仮面ライダーアクト   作:志村琴音

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新年明けましておめでとうございました。
昨年は大変お世話になりました。
本年もどうぞよろしくお願いいたします。



【イメージED】
米津玄師 - 恥ずかしくってしょうがねえ

【イメージサウンドトラック集】
https://open.spotify.com/playlist/23xA5ZAHZfdUR77F4JZ9lB?si=07c60fc3a3934b45&pt=97747cf874e1c0b08fb8e40c52da1ec2


Question012 How did she use two blades?

2021.11.14 11:06 東京都 板橋区

「「READY……GO!」」

 

 前へ走り出して行く2人の戦士。

 

 ロブはアクトに向けて、自慢の拳銃で何発も弾丸を発射する。

 だがそれを次々に斬り裂いていき、自身の剣でロブの体に一閃、二閃と斬りつけていき、そして鋭い剣先で突いた。

 後退する怪人。

 その姿を確認すると、ドライバーの右側のプレートを押し込んだ。

 

『Are you ready?』

 

 端末を押し込んだ。

 足にエネルギーが溜まっていき、頭部のパーツが赤く発光する。

 

『OKAY. "BLADE" DISPEL STRIKE』

「テリャァァァ!」

 

 上空に跳び上がると、右足を前に出し、強烈な一撃を怪人に食らわせた。

 後方に吹き飛ばされ、爆炎を上げるロブ。

 それを確認したアクトは、1枚のカードを端末にかざした。

 

『THE END OF VOLKLOW』

 

 端末をドライバーから取り外し、カメラ機能を機動させると、まだ上がっている火の方へシャッターを切った。

 

『Have a nice dream.』

 

 すると端末の中に一枚のカードが現れた。

 煌びやかな夜景の中にある道路の上を、一台の黄金の車が走って行く様子が描かれており、「No.125 ROB LUPIN」と書かれている。

 

 

 

 

 

 アクトが背伸びをして暫し休憩をしている一方、リベードはイングルフと剣をぶつけ合っていた。

 先程、背中のコードを全て斬ったのが効いたのだろう。素早く動くことはなく、リベードと同等のスピードに堕ちた。

 

 だがそれでも、2本の刀にたった1本だけで立ち向かうのは無理があるようだった。

 いくら剣術が長けているリベードでも、相手の武器が1つ増えれば圧倒的に不利な状況になってしまう。

 

 徐々に押されていく戦士。

 一瞬の隙を突かれ、2本の日本刀で斬りつかれてしまった。

 

「グァッ……!」

 

 後退したリベードは遊撃車にいる他の班員に連絡を入れた。

 

「あのさ、アイツに対抗出来るカードはないの?」

『ありますよ。目には目を、歯には歯を。二刀流には、二刀流です……!』

 

 薫の言葉と共に、カードケースに1枚のカードが転送されてきた。

 前方のスロットからそのカードを取り出す。

 そのカードにはオレンジの断面のような柄の刀身のある刀が描かれており、下部には「GIJI DAIDAI-MARU」と白く印字されている。

 

 そのカードをドライバーに挿し込まれている端末の裏側にかざした。

 

『GIJI DAIDAI-MARU! It'll come.』

 

 すると左手の前にカードに描かれていたのと同じ刀──擬似大橙丸(だいだいまる)が現れた。

 それをぎゅっと握りしめるリベード。

 

 ようやく互角になれた。

 元々真っ直ぐしていた背筋が、さらに伸びていく。

 

 2本の刀を持った戦士は怪人に向かって行き、凄まじい勢いで襲いかかる。

 イングルフは想定外の勢いに押されるばかりだ。

 そして勢いにたじろぐ隙に怪人の両刀を弾き、横一文字、いや横二文字に斬りつけた。

 

 後退する怪人の様子を確認したリベードに圭吾から着信が入った。

 

『碧さん。その刀、()()しますよ』

「……ん?」

 

 試しに二本の柄の端を合わせてみる。

 すると両端に鋭い刃の付いた薙刀(なぎなた)のような形状──ディスペルクラッシャー ナギナタモードへと変化した。

 

「え!? すごい! よーっし……輪切りにしてあげる!」

 

 端末をドライバーから取り外すと、ディスペルクラッシャー本体にある楕円形の部分にかざした。

 

『Are you ready?』

 

 端末を再度挿し込むと、まるでチアリーディングのバトンのように振り回す。

 すると立ち上がり始めたイングルフの周りを巨大なオレンジ状のエネルギーが取り囲み、その体を拘束した。

 

『OKAY. "GAIM" DISPEL SLICER!』

「セイハーっ!」

 

 そしてブーメランのように薙刀を投げた。

 薙刀はオレンジ状の拘束具の周りを一回転。持ち主の元に帰ってきた。

 

 その刀をキャッチした瞬間、オレンジ状の拘束具は輪切りではなく櫛形(くしがた)切りの形になり、そのまま怪人は爆発した。

 

