 What did she say to her junior?

?????

「しかし、この子を作って正解だったわね。まさか全部のカードを持ってきてくれるだなんて……」

 

 フロワは目の前にいるボアを見つめながら言った。

 そしてまるで我が子を愛でるように、装飾されている宝石を撫でる。

 

「ホントだね。あとは、()()を回収するだけだもん」

「だったらあの()を脅して教えてもらえば、早く回収出来るのに」

「そんなことしても彼女が口を割らないことは、君たちも知っているでしょう?」

 

 ピカロは宝石をコンコンと叩き、アールはメモリアルブックのページをめくっていく。

 

 ふと三人は同じ方を向いた。暗い部屋の中に1つだけつけられた、大きな窓だ。

 そこから見える景色はいつも同じ。荒廃した都市群だ。白を軸に様々な色が入り混じった、明るく不気味な空が外を覆う。

 

()()()()()()も、もうすぐ()()()みたいになるのかな?」

「えぇ。少なくとも、()()()()が目覚めないと事は始まらないですね」

「そのために、()()が必要なのよね……」

 

 じっと外を見つめる三人。

 様々な色の光が窓から差し込み、暗い部屋の中を照らし始める。

 そして三人はふと笑みを浮かべた。

 

 

 

────────────

 

 

 

2021.11.12 17:04 東京都 新宿区 SOUP

 SOUPの部屋の奥には室長用のスペースが用意されている。

 基本的に警察庁本部で仕事を済ませる岩田室長はたまにしか来ないが、この日だけは違った。

 岩田室長が席に座り、机の前で春樹、碧、森田が立っている。

 

「メモリアルカードの保管場所を確認した。……アクトとリベード以外の2枚が全て盗まれていた」

 

 やっぱりか、と三人は頭を抱えようとする。だがこの厳かな場で実際に頭を抱えることなど出来ない。

 

「この(チーム)が設立されて約1年。前代未聞の出来事だな」

「「「申し訳ありません」」」

 

 頭を下げる三人。

 頭を上げなさい、と岩田室長は静かに声をかけられ、その言葉に甘えて頭を上げた。

 

「仕事のミスは仕事で取り返すしかない。何としても、カードを取り返せ」

 

 再び頭を下げて、三人はその場を後にした。

 

 

 

「結構(しご)かれたみたいですね」

 気を遣ったのか、いつも以上に優しい口調で話しかける圭吾。

「ええ。かなりやられました」と碧。

 

「とにかく、カードを奪取するための(すべ)と、あの2体の対策について考えましょう」

 

 深月が声をかけると、全員は自身の席に着き、森田の席の両脇にある巨大なモニターに目を向けた。

 そこには先程の戦闘の映像が映し出されている。

 話を切り出したのは薫だった。

 

「まずはイングルフについてです。映像から見て分かる通り、背中にあるコードが光った後に突如分身しました。

 多分、何かの分泌液をコードを介して身体に充満させているんでしょう。コードを切れば分身は出来なくなるかと」

 

「その場合、あのコードをディスペルクラッシャーで斬り裂けば()いんですが、ただ奴は相当素早いです。どうやって仕留めれば……」

「それに今はカードが無い。何か動きをストップ出来るものがあれば良いんだけどな……」

 

 頭を悩ませる圭吾と春樹。

 

「それだったら、ロブの方をどうにかするのが先決じゃないですか?」

「そうだな。奴をどうにかしない限り、カードも元に戻って来ない。有効な対策手段を立てるには、それが一番だ」

 

 全員が薫の方を見る。

 だがその顔は下を向いており、まるで集中出来ていないようだ。

 

 そんな薫に碧が声をかける。

 

「どうしたの? こないだから、ずっとそんな感じだけど」

「実は……」

 

 薫は話し始めた。

 自身の両親が厳格であったこと。

 逃げ出すようにして東京に出、今に至るということを。

 

「それで……両親が勝手に結婚相手を決めてきたんです。証券会社に勤める杉元さんという背の低い方で、お父さんと同じで釣りが趣味なんです」

「どっかで聞いたことのある人物像だな」

 

 思わず森田が突っ込む。

 

「アー、父さん母さん」

「それ以上歌うな」

 

 (ひと)フレーズ歌ったところで春樹に静止され、自身の口を押さえる碧。

 