 それを確認すると前方のスロットからカードを取り出し、端末にかざした。

 

『THE END OF VOLKLOW』

 

 端末を取り出し、カメラ画面のシャッターを押した。

 

『Have a nice dream.』

 

 端末の中に1枚のカードが姿を見せた。

 長い白髪の忍者が1人の少女を連れて江戸と思わしき夜の町を駆け抜ける姿が描かれており、「No.148 ENGULF FUMA」と書かれている。

 

「お前、それは輪切りじゃねぇ」

 

 シーッと口に人差し指を添えるジェスチャーをするリベード。

 仮面の下で微笑むアクト。

 

 その様子をモニターで見ていた薫も、少し頬を緩めた。

 

 

 

────────────

 

 

 

2021.11.14 16:54 東京都 新宿区 SOUP

 そういうわけで、私は帰らないから。

 うん……。うん……。分かった。

 

 

 

 電話を切った薫は自身のデスクに戻った。

 その表情は今までにないほど晴れやかなものだ。

 

「で、どうだった?」

 碧が薫に訊く。

「好きにしろ、ですって。まぁ結果オーライじゃないですかね」

 

 薫は書類を自身のショルダーバッグに入れて、帰る準備を進める。

 だがそれよりも先に碧と春樹が支度を済ませた。

 

「お疲れ」

「お先ー」

「「お疲れ様です」」

 

 先にその場を後にする春樹と碧。

 

 それを見届けた深月たち他のメンバーは、再び作業に取り掛かる。

 一ヶ月近く経った今でも、人間態を持つフォルクローへの対応法がまだ固まっていなかった。

 官邸から早急な対応が求められているため、こうやって残業せざるを得ないのだ。

 まぁ、全員残業が嫌いなので苦虫を噛み潰したような表情でパソコンに向かっているのは、言うまでも無いが。

 

 するとそんな最中、森田がデスクの引き出しからA4サイズの茶封筒を取り出した。

 そして他のメンバー全員に声をかける。

 

「ちょっと()いか?」

「「「?」」」

 

「先日の反田君の話で、少し気になったことがあったんだ。君たちをSOUPに配属させたのは岩田室長であって、私はその決定に関わっていない。つまり、君たちがどうして配属されたのか分かっていない。

 雨宮君と橘田君は研究の功績を讃えられて、深月君は戸塚署での功績を讃えられて、そして春樹君と碧君はライダーシステムの使用権を有しているためだ。

 だが、椎名夫妻が所属になったのは、他に何か理由があるのではないかと思って、古巣に探ってもらったんだ」

 

 森田は立ち上がると、封筒の中に入っていた書類を三人の机上に置いていく。

 それに目を通しながら、森田の話の続きを聞いた。

 

「まずは碧君に関してだ。椎名碧、27歳。旧姓は常田(ときた)。長野県出身。

 父・海斗(かいと)は遺伝子工学の権威として、弱冠30歳で城南大学の名誉教授として勤務。5年前に行方不明になったのは、先日の反田君の言う通りだ。

 母の夏美(なつみ)は23歳で海斗と結婚。だが、2001年に未確認生命体第0号の起こした、連続発火事件の餌食となり殺害された。

 そして1つ上の兄・八雲(やくも)。城北大学理工学部を1年で中退。その後忽然と姿を消した」

 

「お兄さんも失踪したんですか!?」

「お父さんだけじゃなく、お兄さんもだなんて……」

 

 驚愕する一同。

 

「僕と同じだ……」

 

 深月は一人呟き、何処か納得した。

 あの時の笑顔が、()()()と同じだったのは、そういうことだったのか……。

 自身の悲しみを胸に、これ以上誰かを悲しませないようにするために、あえて笑顔で取り繕う。

 そうでもしないと、人は救えない。

 

「次に春樹君だ。椎名春樹、28歳。長野県出身。

 長野県警所属の両親の間に生まれたが、6歳の頃、その両親が突如襲撃してきた未確認生命体第一号によって殉職。以来、親戚家族を転々としていた……。

 ()()()()()()()()()()()

 

「「「!?」」」

 

「県内の高校を卒業してから、碧君と結婚するまでの記録が一切残っていないんだ。

 つまり、2011年から2020年までの約10年間の記録が何処にも無い」

 

「誰が……何のためにそんなことを?」

「これだと調べようにも調べられないですね……」

「まさに八方塞がりか……」

 

 全員が溜息を()いて肩を落とす。

 

 深月は呆然と天井を見上げる。

 胸の中に何かが引っ掛かり、頭の上から何かがのしかかっているような感覚が襲ってきた。

 

「ここで悩んでても仕方ないですよね……」

「そうだな……」

 

 同じように森田と圭吾も頭を悩ませていた。

 その状況を打破しようとしたのは、薫だった。

 

「折角だし、呑みに行きませんか?」

「え!? でも、報告書がまだ」

「大丈夫だ。明日急ピッチで仕上げて、碧君に提出すれば何とかなる」

「よし。じゃあいきましょうか」

 

 

 

────────────

 

 

 

2021.11.14 17:43 東京都 新宿区 焼肉専門店 ぎゅう

「あれ? 今日は3人だけなんですか?」

「皆さんお揃いじゃないんですね」

「あぁ。今日は、折角だし家族サービスしないとと思って……」

 

 いつもの個室で新井夫妻に話しかけられる椎名家の3人。

 机上には新井夫妻の運んで来てくれたご飯とタン、ドリンクが並べられる。

 

 ごゆっくり〜、と二人が部屋から離れると、奥に日菜太の姿が見えた。

 笑顔で手を振る日菜太。あまねも少しだけ口角を上げて右手を振り返す。

 そしてまた自身の職務へと戻って行った。

 

「やっぱり仲良いんだな。お前ら2人」

「え? あ、うん。まぁ……」

「何処まで進んだの? 手繋いだ?」

「そ! それは、まだ……」

 

 赤く染まった顔を両手で隠すあまね。

 そんな自分の娘の姿を見て、ニヤニヤと笑みを浮かべる春樹と碧。

 

 すると再び新井夫妻が声をかけてきた。

 

「皆さんいらっしゃいましたよ」

「「「え?」」」

 

 個室に入って来たのは、自分以外のSOUPのメンバーたちだった。

 お邪魔しまーす、と言ってドカドカと部屋に入って来る。そのため三人は奥に追いやられてしまった。

 

「報告書はどうしたの?」

「明日の朝、急ピッチで仕上げることになりました」

「なので今日は呑みまくります!」

「なので手伝ってください春樹さん!」

「頼んだぞ、春樹君」

「勘弁してくれ! 俺は戦闘専門だ!」

 

 それぞれ飲み物を注文しながら和気藹々と話す。

 

 そんな中、深月はあることが気になった。

 向かい側の奥の席に座るあまねのことだ。窮屈そうな顔をしながらちびちびと烏龍茶を飲む。

 いきなり見知らぬ大人たちが入ってきたから?

 いや。そんな表情をしているのは、それだけじゃないと直感していた。

 確証は無い。けど、これまでの自分の経験がそう言っているのだ。

 

 少女の殺伐とした表情を肴にするように眺めながら、深月は運ばれてきたレモンサワーに口をつけた。

 

 

 

────────────

 

 

 

?????

 一方その頃、()()()()()()で三人は一喜一憂していた。

 というのも、奪ったカードが取り返され沈んでいたところに、喜ばしい知らせが入ったからだ。

 

「ねぇ。()()が74番と158番のカードを手に入れたって……!」

 

 ピカロの報告に、驚きのあまり立ち上がってしまうアールとフロワ。

 アールに至っては、驚きすぎて口をパクパクと動かしたまま、しばらく言葉を発せられなかった。

 

「ほ、ほほほ、本当ですかそれ?」

「うん」

「やってくれるとは思っていたけど、これほどとはね……」

「でも、かなり力が強大で、そのまま使うと制御が効かなくなるから、調整が必要だって」

 

 報告を終えたピカロは、ポケットから携帯ゲーム機を取り出して遊び始める。

 遊び始めたのは恐竜同士を戦わせる、昔流行ったアーケードゲームのゲーム機版だ。

 ピカロが選んだのは一番人気のティラノサウルス。対戦相手であるNPC*1が選んだのはスピノサウルスというティラノサウルスよりもやや大きな恐竜だ。

 

 対戦が始まったのと同時に、アールはメモリアルブックを開き始めた。フロワはアールの後ろに周って一緒に眺める。

 

「あと、何枚だっけ?」

「……さぁ。もう覚えていませんよ」

 

 自虐的な笑みを浮かべるアールを、フロワは静かに見つめる。

 するとピカロの対戦も決着がついたようだ。流石は「恐竜の王」と呼ばれたティラノサウルスだ。スピノサウルスの首筋に素早く噛みつき、そして瞬殺した。

 

「年明けくらいには、僕たちも本格的に動けるね」

「えぇ。楽しみね」

 

 暗い部屋に合うニヤリとした笑みを浮かべ、三人の顔は影に隠れて見えなくなった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

現時点で未確認物質解析班が把握している

新型未確認生命体の残り総数

通常140体

B群6体

合計146体

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Q: How did she use two blades?

A: By connecting them and be one sword.

*1
Non Player Characterの略。ゲーム上にてプレイヤーが操作しないキャラクターのことを指す言葉。また、オンラインゲームではゲームのコンピューター側が操作しているキャラクターのことを指す。




次に投稿を始めるEPISODE05と、その次のEPISODE06は、自分がどうしても書きたかった回なので、乞うご期待ください。
読了報告等していただきますと、筆者はとんで駆けつけますので、よろしくお願いいたします。

今作のキャラクターたちの日常を描いたスピンオフがあったら、読みたいですか?

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