「もちろん、私はもう成人した大人です。親が私の将来を決められる権限なんてものは存在しません。

 ……けど、怖いんです。もしまた自分の行く道を阻まれたらって……」

 

 机の上に置かれた2つの拳をギュッと握りしめる薫。

 目の前の景色がぼやけて消えていく。

 

 

 

 すると誰かが薫の肩に手を置いた。

 後ろを見ると、隣に座っていた碧が後ろに立っていた。

 

「大丈夫だよ。きっと」

 

 屈託のない笑顔で答える碧。

 深月はふと、かつての自分を思い出していた。

 

 先の見えない不安に押し潰されそうだった時、()は同じような笑顔を見せ、自分を励ましてくれた。

 そして彼女もまた、同じように誰かを励まそうとしている。

 何処か懐かしさを覚え、無意識のうちに大きく息を吸って吐いた。

 

「無責任な言い方ですけど、なんとかなりますよ」

「そうですよ。きっと」

 

 深月と圭吾も続けて薫に声をかける。

 声をかけない森田は、そんな部下の姿を見て微笑ましくなり、口角を上げた。

 

「有難うございます、皆さん……」

 

 薫は顔を上げ、目の周りを白いハンカチで拭いた。

 その様子で安堵した他のメンバーは、笑みを浮かべる。

 

「さて、会議に戻るか」

 

 森田の号令で再び業務に戻るメンバーたち。

 吹っ切れた薫もじっと目の前のモニターを見つめる。

 

「どうやってカードを回収しましょうかね?」

「あぁ。問題は、カードのデータをどうやって取り返すかだ」

 

 深月と森田が再び頭を抱える。

 

「ねぇ春樹。どういう経緯で無くなったんだっけ?」

「確か……カードケースを触られて、そっからいきなりカードが無くなった、って感じだったな……。

 そういえば、盗まれた瞬間、全身の宝石が光ったような気がしたんだけど、あれは陽の光のせいか?」

「多分そうじゃない?」

 

 

 

 

 

「いや、そうじゃないかもしれません……!」

「「「「「?」」」」」

 

 薫が全員に自身の考えを話し始めた。

 その一部始終を聞いた全員が、思わず感嘆の声を上げる。

 

「なるほど! その手があったか!」

「よし……! これならいけますよ」

 

「今度こそ失敗は許されない。いけるか?」

 森田が自身の右腕を前に出す。

 

「上等だ。やってやるよ」

 

 春樹がその上に自身の右腕を重ねる。

 続いて碧、深月、圭吾、そして最後に薫が重ねた。

 そして全員が勝鬨(かちどき)を上げるための、気怠そうな声を上げた。

 

 

 

「「「「「「うぇーい」」」」」」

 

 

 

────────────

 

 

 

2021.11.14 11:03 東京都 板橋区

 とある公園の中。

 春樹と碧の見つめる先から、2体の怪人がゆっくりと歩み寄って来る。

 

 それを確認すると、二人は端末にカードをかざし、ドライバーを出現させた。

 そしてすぐさまカードを装填した。

 

『"ACT" LOADING』

『"REVE-ED" LOADING』

 

 電源ボタンを押すと、上空にゲートが現れ、それが開くと銀色の鎧が姿を見せた。

 それと同時に春樹と碧はポーズをとり、そして叫んだ。

 

「「変身!」」

『『Here we go!』』

 

 端末を挿し込むと、二人の姿が異形のものへと変化し、そこに先程の銀色の鎧が装着される。

 

『I'm KAMEN RIDER ACT!』

『I'm KAMEN RIDER REVE-ED!』

 

 アクトはディスペルクラッシャー ガンモードを、リベードはディスペルクラッシャー ソードモードを出現させると、勢いよく飛び出して行った。

 だがその標的は2体ではなく、銃を持った鮮やかな怪人──ロブだけだった。

 

『『Are you ready?』』

 

 端末を武器にかざし、再び端末をドライバーに挿し込んだ。

 

『OKAY. "ACT" CONNECTION SHOT!』

『OKAY. "REVE-ED" CONNECTION SLASH!』

 

 ロブが自身の拳銃から何発も銃弾を発射するが、それをアクトは滑り込むことで回避。

 

「ハッ!」

 

 ロブの前に来るとその胸に向けて強烈な一撃を食らわせた。

 

 思わず後ろに下がるロブ。

 その胸の宝石には微かにひびが入っていた。

 

「ハァッ!」

 

 今が絶好のチャンスだと、今度はリベードが跳び上がり、そのひびに向けて鋭い剣先を突き刺した。

 

 するとどうだろうか。

 剣先を引き抜くと、そこから粒子状の何かが飛び出し、それが二人のカードケースへと収まっていった。

 

『良かった。ようやく戻ってきたぞ』

 ホッと息を吐くアクトとリベード。

 

「じゃあ、反撃開始ね」

「ああ」

 

 リベードはカードケースから1枚のカードを取り出し、ドライバーから外した端末に装填した。

 

『"DOUBLE" LOADING』

 

 電源ボタンを押し、端末をドライバーに挿した。

 

『Here we go!』

 

 自身に着けられていた銀色の鎧が解かれると、上空から現れた2つのオブジェが体に身につけられ、緑色と紫色の戦士へと姿を変えた。

 

『Windy, Survey, Extermination! Welcome to our city! SEPARATED DOUBLE! Count the number of your sins.』

 

 (ダブル)シェープに変身したリベードはもう一度端末を取り外すと、自身の剣にかざした。

 

『Are you ready?』

 

 再度端末をドライバーに装填すると、後ろに振り向いた。

 そこには臨戦態勢で身構えているもう一体の怪人──イングルフが立っていた。

 剣先をそちらに向けると、イングルフの周りに竜巻が発生。それが怪人を飲み込み、身動きがとれない状態になった。

 

『OKAY. "DOUBLE" CONNECTION SLASH!』

「ハァッ!」

 

 そして剣を縦に振るった。

 すると緑色と紫色の混ざった一発の斬撃が怪人の背中を襲った。

 

 その一撃は、見事に背中のコードを全て斬り裂いた。

 斬られたコードからオレンジ色の液体が漏れ出ていく。

 

 

 

「折角だし、新しいカード使おうぜ」

「そうだね。じゃあ、これで」

 

 二人はカードケースからそれぞれ1枚のカードを取り出した。

 アクトが取り出したカードの絵には、兜虫の身体に赤いスペードのマークが描かれており、「No.026 SPADE BLADE」と下に印字されている。

 リベードの取り出したカードには、木に()っているオレンジが描かれており、下部には「No.099 ORANGE GAIM」と白く書かれている。

 

 それらをドライバーから外した端末に装填した。

 

『"BLADE" LOADING』

『"GAIM" LOADING』

 

 電源ボタンを押すと、二人の後ろにゲートが現れる。

 アクトのゲートからはスペードの形をした銀色のオブジェが、リベードのゲートからは紺色の茎と枝のついたオレンジが姿を見せた。

 

 そして端末をドライバーに挿し込んだ。

 

『『Here we go!』』

 

 アクトの体にはオブジェが分解してできた銀色の鎧が装着される。胸部の鎧には赤くスペードのマークが描かれていて、そしてその頭部の中心にはまるで剣のように鋭い、透明なパーツが取り付けられた。

 

 リベードの頭部を隠すように、オレンジが覆い被さった。紺色のパーツが分解し、両腕両脚に装着されていく。そしてオレンジが展開。胸部を隠す甲冑となった。その頭部には兜のようなオレンジのパーツが被されている。

 

『Shut up, Turn up, Slash the undead! Take the joker of your destiny! SPADE BLADE! I’ll fight my destiny and win.』

『Dancing, Compete, Open the crack! I will never forgive you! ORANGE GAIM! It’s time to start my stage.』

 

 仮面ライダーアクト ブレイドシェープ

 仮面ライダーリベード 鎧武(ガイム)シェープ

 

 自身の運命を掴み取るため、剣を振るった戦士の力を受け継いだ姿の参上だ。

 

 二人は腰を落とし、標的2体をじっと睨みつける。

 そして自身の剣でそれぞれ床を叩き、走り出して行った。

 

「「READY……GO!」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Q: What did she say to her junior?

A: "It's gonna be alright."




とりあえず、新学期までには第1クールの執筆は終わらせたいですね。
第4クールまであるので……。
こんな駄文ですが、最後までお付き合いいただければと思います。
よろしくお願いいたします。

今作のキャラクターたちの日常を描いたスピンオフがあったら、読みたいですか?

  • 読みたい。
  • そうでもない。
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